立ち退き料の相場
以下の表の通り、立ち退き料の相場は、住宅か営業用建物かによって異なります。
建物の種類 | 立ち退き料の相場 |
---|---|
住宅(一軒家・アパート・マンション) | 40~80万円 |
営業用建物(店舗) | 売上規模の小さなもの:300万~1,500万円 ※売上規模が大きい場合、1億円以上かかることもあります。 |
事務所 | 現在の家賃の1~3年分 |
立ち退き料は、法律でいくら払うか決められているわけではありません。
上記はあくまでも目安であり、状況や物件によって金額が大きく異なる可能性があります。
立ち退き料の内訳
ここでは、立ち退き料の内訳を住宅と営業用建物に分けてご紹介します。
住宅(一軒家・アパート・マンション)の場合
住宅の立ち退き料には、一般的に次の内容が含まれています。
● 引っ越し代
● 契約費用(仲介手数料・礼金)
● 家賃差額
● 借家権価格
● 慰謝料(迷惑料)
引っ越し代 | |
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立ち退き料の引っ越し代で支払うのは、家族構成などに応じて最低限かかる暫定的な費用です。 実際の引っ越し代は、荷物の内容や量などによって異なります。 | |
契約費用(仲介手数料・礼金) | |
新居への入居に必要な、仲介手数料や礼金などの初期費用です。 立ち退きがなければ発生することのなかった費用のため、引っ越し代に加えて支払います。 いずれ戻ってくる費用である敷金は含めない場合がほとんどです。 新しい物件の家賃は、実費を支払うのではありません。 想定した家賃の1~2ヶ月分を払う場合が一般的です。 | |
家賃差額 | |
今の家賃と新しい物件の家賃との差額分として、生活保障のために1~3年分の家賃差額を支払います。 賃借人の状況によっては、家賃が上がると生活が厳しくなるケースがあるためです。 | |
借家権価格 | |
立ち退きにより消滅する賃借人の利用権の補償が「借家権価格」です。 借家権価格の算出方法は複数ありますが、合理的に算出することは難しいため、引っ越し代や契約費用などに含めることがあります。 簡易的であれば次の計算式で求められます。
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慰謝料(迷惑料) | |
立ち退きは賃貸人側の都合です。 立ち退きに際して賃借人にかかる負担は大きく、実費分の補償だけでは立ち退きに応じてもらえない場合もあります。 立ち退きに合意してもらうため、賃借人への迷惑料と経済的なメリットとして追加するのが慰謝料です。 |
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営業用建物(店舗)の場合
営業用建物の場合、一般的に次の内容が含まれています。
● 引っ越し代
● 契約費用(仲介手数料・礼金)
● 家賃差額
● 借家権価格
● 営業補償(休業補償)
● 改装工事費用
● 慰謝料(迷惑料)
引っ越し代 | |
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専用の機材やオフィス家具などは、専門業者による運搬が必要なケースが多く、一般的な住宅の引っ越し代よりも費用が高い傾向があります。 | |
契約費用(仲介手数料・礼金) | |
引っ越し代に加えて、仲介手数料や礼金などの契約費用を補償します。 営業用借家の場合、保証金を積むように求められることもあるようです。 | |
家賃差額 | |
新たな営業用建物やオフィスの家賃との差額分の補償で、補償期間は1~3年分が一般的です。 | |
借家権価格 | |
立ち退きにより消滅する賃借人の利用権の補償のことです。 借家権価格も立ち退き料の計算に含まれます。 簡易的な計算方法として、以下の方法があります。
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営業補償(休業補償) | |
営業用建物の場合、引っ越しが完了するまで休業しなければいけません。 そのため、営業補償(休業補償)として、収入源や従業員に対する休業手当相当額などの補償金を払う場合があります。 休業手当は、休業1日につき給付基礎日額の80%が支給されます。 詳しい休業補償の計算方法は、厚生労働省のホームページを参考にしてみてください。 「休業補償の計算方法を教えてください。」(厚生労働省) | |
改装工事費用 | |
移転先で営業を開始するために必要な内装工事費用です。 営業用建物の場合、通常スケルトン状態から内装工事を行って入居します。 「内装工事費用が支払えず、移転先で営業ができない」とならないように賃貸人は改装工事費用もしっかり補償しなければいけません。 | |
慰謝料(迷惑料) | |
立ち退きにより日々の業務にさまざまな負担が生じるため、営業用建物においても、補償金に加えて慰謝料を払うことがあります。 |
そもそも立ち退き料はなぜ必要?
そもそも立ち退き料とは何に対する費用なのか、なぜ必要なのかと疑問に思っている人もいるでしょう。
立ち退き料とは具体的に何のために存在するのかを説明します。
立ち退き料は賃貸人都合で退去してもらうときに払う
立ち退き料とは、賃貸人の都合で賃借人が引っ越さなければいけないときに、賃借人が被る損害に対する補償や謝礼として支払う費用のことです。
しかし、立ち退き料を払うと提案したからといって必ずしも退去に応じてもらえるとは限りません。
賃貸借契約によって定められた期限内では、賃借人を強制的に退去させることはできない点に注意してください。
立ち退き料は必須ではない
賃貸人側に立ち退き料を支払う法的義務はありません。
そのため、何も払わずに立ち退きの依頼もできます。
しかし、実際には何の保証もなく賃貸人都合の立ち退きに応じるケースはほとんどありません。
強制退去はできないので、賃借人が退去を拒否した場合、立ち退き交渉が長期間に及ぶことになります。
スムーズに立ち退きに応じてもらうためにも、立ち退き料が必要となるのです。
立ち退き料を払わなくてよい場合もある
以下の場合、立ち退き料を払わなくてよい可能性があります。
● 賃借人が契約違反をした場合
● 定期建物賃貸借契約の満期後の場合
● 建物が極端に老朽化して重大な危険がある場合
賃借人が賃貸借契約に違反している場合は、賃貸人の都合ではなく契約違反による立ち退きとなります。
物件の反社会的な使用や無断での第三者への転貸、家賃の滞納など、賃貸借契約書の条項に違反があれば、立ち退き料を払う必要は基本的にないのです。
定期建物賃貸借契約には、契約期間が満了しても更新がありません。
したがって、定期建物賃貸借契約の満期後であれば単に賃貸借契約が終了しただけであり、立ち退き料は不要です。
災害時に倒壊の恐れがあるほど建物が老朽化している場合は、居住者や近所の住人の安全確保が正当事由となり、立ち退き料を払わなくてよい可能性があります。
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立ち退き料を安くする方法8つ
立ち退き料を少しでも安く抑えるには、以下の方法があります。
● 入居者数が少ない段階で交渉する
● 丁寧に説明・交渉する
● 代わりの物件を提供する
● 原状回復費用を免除する
● 退去時に敷金を返金する
● 定期借家契約に切り替える
● 無償の使用貸借に切り替える
● 再入居を確約する
入居者数が少ない段階で交渉する
立ち退き交渉は、入居者数が少ない段階でスタートしましょう。
入居者が多いとその分立ち退き料が増え、入居者とのトラブルのリスクも高まります。
負担が少なくなるよう、新規入居者の募集をやめ、既存の入居者も減ってきてから交渉しましょう。
丁寧に説明・交渉する
立ち退きの依頼時は、丁寧な説明と交渉を心がけましょう。
立ち退きの交渉は賃借人が納得してくれなければ終わりません。
交渉が長期化したり、裁判に発展したりすることもあります。
裁判になると弁護士への相談料や着手金、報酬金も必要です。
また、裁判に負けて賃借人が主張する金額が認められると、当初提示していた立ち退き料よりもはるかに高額な費用がかかってしまうかもしれません。
穏便に交渉を進めるためにも、説明やお願いは丁寧に行いましょう。
代わりの物件を提供する
退去後に住む物件を、賃貸人側が用意することで立ち退き料を安くできることもあります。
他にも賃貸物件を持っている場合はそこを新しい住居として提供したり、代わりに新しい物件を探してあげたりしてみましょう。
原状回復費用を免除する
営業用建物の場合、原状回復費用の免除に言及してみましょう。
本来、営業用建物の退去の際には多額の原状回復費用が必要ですが、建て替える場合は不要です。
「原状回復費用はいらない」と伝えれば、好意的に退去に応じてくれる可能性があります。
退去前に敷金を返金する
退去前に敷金を返金することで、立ち退き料を安くできる場合もあります。
敷金は家賃不払いの場合や原状回復費用のために預かっておくもので、全額は返ってこないこともあります。
営業用建物の場合は多額の敷金を預けていることが多いので、退去前に返金すれば資金繰りが改善するため喜んでもらえるでしょう。
定期借家契約に切り替える
定期借家契約に切り替えれば、立ち退き料を払う必要がなくなる可能性があります。
定期借家契約は契約の更新がない契約なので、契約期間満了後なら基本的に立ち退き料は不要です。
ただし、住宅の場合2000年3月1日以前に締結した普通賃貸借契約を、定期借家契約に切り替えることはできません。
また、定期借家契約に切り替える際は家賃を減額することが一般的なので、家賃収入が減ってしまう点に留意しておきましょう。
無償の使用貸借に切り替える
無償の使用貸借に切り替えるのも、立ち退き料を抑える方法です。
使用貸借は賃借人の権利が弱いため、いつでも退去させられるようになります。
ただし、家賃収入は得られない点に注意しましょう。
再入居を確約する
建て替えが終わったら再入居できるように確約すると、交渉がスムーズとなり、結果的に立ち退き料を安く抑えられることがあります。
現在のテナントの意見も取り入れながら新しい建物の設計をすれば、より円滑に立ち退きに応じてもらえるでしょう。
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立ち退き料は相場を確認してから双方納得いくように交渉を
立ち退き料は必ず払わなければいけないものではありませんが、退去に納得してもらうために支払うことが一般的です。
しかし、交渉の仕方や賃借人の都合によっては納得してもらえない場合もあります。
まずは立ち退き料の相場を理解し、スムーズに交渉が進むよう妥当な金額を提示してみてください。
交渉が長引いたり裁判に発展したりすると金銭的な負担が大きくなってしまうので、丁寧な説明を心がけましょう。
建物解体のために立ち退きを交渉する場合、合計の出費は非常に多くなってしまいます。
しかし、解体費用は複数の業者に見積もりを依頼すること、適正価格で工事ができるでしょう。
解体費用を抑えながら、スムーズな立ち退き交渉をしてくださいね。
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