アスベストとは?
「アスベスト」という言葉を聞いたことがあっても、具体的に何のことを指しているのか知らない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、アスベストとはどのような物質なのか、なぜ解体工事に関係あるのかについて解説します。
現在は使用禁止の鉱物
アスベストとは、非常に細かい繊維状の天然鉱物の総称です。
具体的には以下6つの鉱物を指しています。
● 蛇紋石系のクリソタイル
● 角閃石系のクロシドライト
● アモサイト
● アンソフィライト
● トレモライト
● アクチノライト
「石綿(いしわた、せきめん)」と呼ばれることもあります。
アスベストは耐熱性や耐摩擦性、耐アルカリ性などが高く、その優れた性質から「奇跡の鉱物」と言われ、よく使用された時代もありました。
住宅やビルのほか、自動車のブレーキや高圧電線の絶縁材、シーリング材などに使われていたこともあります。
しかし、アスベストを吸引すると肺がんや悪性中皮腫などの疾患にかかる恐れがあることから、2006年9月にアスベストの使用は全面的に禁止となりました。
現在は、アスベスト含有建材の製造や輸入もしてはいけません。
解体工事前にアスベストの有無の調査が必要
大気汚染防止法により、アスベストを含む建物の解体工事を実施するには届出が必要です。
また2023年10月1日からは、解体工事前に有資格者によるアスベストの調査の実施も義務付けられます。
調査は建築物石綿含有建材調査者資格を持っている専門家が行います。
アスベストを含む建物の解体に必要な費用
国土交通省が2007年度の施工データをもとに算出したアスベストの除去単価は、以下の表の通りです。
アスベスト処理面積 | 除去費用 |
---|---|
300㎡以下 | 2~8.5万円/㎡ |
300~1,000㎡ | 1.5~4.5万円/㎡ |
1,000㎡以上 | 1~3万円/㎡ |
処理面積が同じでも価格に開きがあるのは、使われているアスベスト建材の種類によって危険性が異なるためです。
危険性はアスベストの飛散性の高さにより3つのレベルに分けられ、それぞれ工事費用の目安が異なります。
以下では、アスベストレベル1~3それぞれの解体費用相場をご紹介します。
アスベストレベル1の場合
アスベストレベル1はアスベストの濃度が高く飛散もしやすいため、3つのレベルの中でもっとも警戒が必要で、費用もかかります。
1㎡あたりの解体費用相場は1.5~8.5万円です。
以下は、アスベストレベル1に該当するアスベスト含有吹付け材がよく使われている箇所です。
● 天井
● 柱
● 梁
● デッキ裏
● エレベーター
● 機械式立体駐車場
天井や柱は面積が大きいため、総額で数百万円になることもあります。
アスベストレベル2の場合
アスベストレベル2も飛散性が高いので、作業員は防塵マスクや防護服の着用が必須です。
周囲の密閉や隔離なども求められます。
1㎡あたりの解体費用相場は1~6万円程度です。
以下の部分には、アスベストレベル2に該当するアスベスト含有保温材や断熱材が使われている場合があります。
● 内壁
● 配管
● 柱
その他、工場の空調ダクトやボイラー本体、焼却炉などにも使用されていることがあります。
アスベストレベル3の場合
アスベストレベル3はセメントや樹脂で固められているため比較的飛散しにくいですが、解体の過程で粉じんが発生してしまうことがあります。
アスベストレベル3の建材は主に屋根や外壁に使用されており、解体費用目安は30坪の2階建て住宅で20~40万円程度です。
粉じんを防ぐため、水や薬液で湿らせながら作業を行います。
以下の表では、これら3つのレベルの費用をまとめています。
アスベストレベル | 使用されていることが多い場所 | 費用相場 |
---|---|---|
レベル1 | ● 天井 ● 柱 ● 梁 ● デッキ裏 ● エレベーター ● 機械式立体駐車場 |
1.5~8.5万円/㎡ |
レベル2 | ● 内壁 ● 配管 ● 柱 |
1~6万円/㎡ |
レベル3 | ● 屋根 ● 外壁 |
20~40万円程度 (30坪2階建て住宅の場合) |
これらは建物本体の解体工事費用にプラスして発生するため、総額では非常に大きな額になることもあります。
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以下でアスベストを含む建物の解体工事費用を安くする方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
アスベストを含む建物の解体工事を安くする方法3つ
アスベスト建材を使った建物の解体工事費用を安くするには、以下の3つの方法があります。
● 補助金を利用する
● 分離発注する
● 複数の業者に見積もりを依頼する
補助金を利用する
アスベストの除去やアスベストを含む建物の解体工事は、自治体により補助金や助成金が支給されています。
補助対象は主にアスベストレベル1に該当する場合です。
自治体ごとに条件や支給額が異なるので、詳しくは各役所の建築や環境関係の窓口に問い合わせてみてください。
分離発注する
解体工事とアスベスト工事を別々に発注することで、費用を抑えられる可能性があります。
アスベスト建材の扱いには専門知識が必要です。
そのため、アスベストを使った部分の作業のみ、解体工事業者が雇った別の業者が担当する場合があります。
解体工事業者経由でアスベストの専門業者を雇うと、中間マージンの発生により工事費用が高くなることがあります。
なるべく費用を抑えるには、解体工事業者とアスベスト除去業者のそれぞれに依頼をするのがおすすめです。
複数の業者に見積もりを依頼する
業者を検討するときは、複数の業者に見積もりを依頼するようにしましょう。
3~5社の見積もりを比べることで、適正な相場や本当に必要な工事の見極めが可能です。
1社にしか見積もりを依頼しない場合、見積もり価格や工事内容が適切なのか判断できません。
高すぎる金額を請求されていても気づけないので、損をしてしまう恐れがあります。
名前を知っているから、知り合いの紹介だからなどの理由で1社だけに絞らず、まずは気軽に複数の業者に相談してみましょう。
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アスベストを含む建物の解体工事の流れ
アスベストを含む建物の解体工事は、以下の流れで進みます。
①事前調査
②必要書類の提出
③近隣へのあいさつ
④解体準備作業
⑤アスベストの除去
⑥建物の解体
⑦廃材分別・整地
それぞれの詳しい作業内容を説明します。
①事前調査
解体工事前に、まずは解体範囲や建物の状態の確認、アスベスト含有量の調査などが必要です。
電話やメールだけで概算を教えてもらえることもありますが、正確な費用や工期は現地調査なしでは確定できません。
急ぎの場合や小規模な工事であっても、必ず現地調査に来てもらいましょう。
②必要書類の提出
調査の結果アスベストが含まれていることが確定したら、アスベストレベルに応じて以下の書類の提出が必要です。
アスベストレベル1 | アスベストレベル2 | アスベストレベル3 | |
---|---|---|---|
特定粉じん排出等作業実施届 | 要 | 要 | 不要 |
工事計画届 | 要 | 不要 | 不要 |
建築物解体等作業届 | 要 | 要 | 不要 |
解体工事関連の届出 | 要 | 要 | 要 |
特定粉じん排出等作業実施届と解体工事関連の届出は発注者(施主)に提出が義務づけられています。
工事業者が代行してくれることがほとんどですが、念のため提出の必要性について業者に確認しておきましょう。
③近隣へのあいさつ
アスベスト含有の有無にかかわらず、解体工事は騒音や振動などにより近隣に多少の迷惑がかかります。
工事中の近所トラブルをなるべく避けるため、工期が近づいたら近所にあいさつに行きましょう。
特に両隣や向かいの家、裏の家は影響を受けやすいので、工事の理解を得ておくことが大切です。
業者が代行してくれることもありますが、今後も良好な関係を保つため、なるべく一緒にまわったほうがよいでしょう。
④解体準備作業
解体にあたって、主に以下の作業なども必要です。
● ライフラインの停止
● 配管や配線の撤去
● 建物内部の不用品撤去
● 足場の組み立て
● 養生
解体前にライフラインを停止する必要があります。
しかし水道は工事中の粉じんを抑えるために使用することがあるので、解体前に停止するべきか業者に確認するようにしましょう。
アスベストを含む建物の場合は、周囲にアスベストが飛散しないよう、通常の解体工事に比べて特に注意深く養生する必要があります。
⑤アスベストの除去
しっかりと養生したあとはアスベストの除去作業に移ります。
アスベストが飛び散らないように薬液や水を使いながら除去していきます。
作業員はアスベストの吸引を防ぐため、粉じんマスクや防護服の着用が必要です。
専門知識と経験が必要な作業なので、除去作業は解体工事業者とは別の業者が担当することもあります。
⑥建物の解体
アスベストが取り除いたあとに、本格的な解体工事のスタートです。
屋根や内装の解体からはじめ、その後に構造物や基礎部分を解体していきます。
廃材を分別しなければいけないので、内装は基本的に手作業です。
壁や柱などの構造物は重機を使って解体しますが、立地の関係で重機が使えない場合は手作業で進められます。
⑦廃材分別・整地
解体工事自体が完了したら、廃材の分別・撤去と整地を行います。
廃材は基本的にすべて業者が撤去しますが、念のためごみや不用品が残っていないか解体後にしっかり確認しておきましょう。
整地は解体後の土地の使い方に応じて、土を平らにして終わりのこともあれば、コンクリートやアスファルトで固めることもあります。
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アスベストについてよくある質問
最後に、アスベストについてよくある質問に回答します。
● アスベストは築何年の建物に使用されていることが多い?
● アスベストを吸うとどうなる?
● アスベストかどうかの見分け方は?
アスベストは築何年の建物に使用されていることが多い?
築16年以上の建物(2006年以前に建てられた建物)は、アスベストを含んでいる恐れがあります。
アスベストの使用が全面的に禁止となったのは2006年です。
1975年に「特定化学物質等障害予防規則の改正」が施行されていますが、アスベスト含有率が5%未満の場合は使用が許可されていました。
築年数の古い建物はアスベスト建材を使用している場合があるので、専門家に調べてもらいましょう。
アスベストを吸うとどうなる?
アスベストを吸うと一部は痰に混じって体外に排出されますが、肺内に蓄積される場合もあります。
アスベストは石綿肺や肺がん、悪性中皮腫の原因になることがありますが、具体的にどのくらいの量を吸引すると発症するのかは不明瞭です。
アスベストを吸い込んだ恐れがある場合は、労災病院など専門医療機関に相談しましょう。
アスベストかどうかの見分け方は?
アスベストは素材によって以下の特徴があります。
素材 | 外見上の特徴 | よく使用されている場所 |
---|---|---|
吹付けアスベスト | ● 表面が綿状でやわらかい ● 青色や灰色、白色、茶色 |
● 鉄骨の梁や柱、鉄板床、駐車場の天井など |
吹付けロックウール | ● 表面が綿状でやわらかい | ● 鉄骨の梁や柱、鉄板床、駐車場の天井など |
吹付けひる石 (バーミキュライト) |
● 表面は平坦でなく、少し力を入れて触ると弾力を感じることが多い ● 黄金色で、光沢のある雲母状の鉱物が確認できる場合がある |
● 天井 |
折板裏打ち石綿断熱材 | ● スポンジ状、ゴム状、ウール状、おこし状など | ● 倉庫、車庫、渡り廊下などの金属板屋根の裏 |
外見上の特徴や使用されている場所でアスベスト使用の有無を推測できますが、正確な判断は専門家にしかできません。
アスベストが使われているか不安な場合は、専門家に相談してみましょう。
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アスベストの解体工事はプロに相談しよう
アスベストを含む建物の解体工事は、アスベストレベルによって費用相場が異なります。
解体費用に除去費用が加算されるため高額になる場合がありますが、補助金を申請したり複数業者に見積もりを依頼したりすることで費用を抑えられる可能性があります。
アスベストは人体に有害なため、調査や工事は必ずプロにお願いしましょう。
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