ビルの解体方法5つ
ビルの解体とひとくちにいっても、さまざまな解体方法があります。
ビルが密集しているエリアや高層ビルなど、解体環境に応じた工法を選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な5つの解体方法をご紹介しますので、ビル解体への理解を深めていきましょう。
階上解体
階上解体とは、大型クレーンを使い屋上に重機を乗せ、ビルの上から下上に向かって解体する工法です。
もしかしたら、ビルの上に重機が乗っているのを見たことがある方もいるかもしれませんね。
地上に重機を設置するスペースが取れない場合や、高層ビルが密集したりしているエリアでは、階上解体が用いられます。
ただし、数十tもの重機を屋上に乗せて解体を行うため、床が抜け落ちたり壁が崩れ落ちたりする危険があります。
地上への安全確保が最重要となるため、慎重かつ正確性が求められるビルの解体方法です。
地上解体
地上解体とは「ハイリフト重機」という特殊な重機を使い、地上からビルの解体を行う工法です。
ハイリフト重機は、長い腕をもったショベルカーのようなイメージをするとよいでしょう。
アームは地上からビルの屋上まで届き、その先端にカメラを取り付けられるため、映像を見ながら作業できるという特徴があります。
また、重機は地上にあるため、階上解体のように床の強度を気にする必要がありません。
ただし、重機によってアームの伸びる最大値に限りがあり、ビルの高さによっては地上解体ができないケースもあります。
ブロック解体
ブロック解体とは、ビルの屋上に「タワークレーン」を設置して最上階から順番に解体する工法です。
ブロックごとに建材を切断してから、地上に吊り降ろしていく工程を繰り返し行います。
解体場所の敷地が狭く重機の設置が難しかったり、ビルが密集していたりする場合に適している方法です。
また、ビルの高さに関係なく解体ができるため、もっともスタンダードな解体工法として用いられています。
上部閉鎖式解体
上部閉鎖式解体とは、ビルの上部にクレーンを設置して移動できる閉鎖空間を作り、解体する工法です。
ビルの内部で解体作業を進め、最上階の解体が終わるとそのまま下の階に設備を移動させます。
その後再び、閉鎖空間を作って解体作業を繰り返す解体方法です。
ビルの内部で解体するため、騒音や粉じんを抑えて解体できるという特徴があります。
また、解体で出た廃材などもビルの内部で降ろすため、通行人に当たる危険性も少ない工法といえるでしょう。
だるま落とし式解体
だるま落とし式解体とは、その名の通り「だるま落とし」のように、下の階から解体する工法です。
「カットアンドダウン工法」とも呼ばれることもあります。
「ジャッキ」と呼ばれる装置で建物全体を支えながら、ワンフロアの解体が終わるたびにジャッキダウンをし、建物の高さを下げていく解体方法です。
地上付近で解体作業ができるため、粉じんの飛散や騒音を抑えられるという特徴があります。
また、屋根を最後に解体するので、解体した廃材などが雨にぬれずにすむことから、内装材のリサイクル率を高められる方法でもあります。
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日本のビルが爆破解体をしない理由3つ
爆破解体とは、ビルやスタジアムなどの大型建築物を爆薬を用いて、爆破させ解体する工法です。
しかし日本では、下記の3つの理由から爆破解体が向いていないとされています。
● 建物が密集している
● 建物の強度が高い
● 火薬類取締法で規制されている
なぜ、日本ではビルの爆破解体をしないのか詳しくみていきましょう。
建物が密集している
日本では建物が密集しているケースが多いため、原則として爆破解体を行いません。
爆破解体は爆薬を使用して一気に建物を解体できますが、爆破時にはホコリや瓦礫(がれき)が飛散します。
最悪の場合、人命に関わる危険性があるのです。
また、大きな爆破音は「騒音問題」に発展し、責任を問われる事態にもなりかねません。
ビルがぽつんと野原に立っているわけではなく、建物どうしが近いことから、日本では爆破解体を行わないのです。
建物の強度が高い
ビルに限らず日本の建物は強度が高く、爆破時に使用する火薬量の調整が難しいため、爆破解体には向かないとされています。
日本の建物の強度が高い理由の1つは、地震対策がしっかりとされているためです。
そのため、建物が老朽化していても爆破解体が難しいとされています。
仮に、爆破解体する場合には大量の火薬が必要となり、比例して爆破規模も大きくなってしまいます
建物の強度が高い分、爆破後のリスクも高いため、日本では爆破解体は向きません。
火薬類取締法で規制されている
日本には「火薬類取締法」という、火薬の取り扱いに対して厳しい法律があるため、爆破解体をするのが難しい現状のが現状です。
また、火薬を取り扱うには専門の資格が必要です。
そのため、資格を持つ人がいなければ、試験を受けるか、資格をもつ人材を雇用しなければなりません。
さらに、火薬の使用によって被害を出してしまうと、厳しい罰則を課せられます。
火薬類取締法で厳しい規制がなされていることから、解体方法の選択肢に爆破解体は選ばれないのです。
出典:「昭和二十五年法律第百四十九号 火薬類取締法」(e-Govポータル)を加工して作成
ビルの解体にかかる費用相場
【構造別】解体費用相場
まず、構造別にビルの解体費用をみていきましょう。
下記の表に構造による坪あたりの費用相場をまとめましたので、参考にしてみてください。
ビルの構造 | 坪単価 | ポイント |
---|---|---|
鉄骨造(S造) | 35,000円 | コンクリートなどの廃材があまり出ず、解体期間も短いため、比較的安価 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 45,000円 | 解体してみないと鉄筋の数がわからないため、S造よりも高価 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 60,000円 | S造・RC造よりも強度が高く、解体に時間がかかるため、解体費用はより高価 (※ビルの規模によって異なる) |
このように、ビル構造の強度があがるにつれ、解体にかかる負担が大きくなるとともに費用も高額になります。
ただし、立地条件や地域によって費用は異なるため、あくまでも費用相場の目安であることを理解しておきましょう。
【地域別】解体費用相場
続いて、地域別にビルの解体費用をみていきましょう。
下記の表に、地域別の坪あたりの費用相場をまとめましたので、参考にしてみてください。
地域 | ビルの構造 | 坪単価 |
---|---|---|
北海道・東北 | 鉄骨造(S造) | 37,800円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 45,000円 | 関東 | 鉄骨造(S造) | 38,600円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 45,000円 | 北陸・甲信越 | 鉄骨造(S造) | 34,000円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 38,000円 | 東海 | 鉄骨造(S造) | 36,300円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 38,800円 | 近畿 | 鉄骨造(S造) | 39,000円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 45,000円 | 中国・四国 | 鉄骨造(S造) | 36,000円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 42,200円 | 九州・沖縄 | 鉄骨造(S造) | 28,900円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 31,500円 |
このように、ビル解体では構造だけでなく地域によっても、解体費用が大きく異なります。
解体費用の内訳
ビル解体費用の詳しい内訳について解説します。
ビルの解体は、ビル本体の解体費用以外に、さまざまな費用がかかります。
決して、ビルの構造や該当する地域によってのみで解体費用が決まるわけではありません。
たとえば、ビル解体でもっとも大きく占める「人件費」や解体作業に欠かせない「重機の運搬費」、近隣に被害を出さないための「養生費」など、さまざまな費用があります。
さらに、空気中に浮遊しやすく人体に影響を及ぼす「アスベスト」の調査、あるいは処理をするための費用も対象です。
このように、ビル解体にはさまざまな面で費用がかかるため、事前に内訳について把握しておくことが大切です。
詳しい内訳は下記の通りです。
人件費
ビル解体は、人がいなければ解体作業を行えないため、人件費がかかります。
計算方法は「日数×人工(にんく)」となっており、有資格者が多いほど人件費は高くなります。
また、現場監督者として管理費も加算されるでしょう。
人件費が妥当であるのかどうかを把握するためには、有資格者の配置や日数について確認しておくことが大切です。
養生費用
養生は、ビル解体で発生し得るトラブルを回避するために欠かせません。
ビル解体における「養生」とは、対象の建物にかけられるカバーやシートなどの仮設資材のことです。
取り壊しによる粉じんの飛散を防止する目的や、遮音性の高い防音シートを用いて、近隣への騒音を防止するために使われます。
下記の表に、養生の種類ごとに費用相場をまとめましたので、参考にしてください。
養生の種類 | 1㎡あたりの費用相場 |
---|---|
足場養生シート | 1,500~2,000円 |
仮囲い養生 | 2,000~2,500円 |
防音シート養生 | 2,000~5,000円 |
水まき養生 | 300~400円 |
重機運搬費
重機運搬費は、ビル解体で使用する重機自体の使用料とは別にかかる費用です。
重機は公道を走行できないため、回送車で運ばなければなりません。
保管庫にある重機を解体現場まで移動する際にかかる、ガソリン代などの燃料代が該当します。
相場としては3〜5万円程度とされていますが、走行距離に比例するため、依頼先から現場までの距離によって費用は異なります。
アスベスト・ダイオキシン対策費用
ビル解体時には、「アスベスト対策費用」と「ダイオキシン対策費用」が含まれます。
「アスベスト」には、発がん性物質が含まれているため、現在では使用が禁止されています。
しかし、2006年9月1日より以前は建設の際に使用されていたので、ビル解体時には調査が必要です。
調査をしてアスベストの使用が認められた場合には除去作業をしなければなりません。
アスベストは、使用されている面積に応じて費用が算出されます。
また、解体するビルに煙突・焼却炉などがある場合には、「ダイオキシン」に汚染されていることが考えられるため、「特別管理廃棄物」として処分することが必要です。
ダイオキシンは、必要に応じて処理費用が算出されます。
廃棄物処理法により「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」と定められた廃棄物です。
一定の処理基準を設け、通常の廃棄物よりも厳しい規制を行っています。
出典:「特別管理廃棄物規制の概要」(環境省)を加工して作成
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ビルの解体にかかる施工期間目安
ビル解体にかかる施工期間は、ビルの構造によって異なります。
ビルの構造別にかかる期間を下記の表にまとめましたので、参考にしてください。
なお、解体条件によって施工期間は異なるため、あくまでも目安であることを覚えておきましょう。
ビルの構造 | 延べ床面積 | 解体にかかる施工期間 |
---|---|---|
鉄骨造(S造) | 50坪 | 10~15日 |
100坪 | 20~30日 | |
300坪 | 40~50日 | |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 50坪 | 15~20日 |
100坪 | 30~40日 | |
300坪 | 50~60日 | |
500坪 | 70~80日 | |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 50坪 | 30~50日 |
100坪 | 60~80日 | |
500坪 | 90~120日 |
このように、ビルの構造と延べ床面積によって解体期間は大きく異なります。
また、ビルの規模やアスベストの有無は、解体期間に大きく影響するでしょう。
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ビルの解体はいつ頃がおすすめ?
基本的にはビル解体はいつでも行えますが、時期によっては費用が割高になるため、少しでも費用を抑えたいと考えている方は、発注するタイミングが重要です。
建設業界では、11月下旬から12月にかけて繁忙期となり、3月末までピークが続きます。
また、6月から7月の梅雨の時期や台風が発生しやすい8月から9月、積雪のある12月から2月は、天候による遅延が発生しやすいです。
つまり、年末年始や天候の影響を受けやすい時期にビル解体を依頼すると、費用が割高になります。
特別な理由が無いのであれば、これらの時期を避けるのが無難でしょう。
ビルの解体のおおまかな手順
ビル解体の大まかな手順を下記にまとめましたので、参考にしてみてください。
1. 業者による解体現場の調査 |
2. 見積書を確認 |
3. 見積もりを比較検討して解体業者を選定 |
4. 解体業者との契約 |
5. 現場の再確認と近隣への挨拶回り |
6. 各種書類の届出を提出 |
7. ガス・電気などの撤去依頼 |
8. 足場組立・養生 |
9. 解体工事の着手 |
10. 建物の解体 |
11. 基礎コンクリートの解体 |
12. 整地工事 |
13. 解体工事完了・現場確認 |
14. 解体費用の支払い |
ビルの規模によって異なりますが、このような手順でビル解体は進められます。
なお、ビルは調査範囲が広いことからも、現地調査には1〜2日程度かかり、解体工事も1ヶ月以上かかることがあります。
そのため、解体工事の期間は、余裕を持って計画するようにしましょう。
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解体業者を選ぶポイント3つ
ビル解体は、高額になりやすく安全性も求められるため、解体業者を慎重に選ぶことが大切です。
下記3つの、解体業者を選ぶポイントをご紹介します。
● 解体に必要な許可を持っているか確認する
● 相見積もりを取る
● 下請け業者に依頼して中間マージンを削減する
それぞれみていきましょう。
解体に必要な許可を持っているか確認する
解体業者を選ぶポイントの1つ目は、解体に必要な許可を持っているかどうかの確認です。
解体に必要な許可とは、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(通称「建設リサイクル法」)に基づく許可のことを指します。
延べ床面積80㎡以上の建築物の解体工事を行うときには、届出業者しか解体工事を行えません。
そのため、業者を選ぶときには届出業者なのかどうかを確認してください。
届出業者であることは、解体業者を選定する際の安心材料になるでしょう。
相見積もりを取る
解体業者を選ぶポイントの2つ目は、複数の解体業者から相見積もりを取ることです。
1社のみの見積もりでは、提示された料金が適正なのかどうか判断できません。
相見積もりを取ると、費用相場を把握できるため、適正な料金がわかります。
また他社との比較ができるので、解体業者に価格交渉をしやすくなります。
すなわち、相見積もりを取ると、解体費用を大きく抑えられる可能性があるのです。
リショップナビの一括見積もりなら、時間と手間を省けるためおすすめです。
下請け業者に依頼して中間マージンを削減する
解体業者を選ぶポイントの3つ目は、下請け業者に直接依頼して中間マージンを削減することです。
中間マージンとは、紹介料および仲介料のことです。
仲介業者が多く関わるほど中間マージンは多くなり、下請け会社が少ないほど中間マージンは少なくすみます。
仮に、大手建設会社に依頼しても、解体工事を行うのは下請け業者という場合がほとんどです。
ビル解体を安く済ませたい方は、できるだけ下請け会社を介さない解体業者へ依頼しましょう。
ビルを解体するには信頼できる業者選びが大切
本記事では、ビル解体の5つの方法や費用について詳しく解説しました。
日本では爆破解体は行われませんが、どの解体方法を選ぶにしても、安全かつ正確性が問われるため、信頼できる業者選びが大切です。
周囲への配慮ができなければ、クレームや重大な事故に繋がりかねません。
まずは「建設リサイクル法」の届出業者なのかどうかを確認しましょう。
また、ビル解体費用の見積もりを複数の業者から取ることで、適正な料金かどうかを把握できます。
結果として、怪しい業者に依頼してしまうのを防止できるのです。
ぜひ『リショップナビ』で、複数の会社へ見積もりを取って、ビル解体業者を比較してみてください。
安全かつ確実にビル解体を進めていきましょう。
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