退去時の解体工事は主に3種類
テナントとして入居していた場合、解体工事は以下の3つに分けられます。
● スケルトン解体工事
● 原状回復工事
● 内装解体工事
上記のうちどの工事をして立ち退く必要があるのか、賃貸借契約書を確認しましょう。
※賃貸借契約書の例(法務局)
スケルトン解体工事
スケルトン解体とは、建物を支える主要部分の柱・梁・床だけを残して、他は全て解体する工事のことです。
つまりコンクリート打ちっぱなしの状態にすることを指します。
柱や梁が老朽化しているのであれば、スケルトン解体をすることで修繕工事も一緒にできます。
また「立ち退き時はスケルトン解体する」と取り決められている場合は、入居後に自分の好きな内装にできるといったメリットがあるでしょう。
ただし立ち退き時は、構造に関わる部分以外は全て解体する必要があることから、解体範囲が広く費用が高くなりやすいといえます。
原状回復工事
原状回復とは、契約した時点の状態に戻すことです。
契約時に厨房機器が付いていたら厨房機器は残し、スケルトン状態で入居したらスケルトン解体して返却します。
契約後に設置したものは基本的に全て撤去しなければなりません。
内装解体工事
内装解体とは、壁や天井など建物の構造物を除いた内装のみを解体する工事のことを指します。
スケルトン工事が床や天井、内部の造作だけでなく壁下地までを全て解体することに対し、内装解体工事の場合は壁の下地や天井下地は残します。
内装解体工事はスケルトン工事よりも解体範囲が狭いため、費用を安く抑えられます。
ただし次の入居者によって残す部分や撤去する範囲が変わるので、管理会社や所有者とよく相談して決めましょう。
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解体工事の種類ごとの費用相場
上記で説明した3種類の解体工事における費用相場をそれぞれ解説します。
解体工事にどのくらいかかるのか事前に把握し、費用の計画を立てましょう。
スケルトン解体工事
スケルトン解体工事の費用は、1坪あたり約3~5万円が相場です。
撤去する設備や造作物が多ければ多いほど、費用は高くなってしまいます。
厨房機器や什器を使用する飲食店や備品が多い美容室などは、費用が高くなる傾向があります。
原状回復工事
原状回復工事の費用は、小規模な飲食店で1坪あたり約1.5~2.5万円が相場です。
費用は面積だけでなく、業種の違いや同じ業種でも内装の状態や撤去する数量によって大きく変わります。
複数の解体業者に相見積もりを取り、納得してから契約するようにしましょう。
内装解体工事
内装解体工事の費用は、1坪あたり約1.5~4万円が相場です。
ただし以下のように業種によって、撤去物の種類や数で費用が大きく異なります。
● 飲食店:排気ダクト・厨房機器
● 美容室やエステサロン:シャンプー台・洗面台・個室
撤去するものが多い分、追加費がかかって割高になりやすくなります。
建物の構造ごとの費用相場
店舗の建物自体を解体する場合、建物の構造によって解体費用は異なります。
さらに同じ構造でも、建物の状況や状態によっては費用が大きく変わります。
ここでは「木造」「軽量鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の建物自体の解体費用相場をご紹介します。
あくまでも目安として参考にしてください。
木造
木造の解体費用は、1坪あたり約3〜5万円が相場です。
木造の建物は、和をイメージしたオシャレな店舗や老舗店の場合に多く見受けられます。
以前は、木造の解体費用は安く済みました。
しかし近年、廃棄物処理法や建設リサイクル法の整備や廃棄物処理コストの高騰にともない、解体費用は上昇しています。
軽量鉄骨
軽量鉄骨の解体費用は、1坪あたり約4~6万円が相場です。
軽量鉄骨とは一般的な店舗や工場に用いられる、厚さ6mm未満の鋼材の建物をいいます。
鉄骨造は木造よりも頑丈で解体に手間がかかるうえ、処分する時にも鉄骨を選別しなければならないため木造よりもコストがかかります。
鉄筋コンクリート
鉄筋コンクリート造の解体費用は、1坪あたり約6~8万円が相場です。
鉄筋コンクリート造とは、コンクリートの中に鉄筋を入れた素材で建てられた建物を指します。
鉄筋コンクリートは木造や鉄骨造よりも頑丈なため、解体時の振動や騒音が大きく、工期が長くなりがちです。
木造や鉄骨造に比べ大がかりな解体作業になることが多いため、費用も高くなります。
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店舗の種別ごとの費用相場
ここでは業種ごと(飲食店・美容室・事務所・パチンコ店)の解体費用の相場についてご紹介します。
大まかな目安として参考にしてください。
業種 | 坪単価の相場 |
---|---|
飲食店 | 1.4~5万円(スケルトン解体の場合) |
美容室 | 7千~3万円(内装解体の場合) |
事務所 | 1.2~3.6万円(内装解体の場合) |
飲食店
飲食店のスケルトン解体費用の相場は、1坪あたり1.4~5万円です。
ショーケースや冷蔵庫などの什器数によって解体費用は変わり、必ずしも延べ面積に比例しません。
同じ飲食店でも居酒屋を解体する場合、個室や間仕切り、無煙ロースター、排気ダクトなどの解体・撤去費が高くなる傾向です。
美容室
美容室は、1坪あたり7千~3万円が内装解体工事の相場となります。
シャンプー台やスタイリングチェアなどの設備の撤去費用がかかることが、大きな特徴です。
美容室で使用していた機器の処分を買取り業者に依頼すれば、廃棄費用の節約ができます。
事務所
事務所の内装解体工事では、規模によって坪単価に違いが出ます。
小~中規模の事務所では1坪あたり1.2~3.6万円程度ですが、100坪以上の大規模な事務所では坪単価が上がる傾向にあります。
造作物や什器の少ない事務所はシンプルな造りになっているため、解体費用を安く抑えられるでしょう。
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解体工事の流れ
ここでは、解体工事の大まかな流れを解説します。
工事を着手する時の注意事項を含め、以下の手順を把握しておきましょう。
No. | 解体手順 | 内容 |
---|---|---|
1 | 建物の管理者と入念な打ち合わせ | 解体工事をする前に、賃貸先の管理者とのトラブルを避けるために、どの程度解体するのか、内装はどうするのかなど綿密な打ち合わせをします。 |
2 | 解体業者の選定 | 解体業者を選びます。 最低3社以上に相見積もりを取り、比較・検討をしましょう。 |
3 | 解体工事の準備 | 解体業者が決まったら建物や近隣の状況を確認するため、現地調査を行います。 工事の段取りが決まったら、ライフラインを停止します。 また費用を安く抑えるために、残置物の撤去・処分もしておきましょう。 |
4 | 解体工事 | 養生したあと、壁紙・電気・ガラス・ドアなどの撤去作業から始め、床材の撤去作業へと進みます。 今後も使用するものは保護シートで覆います。 |
5 | 廃棄物の処理 | 工事に伴って発生した産業廃棄物が、適切な処理をされていることを確認してください。 敷地内に隠ぺいまたは不法投棄している場合、依頼主にも罰則が下されるので注意が必要です。 |
解体費用を安くする4つのコツ
店舗の解体費用を安く抑えるコツを4つご紹介します。
解体にかかる費用を削減するために、自分で出来る作業は事前に済ませておくといいでしょう。
余裕の持たせた日程を組む
先述したとおり、店舗を解体するには解体業者探しや現地調査、手続きなどが必要です。
一般的には解体工事前後の工程に1~2ヶ月ほどかかります。
以下に、工事前後で必要な期間の目安をご紹介します。
● 解体業者の選定:約1ヶ月
● 残置物の撤去・処分:約1~2週間
● 着工前の手続きや近隣挨拶:約1週間
● 工事完了後の手続き:約1週間
基本的に工期は施工面積に比例して長くなるため、広い物件ほど余裕のある日程を組みましょう。
処分可能な不用品は自身で処分する
残置物・不用品をあらかじめ自分で処分すれば、解体工事での処分費用を節約できます。
不用品の処分方法は市区町村によって異なるため、各自治体のホームページを参考にしてください。
まだ使用できる不用品はフリマアプリで売却するほか、リサイクルショップや買取業者に買取りしてもらうのもおすすめです。
ただし、フリマアプリは売れるまでに日数がかかったり売れなかったりする場合も考えられるので、スケジュールに余裕をもって出品しましょう。
複数の業者に見積もりを依頼する
解体業者を選ぶ時は、少なくとも3社に相見積もりを取りましょう。
相見積もりには以下のようなメリットがあります。
● 解体費用を比較できる
● 施工方法や工期が把握できる
● 信頼性や安心感がわかる
相見積もりを取って、費用面はもちろん工事内容や業者の対応を比較し、信頼できる業者を選びましょう。
補助金制度を利用する
店舗を解体する際に、補助金制度を適用できる場合があります。
補助金制度は地方自治体が行っており、金額や条件は自治体によって異なります。
以下、補助金制度の一例を簡潔にご紹介します。
補助金の種類 | 補助金額 | 条件 |
---|---|---|
老朽危険家屋等解体撤去補助金 (例:福岡県田川市) |
対象経費の1/3(上限20万円) | 老朽化して倒壊のおそれがある建物に適用 ※住居部分の面積が延べ床面積の1/2以上であること ※その他、多数条件あり |
木造住宅解体工事費補助金 (例:愛知県豊橋市) |
対象経費の23%(上限30万円) | 耐震診断の基準を満たさない建物に適用 ※店舗等の用途に使用している部分の床面積が、延べ面積の1/2未満であること ※その他、多数条件あり |
補助金制度の情報は、居住する自治体ではなく、建物の所在する自治体のホームページを確認するよう注意しましょう。
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店舗を解体する前に注意すべきこと
店舗を解体する時には、注意すべきことがいくつかあります。
管理者や解体業者とトラブルにならないようにしっかりチェックしましょう。
賃貸の場合は契約期間を確認する
店舗を解体する場合、賃貸契約期日までに解体工事を終わらせ、管理者に引き渡すのが一般的です。
期日内に解体工事が終わらない場合は、延滞損害金が発生したり賃料の追加分を請求されたりするケースもあります。
解体業者を選定してから工事に着手するまで、およそ1ヵ月かかります。
繁忙期となる12月~3月は、さらに工事期間が長くなるでしょう。
店舗の退去を決めたら、期日までに引き渡せるように余裕の持たせたスケジュールを組むことが重要です。
事前に不用品を処分する
店舗やオフィスの閉店時に伴う不用品は、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分かれます。
解体業者が不用品の処分をする場合、全て産業廃棄物扱いになります。
産業廃棄物の処分費用は一般廃棄物よりも高いため、費用削減のためには自身で廃棄物を処分しておきましょう。
市区町村で処理方法が定められている一般廃棄物は、事業ゴミシールを購入すれば各自治体に持ち込めます。
産業廃棄物は許可を受けた産業廃棄物処理業者に依頼する必要があります。
産業廃棄物の運搬・処理を外部委託せずに、自社で行っている解体業者を選ぶと費用が抑えられるのでおすすめです。
まだ使用できる不用品は、買取り業者やリサイクルショップで売却して処分費を削減しましょう。
安すぎる業者との契約には注意する
安すぎる解体業者に依頼した場合、以下のようなリスクが考えられます。
● 不法投棄
● 追加費用請求
● 工事放棄
● 必要のない工事による事故
上記で説明したとおり、産業廃棄物は許可された業者へ依頼することが定められています。
安すぎる解体業者のなかには、外部への委託費用を削減するために廃棄物の不法投棄をする業者もいます。
見積り金額以外の追加費を請求したり、見積り金額以内で工事が完了できずに途中で放棄するところもあります。
また安い見積りを出した結果、人員を削減して無理な工事をしたり、必要な工程を省いたりすることで思わぬ事故を起こすリスクもあります。
安すぎる業者は工事保険に加入していない場合もあるので十分注意しましょう。
店舗の解体は3社以上の見積りを比べよう
店舗の解体費用は、工事の種類や建物の構造、延べ面積、内装設備の数によって大きく異なりますが、おおむね1坪1.5~4万円です。
解体費用を安くするためには以下のポイントを抑えておきましょう。
● 余裕を持たせた日程を組む
● 処分可能な不用品は自身で処分する
● 複数の業者に見積もりを依頼する
● 補助金制度を利用する
店舗を解体する際は、トラブルを防ぐためにも以下の注意点を把握しておく必要があります。
● 賃貸の場合は契約期間を確認する
● 事前に不用品を処分する
● 安すぎる業者との契約には注意する
店舗の解体を決めたらオーナーとの契約内容を確認し、期日内に解体作業を終わらせて引き渡します。
スムーズに工事を進めるためには、価格やサービスともに質の高い解体業者に依頼しましょう。
少なくとも3社以上に相見積もりを取れば、自分に合った最適なプランを選びやすくなります。
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