軒天(のきてん)とは?
軒天(のきてん)とは、屋根の裏側部分のことです。
建物の天井を覆うように設置されている屋根の一部分は外壁から外側に突き出しており、突き出た部分を軒(のき)と呼びます。
軒には軒の先端部分を指す軒先(のきさき)や、軒の下にある空間を指す軒下(のきした)など、部分ごとに異なる呼び方があります。
屋根の裏側が軒天で、外で住宅を見上げた際に見える軒の裏側を指します。
軒裏(のきうら)と呼ばれることもあり、意味は軒天と同じです。
バルコニーやベランダの裏側にあたる部分も、同じく軒天と呼ばれます。
軒と似たものに庇(ひさし)がありますが、両者は異なります。
庇とは、窓や玄関などの開口部の上にある突き出し部分のことで、屋根とのつながりはありません。
近年は建築費の削減やスタイリッシュな外観などのため、軒を設けない住宅もあります。
ただし、軒がないと外壁が劣化しやすく、雨水の屋内への侵入で雨漏りのリスクがあるといったデメリットに注意が必要です。
軒天の役割
軒天には、住宅のデザイン性を高めたり、外壁の劣化を防止したりするなど、さまざまな役割があります。
ここでは、軒天の役割を解説します。
住宅のデザイン性を高める
軒天には、屋根の構造部分を隠し、見た目をスッキリとさせる役割があります。
軒天の形状や素材は住宅のデザインに大きな影響を与えるものであり、全体の印象を左右するほどです。
和風住宅では、軒天を施工したあとに化粧垂木(けしょうたるき)という建物の外見を美しく見せる木材を取り付け、デザイン性を高めているケースも見られます。
外壁の劣化を防止する
外壁の劣化を防止するのも軒天の役割です。
雨水や太陽の日差しが直接外壁に当たると、汚れや色あせにより経年劣化が早まります。
軒天があれば雨水や太陽光から外壁を守り、耐久性を高めることができるため、メンテナンスの負担も軽減できます。
また、軒天は窓ガラスや外壁に直射日光が当たるのを防ぐため、夏場に室温が上昇するのを防ぐ役割もあります。
屋根裏を換気する
軒天は、一部に換気口を設けることで換気の役割も果たします。
屋根裏に溜まる湿気を排出させることで、内部の結露を防ぎます。
軒天の換気は、外壁工事で断熱材を設置する際にセットで行うのが一般的とされており、断熱材を入れる際は、湿気が抜けるように断熱材と外壁材の間に通気層を設けなければなりません。
軒が出されていれば外壁材の下から空気を取り込み、軒天から排出できます。
屋根裏の通気を良くして湿気や熱を放出することで、室内を快適に保てるとともに、屋根や断熱材の劣化防止が可能です。
延焼を防止する
軒天には、延焼防止の役割もあります。
隣家や自宅で火災が起きた際、屋根に延焼するとたちまち家屋全体に火の手が回りますが、軒天を不燃材でふさぐことで屋根への炎の延焼を防ぎ、被害拡大を防ぐことができます。
軒天が延焼防止の役割を発揮するために、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)などの不燃材を使用します。
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軒天の素材
軒天には、主に次のような素材が使われます。
● 金属系
● 木材系
● 不燃材
それぞれの特徴をみていきましょう。
金属系
金属系の素材は、ガルバリウム鋼板・アルミスパンなどがあげられます。
軽量で耐火性・耐久性があり、サビにくいために塗装の回数が少なめで済むというメリットがあります。
ただし、施工単価が高いため、一般住宅ではあまり使用されません。
劣化が進むとサビが発生して耐久性や美観が損なわれるため、15~20年程度でサビ止め塗装と仕上げ塗装のメンテナンスが必要です。
木材系
木材系には、カラーベニヤや化粧合板などがあります。
木材のチップを固め、家具などで多く採用されている素材です。
新築で使われることはあまりありませんが、安価なため、主に軒天の補修を行うときに使用されます。
耐久性が低めで、経年劣化により接着力が弱まり表層が剥がれることもあるので、防水性や美観性を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。
不燃材
不燃材は、ケイカル板・エクセルボード・フレキシブルボードなどがあります。
性能とコストのバランスが良く、新築・補修ともに使用されることの多い素材です。
ケイカル板は不燃性とともに、耐久性にも優れています。
フレキシブルボードは耐久性が高いものの、重量がケイカル板の2倍近くあり、軒天に使用されることはあまりありません。
軒天のメンテナンス方法
軒天のメンテナンスは、状態に応じて次のようなメンテナンスを行います。
● 塗装
● 増張り補修
● 張り替え工事
それぞれ、詳しくみていきましょう。
塗装
軒天は雨水や太陽光に晒されにくいため劣化が進みにくく、基本的に塗装によるメンテナンスを行います。
塗装のメンテナンスは、外壁や屋根の塗装を行うときと同時に行うとよいでしょう。
外壁や屋根は一般的に10〜15年程度で塗り替えが必要であり、軒天の耐用年数は10年程度のため、塗装のタイミングとしてはほぼ同じです。
同時に行うことで、足場を設置するコストも抑えられます。
屋根や外壁の塗装では高圧洗浄で汚れを落としますが、軒天は材質によっては水に弱い場合もあり、ケレンやペーパーを使って手作業で下地を処理します。
軒天材を釘や金具で固定している場合、塗装後に金具が腐食してしまいサビが軒天表面に付着してすることもあるため、サビ止めの施工が必要です。
塗装は基本的に「下塗り」「中塗り」「上塗り」という3つの工程で行われ、それぞれしっかり乾燥させてから重ね塗りをすることで強い塗膜を作り、軒天の耐久性を高めます。
軒天は色で住宅全体の印象が変わるため、外壁の色との組み合わせもよく考えて決めるとよいでしょう。
増張り補修
軒天の表層が剥がれているだけの場合は、既存の軒天の上から新たな軒天材を張り付ける増張り補修を行います。
既存の軒天材を剥がしたり処分したりする工程がないため、工期が短くて済み、メンテナンス費用も抑えられます。
貼り付ける軒天材は不燃材のケイカル板を使うことで、軒天の耐火性・耐久性を高められるでしょう。
ただし、ケイカル板は吸水性が高いため、軒天に使用する場合は塗装を行います。
増張り補修は部分的に行うと段差ができるため、基本的に軒天全体を補修する際の施工方法です。
張り替え工事
軒天が著しく傷んでいたり、雨漏りを起こしていたりする場合は、張り替え工事を行いましょう。
特に雨漏りを起こしている場合、軒天の下まで腐食やカビが広がっていることが想定されるため、軒天や下地を撤去して新たに下地材から張り替える必要があります。
なお、張り替え工事の場合は増張り補修と異なり、傷んだ部分だけの補修も可能です。
ご紹介した3つのメンテナンス方法は、軒天の状態に応じて適切な方法を選びますが、基本的にハシゴや脚立を使って間近で確認しないと状態を確認できません。
一見すると剥がれが見当たらない場合でも、塗装で対応できるとは限らず、よく見ると細かいひび割れが発生していて補修が必要になる場合もあります。
どの施工が適切かは自己判断せず、業者に相談することをおすすめします。
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軒天は正しくメンテナンスしよう
軒天は住宅のデザイン性を高め、雨水や太陽光から外壁を守るなどの役割があります。
素材には金属系や木材などさまざまな種類がありますが、耐火性・耐久性の高い不燃材が適しています。
軒天のメンテナンスは、外壁や屋根の塗装工事に合わせて行うと効率的です。
メンテナンス方法は状態によって異なり、どの方法が適しているか業者に相談して決めるとよいでしょう。
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