擁壁の補修・やり直しの工事費用や耐用年数は?補助金や確認申請の注意点・施工事例もご紹介!

更新日:2024年12月10日

擁壁 耐用年数のサムネイル画像

「擁壁(ようへき)」は、高低差のある土地を支える、重要な役割を果たしています。既存の擁壁に劣化症状が見られる場合は、補修やメンテナンス、作り直し(やり直し・やり替え)といったリフォームを実施しておかないと、思わぬトラブルに繋がるかもしれません。
今回は擁壁の耐用年数、補強する際の工事費用、工作物確認申請など、工事に関するさまざまな情報をお伝えします。
施工事例も掲載しているので、参考にしてみてくださいね。

擁壁とは?耐用年数は何年くらい?

擁壁の役割

擁壁とは「土地に高低差を作る際、崖となる部分の土の側面が崩壊するのを防ぐために設ける、壁状の建造物」のことを指します。

丘の上や高台に位置する住宅地では、安息角(=土や砂が滑り出さない限界の角度)を超える高低差が生じる場合があります。

このとき、土砂や建物の圧力や地面にしみ込んだ雨水の水圧で、土地が不安定になり、崩落する危険性があるのです。

こうした高低差のある土地や住宅の崩落を防ぐため、鉄筋コンクリートやコンクリートブロックなどで補強するのが擁壁工事です。

このように擁壁は、丘の上や高台に位置する住宅地において、非常に重要な役割を担っています。

擁壁の種類

擁壁にはさまざまな種類があり、現在の建築基準法に適合しているものには、コンクリート擁壁(RC擁壁)や間知ブロック擁壁があります。

それぞれの特徴については、次の表の通りです。

コンクリート擁壁
「コンクリート擁壁」は、現在最も主流となっている擁壁です。

コンクリートには、鉄筋を埋め込んで作る鉄筋コンクリート造(RC擁壁)と、鉄筋を通さない無筋コンクリート造の2種類があります。

擁壁工事には強度が高く、耐震性に優れた鉄筋コンクリート造(RC造)が多く採用されています。
間知(けんち)ブロック擁壁
「ブロック擁壁」とは、文字通りブロックを積み上げて作る擁壁のことです。

擁壁工事には、コンクリート製の「間知ブロック」がよく採用されています。

水平や斜めなど、ブロックの積み方が豊富なことから、土地の風合いにマッチする、デザイン性に優れた擁壁に仕上げることが可能です。
コンクリート擁壁
「コンクリート擁壁」は、現在最も主流となっている擁壁です。

コンクリートには、鉄筋を埋め込んで作る鉄筋コンクリート造(RC擁壁)と、鉄筋を通さない無筋コンクリート造の2種類があります。

擁壁工事には強度が高く、耐震性に優れた鉄筋コンクリート造(RC造)が多く採用されています。
間知(けんち)ブロック擁壁
「ブロック擁壁」とは、文字通りブロックを積み上げて作る擁壁のことです。

擁壁工事には、コンクリート製の「間知ブロック」がよく採用されています。

水平や斜めなど、ブロックの積み方が豊富なことから、土地の風合いにマッチする、デザイン性に優れた擁壁に仕上げることが可能です。

擁壁の耐用年数

擁壁の耐用年数

一般的なコンクリート擁壁の場合、おおよその耐用年数は30〜50年といわれています。

年数に大きな幅があるのは、擁壁の厚みや土圧、環境の違いなどによるものです。
また、排水がきちんと行われているかどうかも、耐用年数に大きく影響します。

ちなみに築20年が経過すると、劣化による危険度が大きく上昇していきます。
パッと見で分からなくても、築年数が経っている場合は調査してもらうと安心です。

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擁壁工事(やり直し/作り直し・補修)の費用はいくら?

続いては、擁壁工事の費用相場について確認しましょう。

やり直し(作り直し)の工事の費用相場

工事の費用は複数の条件によって決まるため、一概には断定できません。

ただ、新たに設置する場合3〜13万円/㎡程度が目安となります。
その費用に、擁壁の解体や土の運搬などにかかる費用が別途加算される場合があります。

(ひび割れなど)補修工事の費用相場

補修工事の場合も、条件の違いによって費用が変わるため断定はできませんが1〜2万円/㎡ほどが目安です。

ひび割れの隙間補修など、既存の擁壁を利用できる場合は、やり直しや新設の工事よりも低額になる傾向にあります。

擁壁の工事費用は、どのような場合に高くなる?

工事金額は、擁壁の種類・土地の面積・設置環境などによって決まります。

また「土砂の流入の可能性が高い場所では、擁壁を高くする」「地盤が弱い場所では、盛り土をする」といった工事も必要になると、その分費用はかさみます。

ただし、希望の工事が実現可能か、実際の施工費用がいくらかを知るには、現地調査が必要となります。
まずはリフォーム業者に見積もりを依頼して、適正価格を知ることから始めましょう。

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擁壁工事に補助金・助成金は使える?

自治体によっては、擁壁工事に補助金(助成金)が使用できるケースもあります。
対象となる工事内容、補助金額なども地域によってさまざまですが、参考までに「神奈川県横浜市」や「東京都港区」の制度の例を見てみましょう。

「横浜市崖地【防災】対策工事助成金制度」(神奈川県横浜市)
<申請受付期間および交付申請期限>

・申請受付開始=2024年04月08日から
・交付申請期限=2024年12月27日まで
<概要・要件>

■建築基準法または宅地造成等規制法が定める基準に適合した、擁壁の工事、もしくは切り土・盛り土の工事など

(※その他、市が定めた細かい要件あり)
<主な補助対象>

■自然崖や擁壁などの人工崖
■地盤面からの高さが2mを超える崖地、または道路などに面した1mを超える崖地
■傾斜角度が30°以上の崖地
■居住の用に供する建物や、道路などに被害が及ぶおそれがある崖地

(※いずれも市内の崖地などが対象。その他、市が定めた細かい要件あり)
<補助金額>

■市で定めた単価により算出された金額
■対象となる工事費の3分の1
■限度額(400万円)

上記のうち、いずれか少ない額

※市で定めた単価=毎年度、改定。令和6年度の場合は、
①擁壁築造工事および待ち受け擁壁工事 1㎡あたり99,000円
②切り土・盛り土工事:垂直投影面積 1㎡あたり26,000円
③法枠工事:垂直投影面積 1㎡あたり78,000円
「がけ・擁壁改修工事等支援事業」(東京都港区)
<申請受付期間および工事期間>

・申請受付=港区の担当窓口にて事前相談の上、申請
(※予算額に達し次第、締め切り)
<概要・要件>

■区内の個人・管理組合・中小企業などが所有する、敷地内崖地もしくは擁壁における、擁壁の新設工事および築造替え工事
<主な補助対象>

■改修工事後、擁壁の高さが2mを超えること

(※その他、区が定めた細かい要件あり)
<補助金額>

助成対象工事に要する費用の、3分の2以内
※上限額=土砂災害(特別)警戒区域外の場合:1,200万円/土砂災害(特別)警戒区域内の場合:5,000万円

ちなみに、東京都港区の場合、委任状があれば施工業者に申請してもらうことも可能です。

申請などの手続きをサポートしてくれるリフォーム業者もありますので、助成金の利用を考えている場合は、まず相談してみるとよいでしょう。

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擁壁の工事・メンテナンスを検討すべき劣化症状

排水の不具合、ひび割れ ふくれ・変形、白色生成物についてまとめた画像

劣化した擁壁にありがちな症状や危険性について、具体的に確認しておきましょう。

排水の不具合

以下の条件に当てはまる場合、排水に問題がある場合があります。

● 水抜き穴が設置されていない
(3㎡以内に1か所以上、内径75mm以上の水抜き穴が必要)
● 水抜き穴の中に、土や草が詰まっている
● 擁壁の表面が湿っている。また、水が染み出している
● 水抜き穴や擁壁表面に、コケが生えている

排水に問題があると、擁壁に水圧がかかり、大雨の際などに変形や崩壊の危険があります。

ひび割れ・ふくれ・変形

「擁壁にひび割れがある」「ふくれているように見える」「変形している」といった箇所が見られる場合は、強度が低くなっている可能性が非常に高いです。
地震や大雨などで崩壊する危険があるため、専門のリフォーム業者に点検してもらいましょう。

白色生成物

ひび割れや積石の隙間などに、白い物質が現れている場合も、注意が必要です。
擁壁の背面にひび割れが発生している場合があるため、専門のリフォーム業者に調べてもらうのがおすすめです。

劣化した擁壁で起きやすいトラブルとは?

擁壁の劣化が進むと、大きな災害などが起こった際に崩壊するおそれがあり、人命に関わります。

また、劣化を知っていたにもかかわらず放置していた場合は、土地所有者の責任が問われることもあります。

このようなトラブルを未然に防ぐためにも、ご自宅の擁壁が心配な方は、一度リフォーム業者に相談してみるとよいですね。

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擁壁工事で工作物確認申請は必要?不要?ポイントや注意点は?

工作物確認申請についてまとめた画像

高さ2mを超える擁壁の建設工事=「工作物確認申請」が必要

高さ2mを超える擁壁を建設する場合は、工事の事前チェックとして「工作物確認申請」が必要となり、手数料がかかります。

工事の内容によっては「開発許可」や「宅地造成に関する工事の許可」が必須になります。

このように、擁壁は法的基準に則って申請を行い、確認を受けた後に工事を進める必要があります。

高さ2m以下の擁壁工事はトラブルのもとに

建築基準法上では高さが2m以下の擁壁であれば、工作物確認申請の義務がありません。
これにより、プロに審査されていない/適した材料を使用していない/法律の基準に則していないなど、質の低い工事が行われる場合があります。

つまり低い擁壁こそ、新設時に安全な工事をされていない可能性が高いのです。

「高さ2mを超えない擁壁なら、確認申請などは不要」とは考えず、擁壁の高さがどの程度であっても、施工前に現状確認してもらうことを推奨します。

既存の擁壁は自治体や施工業者に確認してもらうと安心

既存の擁壁がきちんとした法的手続きを経て、施工されたものか確認できる自治体もありますので、心配な場合は問い合わせてみましょう。

ただ既存の擁壁が安全かどうかは、やはり現場を実際に調査してみないと分からないことが多いため、安心できるリフォーム業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。

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擁壁工事・リフォームの施工事例

それでは最後に、当サービス『リショップナビ』加盟店が実際に施工した擁壁をご紹介します。
安全面が改善されるのはもちろん、見た目がおしゃれになるといった利点もありますよ。

事例1
擁壁塗装で外観がキレイに!


物件種類 一戸建て
築年数 0年
リフォーム費用 12万円
施工日数 4日

深刻な劣化は見られないため、補修・塗装のみの低額リフォームとなりました。

駐車場も兼ねたスペースがきれいに生まれ変わりました。

>> この事例の詳細を見る

事例2
光沢のある美しい擁壁に!

物件種類 一戸建て
築年数 20年
リフォーム費用 130万円
施工日数 10日

部分的に出ていたアクを研磨し、擁壁専用の下地を施しました。

その後、専用の塗料で塗装したことで、光沢のある美しい仕上がりになりました。

>> この事例の詳細を見る

事例3
基礎の打ち込みを伴う大掛かりな擁壁工事!


物件種類 一戸建て
築年数 26年
リフォーム費用 130万円
施工日数 43日

2mを有する擁壁のため、鉄筋基礎の打ち込みを伴う大掛かりな工事となりました。

庭の下の配管を移設し、玄関付近は暗くならないよう明り取りも設置しました。

>> この事例の詳細を見る

擁壁は劣化が進むと、重大な事故につながるおそれがあります。
劣化が確認できる場合や、築年数的に不安な場合は、調査をしてもらうとよいでしょう。

まずは擁壁工事を請け負っているリフォーム業者に、相談してみてはいかがでしょうか。

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【この記事の要点まとめ◎】

擁壁にはどんな役割がある?
鉄筋コンクリートやコンクリートブロックなどで補強し、高低差のある土地や住宅の崩落を防ぐのが、擁壁がもつ重要な役割です。

詳しくは擁壁の特徴についての章からご確認いただけます。
擁壁のリフォーム工事(補強・作り直しなど)にかかる費用はいくら?
新たに設置する場合、3〜13万円/㎡程度、補修工事の場合は1〜2万円/㎡ほどが目安です。

ただし、擁壁工事の費用は複数の条件によって決まるため、それぞれいくらかかるかは一概には断定できません。

詳細は擁壁のリフォーム費用の章をご確認ください。
既設の擁壁を工事する際、補助金・助成金制度の対象になる?
自治体によっては、擁壁工事に補助金(助成金)が使用できるケースもあります。

当記事では「神奈川県横浜市」や「東京都港区」の補助金制度をご紹介しました。

お住まいの地域にも、擁壁工事に活用できる補助金がないか、調べてみるとよいでしょう。

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