擁壁工事は傾斜部分を安定させる工事
擁壁工事とは、高台や丘など高低差のある土地の傾斜部分が崩れないように、壁状の構造物を建築する工事のことです。
隣家や道路との間に大きな高低差がある場合、補強工事をしなければ、建物の重さや雨水の水圧、自然災害など、さまざまな要因で斜面が崩れる恐れがあります。
費用は高額になるケースが多く、気に入った土地であっても、予算オーバーになる場合があります。
家を建てようと考えている土地に高低差がある場合は、擁壁工事について事前に理解を深めておくとよいでしょう。
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擁壁工事が必要な場合
擁壁工事は、土地に高低差がある場合のほか、がけ条例にあてはまる場合に必要です。
本章では、擁壁工事が必要な2つのケースについて解説します。
①土地に高低差のあるとき
擁壁工事が求められるのは、土地に高低差があるケースです。
高低差が2m以上あるかどうかが、基準になることが多いです。
前面道路や周辺の宅地よりも高い場所、あるいは低い場所にある土地を指します。
がけ地や傾斜のある土地などがこれにあたります。
隣家や道路との間に高さの差がある土地は斜面が崩れやすく、擁壁工事をしなければ土地が崩れて大きな事故になる恐れがあるでしょう。
人命や建物を守るため、擁壁工事を行うことが義務付けられています。
②がけ条例にあてはまるとき
擁壁工事が必要な土地かどうかを判定するものとして、土地の高低差が2メートル以上という判断基準があります。
多くの自治体では「がけ条例」を設けており、土地の高低差が2メートル以上、角度が30度以上の崖の上・下に家を建てる場合には擁壁を作ることを定めています。
ただし、がけ条例は自治体によって規定や内容が異なり、2メートル以下であっても、傾斜地や道路と土地に高低差がある場合は、擁壁工事が必要になることがあるため注意しましょう。
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擁壁工事の3つの種類
擁壁の素材には鉄筋コンクリート、石、コンクリートブロックの3種類があり、それぞれ施工方法や費用が異なります。
本章では、擁壁工事の種類を解説します。
①鉄筋コンクリート擁壁
鉄筋コンクリートの擁壁はコンクリートの中に鉄筋を埋め込むもので、最も多く用いられている施工方法です。
強度が高く耐震性があり、斜面に対してまっすぐに設置できるため、擁壁上の土地を有効に使えるというメリットがあります。
鉄筋コンクリート擁壁の主な工法は次の3つです。
● L型擁壁
● 逆L型擁壁
● 逆T型擁壁
敷地の状態に応じ、適した工法を選んで施工します。
最も多く用いられるのは、敷地を広く使えるL型や逆L型(低い方の土地に建てる場合)です。
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②石積み擁壁
石を積み重ねて城壁のように建築する工法です。
かつては和風の家や河川・水路の側壁などに用いられていました。
工法には、石と石の間をセメントやモルタルで固める「練積み」と、石を砂利や小石だけを積み重ねる「空積み」があります。
このうち「空積み」は、建築基準法上の擁壁として認められません。
また、石積み擁壁は軽石で耐久性が低いことから、現在2メートル以上の擁壁建築ではほとんど採用されていない工法です。
③コンクリートブロック擁壁
鉄筋が入っていないコンクリートブロックを積み上げる工法です。
設置現場でコンクリートを打つケースが多く、工期が長くなるものの、大型重機を使わずに施工できるため費用を抑えることができます。
ただし、施工の技術次第で完成後の見た目に差が出ることもあり、擁壁工事に十分な実績のある施工会社を選ぶ必要があるでしょう。
擁壁工事の4つの作業工程
擁壁工事の作業工程は、現場で測量を行う事前準備から崖の掘削、コンクリート打設という流れで行います。
本章では、擁壁工事の作業工程を解説します。
①事前準備を行う
まず、事前準備として擁壁工事を行う現場で測量を行います。
自治体の「がけ条例」で擁壁を設けることが義務付けられている場合は工事の申請が必要です。
申請には1ヶ月かかるため、家を建てる場合は早めの申請がおすすめです。
また、「宅地造成工事規制区域」に指定されたエリアは申請が必要な場合もあるため、事前に必ず確認しておきましょう。
②崖を掘削する
擁壁を備えるために、崖を掘削する工程です。
既存の擁壁がある場合は、取り壊しながら掘削作業を進めます。
地質や設計に基づき、適切な深さまで掘削します。
土壌が崩れやすい場合は、板土を押さえる山留めが必要です。
擁壁を安定させるため、しっかりと基礎を作ります。
掘削で発生した土は、可能であれば宅地内に仮置きするか、スペースがない場合は現場外に搬出して処分します。
③床付けをする
予定の高さまで掘削したら、擁壁の底面を水平に整えます。
床付けという作業で、平らに仕上げてコンクリート打設ができる状態にする工程です。
床付け作業を終えたら、地盤の強度が基準を満たしているかを確認するため、自治体の検査を受けなければなりません。
満たしていない場合は、自治体の指導を受けながら地盤改良を行います。
④コンクリートを打設する
床付けした場所に砕石を均等に敷き詰め、コンクリートを打設します。
また、擁壁の強度を高めるために、コンクリートを敷設した擁壁の基礎部分と壁の部分に鉄筋の組み立てが必要です。
鉄筋の太さや間隔は、設計により異なります。
コンクリートが一定の強度まで固まったら、型枠を取り外します。
擁壁の裏側に土を埋め戻してしっかりと圧縮したら、工事は完了です。
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擁壁工事の費用
擁壁工事にかかる費用は、一般的な相場がありますが、さまざまな要因で変動します。
また、擁壁工事を行う場合は各自治体から補助金が出る場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
本章では、擁壁工事の費用を解説します。
一般的な相場
擁壁工事の一般的な相場は、1平米あたり3〜13万円程度が目安です。
さらに、擁壁の解体や土の運搬などにかかる費用が加算されることもあります。
現場までの道が狭く、トラックの往復回数を増やさないといけない場合は、運搬費も高くなるでしょう。
工事費用は擁壁工事の種類や面積、設置環境などによって決まるため、現地調査が必要です。
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費用が変動する要因
擁壁工事の費用はさまざまな要因で変動します。
擁壁の種類と施工方法、高さ、面積などによって相場は変わるでしょう。
勾配がきつく工事の難易度が高い場所や、土砂の流入の危険性が高いため擁壁を高くする・地盤が弱い場所では盛り土をするなど、必要な工事が増える場合は費用も高くなります。
また、道路が狭く通行制限をする場合、通行整理をする人件費も必要です。
補助金が利用できる
多くの自治体では、擁壁工事をする際に補助金を支給しています。
工事を予定している地域の自治体で補助金制度があるか、確認してみましょう。
対象となる工事内容や支給される補助金額は自治体によってさまざまですが、一例として「東京都新宿区」の制度をご紹介します。
● 擁壁築造工事費への助成
対象の擁壁 | 築造(新設又は造り替え)工事を 実施する擁壁の高さが1.5メートル以上 (※その他、区が定めた細かい要件あり) |
---|---|
助成対象者 | 擁壁の所有者である個人または法人 (※その他、区が定めた細かい要件あり) |
助成額 | 予算の範囲内において 助成対象工事費の2/3または1/3以内とし、 施工後の擁壁の高さに応じて上限あり |
>> 新宿区擁壁・がけの安全化の総合的な支援について詳しくはこちら
制度の内容は自治体によって異なるため、各自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。
工事を依頼する際には、業者に申請手続きのサポートが可能か相談してみるのもおすすめです。
擁壁工事後のメンテナンス
擁壁の耐用年数は、設置されている場所や擁壁の厚さなどで変動する場合もありますが、およそ30〜50年程度です。
しかし、耐久年数が長いからといって放置してよいわけではありません。
例えば、擁壁の水抜き穴(地中に溜まった雨水を抜くためのもの)から排水がきちんと行われていないと、水圧で壊れることがあります。
定期的なチェックとメンテナンスにより、不具合を発見して擁壁を長く維持することができるでしょう。
>> 擁壁の補修・やり直しの工事費用や耐用年数は?補助金や確認申請の注意点・施工事例もご紹介!
>> 擁壁をガレージにリフォームしたい!工事費用やデメリットなど、注意事項もご紹介
擁壁工事をするときは情報を集めよう
隣地や道路との高低差がある土地に住宅を建築する際は、擁壁工事が必要です。
がけ条例を設けている自治体も多いため、事前に確認しておきましょう。
擁壁工事は一般的に鉄筋コンクリートによる施工が行われ、工法や面積、工事の難易度などで価格が変動します。
費用は高額になることがあるため、自治体が補助金を支給していればぜひ活用しましょう。
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