ALC外壁材とは?メリットやデメリット、塗装時期を解説

更新日:2024年08月15日

ALC外壁材とは?メリットやデメリット、塗装時期を解説

ALC外壁材とは気泡が入った特殊コンクリートでつくられた外壁材です。軽量かつ断熱性、耐震性に優れているため、高層ビルや一般住宅などに幅広く使われています。
本記事では、ALC外壁材のメリットやデメリット、ほかの外壁材との違い、メンテナンス方法をまとめました。ぜひ外壁材選びの参考にしてください。

ALC外壁材とは?

ベージュALC外壁パネル

ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)とは、圧縮処理がされた気泡入り軽量コンクリートのことです。
主な原料は珪石(けいせき)や生石灰、セメント、アルミ粉末などで、パネル状に成形されて建材として用いられます。

ALCは外壁だけでなく、屋根や床、間仕切りなどの多くの場所で使われる建材です。
また、一般住宅にも使われますが、高層ビルや商業施設、倉庫などのさまざまな建物にも使われています。

なお、ALCパネルには、75mm未満の薄型と75mm以上の厚型があります。
薄型は主に木造や鉄骨造、厚型は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の耐火建築物の建材として使われることが一般的です。

ALC外壁材のメリット

ALC外壁パネルをつかったバイカラーのモダン住宅の外観

ALC外壁材には優れた点が多数あります。

主なメリットをご紹介します。

耐久性が高い

ALCには木の繊維やパルプ材などの有機物が含まれていないため、ひび割れや反りが起こりにくいという特徴があります。

また、耐久性が高い点も大きな特徴で、定期的にメンテナンスをすることで耐用年数は50年以上といわれています。

断熱性・耐火性・遮音性に優れている

ALCの主原料は珪石やセメントなどの無機物のため、火災でも燃えず、有毒ガスが発生しません。

また、内部に気泡を含むことから、コンクリートの約10倍の断熱性を誇ります。
外気の影響を受けにくく、1年中過ごしやすい空間を作れる点も特徴です。

内部に気泡を含むことで、音を通しにくくなる効果もあります。
外部の騒音を防ぐだけでなく、生活音が室外に漏れにくくなるため、住宅が密接した地域の家屋にも適しています。

軽量で耐震性が高い

ALCはコンクリートを含む製品としては軽量のため、建物自体にあまり負荷をかけません。

ALCは軽さが魅力ですが、内部に鉄筋マットやスチール製の金網が補強材として使われているので、十分な強度があります。

地震のときでも崩れにくく、耐震性が高い素材とされています。

また、軽量であることから、作業負担を軽減できるのもメリットです。
運びやすさ・扱いやすさに優れているため、ほかの外壁材と比べて短期間で施工できます。

ALC外壁材のデメリット

タイル壁の打ち継ぎ目地打ち替え

ALC外壁材には多くのメリットがありますが、いくつか注意すべき点もあります。

次にデメリットをご紹介します。

費用がかかる

ほかの外壁素材と比較すると、ALCそのものが高額なため、大量に使用すると費用がかさみます。
そのため、住宅の建築費も、ほかの外壁材を選んだときよりも高額になってしまう場合があります。

ALCは耐用年数の長さで考えるとコストパフォーマンスが高い外壁材ですが、定期的なメンテンナンス費用と合わせて総合的に判断しましょう。

耐候性・耐水性が低い

ALCには多数の気泡があるため、吸水しやすいという特徴があります。

そのため、耐候性が低い素材ともいえます。
特に寒冷地などでの使用の際は、吸水、吸湿対策を行う必要があります。

また、パネルのつなぎ目が多いため、つなぎ目の部分から浸水するリスクがあります。

こまめにつなぎ目をチェックし、傷みや劣化がみられる場合は早めにシーリング材(コーキング材)で補修しましょう。

>> 外壁コーキング(シーリング)費用相場

つなぎ目が多くメンテナンスの手間がかかる

一般住宅の外壁材としてもっとも多く使われているサイディングも、ALCと同様、パネル状の外壁材です。
しかし、ALCパネルは1枚のサイズが小さいため、つなぎ目が多く、施工だけでなくメンテナンスの手間もかかります。

つなぎ目部分のシーリング材は時間経過とともにやせ細り、隙間ができてしまうことがあります。

こまめにチェックし、必要に応じてシーリング材の注入をしなくてはいけません。

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ALC外壁塗装の費用相場

電卓とバインダー

ALCは吸水性が高いため、全体に耐候性・耐水性のある塗料を塗る必要があります。

また、外壁塗料は経年劣化するため、定期的に塗り替えなくてはいけません。

ALCの塗装に用いられることが多いシリコン系の塗料を使う場合、1軒あたりの塗り替え費用の相場は延床面積が30坪程度で約80~150万円といわれています。

ALC外壁の塗装費用は、サイディング外壁と比べてシーリングの費用が多くかかってしまうため高くなります。

外壁リフォームの費用は、施工内容によって異なるため、金額に幅があります。
また、工事費用のほかに「足場代」や「諸経費」がかかることもあるため、見積もりを依頼する際は細かく内訳を確認しましょう。

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ALC外壁材のメンテナンス方法

 ALC目地シーリング工事

ALC外壁材は、主に塗装とシーリングでメンテナンスを実施します。
メンテナンスの頻度は立地条件(風があたりやすい、交通量が多いなど)や気象条件(雨が多い、風が強いなど)によっても異なるため、専門の業者への相談をおすすめします。

防水性の高い塗料で塗装する

ALCは吸水性が高いため、防水性の高い塗料で塗装することが必要です。
外壁にぴったりと密着して雨水の侵入を防いでくれる弾性塗料が適しています。

防水性を高めることで、外壁のひび割れを防ぎやすくなります。

5~10年に一度は塗装・シーリングを実施する

塗料が剥がれ始めると、チョーキング(外壁を触ると手に粉がつく状態)が見られるようになります。
手に粉がつくようになったら、防水性の高い塗料を塗り直してください。

また、ALCのつなぎ目のシーリング材がひび割れを起こすことがあり、定期的なメンテナンスが必要です。
シーリング材のひび割れを放置すると外壁材の内部に浸水し、パネル自体がひび割れることもあります。

塗装・シーリングのいずれも、5~10年に一度を目安としてメンテナンスを実施しましょう。

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ALC外壁材の建物の施工事例

 モダンな戸建ての外観イメージ ベージュ系

本章では、当サービス『リショップナビ』の加盟店が実際に施工した、ALC関連のリフォーム事例をご紹介します。

ALC外壁材に張り替えるケースや、塗料のみを塗り替えるケース、ALC外壁材を別の外壁材でカバーするケースなどもあります。

ぜひ専門業者に相談し、マイホームをより美しくより長持ちさせるリフォームを実現してください。

事例1 外壁塗装でひび割れをカバー

リフォーム費用 約92万円
工事期間 14日間
住宅の種類 一戸建て
築年数 22年

ひび割れが目立つALC外壁材を全体的に塗装し、目地の部分にはコーキングを打ち替えました。
防水性が向上し、外壁材内部でのひび割れも予防できます。

>> この事例の詳細を見る

事例2 外壁塗装で防水力アップ

リフォーム費用 約119万円
工事期間 20日間
住宅の種類 一戸建て
築年数 11年

ALC外壁材全体に防水効果の高い塗料を塗装したケースです。
国内外問わず高いシェア率を誇る日本ペイントの塗料を使用しています。
外壁だけでなく屋根の塗装も行いました。

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事例3 こだわりの色で仕上げるスケール感のある外観

リフォーム費用 約210万円
工事期間 25日間
住宅の種類 一戸建て
築年数 30年

淡いブルーの外観でしたが、こだわりの色に塗り替えてスケール感のある建物に仕上げました。
再塗装とシーリングの打ち替えにより、防水効果も高まっています。

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事例4 軽量セラミックタイルを全面施工

リフォーム費用
工事期間 90日間
住宅の種類 一戸建て
築年数 11年

ALC外壁材の上から軽量セラミックタイルを全面的に施工しました。
タイルを張ることで建物の防水性が高まっただけでなく、外観も新築同様になっています。

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事例5 色を塗り替えておしゃれ度もアップ

リフォーム費用
工事期間 7日間
住宅の種類 一戸建て
築年数 20年

20年間一度も外壁塗装をしなかったため、ALC外壁材が損傷し、ひび割れなどが目立ってきていました。
ひび割れをエポキシ樹脂で固定した後、2階と1階の外壁の色を塗り替え、インパクトのあるツートンカラーに仕上げています。

>> この事例の詳細を見る

ALC以外の外壁材の特徴

一戸建て住宅のベランダの外壁とサイディング

一般住宅では、ALC以外にもサイディングやモルタル、タイルなどの外壁材が用いられることがあります。

各素材の違いについては、以下をご覧ください。

外壁材 特徴 メリット 注意点
ALC ● 高層ビルから一般住宅まで広く利用される
● 軽量で建物への負担が少ない
● 耐震性・耐久性が高い
● 断熱性・耐火性・遮音性に優れている
● メンテナンスの手間がかかる
● 本体価格・施工価格が高額
サイディング ● 大半の一般住宅で外壁材として用いられている
● 窯業系・木質系・金属系・樹脂系がある
● 種類が豊富
● 短時間で施工できる
● 定期的なメンテナンスが必要
● 種類が多く、目的に合ったものを見極める必要がある
モルタル ● パネルではないため、つなぎ目がない
● 1990年代までは外壁材の主流
● デザインの自由度が高い
● 熱を吸収しにくく、室温が上がりにくい
● 施工者のスキルに左右される
● 汚れがつきやすい
タイル ● インパクトのあるデザイン
● アクセントとして用いることがある
● 耐久性に優れている
● 汚れにくい
● 本体価格・施工価格が高額
● 定期的にメンテナンスをしないと浸水するリスクがある

サイディング

サイディングとはパネル状の外壁材のことで、素材によって窯業系と木質系、金属系、樹脂系に分けられます。

パネルを工場生産するため、品質が安定し、短時間で施工できる点が特徴です。

一般住宅のほとんどがサイディングを外壁材として用いています。

こまめに塗料でコーティングし直したり、シーリング材の剥がれやひび割れをチェックして修繕したりすることで、より長持ちさせることが可能です。

モルタル

モルタルとは、砂とセメント、水を混ぜ合わせてつくられる素材です。

1990年代ごろまでは住宅の外壁としてもっとも用いられていましたが、近年ではサイディングを利用するケースが増えてきました。

モルタルの魅力は自由度の高さです。
しかし、自由度が高い分、施工者のスキルに左右されるため注意が必要です。

タイル

タイルとは、粘土を板状にして焼き固めたものです。

耐久性に優れ、長期的に利用できる点もタイルのメリットです。

サイディングやALCと比べると小さいため、施工に時間がかかり、その分、費用も割高になる傾向にあります。

また、価格が高いため、住宅の一部にのみアクセント的に用いられることも多いです。

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目的に合った外壁材を選ぼう

サイディングが色あせて劣化した外壁

ALC外壁材は耐震性や断熱性、耐火性が高く、優れた素材です。

しかし、吸水をしやすいため、湿気が多い場所や降雨量が多い地域には向かない場合もあります。

外壁材にどのような性能を求めるのかを明確にしてから、目的に合った素材を選びましょう。

また、施工業者によっても仕上がりや耐久性が大きく左右されるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

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