図面がない・なくした場合はリフォームできない?
築年数が古くて図面が残っていない、処分してしまったなどの場合でも、リフォームはできます。
リフォームを行う際には必ず現地調査を実施するので、図面がない場合でも構造を把握することが可能です。
ただし、図面があれば住宅について確認できる点が多く、希望に合ったリフォームを実現しやすくなったり、トラブルに備えやすくなったりするため、図面があった方がよいのは事実です。
やむを得ず図面なしでリフォームする場合を除いて、可能であれば図面を用意した上でリフォームを実施しましょう。
リフォームする際に図面があった方が良い3つの理由
リフォームの際、図面を用意した方が良い理由は次の3つです。
- 理想のリフォームが実現しやすくなる
- 瑕疵担保責任に関するトラブルを避けられる
- リフォームに関する責任の所在を明らかにできる
なぜ図面を用意するのが望ましいのかを理解し、図面を準備するのがおすすめです。
理想のリフォームが実現しやすくなる
リフォームする際に図面があると、図面を元にできること・できないことがわかり、住宅の現状を細かく把握した詳細なプランニングが可能です。
リフォーム会社も、よりあなたの希望に合ったリフォームを提案できます。
理想のリフォームを実現するためにも、住宅の状態がわかる図面があった方が良いでしょう。
瑕疵担保責任に関するトラブルを避けられる
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、欠陥品を購入・売却した際に負う責任のことで、リフォームにおいて関わりが深いものです。
リフォームの場合、施工後に欠陥が見つかったときに、リフォーム会社に瑕疵担保責任があり、施主はリフォーム会社に修繕や賠償などを求められます。
しかし、図面がない場合、リフォーム前の欠陥なのか、リフォームによる欠陥なのかを判断しにくいため、瑕疵担保責任を巡るトラブルが起きかねません。
図面があれば、リフォーム前に欠陥がないことを共有できるため、未然にトラブルを防げます。
リフォームに関する責任の所在を明らかにできる
瑕疵担保責任を含めてリフォームに関する責任は、可能な限り所在を明らかにする必要があります。
リフォームに関する公的な保証制度はなく、責任の所在が曖昧だと保証を巡ってトラブルになる恐れがある点に注意が必要です。
あらかじめリフォーム会社やハウスメーカーなどに図面を共有しておけば、住宅の状態が明確になるので、いざトラブルが起きたときに責任を主張しやすくなります。
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リフォームの際に用意が必要な7つの図面
住宅に関わる図面は数多くあるため、どの図面が必要か悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
リフォームで用意すると役立つ図面は次の7つです。
- 平面図
- 展開図
- 建具伏図・建具表
- 設備図
- 平面詳細図
- 仕上表
- 竣工図
平面図
平面図とは、建物を真上から見た様子を図面にしたものです。間取り図のような図面で、部屋の名前や畳数などが記載されています。
平面図で間取りを把握した上で、細かくチェックしたい箇所の詳細図を見るため、まず揃えたい図面です。
マンションや平屋など1階のみであれば平面図は1枚ですが、複数階の建物の場合は階ごとの平面図を用意しましょう。
展開図
展開図とは、部屋の中心から縦に切り、北面・東面・南面・西面から見た図面です。平面図ではわからない部屋の高さがわかるため、平面図を補うために活用されます。
天井や床、壁などの詳細を確認でき、リフォーム内容の詳細を検討するために重要な役割を果たすので、平面図とあわせて必ず用意しておきたい図面と言えるでしょう。
建具伏図・建具表
建具伏図・建具表は、建具に関する図面です。建具伏図ちは、寸法や仕上げなどを記載した詳細平面図に建具を表す記号を追加した図面で、「AW(アルミサッシ)」「WD(木製建具)」といった建具の素材まで把握できます。
建具表は、ドアや窓などの建具一つひとつの詳細をまとめた資料です。設置箇所や仕上げ、サイズなどが記載されており、建具の数だけ用意する必要があります。
設備図
設備図とは、配線や配管など設備を平面図で記載した図面です。配線に特化した電気配線図、給排水に特化した給排水設備配管図など、記載されている内容に応じて名称が変わる場合もあります。
例えば、電気配線図にはコンセントの位置・数やテレビの場所、照明器具の種類など、電気設備に関する情報がまとめられています。
設備にまったく手を加えないリフォームであれば、必要ない場合もあるでしょう。設備の変更や移動などを行う場合は、リフォームに関連する設備図を用意してください。
平面詳細図
平面詳細図とは、平面図の縮尺を大きくした上で寸法や仕上げなど細部まで盛り込んだ図面です。
平面図や展開図で記載できない箇所を含み、出窓や階段など細部まで図面に落とし込んでいます。
初めから平面詳細図を作成することは少なく、平面図や展開図からプランを詰めていきながら、詳細図を形にしていくのが特徴です。
図面の中では詳細を把握しやすいものであるため、リフォームでの重要度も高くなっています。
仕上表
仕上表とは、壁や床、天井の材質・仕上げを表の形式でまとめた資料です。
単独で使用することは少なく、平面図や展開図と照らし合わせながら建物の構造を把握するために活用されます。
仕上表には、階数や部屋名などそれぞれに対して記号・文字を記載しています。フローリングの変更や壁のクロス張り替えなどをする際には、重要な図面です。
竣工図
竣工図とは、建物が完成した状態を図面にしたものです。
詳細な設計図に比べると情報量は不足していますが、現状を図面で把握できる点でリフォームには欠かせません。
竣工図と対照的な図面が予定図で、施工する前の計画を記した図面です。予定図に変更を加える場合が多いため、現状がわかる竣工図を用意しましょう。
リフォームに必要な図面がない場合の対処法
住宅に関わる図面は普段必要になる場面が少ないため、どこにあるかわからない方もいるのではないでしょうか。
手元に図面がない場合には、次の2つの方法で用意するのがおすすめです。
- リフォーム会社や設計事務所に図面作成を依頼する
- 図面作成アプリ・ソフトでイメージ図を作成する
リフォーム会社や設計事務所に図面作成を依頼する
リフォーム会社や設計事務所などに、図面作成を依頼できる場合があります。
ただ、竣工図をはじめとした各種図面は住宅の構造まで細かく落とし込んでいるため、あとから作成した図面は細部まで表現するのは困難です。
特に住宅の構造は解体しなければわからないため、大まかな図面では把握できないケースがよくあります。
構造に問題があった場合、リフォームに支障が出る恐れがあるため、リスクも理解した上で図面作成を依頼しましょう。
図面作成アプリ・ソフトでイメージ図を作成する
間取りや図面を自力で作成したい場合は、図面作成アプリ・ソフトが便利です。
スマホやパソコンで図面を気軽に作成できるため、なるべく費用を抑えたいときやリフォームまでに時間がないときなどに役立ちます。
無料アプリや、無料で試せる有料アプリもあるので、機能や使い勝手などをチェックしましょう。
パソコンで図面を作成したい場合には、図面作成ソフトがおすすめです。スマホよりも大きな画面で作業でき、充実した機能を利用できるソフトが多い傾向があります。
アプリ・ソフトに共通するのが、図面作成のスキルや知識を求められる点です。
スキルがない場合は、リフォーム会社や設計事務所などのプロよりも優れた図面を作成するのは難しく、住宅の状態が十分に伝わらないことがあります。
図面作成に自信がある方にはおすすめですが、あまり自信がない方はプロに依頼するのがよいでしょう。
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リフォームに必要な図面作成費用の目安
リフォームに必要な図面作成を依頼する際の費用は、依頼先によって異なります。
図面作成のみの料金を設定しているリフォーム会社や設計事務所は少なく、工事費の数10%としている場合が大半です。
相場は、リフォーム会社で5~15%、設計事務所で工事費の10~20%が多くなっています。
図面作成のみを依頼したい場合は、対応の可否と料金をあらかじめ確認するのがおすすめです。
基本的には、工事のために図面を作成するので、リフォームとセットで依頼することになります。
図面作成とリフォームを同じ業者に依頼できる点はメリットであるため、リフォームの実績や評判などを含めて依頼先を決めましょう。
図面を用意して理想のリフォームをかなえよう
リフォームに図面は必須ではありませんが、用意するメリットが多くあります。
図面によって現状を細部まで把握することで理想のリフォームをかなえやすくしたり、リフォーム前後の状態を共有することで欠陥に対する責任の所在を明らかにすることができます。
特にトラブル時の対応に図面は効果的で、欠陥がいつからあったのかを擦り合わせておけば、「リフォーム前からあった」「リフォーム後にできた」といったトラブルは起きません。
図面はアプリ・ソフトで作成したり、プロに作成を依頼したりできますが、最も望ましいのは原本を用意することです。
まずは原本の図面を探し、なければ作成を検討した上で、トラブルのない理想のリフォームをかなえましょう。
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