増改築等工事証明書とは?必要書類や何に使えるかを解説

更新日:2024年07月11日

増改築等工事証明書の必要書類

増改築等工事証明書とは、リフォームをしたという証明書で、ローンの控除や非課税措置を適用する際に必要です。増改築等工事証明書は、資格のある業者に発行してもらう書類で、自分では発行できません。
そこで本記事では、増改築等工事証明書の発行に必要な書類や費用を紹介します。
リフォームで減税措置を適用したい方は、ぜひご覧ください。

増改築等工事証明書とは

増改築等工事証明書の用紙

増改築等工事証明書とは、リフォームをしたという証明書です。

建物を建てる場合「建築確認申請」と呼ばれる書類が必要ですが、小規模工事であるリフォームでは必要ありません。

しかし、ローンの控除や非課税措置を適用するためにリフォームしたことを証明する書類が必要です。

その際に「増改築等工事証明書」でリフォームしたことを証明します。

増改築等工事証明書は、資格のある業者に発行してもらう書類のため、自分では発行できません。

また、発行してもらうためには書類の提出が必要だったり、費用がかかったりするので覚えておきましょう。

増改築等工事証明書発行に必要な書類

増改築等工事証明書の申請用紙

増改築等工事証明書発行に必要な書類は、次のとおりです。

増改築等工事証明書発行に必要な書類
  • 申請家屋の登記事項証明書
  • 工事請負契約書
  • 設計図書
  • 補助金交付額決定通知書(補助金等を受ける場合)

増改築等工事証明書の発行にかかる費用

増改築の費用計算

増改築等工事証明書の発行にかかる費用は、リフォームを依頼する業者に証明書を発行できる人がいるかどうかで大きく異なります。

依頼先に証明書を発行できる人がいる場合の費用相場は「1万円前後」です。

しかし、依頼先に発行可能な人がいない場合、別の業者に依頼するため費用が高くなります。

また、証明書発行に必要な図面や工事請負契約書などの書類が用意できない場合、現地調査が必要です。

現地調査をする場合、上記の費用とは別に調査費用が必要になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

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増改築等工事証明書が必要になるケース

増改築の計画

増改築等工事証明書の提出が必要となる控除や減税制度は次のとおりです。

制度 概要
所得税控除
  • ● 耐震リフォームやバリアフリーリフォームなど指定のリフォームをした際に適用可能
  • ● 一定の金額をその年分の所得税額から控除できる制度
  • ● ローンを組まなくても適応できる場合もある
固定資産税の減額
  • ● 耐震リフォームや長期優良住宅化リフォームなどの指定のリフォームをした際に適用可能
  • ● 所得税の控除と併用できる場合もある
贈与税の非課税措置
  • ● リフォームや住宅購入のために両親や祖父母から贈与された場合は税金がかからないとする制度
  • ● 耐震・省エネなどのリフォーム工事が対象
住宅ローン減税
  • ● 住宅ローンやリフォームローンを組んでいると、所得税を控除できる制度
  • ● 年末のローン残高の0.7%を所得税から控除される

各制度についてそれぞれ解説します。

所得税控除

所得税は、1年間の所得に課せられる国税です。

耐震やバリアフリー、省エネなどのリフォームを行った際に条件を満たしていると、一定の金額をその年分の所得税額から控除できます。

住宅ローンやリフォームローンなどの利用がなくても適用できる場合もあります。

主な条件

所得税控除の主な条件は次の表をご覧ください。

対象工事 主な条件
耐震改修工事
  • ● 自宅の耐震工事をした方
  • ● 1981年5月31日より前に建築された家屋
  • ● 耐震工事によって現行の耐震基準に適合すること
多世帯同居改修工事
  • ● 自宅の多世帯同居改修工事をした方
  • ● 工事の日から6ヶ月以内に住んでいること
  • ● 合計所得金額が3,000万円以下であること
  • ● 床面積が50㎡以上あり、床面積の2分の1以上が居住スペースであること
  • ● 費用が50万円以上であること
省エネ改修工事
  • ● 自宅の省エネ改修工事をした方
  • ● 工事の日から6ヶ月以内に住んでいること
  • ● 合計所得金額が3,000万円以下であること
  • ● 床面積が50㎡以上あり、床面積の2分の1以上が居住スペースであること
  • ● 費用が50万円以上であること
バリアフリー改修工事
  • ● 自宅のバリアフリー改修工事をした方
  • ● 工事の日から6ヶ月以内に住んでいること
  • ● 合計所得金額が3,000万円以下であること
  • ● 床面積が50㎡以上あり、床面積の2分の1以上が居住スペースであること
  • ● 費用が50万円以上であること

※参考元:国税庁ホームページ

「耐震改修工事をした場合 概要」
「多世帯同居改修工事をした場合 概要」
「省エネ改修工事をした場合 概要」
「バリアフリー改修工事をした場合 概要」

固定資産税の減税

固定資産税は、所有する建物や土地などの固定資産に対して課される地方税です。

耐震リフォームやバリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、長期優良住宅化リフォームを行うと固定資産税を減額できます。

また、所得税控除と併用できる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

次の記事ではリノベーションを行った際の固定資産税について解説しています。

リノベーションで固定資産税がどのように変わるのかを知りたい方は、併せてご覧ください。

>> リノベーションで固定資産税は上がる?3つのケースを解説

主な条件

省エネリフォームをする場合に、固定資産税が減額になる条件を次の表にまとめました。

対象工事
  • ● 窓の断熱改修工事(必須)
  • ● 床や天井、壁の断熱工事
  • ● 太陽光発電装置の設置工事
  • ● 高効率空調機や高効率給湯器、太陽熱利用システムの設置工事
主な条件
  • ● 2014年4月以前からある家屋であること
  • ● 省エネ改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
  • ● お店と住宅を併用しているの場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  • ● 断熱改修部位が2016年省エネ基準相当に適合すること
  • ● 工事費用の合計額が税込60万円を超えていること

※参考元:国土交通省ホームページ「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置

贈与税の非課税措置

贈与税とは「110万円」を超える金額で現金などの贈与があった場合に、課される国税です。

贈与税の非課税措置とは、リフォームや住宅購入のために両親や祖父母から贈与された場合、規定金額までは贈与税がかからないとする制度です。

次の記事では自宅のリフォームを行った際の贈与税とローン対策について解説しています。

リフォームで贈与税を抑えたい方は、併せてご覧ください。

>> 実家のリフォームで検討したい工事&費用相場!贈与税・ローンなどの対策や注意点は?

主な条件

贈与税の非課税措置の主な条件は、次のとおりです。

受贈者の要件
  • ● 贈与を受けた時に授与者の直系の子どもまたは孫であること
  • ● 18歳以上であること
  • ● 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • ● 2009年から2021年分までで適用を受けていないこと
  • ● 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額をあてて工事を行こと
建物・工事の要件
  • ● リフォームを行う本人が住むための家屋であること
  • ● 増改築の工事の費用が100万円以上であること
  • ● 「確認済証の写し」や「検査済証の写し」「増改築等工事証明書」で工事を証明されたものであること

※参考元:国税庁ホームページ「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 概要

非課税措置の上限

非課税措置の上限は、省エネ等住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までです。

省エネ等住宅は、次のいずれかの基準に当てはまる住宅用家屋で、性能証明書で証明されたものを指します。

【省エネ等住宅の基準】
  • 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること

住宅ローン減税

住宅ローン減税は、住宅ローンやリフォームローンを組んでいると、所得税を控除できる制度です。

年末のローン残高の0.7%を所得税から控除され、最大13年間適用できます。

リフォームはもちろん新築や中古物件の購入でも適用できますが、2024年1月以降に新築住宅で減税を適用させるには、省エネ基準を満たさなければいけません。

次の記事ではリフォームローンや減税制度を解説しています。

リフォームローンや減税制度を活用したリフォームを検討されている方は、ぜひ併せてご覧ください。

>> リフォーム減税制度の対象工事と注意点まとめ
>> リフォームローンの選び方|おすすめローンを紹介

主な条件

住宅ローン減税の主な適用条件は、次のとおりです。

【住宅ローン減税の主な適用条件】
  • 自分が住むための住宅であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 所得が2,000万円以下であること
  • ローンの借り入れ期間が10年以上であること
  • 工事完了(引き渡し)から6ヶ月以内に入居すること
  • 耐震基準を満たしていること
※参考元:国土交通省ホームページ「住宅ローン減税の概要について

増改築等工事証明書の注意点

増改築等工事証明書のポイント

増改築等工事証明書を発行する場合は、次の2つに注意しましょう。

①増改築等工事証明書は自分で発行できない

増改築等工事証明書は資格を持っている人しか発行できません。

証明書の発行は自分ではできないため、次のような資格を持った方に依頼する必要があります。

【増改築等工事証明書を発行できる人】
  • 建築士事務所登録をしている事務所に属する建築士
  • 指定確認検査機関
  • 登録住宅性能評価機関
  • 住宅瑕疵担保責任保険法人

またリフォーム会社でも資格を持っている人がいない場合、証明書を発行できないため、別の業者への依頼が必要です。

②発行費用は業者によって異なる

増改築等工事証明書の発行費用は、発行する業者によって大きく異なります。

リフォーム業者に証明書を発行できる人がいない場合、外注するため費用が高くなる傾向があります。

また、発行に必要な書類が足りないと、現地調査が必要で別途調査費用もかかるかもしれません。

増改築等工事証明書の発行にかかる費用は、発行を依頼する業者にあらかじめ確認するようにしましょう。

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増改築で参考になる事例3選

増改築等工事証明書の事例

増改築で参考にしたい事例を3つご紹介します。

【事例①】ウッドデッキを撤去・空いた部分を増築

住宅の種類 一戸建て
施工日数 30日間
リフォーム箇所 家全体・リノベーション
リフォーム費用概算 約300万円

使い道のなかったウッドデッキを撤去して増築した事例です。
ウッドデッキ部分に6畳分増築することにより、LDK空間が広くなりました。
寒さ対策として多くの断熱材を使い、床暖房も完備しています。

>> この事例の詳細はこちら

【事例②】離れを増築

住宅の種類 一戸建て
施工日数 75日間
リフォーム箇所 キッチン、トイレ、洗面所、風呂・浴室、外壁塗装・外壁、和室
リフォーム費用概算 約692万円

離れを作りたいと思いリフォームした事例です。
離れのキッチンは収納スペースを確保しつつ、導線を考えた作りになっています。
外壁はお庭の植物とあわせて、白色で塗装しました。

>> この事例の詳細はこちら

【事例③】増築で二世帯家族で暮らせる住まいに

住宅の種類 一戸建て
施工日数 210日間
住宅の種類 家全体、リノベーション
築年数 1,000万円以上

2世帯で暮らせるよう増築や間取り変更をしたリフォーム事例です。
1階は親世帯・2階は子世帯用の生活空間を分け、浴室・洗面・トイレはそれぞれの階にスペースを設けています。
お子さんの様子を見守りながら家事ができる回遊式のリビングや、すぐ洗濯物を干せるようバルコニーにアクセス可能な洗面室など家事動線を充実させています。

>> この事例の詳細はこちら

増改築等工事証明書を理解してしっかりと申請に備えよう

増改築等工事証明書のまとめ

増改築等工事証明書は、リフォームを証明する書類で、控除や免税などの制度の申請で使用します。

証明書は建築士や指定確認検査機関などの資格のある人しか発行できないため、発行費用は依頼先に発行できる人がいるかどうかで大きく異なります。

増改築等工事証明書の発行を依頼する際は、発行を依頼する業者にあらかじめ費用や必要な書類などを確認しておくようにしましょう。

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