リノベーションで固定資産税は増減する?
土地や建物に対する固定資産税は、リノベーションによって増減する場合があります。
建物の固定資産税は次の計算式で算出され、建物の評価に応じて固定資産税額が変化する仕組みです。
固定資産税評価額(建物・土地の課税標準額)×1.4%(地域によって税率が異なる) |
土地・建物の固定資産税を決めるための評価額です。
建物に対しては再建築価格方式という方法で算出され、多くの場合購入価格の約5~7割程度が目安となります。
自分自身で正確な固定資産税額を算出するのは難しいものですが、ある程度の予想は可能です。
あらかじめシミュレーションしておけば、リノベーション後の固定資産税をイメージしやすいでしょう。
リノベーションにおける固定資産税の変化は、次の3パターンです。
条件 | 固定資産税の変化 |
---|---|
大幅なリノベーションを実施した時 | 上がる |
耐震化、省エネ化などのリノベーションを実施した時 | 下がる |
小規模なリノベーションを実施した時 | 変わらない |
3つのパターンを詳しく解説します。ご自身のリノベーション計画と照らし合わせながら、固定資産税の取り扱いを確認しましょう。
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リノベーションで固定資産税が上がる可能性があるケース
リノベーションによって固定資産税が上がる可能性があるケースは、次の3つです。
● 増改築によって床面積が増える場合
● 主要構造部に関わる大幅なリノベーションを実施した場合
● リノベーションによって住居の用途が変わる場合
上記のリフォームを検討している場合は、固定資産税の増加を想定しておきましょう。
増改築によって床面積が増える場合
固定資産税評価額を算出する基準に「床面積」が含まれています。リノベーションによって床面積が増えると、固定資産税が上がりやすくなります。
次の増改築は延床面積に含まれ、固定資産税が上がる可能性が高いでしょう。
● 新しい部屋の増築
● 2階の増築
● ガレージの増設
増えた床面積の大小を問わず建築確認申請と不動産登記が求められ、固定資産税の評価基準に含まれます。
建築確認申請とは、建物が建築基準法に適合しているか確認を受けるための申請です。
住宅の建築や大規模なリノベーションなどを、事前に都道府県や市に伝える必要があります。
主要構造部に関わる大幅なリノベーションを実施した場合
主要構造部に関わるリノベーションを実施した場合は、固定資産税が上がる可能性があります。
建物を支える柱や壁である主要構造部に手を加えると、住宅性能が大きく変化します。
そのため、あらためて建築確認申請が必要であり、評価の向上によって固定資産税が上がりやすいのです。
主要構造部だけを残した大幅なスケルトンリノベーションやフルリノベーションも、固定資産税増額の対象になります。
耐久性や機能性の向上といった大きな影響を与えるためです。
フルリノベーションの費用や注意点については、次の記事を参考にしてください。
>> フルリノベーションの費用・デメリット・注意点はこちらから
リノベーションによって住居の用途が変わる場合
リノベーションによって住宅を店舗や事務所などに変更する場合、固定資産税が上がる可能性があります。
住宅として使用する建物に対する固定資産税は、次のような特例が適用されるため、その他の建物よりも負担が少ないのです。
住宅用地の種類 | 特例対象範囲 | 軽減率 |
---|---|---|
小規模住宅用地 | 一戸あたり200m²までの部分 | 課税標準額の6分の1 |
一般住宅用地 | 小規模住宅用地以外の住宅用地 | 課税標準額の3分の1 |
リノベーションによって住居以外の用途に変更すると上記の特例が適用されないため、固定資産税が上がりやすいのです。用途変更に伴って建物の価値が上がった際にも、固定資産税は高くなる可能性があります。
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リノベーションで固定資産税が下がる可能性があるケース
リノベーションの目的によっては、固定資産税が下がる場合もあります。主なケースは、次の通りです。
● 耐震化のためにリノベーションする場合
● 省エネ化のためにリノベーションする場合
● バリアフリー化のためにリノベーションする場合
住宅性能の向上にもつながるため、検討をおすすめします。
耐震化のためにリノベーションする場合
住宅を耐震化するためにリノベーションを実施した場合、翌年度分の固定資産税が2分の1に減額される可能性があります。
固定資産税の減額措置を受けるためには、工事完了日から3ヶ月以内に必要書類を市区町村の窓口に提出する必要があります。
耐震改修に対する固定資産税減額措置の要件は次の通りです。
要件 | ● 耐震改修工事費が税込50万円を超えること ● 家屋が昭和57年(1982年)1月1日以前から所在する家屋であること ● 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること ● 現行の耐震基準に適合する耐震改修工事を行っていること ● 2024年3月31日までに工事を完了すること |
---|---|
必要書類 | ● 固定資産税減額申告書 ● 工事請負契約書の写し ● 増改築等工事証明書または住宅耐震改修証明書 |
耐震リノベーションの費用や施工事例、必要書類の増改築等工事証明書については次の記事で解説しているので、参考にしてください。
>> 耐震リノベーションの費用や施工事例はこちらから
>> 増改築等工事証明書とは?必要書類や何に使えるかを解説
省エネ化のためにリノベーションする場合
住宅の省エネ化を目的にしたリノベーションも、固定資産税の減額措置を受けられる可能性があります。
工事完了日から3ヶ月以内に必要書類を市区町村の窓口に提出すると、翌年度の固定資産税額から3分の1減額される仕組みです。
減額措置の対象となる省エネ改修工事は、窓の断熱改修が必須となっています。窓の断熱に加えて、床や天井などの断熱や太陽光発電装置の設置などが省エネ改修工事の例です。
固定資産税の減額措置の適用を受けるための要件は、次の表を参考にしてください。
対象工事 | ア.窓の断熱改修工事(必須) イ.床の断熱工事、天井の断熱工事、壁の断熱工事 ウ.太陽光発電装置の設置工事 エ.高効率空調機の設置工事、高効率給湯器の設置工事、太陽熱利用システムの設置工事 |
---|---|
要件 | ● 2014年4月1日以前から所在する家屋であること省エネ改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下であること ● 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること(ただし、賃貸住宅部分は控除対象外) ● 省エネ改修後の断熱改修部位がいずれも2016年省エネ基準相当に新たに適合 すること ● ア~エの合計額が税込60万円を超えていること(ウ、エの設備設置工事を行う場合は、ア及びアと併せて行うイの工事に充てた工事費用が税込50万円を超え、ア~エの合計額が税込60万円を超えていること) ● 2024年3月31日までに工事を完了すること |
必要書類 | ● 固定資産税減額申告書 ● 増改築等工事証明書 |
バリアフリー化のためにリノベーションする場合
新築後10年以上経過した住宅をバリアフリー化するためにリノベーションすると、翌年度の固定資産税から3分の1が減額されます。
耐震改修や省エネ改修と同じように、必要書類を工事完了日から3ヶ月以内に市区町村の窓口に提出しましょう。
固定資産税の減額措置を適用する要件や対象工事は、次の表の通りです。
対象工事 | ● 車椅子で移動するための通路・出入口の幅を拡張する工事 ● 階段を設置する工事 ● 勾配を緩和する工事 ● 浴室を改良する工事 ● 便所を改良する工事 ● 便所や浴室などに手すりを取り付ける工事 ● 便所や浴室などの段差を解消する工事 ● 便所や浴室などの床を滑りにくくする工事 ● 出入口の戸を改良する工事 |
---|---|
要件 | ● 当該家屋が、新築された日から10年以上を経過した家屋であること ● バリアフリー改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下であること ● 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること(ただし、賃貸住宅部分は控除対象外) ● 「65歳以上の者」、「要介護または要支援の認定を受けている者」、「障害者である者」のいずれかが居住していること ● 対象工事の工事費用が税込50万円を超えていること ● 2024年3月31日までに工事を完了すること |
必要書類 | ● 固定資産税減額申告書 ● 適用対象者の証明書(介護保険の被保険者の写し等) ● 補助金等の額が明らかな書類 ● バリアフリー改修工事の内容が確認できる書類 |
リノベーションで固定資産税が変わらないケース
リノベーションの規模や目的次第では、固定資産税が変わらないケースもあります。
固定資産税が変わらない可能性がある2つのケースを詳しく解説します。
● 住み続ける上で必要なリノベーションを実施した場合
● 建築確認申請が必要ない小規模なリノベーションを実施した場合
住み続ける上で必要なリノベーションを実施した場合
建物の経年劣化を回復するためのリノベーションを実施しても、固定資産税は変わりません。住み続けるために必要なリノベーションであり、原状回復は建物の価値が元に戻ると認識され、建物の評価が変わらないためです。
固定資産税に影響しない、原状回復を目的とした主なリノベーションの例は次の通りです。
● 外壁の塗りなおし
● はがれた屋根の補修
● 洗面台の配管工事
● 柱や梁の修繕
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建築確認申請が必要ない小規模なリノベーションを実施した場合
小規模なリノベーションには建築確認申請の必要はなく、固定資産税は変わりません。小規模とは、間取りを変更しないリノベーションや主要構造部に触れないリノベーションなどです。
建築確認申請の必要がないのは、次の条件に当てはまらないリノベーションです。
● 特殊建築物かつ、床面積の合計が200m²を超える
● 3階以上の木造建築物かつ、延床面積500m²以上、高さ13mまたは軒の高さが9mを超える
● 2階以上の木造建築物かつ、延床面積が200m²を超える
● 都市計画区域、準都市計画区域、準景観地区、指定区域内の建築物
出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp)
リノベーション後の固定資産税が確定する流れ・納税スケジュール
固定資産税が確定するのは、例年4月1日です。1月1日時点で所有している建物に対して固定資産税の納付が求められ、4月1日に固定資産税が記載された納税通知書が届きます。
固定資産税は3年ごとに評価替えが行われ、評価に応じて税額が増減するシステムです。
納税スケジュールは、例年次の通りです。
● 第1期:4月末日まで
● 第2期:7月末日まで
● 第3期:12月末日まで
● 第4期:翌年2月末日まで
詳しくは、納税通知書、または地方自治体のホームページを確認しましょう。固定資産税は地方税であるため、お住まいの自治体のホームページで詳しい案内が記載されています。
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リノベーションによる固定資産税への影響に関するよくある質問
リノベーションによる固定資産税への影響についてよくある質問は、次の3つです。
● リノベーションで固定資産税はどれくらい変わる?
● リノベーションとリフォームはどちらが良い?
● 新築・中古や戸建て・マンションで固定資産税は変わる?
どれも迷いやすいポイントであるため、あらかじめ疑問を解消しましょう。
リノベーションで固定資産税はどれくらい変わる?
リノベーションによって固定資産税がどれくらい変わるのかを正確に把握するのは、ほぼできないといわれています。
固定資産税が変化する条件は定められているものの、詳細な計算式は公表されていません。大まかな試算はできますが、リノベーションによって住宅の評価がどのように変化したかを明らかにするのは難しいのです。
リノベーションの目的が固定資産税にどのような変化をもたらすかを確認し、大まかな予想を立てた上で、納税に向けて計画を立てると良いでしょう。
リノベーションとリフォームはどちらが良い?
固定資産税の取り扱いは、リノベーションとリフォームで変わりません。どちらを実施したとしても、建物や土地の評価が変われば固定資産税額に変化があります。
ただ、リノベーションに比べるとリフォームは規模が大きいため、内容によっては固定資産税額が大幅に上がるかもしれません。
固定資産税を抑えたい方は、小規模または、耐震・省エネ目的のリノベーションを行うと良いでしょう。
新築・中古や戸建て・マンションで固定資産税は変わる?
固定資産税は建物や土地の評価によって変わるため、建物の状態や種類によって変化する場合があります。
固定資産税の計算で採用される再建築価格は、対象の建物を新築した場合の建築費なので、中古より新築の方が評価が高くなりやすいでしょう。
経年劣化も加味されるため、中古住宅は固定資産税が低くなる傾向があります。
>> 中古住宅について詳しくはこちら
>> 古民家再生リノベーションについて詳しくはこちら
戸建てとマンションの固定資産税を比較すると、マンションの方が高くなりやすいのが特徴です。マンションは土地よりも建物の割合が多いため、固定資産税の算出において建物の評価が影響しやすくなっています。
マンションは戸建てよりも耐用年数が長く設定されているため、建物の価値が維持されやすい点も特徴です。固定資産税が高い状態が続きやすくなっています。
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固定資産税の仕組みを理解してリノベーションを計画しよう
固定資産税は、建物の評価に応じて変化する仕組みです。
そのため固定資産税は、リノベーションの規模や内容によって増減する場合があります。
固定資産税が上がる可能性があるのが、大規模なリノベーションです。
耐震や省エネなど、特例に該当した場合は下がりやすいでしょう。
現状回復や小規模なリノベーションでは、変化しないケースもあります。
固定資産税は1月1日時点で所有している建物・土地を対象に課され、4月1日に納税額が決定する仕組みです。
固定資産税の仕組みを理解した上で、希望する内容や予算に合ったリノベーションを実現しましょう。
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