ホームインスペクション(住宅診断)とは
「ホームインスペクション」とは、「家の検査」という意味を表す言葉です。
「住宅インスペクション」と呼ばれることもあります。
住宅関係の業界では「住宅診断」を指す名称として使われており、住宅を購入する前に物件の現状を検査するサービスを主な業務としています。
アメリカでは、州によって異なりますが不動産取引全体の7~9割がこのホームインスペクションを行っており、最近では日本国内でも急速に普及しています。
「ホームインスペクション」では、プロの診断士が住宅を隅々まで検査し、修理が必要な箇所や欠陥を指摘したり、修繕の方法やおおよその費用などをアドバイスしたりします。
そのため、購入後に欠陥が発覚するトラブルを防ぎ、買い手が納得した上で売買の取引を行えるという大きなメリットがあるのです。
ホームインスペクター(住宅診断士)による診断
ホームインスペクションは「ホームインスペクター(住宅診断士)」と呼ばれる専門家によって行われます。
ホームインスペクターは、住宅診断はもちろん、建築や不動産の取引などに関する知識もあわせ持っており、中立的な立場でアドバイスをする専門家です。
2009年からは資格試験制度が設けられており、この資格の所有者だけが公認のホームインスペクターを名乗ることが許されています。
ホームインスペクションはどんなときに利用する?
家を購入するとき
主に中古住宅を購入したいとき、住まいとして最適な建築物をであるか診断してもらうことにより、安心して購入することができます。
また、購入後の耐久性やメンテナンス、適切なリフォームの仕方に関する話も聞くことができます。
家を売却するとき
中古物件を販売したい方にも、ホームインスペクションはおすすめです。
専門家が間に立って、安心・信頼できる住宅であると判断してもらえるため、不動産契約の前後に不安を抱えているユーザーに対して、自信を持って住宅を勧めることが可能になります。
ホームインスペクションは、物件の売買のために行うのが主流ではありますが、持ち家の戸建ての耐震・劣化具合などを診断してもらうことも可能です。
ホームインスペクションの診断項目
ホームインスペクションでは、主に以下のような箇所の診断を行います。
これによって、割れ・ひび・きしみ・しみ・腐食など、目視で確認できる異変が分かります。
【外回り】 |
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建物の基礎・外壁・屋根・軒裏などを診断します。 また、バルコニーや外階段がある場合は、それらの確認もします。 ぐらつきや傾きがないかなども入念に見てもらえます。 |
【室内】 |
壁・床・柱・天井などの状態を調べます。 さらに、サッシやドア、雨戸、シャッターなどの動作もチェックします。 シミや壁面のめくれ、階段の沈みやきしみなどもチェック内容に含まれます。 |
【床下】 |
土台や基礎の状態、虫食いやシロアリの痕跡など、特に中古住宅でトラブルになりがちな部位も、しっかり検査します。 木材含有水分率、部材や接合部の腐朽など、素人では判断しにくい細かいことまで査察します。 |
【設備】 |
給水・給湯・排水・換気・火災報知機などの設備も、ホームインスペクターに見てもらえます。 給水量不足や換気設備の動作不良などもわかります。 部分交換リフォームなどにすぐ対応できますね。 |
【小部屋・天井裏】 |
ロフトや収納スペースなどの小部屋、天井裏の梁などの場所にも点検作業が入ります。 換気ダクトの接続不良、火災などの跡の有無も、ここで判明します。 |
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ホームインスペクションのメリット
では、ここからはホームインスペクションを利用することで得られる、様々なメリットについてご紹介しましょう。
トラブルを回避したり、快適な住まい作りに活かせるメリットが理解していただけるはずです。
購入前に診断してもらえる
住宅購入における最大のトラブルは、欠陥住宅を購入してしまうこと。
ホームインスペクションは、購入前の物件も診断の対象となっているため、このようなトラブルを回避することができます。
また、診断時に同席することができるので、その場で詳細な提案を聞くこともできます。
契約後でも対応可能
もちろん、契約後の物件も診断の対象となります。
何か問題が見つかった場合は、売主との交渉に役立てることができます。
また問題点を指摘する際、ホームインスペクターが中立的な立場で一緒に談判してくれます。
住宅の種類を問わず受けられる
新築・中古・一戸建て・マンションなど、住宅の種類は問いません。
どのような住宅に対しても、適したホームインスペクションが用意されています。
住宅を購入する予定の方やリフォームを検討している方だけでなく、住居の売却を考えている方にも向いています。
居住中・購入前に関わらず、補修が必要な箇所がわかる
現在お住まいの住宅の場合は補修や修繕などの参考に、購入前の住宅の場合は、入居前にリフォームプランを立てることができます。
なおかつ、補修や改装を行う場合にかかる費用や相場を教えてもらえます。
専門家による診断を受けられる
専門的な知識のあるホームインスペクター(住宅診断士)が診断するため、より具体的なアドバイスが受けられます。
詳しい報告書が作成されるので、リフォーム工事を依頼する際にも円滑に打ち合わせができるでしょう。
希望のリフォームができるか見てもらえる
希望するリフォームプランが、現状の物件において可能かどうかを判断してもらえます。
また、どこにどの位のコストをかけるのが効率的か、一緒にイメージしてもらうのも良いですね。
ホームインスペクションの一般的な流れ
①問い合わせ・見積もり |
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まずは電話やホームページから、ホームインスペクションを依頼したい会社に問い合わせてみましょう。 診断内容や料金が希望に合うものかチェックします。 |
②診断日時を指定して申し込み |
診断内容・予算に問題がなければ、ホームインスペクションを実施してほしい日時を决定し、正式に申し込みます。 |
③書類の送付 |
必要書類(立面図や平面図など)を指定された場合は、事前に送る必要があります。 当日の確認でOKという場合もあるため、契約した業者からの指示に従いましょう。 |
④住宅診断の実施 |
現地で住宅診断を実施します。 当日は依頼主も立ち会って、ホームインスペクターからリフォームすべき箇所などのアドバイスを聞きましょう。 診断結果と合わせて、疑問点はこの機会にしっかり消化してくださいね。 |
⑤報告書の受け取り |
ホームインスペクターから報告書類が送付されるので、あらためて診断結果を確認しておきましょう。 質問したいことがあれば、問い合わせることも可能です。 |
⑥料金支払い |
以上の課程を無事に終えたら、料金を支払ってすべて完了です。 |
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ホームインスペクションの主な種類
ホームインスペクションには、主に以下のような種類があります。
診断を受けるタイミングやメリットなどがそれぞれ異なりますので、物件に見合ったタイプを選ぶことが肝心です。
【新築一戸建てホームインスペクション】 |
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新築一戸建てをこれから購入する方に適したタイプ。 診断結果によって、契約するかどうかを判断することができます。 粗雑に造られた建築物の購入を防ぎ、また売主側の主張が正しいかどうかも、ホームインスペクターが判断してくれます。 |
【中古一戸建てホームインスペクション】 |
中古一戸建てをこれから購入する方に適したタイプ。 欠陥住宅を購入するリスクを避けるだけでなく、リフォームの必要な箇所・費用などを具体的に知ることができます。 ハイレベルな検査と、100項目以上のチェックリストに基づき、中古戸建て購入時に起こりやすいトラブルを未然に防ぐことができます。 |
【中古マンションホームインスペクション】 |
中古マンションをこれから購入する方や、リフォーム・リノベーションのプランを立てたい方に適したタイプ。 欠陥マンションを購入するリスクを避け、リフォーム・リノベーションによってマンションの価値がどのように上がるのか、希望のリフォームに対応する物件かどうかを知ることができます。 |
【自宅一戸建て点検ホームインスペクション】 |
現在お住まいの一戸建てを診断してほしい方に適したタイプ。 住宅の安全性を確かめたり、リフォームか建て替えか悩んだときの判断基準が明確になります。 地震や近隣工事の影響がないか不安な場合や、売主の保証期間やアフターサービスの期限が近いときにもオススメです。 |
【自宅マンション売却ホームインスペクション】 |
自宅マンションを売却したい方に適したタイプ。 売却に不利になる点を把握できます。またホームインスペクションのレポートをがあることを、売却に出す際セールスポイントにできます。 レポート内容をそのまま買主に引き継げるのもメリットと言えるでしょう。 |
ホームインスペクションの費用と所要時間
ホームインスペクションにかかる費用は、会社や地域によっても異なりますが、目視のみの診断であれば5~7万円程度が相場と言われています。
この場合の診断の仕方は、床下や屋根裏を点検口などから覗く程度です。
機材などを使用した詳細な診断を行う場合は、一般的には10万円以上かかります。
床下と屋根裏まで進入し、移動ができる範囲内を調査します。
所要時間は、住宅診断を行いたい建物の規模や調査したい範囲にもよりますが、建物面積が100㎡程度であれば2~3時間かかると考えておきましょう。
床下・屋根裏にも入って見てもらうときは、さらに+1時間半位です。
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ホームインスペクションのタイミング
ホームインスペクションは住宅の購入後に行うことも可能ですが、やはりベストなタイミングと言えるのは「契約前」でしょう。
物件の契約後に住宅診断を行うことも可能ですが、万一欠陥が見つかっても契約解消が難しくなるケースもあります。
具体的に言えば、実際に見学して気に入った物件があったら、その場で一度、物件の「申し込み」だけをするのが良策です。
物件の「申し込み」は言わば、仮押さえをしてもらうようなもの。
申し込み時には、「買付証明書」「申込書」に記名・押印するのが一般的です。
「申し込み」の段階では、1~10万円程度の支払いが必要になりますが、飽くまでも契約前であるため、キャンセルおよび申込金の払い戻しの権利があります。
なお、「不動産売買契約書」という書類にまで記名・押印してしまうと、物件購入の支払い義務が発生してしまいますので、くれぐれもご注意を。
「物件の申し込み後のタイミング」でホームインスペクションを依頼すれば、物件を仮押さえした状態で、じっくり住宅診断をすることが可能なのです。
物件を申し込んだ後、かつ正式契約をする前にホームインスペクションを行った場合、以下のようなメリットがあります。
万一大きな問題が見つかったら、その物件をキャンセルできる前述の通り、申込金も払い戻し可能 |
(仮押さえはできているため)原則として他の方に物件を買われてしまうことがない |
住宅診断の結果リフォームしたい箇所があったら、その分の予算も組みやすくなる |
中古の戸建て・マンションをリノベーションしたいときや、新築の戸建てを購入する際には、ぜひおすすめしたい方法・タイミングです。
ちなみに、物件の申し込みをする前にホームインスペクションを依頼することも可能ではありますが、この場合は物件の仮押さえをしていないため、別の方に購入されてしまう可能性があります。
良い物件を見つけたときには気をつけましょう。
【物件の申し込み→ホームインスペクション→正式に契約】
という流れをスムーズに進められたら一番良いということですね。
そのためにも、住宅探しと同時にホームインスペクションを依頼する会社もきちんと検討しておくことが大切です。
ホームインスペクション会社選びの注意点
リフォーム会社・不動産会社の独自サービスに用心を
独自のサービスで、無料でホームインスペクションを行うリフォーム会社や不動産もあります。
しかし、ホームインスペクションの大前提は「第三者による」検査です。
物件売却や工事契約を有利にするために、自社内のスタッフが「この物件は安全でした」と言っているだけの危険性もあります。
もちろん親切心で行ってくれる事業者もたくさんありますが、本当にホームインスペクションを行いたいという気持ちがあるなら、なるべく別会社に依頼するのが無難かもしれません。
できればリフォーム会社や不動産会社の紹介業者ではなく、ご自身で実績のあるホームインスペクション会社を探すことが望ましいです。
説明はわかりやすいか・工事の押し売りはないか
ホームインスペクションを実際に行うことになり、現場に立ち会うときには、説明内容にわからないことがあれば、必ず質問しましょう。
内容を理解できないまま終えてしまっては、ホームインスペクションを実施した意味がありません。
親切に、誰にでもわかるように説明してくれる担当者に出会うことが理想的です。
逆に、頻繁に専門用語を使って主旨が伝わりにくい話し方をする会社には、依頼しない方が無難です。
また、やたらと「耐震工事・補強工事をしてください」と勧めてくるスタッフがいたら、リフォーム会社や不動産会社と癒着している可能性もあるため、警戒しましょう。
日本でもこれから、不動産売買において重要な役割となるはずの「ホームインスペクション」。
このようなサービスがあることを知っておくだけでも、家を売買したい時やリフォームしたい時に、大いに役立ちそうですね。
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