この記事の監修:
リフォームアドバイザー 山口 正和
一部上場の大手不動産会社にて、リフォーム営業を15年、新築注文住宅の提案を10年経験。
保有資格:古民家鑑定士、屋根外壁診断士など
ガスコンロのメリット
ガスコンロはおそらくどなたもご存じのものと思いますが、最新の機種は着々と進化し続けています。
便利そうだから、とIHに変えてしまうのはちょっと気が早いですよね。
五徳が外せて簡単に拭けるコンロや、全口センサーが付いて安全性が高くなったガスコンロも出回ってきました。
その上であらためてガスの良さと不便な点を確認してみましょう。
高火力バーナーを利用できる
ガスコンロの最大のメリットは、2口でも3口でも強火での調理が可能なことではないでしょうか。
「火力」という言葉があるように、電気にはできない最大の特徴かもしれません。
中華料理のようにあおりながら調理できる
当然のことと思うかもしれませんが、IH製品のほとんどは鍋をコンロから離した状態での調理ができません。
鍋をコンロから遠ざける調理をするなら、やはりガスが絶対です。
調理器具を選ばない
街で調理用品を探してみると「この商品はIHに対応していません」などと書かれたものも多く見かけますよね。
それに比べ、従来から使われてきたガスコンロは、使えない調理器具はほとんどないと言えるでしょう。
コンロに対応する鍋かどうかをいちいち確認する手間がありません。
停電時でも使用できる
停電時に強いのは、やはりガスです。
電気に一本化すると停電時に全ての機器が使用不可能になることもありえます。
電気ともガスとも、上手に付き合っていくのが理想なのかもしれません。
どの時間に使用してもガス代が同じ
ガス料金は 都市ガス・プロパンガスに関わらず、 どの時間帯に使用しても同じです。
一方、電気の料金プランは一般的に昼間は割高に、夜間は割安に設定されている場合が多く、光熱費を節約したい場合は料理をする時間に気をつける必要があります。
そのため、調理時にかかるランニングコストはガスコンロの方が管理しやすいです。
ガスコンロのデメリット
人間は昔から火を使い生活してきましたが、やはり火を取り扱う際には、適切な注意や安全対策が欠かせません。
ガスだからこそ気をつけたいことも、あらためて心にとめておきましょう。
火を扱うため、危険が伴う
火事や火傷の原因になりがちなのはガスコンロです。
特に、お子さんや高齢の方、ペットがいるご家庭ではいつも不安の要素になりますね。
ただ、最近のガスコンロは、Siセンサーで火が消える機能がついた製品も増えていますので、 ぜひさまざまなコンロの性能を見比べてみてください。
夏場はさらに暑くなりやすい
これは冬場のメリットでもありますが、火を使うと家の中の温度も上がります。
夏場など猛暑の時の料理は不快に感じることが多くなってしまいます。
手入れが大変
最近では掃除がしやすい商品も出てきたとはいえ、やはり 凹凸のあるガスコンロは掃除が面倒に感じやすいです。
平らなIHは比較的掃除がしやすいので、経験したらもうガスには戻れないと思う方もいるかもしれませんね。
IHのメリット
IHとはインダクションヒーティング(電磁誘導加熱)の略称です。
磁力線によって電流が起こり、金属製の鍋とコンロの間に接触による電気抵抗が起こり鍋自体を発熱させる仕組みになっています。
火を使わないからこそできることをここでチェックしてみましょう。
火を使わないため、安全性が高い
火を使わずに鍋だけを発熱させるため、火災になる危険性は低いです。
コンロから鍋をはずすと加熱がストップする設計なので、消し忘れの心配がありません。
清潔な状態を保ちやすい
ガスコンロと違いフラットな形により、吹きこぼれた時などに天板を一拭きするだけで済みます。
上昇気流が発生することもないので、ガスに比べて油や汚れが飛び散りにくくなります。
火の回りが早い
IHは火力が弱いというイメージを持たれやすいですが、立ち上がりが早く熱しやすいため、すぐに強火にすることもできます。
火力を楽な姿勢で確認できる
IHコンロの火力は、液晶画面などに表示されます。
屈んで火加減を見なくてはならないガスコンロと異なり、立ったままの楽な姿勢で火力の確認や調節が可能です。
IHのデメリット
電気調理にはできないことも、火にしかできないことも、案外たくさんあるものです。
便利な反面、どのようなデメリットがあるのか把握しておきましょう。
同時に強火の調理をすることが困難
IHは電力で調理しています。
内線規程で容量が決められているため、すべてのコンロを同時利用する際は、最大火力で強火を使えないことがあります。
また、油断するとブレーカーが落ちてしまうということもあるので、同時に複数のコンロを使用する際は、決められた電力消費量に収まるようにしましょう。
鍋振り料理に向かない
IHは鍋が直接IHプレートに触れていないと、火力が伝わらないです。
近年では光センサーなどを使用し、写真のように鍋振りを可能にしている製品も出ていますが、 まだ光センサーを搭載していない機種が多いのが現状です。
使用できる鍋が限定される
オールメタル対応のIHにした場合は ほとんどの鍋が使用可能ですが、初期費用がかかってしまいます。
標準のIHの場合、金属製で鍋底が平面になっているIH対応の鍋しか使用できないという不便さがあります。
基本的に鉄鍋とステンレス鍋はOKですが、土鍋やガラス鍋はオールメタルのIHを導入しないと使えません。
停電時に使用できない
IHは電気を使用するため、停電時には使用することができません。
台風や地震などの災害時には復旧までの時間がかかってしまい、特に冬場の食事の際は厳しい状況になることも。
使用直後は天板が熱いので注意
電気調理のIHは火が発生する危険はないものの、使用直後の天板はかなり熱いので、やはり注意は必要です。
鍋やフライパンを移動させた直後、うっかり天板に触れてしまうと火傷をしてしまう可能性があります。
高齢者の方などが一緒で心配な場合には、使用していないときにフタができるタイプの機種を選ぶとよいでしょう。
昼間は電気代が割高
ガスコンロのメリットでもお話しした通り、電気代は昼間の時間帯が割高な場合が多いです。
お昼に料理をすることが多いご家庭では、電気代が高くなりやすいかもしれません。
心配な方はご家庭の電気料金の契約内容を確認してみましょう。
今よりもお得な料金プランに変更できる可能性もあります。
IHによる電磁波が身体に悪影響を及ぼす、という噂を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
電磁波が発生しているのはたしかですが、IHクッキングヒーターから発せられる電磁波の数値は、
国際基準で定められた安全基準の数値を大幅に下回っているとのこと。
体に悪いという考えは下火になってきているようです。
まずは卓上コンロで試してみるという手段も
それぞれのメリットとデメリットを見てきましたが、それでもどちらが効果的なのかはやはり使ってみないと実感できないものかと思います。
どうしても迷うという方や、変えたいけどまだリフォームをする予算がないという方は、一度卓上コンロを使って試してみてはいかがでしょうか。
卓上コンロはダイニングテーブルで直接お鍋や焼き肉をしたい時にも活躍するので、保管場所さえ困らなければ一台あっても良いかもしれません。
IHとガスの電気代・ガス代比較
ここでは、IHとガスコンロのそれぞれにかかる電気代・ガス代を比較します。
東京電力のオール電化向けプランでIHを使用した場合と、都市ガス・LPガスでガスコンロで調理した場合の、1kWhあたりのランニングコストをもとに、次にまとめました。
電気の場合 (朝10時~夕方17時) | 約38.6円 |
電気の場合 (朝7~10時・夜17~23時) | 約25.9円 |
電気の場合 (深夜23時~朝7時) | 約12.2円 |
都市ガスの場合 | 約12.1円 |
LPガスの場合 | 約21.2円 |
(※1kWh(キロワットアワー/キロワット時)とは、1時間に1000W(=1kW)の機器を運転したときの消費電力量。)
電気やガスの料金は、お住まいの地域や電力自由化に伴う各会社のプラン、使うコンロの機種によって変動します。
特に電気の場合、契約している電気料金プランによって、使用する時間帯、つまりIHで料理をする時間によって大きく異なるケースがあります。
深夜帯や早朝にまとめて料理する方であれば、ランニングコストは電気も都市ガスも同じくらいですが、昼が多いご家庭の場合は、IHコンロでは電気代が高くなりやすいです。
とはいえ、1日で料理をする時間は限られていますので、光熱費は参考程度に、ご自宅にあうタイプを選んでみてください。
IH・ガスコンロの交換工事費用
交換する コンロの種類 | 本体価格+交換工事費の 合計額 |
---|---|
ガスコンロから ガスコンロへ交換 | 3万5千~18万円前後 |
IHから IHへ交換 | 5万~21万5千円前後 |
ガスコンロから IHへ交換 | 9~25万円前後 (要200V電源) |
IHから ガスコンロ | かなり高額のため 要見積もり (要ガス配管) |
それでは最後に、ガスコンロやIHクッキングヒーターを交換する際の費用相場について解説します。
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【ガスコンロからガスコンロへ交換】
既存のガスコンロを新しいガスコンロへ交換するときの工事費用は、 2万円前後です。
ガスコンロ本体は1万5千~16万円位なので、商品代金込みのリフォーム費用は3万5千~18万円程度かかります。
【IHからIHへ交換】
既存のIHクッキングヒーターを新しいIHへ交換するときの工事費用は、1万5千円前後かかります。
IHクッキングヒーターの本体価格は4~20万円が一般的のため、本体+工事費込みの費用は5万~21万5千円位が相場です。
【ガスコンロからIHへ交換】
ガスコンロを使用していたキッチンで、IHクッキングヒーターにリフォームする場合、工事費は5万円前後になります。
IHを使うためには200Vの電源が必要になりますが、元々キッチンに200Vの電源が設置されていない家庭が多いため、電源の増設工事も発生し、値段が余計にかかってしまいます。
このため、IH本体+工事費の合計金額は9~25万円程度になると見ておくと良いでしょう。
【IHからガスコンロ】
IHヒーターからガスコンロへ交換する場合の工事費用は、ガス管の有無によって変わるため、はっきりとした相場がありません。
元はガスコンロだったところをIHに一度リフォームし、再びガスコンロに戻したいという家であれば、たいていガス栓はまだ残っていると思います。
しかし、最初からIHだった住宅の場合は、ガスの配管工事だけで10万円は支払うことになるでしょう。
トータル費用がかなり高額になる傾向があるため、まずは見積もり依頼・現地調査をして予算の相談をすることをおすすめします。
いずれの場合も、交換したいコンロの本体価格によって合計金額が大きく変わります。
製品によっては、自動消火や、火加減を自動調節するおまかせ調理など、さまざまな機能が付加されています。
機器のグレードをよく検討して、リフォームを行いましょう。
調理の仕方に合わせてIH・ガスコンロを選ぼう
ガスとIH、それぞれの魅力と欠点を理解してもらえたでしょうか。
料理好きなら、生活の一部になるコンロは、使いやすいタイプを選びたいですよね。
ご自身に合ったコンロを選んで、調理をぜひ楽しんでみてくださいね。
どっちのタイプのキッチンがよいか迷ってしまう場合は、リフォーム業者へ相談してみると、ライフスタイルや希望にそった商品をアドバイスしてくれます。
【この記事のまとめ&ポイント!】
「ガスコンロ」と「IH」それぞれのメリット・デメリットは? |
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「ガスコンロ」のメリットは「高火力のバーナーが使用可能なこと」「調理器具を選ばないこと」などです。 一方で「火を扱うため危険を伴う」などのデメリットがあると言えるでしょう。 「IH」には「火を使用しないため安全性が高い」「清潔を維持しやすい」などのメリットがあります。 ただしデメリットとして「同時に強火の調理をするのが難しい」「使用できる鍋が限られる」といった面を持ちます。 |
ガスコンロとIHの、光熱費の差は? |
【東京電力のオール電化向けプランで「IH」を使用した場合】と【都市ガス、LPガスで「ガスコンロ」で調理した場合】の、ランニングコストの比較表をこちらに掲載しています。 深夜帯や早朝にまとめて料理をする方であれば、電気と都市ガスのは同等と言えます。 炊事の時間が昼になる場合は、電気代が高いためIHコンロのほうがお金がかかってしまいやすいです。 |
コンロを交換する工事の際にかかる費用は、いくら? |
「ガスコンロ→ガスコンロの交換」「IH→IHの交換」「ガスコンロ→IHへの交換」などの価格表を、こちらに掲載しています。 |
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