空き家の解体補助金は自治体から給付される

空き家解体の補助金給付制度がある自治体では、条件を満たすと補助金が給付されます。
給付額は自治体によって異なるものの、解体費用の1/5から1/2程度がほとんどです。
空き家解体の補助金の給付を行う主な理由は、「不法投棄・放火の防止や街の景観を守るため」、「近隣の住民に被害が及ばないようにするため」などです。
特に、古い空き家や近隣に悪影響を及ぼす恐れがある場合、国土交通省が示した「特定空き家」として自治体から認定され、支給対象になりやすいでしょう。
実は、各自治体が空き家解体に対する補助金を支給する背景として、国土交通省が大きく関係しています。
その構図について詳しく後述します。
国土交通省の補助金は自治体が対象

近年増加する空き家問題の深刻化を受け、2015年に国土交通省は「空き家対策総合支援事業」を実施し、各自治体へ支援を行う取り組みを開始しました。
この取り組みにより、国から各自治体に支援金の一部が支給され、個人が解体を行う際に各自治体から補助金が給付されるようになりました。
したがって、解体に伴う補助金を受ける際は「自治体から給付される」のです。
空き家解体に利用できる補助金の上限は100万円

空き家解体に利用できる補助金の上限は「約100万円」です。
ただし、各自治体によって補助金の上限は大きく異なるため、上限額100万円は目安にすぎません。
一般的に、解体工事に要した費用の何割か、または上限何万円までなどと定められています。
自治体によって補助金の額は異なり、すべての地域が対象ではないですが、支援してもらうと負担は軽減されるでしょう。
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空き家解体に利用できる補助金の例

本章では、空き家解体時に利用できる補助金の上限や条件についての事例をいくつかピックアップしました。
ここでは下記自治体の例をご紹介します。
● 大阪市の場合
● 埼玉県久喜市の場合
● 愛知県岡崎市の場合
● 北海道札幌市の場合
なお、お住まいの地域で補助金があるかについては、自治体に直接問い合わせることが確実です。
「地方公共団体による空き家対策支援制度検索サイト」でも確認できます。
大阪市の場合
大阪市の補助金の上限や条件は次の通りです。
大阪市の場合 | |
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制度名 | 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度 |
補助金額 | 75~200万円(解体に要する費用の1/2~2/3) |
条件 | ● 昭和25年以前に建てられた木造住宅 ● 幅員が4m未満の道路に面する敷地 ● 賃貸住宅の場合、入居者の同意が得られたものに限る ●大阪市が定める「対策地区」または「重点対策地区」に該当するか |
※「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」(大阪市) を加工して作成
大阪市の場合、住宅が建てられた年や構造、市が定めている特定の地域に該当しているかなどが主な条件だとわかります。
埼玉県久喜市の場合
次に、埼玉県久喜市の補助金の上限や条件は次の通りです。
埼玉県久喜市の場合 | |
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制度名 | 久喜市空家等除却補助金 |
補助金額 | 次のどちらか低いほうの金額で上限30万円 ● 工事費の4/5に相当する ● 補助対象の空き家などの延べ床面積に27,000円乗じる |
条件 | ● おおよそ1年以上居住や使用がない木造住宅 ● 市が定めた基準に認定された特定空き家、不良空き家、条件不利空き家などのいずれかに該当する市内の空き家 |
埼玉県久喜市の場合は、市が定める基準として、空き家の状態や外部への衛生面・安全性などを中心とした条件になっています。
愛知県岡崎市の場合
愛知県岡崎市の補助金の上限や条件について次の通りです。
愛知県岡崎市の場合 | |
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制度名 | 空き家除却事業費補助金 |
補助金額 | 上限10万円 (建物の除却の工事費用の1/2まで) |
条件 | ● 市街化区域内にあり、落下または倒壊により歩行者などに危害が及ぶ恐れがある空き家 ● 延べ面積の1/2以上が居住に使用されていたもの ● 木造のつくりであるもの ● 所有権以外の権利の設定がないもの ● 建物の解体に他の補助金の交付を受けていないもの |
愛知県岡崎市の場合は、空き家のつくりや状態の危険性に加えて、他の補助金と併用がないかなども主な条件となっています。
北海道札幌市の場合
北海道札幌市の補助金の上限や条件については次の通りです。
北海道札幌市の場合 | |
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制度名 | 札幌市危険空家等除却補助制度 |
補助金額 | 【通常型】 ※下記のうちのいずれか低い額 ● 上限:50万円 ● 空き家などの解体工事費の1/3 ※その他条件あり。 【地域連携型】 ※下記のうちのいずれか低い額 ● 上限:150万円 ● 空き家などの解体工事費の9/10 ※その他条件あり。 |
条件 | ● 札幌市内にある1年以上使用されていない空き家 ● 札幌市が行う事前確認にて危険性がであると判断を受けた空き家の解体工事を行う場合 ● 解体工事費に関して他の補助金などの交付を受けていない ※その他条件あり。 |
北海道札幌市の場合、空き家解体の工事を行う時を中心とした条件になっております。
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空き家解体の補助金を給付してもらう流れ

空き家解体の補助金を給付してもらうには、申請や給付のタイミングを理解することが大切です。
結論からお伝えすると、申請するタイミングは「工事着工前」ですが、給付されるのは「工事終了後」になります。
また、空き家解体の申請をしても、確実に補助金の対象になるわけではありません。
自治体による審査を通過すると、補助金を受け取ることが可能です。
本章では、補助金を受け取る方法について解説します。
補助金申請を解体前に行う
補助金を受け取るにはまず、解体前に申請を行います。
各自治体では年度ごとに予算と枠が限られていたり、申請期間が定められていたりするのです。
例えば、富山県の場合は「2023年4月3日〜11月30日まで」と申請期間が定められています。
また年度ごとに予算が決められている場合、年度末までに解体工事を終えておくことを条件とするケースもあるのです。
空き家解体の補助金を申請する際は、条件を確認した上で「必ず解体前に申請」を行いましょう。
補助金給付対象かの審査を自治体から受ける
補助金は、自治体による審査に通過すると受け取れます。
審査内容は、「空き家がどのくらい老朽化しているか」「近隣への危険性は高いのか」などです。
現地に赴いて調査をするため、すぐに結果はわからず、1ヶ月ほどかかることもあります。
混み合っている場合は、さらに日数を要することも予想されるので、余裕を持って動きだすことが大切です。
業者に解体してもらう
各自治体では、解体業者が解体することを条件としているケースが一般的です。
なかには、市内の業者に限定している自治体もあります。
空き家を解体する際は、一定の期間内での手続きや書類の提出が必要です。
届出を怠った場合などは罰金を課せられることがあります。
一般的には、解体業者が必要な手続きを代行するため、きちんとした業者に依頼すると安心です。
解体業者を見つける際は、1社だけでなく複数社を比較しながら検討すると良いでしょう。
自治体へ必要書類を提出して補助金を給付してもらう
解体工事終了後、自治体へ必要な書類を提出して補助金を給付してもらいます。
そのため、最初は費用を全額自分で用意することになります。
自治体に必要な書類をあらかじめ確認しておき、解体業者で準備できるものは依頼しておきましょう。
多くの場合、領収書や証明書などが必要です。
最終的な工事費用をもとに補助額が決まります。
補助金を受け取るのは工事完了後と認識しておきましょう。
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空き家解体をする際の注意点

空き家を解体する際の注意点は下記の通りです。
● 補助金の条件は自治体によって異なる
● 空き家以外は基本補助金が出ない
● 土地の固定資産税・都市計画税の減免措置が受けられなくなる
それぞれチェックしていきましょう。
補助金の条件は自治体によって異なる
空き家解体で利用できる補助金の条件は、各自治体によって異なります。
全国のさまざまな自治体で設けられている制度ですが、条件や補助額は一律ではありません。
また、給付制度がない自治体もあります。
したがって、まずはお住まいの役所に事前の確認をしましょう。
空き家以外は基本補助金が出ない
基本的に対象となる空き家にしか補助金は給付されません。
空き家を解体する際は、一緒にブロック塀や瓦礫撤去をすることもあるでしょう。
これらは空き家解体に伴う給付対象とならないため、依頼する当人が全額負担になります。
ただし、自治体によってはブロック塀や瓦礫撤去費用を別の補助金として給付しているケースもあるため、事前に確認することをおすすめします。
費用負担を軽減できる可能性もあるので、役所に問い合わせてみましょう。
土地の固定資産税・都市計画税の減免措置が受けられなくなる
土地に対する固定資産税(住宅用地)や都市計画税は、特例措置により減税されています。
住宅用地とは、住居のための建物とその敷地として利用されている一画地の土地のことです。
空き家解体を行うと特例措置の適用外となり、固定資産税や都市計画税の減免措置が受けられなくなります。
なので、解体後の固定資産税や都市計画税の負担額は、大幅に増す場合があることを把握しておきましょう。
管理できない空き家を放置したときの罰金リスク

管理できない空き家を放置すると、罰金が科せられたり税金の負担が増えたりする場合もあるため注意が必要です。
国が施行した「特定空き家」に指定され、放置すると最大50万円以下の過料が科せられることがあります。
特定空き家とは、放置すると地域社会に危険を及ぼし、衛生上有害となる恐れがある空き家のことです。
各自治体は、特定空き家に対して状況を改善するよう「助言・指導」できます。
それでも状態が改善されなければ「勧告・命令」を行い、命令違反をすると罰金が科せられます。
かつて特定空き家施行前の固定資産税は、1/6に軽減されていましたが、現在では適用外となり、大幅な増税は避けられません。
空き家を放置すると、税金の支払額が増えるだけでなく、最悪の場合罰金も支払うなどの問題に直面することも考えられます。
空き家解体の着工には時間がかかるため、早めに解体業者を決めたり、自治体に申請したりしましょう。
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空き家の解体に関するよくある質問

最後に、空き家の解体に関するよくある質問をまとめました。
● 空き家の解体費用はいくら?
● 空き家を解体したことで税金はどうなる?
空き家の解体費用はいくら?
空き家の解体費用は建物の構造によって異なります。
構造別の解体費用は次の通りです。
空き家の構造 | 解体費用の相場 |
---|---|
木造 | 3~5万円/坪 |
鉄骨造 | 4~6万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 6~8万円/坪 |
また、空き家の解体にかかる費用は高額になるため、できるだけ抑えたいと思うのが本音ではないでしょうか。
空き家の解体費用を抑えるための「3つの裏ワザ」については、下記の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
>> 空き家の解体費用はいくら?補助金の利用条件も徹底解説空き家を解体したことで税金はどうなる?
先の通り、建物が残っている空き家については固定資産税と都市計画税が減額されます。
ただし、空き家を解体し更地にすると通常の固定資産税を支払うことになるため、翌年の税負担は高額になります。
ここでは、固定資産税評価額4000万円の土地、1,500万円の建物で、敷地面積100㎡の空き家の固定資産税を例に見ていきましょう。
建物が残っている場合 |
---|
4,000万円×1/6×1.4%=約93,333円 1,500万円×0.3992×1.4%=83,832円(築25年の経年減価補正率の場合) 固定資産税は『177,165円』となる |
更地にすると |
4,000万円×70%×1.4%=392,000円となる ※上記の計算式「70%」は、更地の場合固定資産税評価額の70%が課税評価額になるため。 |
更地にすると1/6の減税措置がなくなるため、土地の固定資産税は大幅に増額することを覚えておきましょう。
空き家解体前に自治体の情報をチェック

本記事では、空き家解体の補助金制度や注意点について詳しく解説しました。
各自治体が定める条件や金額は異なりますが、補助金の上限額は最大100万円程度が相場になります。
解体に伴う費用負担は大きいことからも、補助金があるのはありがたい制度です。
ただ、補助金を受け取るには工事着工前に申請を行い、自治体の審査を受ける必要があります。
給付は工事終了後である点も覚えておきましょう。
補助金を受け取るには時間を要するため、早めに行動することをおすすめします。
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