空き家解体の補助金は国土交通省から?自治体から50万円以上も可能

更新日:2024年10月10日

空き家の写真を背景に私用したサムネイル画像

空き家の解体には、自治体から補助金(助成金)が利用できる場合があります。解体工事の費用は30坪で平均90〜240万円と高額になるため、上手く活用することで費用を抑えられるでしょう。
本記事では、空き家の解体工事に利用できる補助金制度の例・金額・条件・申請の流れについて解説します。注意点や解体以外の空き家活用方法もご紹介していますので、参考にしてみてください。

空き家の解体補助金は自治体から給付される

空き家の解体補助金給付の流れは、国土交通省→自治体→補助金申請者

空き家解体の補助金制度がある自治体では、条件を満たすと補助金が給付されます。

給付額は自治体によって異なるものの、解体費用の1/5から1/2程度がほとんどです。

空き家解体の補助金の給付を行う主な理由は、「不法投棄・放火の防止や街の景観を守るため」、「近隣の住民に被害が及ばないようにするため」などです。

特に、古い空き家や近隣に悪影響を及ぼす恐れがある場合、国土交通省が示した「特定空き家」として自治体から認定され、支給対象になりやすいでしょう。

国土交通省の補助金は自治体が対象

近年増加する空き家問題のため、国土交通省は「空き家対策総合支援事業」により、各自治体へ支援を行う取り組みをしています。

この事業により、国から各自治体に支援金の一部が支給され、個人が解体を行う際に各自治体から補助金が給付されるのです。

空き家解体に利用できる補助金の上限は100万円

空き家の解体補助金の上限額は20~100万円。

空き家の解体に利用できる補助金額の上限は、平均で20〜100万円の範囲となっている地域が多いです。

ただし、各自治体によって上限金額には大きな差があります。

また、補助金額だけでなく、「解体工事に要した費用の何割を補助するか」といった助成率も、自治体ごとに異なります。

お住まいの地域で、空き家解体の補助金(助成金)制度が実施されているかについては、公式ホームページや窓口で確認してください。

【2024年版】空き家解体に利用できる補助金の例

ここでは、実際に各自治体で実施している空き家解体の補助金制度の例について、次の地域をご紹介します。

(※記載している情報は、2024年10月時点のものです。)

【2024年版空き家解体に利用できる補助金(助成金)制度の例】
東京都墨田区「老朽危険家屋除却費等助成制度」
埼玉県久喜市「久喜市空家等除却(解体)補助金」
茨城県日立市「空き家解体補助金(利活用型)」
北海道札幌市「札幌市危険空家等除却補助制度」

補助金額や利用する際の条件はどんな内容なのか記載していますので、参考にしてみてくださいね。

なお、お住まいの地域の空き家解体補助金制度については、窓口だけでなく「地方公共団体による空き家対策支援制度検索サイト」でも確認できます。

東京都墨田区の場合

東京都墨田区の「老朽危険家屋除却費等助成制度」では、墨田区内にある「不良住宅」(※)に認定された空き家を除去する際、費用の一部を助成しています。

(※不良住宅:住宅の状態を評価した結果、不良度が100点以上とされたもの。)

主な条件と補助金額について、次にまとめました。

助成対象の条件 ● 除去対象の空き家を所有している方
(宅地取引・不動産業者以外の中小企業も対象)
● 空き家を全部解体し、更地にする工事
● 助成承認後に着工し、助成年度の2月末までに工事を完了させること

(※その他条件あり)

助成率 助成費用の1/2の金額
助成金額の上限 50万円
(※空き家の場所や状態によっては、上限100〜200万円。)

※参考:「老朽危険家屋除却費等助成制度」(東京都墨田区)

埼玉県久喜市の場合

埼玉県久喜市「久喜市空家等除却(解体)補助金」は、市内にある1年以上使われていない木造の空き家を解体する際に、費用の一部を補助します。

助成対象の条件 ● 「特定空き家」「不良空き家」「条件不利空き家」のいずれかの条件にあてはまる木造の建物
● 久喜市内に住む空き家を所有している方、もしくは相続人の方
● 久喜市内の解体業者を利用して、交付決定後に着工し、2024年12月31日に終了する工事

(※その他条件あり)

助成率 対象費用の4/5の金額
助成金額の上限 上限30万円とする、次のいずれか低い金額を補助する

1. 補助率に相当する金額
2. 解体工事対象の空き家の延べ床面積に2万7千円を乗じた金額

※参考:「久喜市空家等除却(解体)補助金について」(埼玉県久喜市)

茨城県日立市の場合

茨城県日立市「空き家解体補助金(利活用型)」は、日立市内の解体業者を利用して、老朽化により危険性がある空き家を解体する際に、費用の一部を補助します。

助成対象の条件 ● 解体時から1年以上使用されていない戸建て住宅または併用住宅の空き家
● 上記の空き家を所有または相続した方
● 解体費用が50万円以上で、空き家とその敷地内にあるものをすべて撤去し、更地にする工事

(※その他条件あり)

助成率 対象費用の1/3の金額
(※通常型の場合)
助成金額の上限 50万円

※参考:「空き家解体補助金(利活用型)」(茨城県日立市)

北海道札幌市の場合

北海道札幌市「札幌市危険空家等除却補助制度」では、札幌市内にある。倒壊や飛散などの危険性がある空き家を解体する際の費用の一部を補助します。

※2024年度札幌市危険空家等除却補助制度につきましては、9月30日に申請期間が終了しました。
詳しくは公式ホームページをご確認ください。

助成対象の条件 ● 札幌市の事前調査により危険性があると判断され、条件を満たした空き家の解体工事
(解体後は更地にすること)
● 解体する空き家を所有もしくは相続している方
● 2024年度の該当の制度を申請していない方
● 対象の費用に別の補助金制度を利用していないこと

(※その他条件あり)

助成率 対象費用の1/3の金額
(※通常型の場合)
助成金額の上限 上限50万円とする、いずれか低い金額を補助する

1. 補助率の金額
2. 国が定める対象費用×延べ床面積×8/10の金額
3. 上限金額

※参考:「札幌市公式ウェブサイト」(北海道札幌市)

補助金制度の条件は主に「市内の施工業者を利用する」「補助金交付決定後に着工する解体工事」があげられます。

細かい条件のある制度もあるので、しっかり確認することが大切です。

内容に関して不安な方は、補助金制度に詳しい施工業者へ相談してみることをおすすめします。

空き家解体の補助金を給付してもらう流れ

空き家解体補助金の申請手順は、申請→審査→着工→給付。

空き家解体の補助金を利用する際、申請に必要な書類やタイミングを把握することが大切です。

本章では、空き家解体の補助金交付の流れを解説します。

補助金の交付申請は解体工事前に行う

補助金の交付申請は、ほとんどの場合、解体工事の前に行う必要があります。

申請のタイミングを誤ってしまうと、着工後の工事は対象外となり、補助金が受け取れなくなる場合があります。

また、補助金には年度ごとに申請期間が設けられていますが、予算の上限に達すると受付が終了する場合もありますので、早めの確認と申請をおすすめします。

自治体の補助金給付対象の審査を受ける

補助金は、自治体による審査に通過すると受け取れます。

審査内容は、「空き家がどのくらい老朽化しているか」「近隣への危険性は高いのか」などです。

現地に赴いて調査をするため、すぐに結果はわからず、1ヶ月ほどかかることもあります。

混み合っている場合は、さらに日数を要することも予想されるので、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。

解体工事を行う

各自治体では、市内の解体業者が解体することを条件としているケースが一般的です。

空き家を解体する際、一定の期間内での手続きや書類の提出が必要です。
届出を怠った場合などは罰金を課せられることがあります。

基本的に、解体業者が必要な手続きを代行するため、きちんとした業者に依頼すると安心です。

自治体へ必要書類を提出後に補助金が給付される

解体工事が完了した後、自治体へ完了報告を行い、必要な書類を提出することで、補助金が給付されます。

基本的には領収書や証明書が求められますが、自治体によって必要な書類が異なることがあります。

提出書類を事前に確認し、解体業者に準備を依頼できるものがあれば、早めに依頼しておくとよいでしょう。

補助金は工事完了後に支給されるため、先に解体費用の支払いが必要となります。

申請準備だけでなく、資金計画も余裕をもって行いましょう。

空き家解体をする際の注意点

空き家解体補助金の3つの注意点

空き家解体の補助金を利用する際は、次の注意点を把握しておきましょう。

補助金の条件は自治体によって異なる

空き家解体で利用できる補助金の条件は、各自治体によって異なります。

全国のさまざまな自治体で設けられている制度ですが、条件や補助額は一律ではありません。

補助金制度の条件に関して、不明点があれば窓口で直接問い合わせるのがよいです。

また、給付制度がない自治体もありますので、まずはお住まいの自治体の窓口で事前に確認をしましょう。

>> 解体工事の補助金について詳しくはこちら

自治体によって対象となる工事内容が異なる

基本的に、空き家を解体する際、ブロック塀や樹木、瓦礫の撤去も含めて更地にする場合、これらが補助金の対象となることがあります。

ただし、自治体によって補助金の対象範囲は異なるため、事前に確認することが重要です。

一部の自治体では、ブロック塀や瓦礫の撤去費用を別の補助金として給付しているケースもあるため、役所に問い合わせてみると、費用負担を軽減できることもあります。

>> ブロック塀の解体撤去について詳しくはこちら!

土地の固定資産税・都市計画税の減免措置が受けられなくなる

空き家がある土地は、住宅用地として特例措置により固定資産税や都市計画税(※)が減税されています。

住宅用地とは、住居として使用されている建物と、その敷地を指します。

空き家を解体すると、減税対象の土地は特例の適用外となり、税金が増えることになります。

解体後は税負担が大きくなる可能性があるため、事前に確認しておくことが大切です。

(※都市計画税:固定資産税とは別に、市街化区域内にある土地や建物に課される税金のこと。)

>> 空き家の固定資産税について詳しくはこちら!

空き家を放置すると罰金が発生?リスクと回避方法

空き家を放置した場合のリスク

管理できない空き家を放置すると、罰金や税負担が増えることがあります。

さらに、自治体からの勧告や命令に違反すると、追加の罰金が科せられます。

特に、地域に危険を及ぼす恐れがある特定空き家に指定された場合は、最大50万円の過料が発生するため注意が必要です。

解体には時間がかかるため、早めに業者を決めて自治体に申請を行いましょう。

空き家を解体した後・解体以外での活用方法はある?

空き家を解体して更地にした後、今後の活用方法について不安になることがありますよね。

「工事費用が高額だから、解体以外の解決策はないか?」と考える方も多いでしょう。

空き家の活用には、主に「更地にする」または「解体せずに活用する」2つの方法があります。

更地にすれば駐車場や建物の敷地としての貸し出しや、土地を売却できます。

解体しない場合、中古住宅として売却や賃貸、コンビニやカフェなどへの転用が可能です。

どちらも補助金や税制優遇などの支援制度がある場合があります。

選択に迷う方は、まずは自治体の窓口や不動産専門家に相談してみましょう。

空き家の解体に関するよくある質問

最後に、空き家の解体に関するよくある質問をまとめました。

空き家の解体費用はいくら?

空き家の解体費用は建物の構造によって異なります。

構造別の解体費用は次の通りです。

空き家の構造 解体費用の相場
木造 3~5万円/坪
鉄骨造 4~6万円/坪
鉄筋コンクリート造(RC) 6~8万円/坪

>> 空き家の解体費用はいくら?補助金の利用条件も徹底解説

空き家を解体したことで税金はどうなる?

先の通り、建物が残っている空き家については固定資産税と都市計画税が減額されます。

ただし、空き家を解体し更地にすると通常の固定資産税を支払うことになるため、翌年の税負担は高額になります。

ここでは、固定資産税評価額4000万円の土地、1,500万円の建物で、敷地面積100㎡の空き家の固定資産税を例に見ていきましょう。
(※計算式をわかりやすくするため、こちらの箇所のみ算用数字で記載。)

建物が残っている場合
4,000万円×1/6×1.4%=約93,333円
1,500万円×0.3992×1.4%=83,832円(築25年の経年減価補正率の場合)
固定資産税は『177,165円』となる
更地にすると
4,000万円×70%×1.4%=392,000円となる
※上記の計算式「70%」は、更地の場合固定資産税評価額の70%が課税評価額になるため。

更地にすると1/6の減税措置がなくなるため、土地の固定資産税は大幅に増額することを覚えておきましょう。

>> 更地にする工事費用ついて詳しく知りたい!

空き家解体前に自治体の情報をチェック

古い倉庫の解体前の写真

本記事では、空き家解体の補助金制度と注意点について解説しました。

補助金の上限は自治体によりますが、一般的には最大100万円程度なので、費用負担を軽減するためにも、補助金制度をうまく活用しましょう。

解体業者に見積もり依頼をする際、補助金制度を利用したい旨を伝えることで、希望にそった工事プランも提案してくれます。

また、工事や補助金制度の内容に関して不安がある方も遠慮なく質問し、専門的な観点によるアドバイスを受けると安心して解体工事の計画が立てられるでしょう。

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