雨樋修理にかかる費用は?自分でできる修理方法と業者の選び方

更新日:2024年09月09日

雨樋修理にかかる費用は?

雨樋の修理は、破損や劣化を見つけたら早めに行いましょう。放置すると、家全体の老朽化を早める原因につながります。
この記事では、雨樋が壊れる主な原因とその対処法、修理にかかる費用を解説します。
さらに、自分でできる雨樋修理の方法や、修理業者の選び方についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修:
一級建築士 平井 淳一

建築設計士、リフォームアドバイザー、現場管理者、営業として35年活動。

リフォームの経験や知識を生かして役立つ情報をお届けします。

雨樋とは・雨樋の役割

雨樋の場所

雨樋(あまどい)・樋(とい)とは、屋根面を流れていく雨水を集めて、下水や地上へ誘導する設備のことです。

腐食の原因となる雨水が、住宅に侵入することを防ぐ重要な役割を果たします。

雨樋がないと、雨水が屋根から外壁に直接流れてしまい、外壁がすぐに劣化してしまいます。
また、屋根から地面に直接水が落ちていった場合にも、建物の基礎が老朽化しやすくなるのです。

雨樋は、普段はあまり気にすることがない箇所かもしれませんが、実は住宅全体を守るために大切なものなのです。

雨樋の種類と特徴

雨樋には形状や素材の種類がいくつかあります。

雨樋の修理や交換について詳しく解説する前に、それぞれどのような特徴があるのかご紹介していきます。

雨樋の素材

雨樋の素材で違いが出るのは、主に耐久性と価格です。

交換後のメンテナンスのことも考えて、選ぶようにしましょう。

雨樋の素材4種と特徴、塩化ビニール樹脂:軽量で低コスト・経年劣化でひび割れなどが見られる、合成樹脂:塩化ビニールより耐久性と価格がやや高い、ガルバリウム鋼板:軽量でさびにくく耐久性が高い、銅:価格は高いが頑丈

雨樋の形状

雨樋の形状によって、流水量や価格が異なります。

お住まいの地域の降雨量や積雪量に応じて、適切な形状の雨樋を設置しましょう。

雨樋の形状_角型・箱型:断面積が大きく流水量も多い、降水量が多い地域でおすすめ、新築などで増えてきている。丸形・半丸形:最も一般的な雨樋の形状、安価。特殊型:豪雪地帯などで多く採用される雨樋の上に覆いのあるタイプなど、雪や落ち葉などでの詰まりを防げる。

雨樋の修理・交換は自分でできる?

DIYをしようとする女性

雨樋の修理・交換を検討している場合、価格を抑えるためにDIYを考える方もいらっしゃいますが、基本的にはおすすめできません

ですが、修理を行う位置や状態によっては、自身で対処が可能な場合もあります。

思わぬ怪我や事故を防止するためにも、DIYで対処が可能な範囲をしっかり把握しておきましょう。

自分でできる修理

まず前提として、2階や3階のような高所の修理は転落の恐れがあるため、無理をせず業者に依頼するようにしてください。

小さな穴や亀裂がある場合

小さな穴や亀裂を修理する手順_1.準備:破損部分を研磨紙などで磨き、表面の汚れやゴミを取り除く。2.清掃:研磨した部分を拭き、乾燥させる。3.補修:シーリング剤を付けて表面を平らにする。4.乾燥:シーリング剤の指示に従って完全に乾燥させる。
用意するもの

● シーリング剤
● ヘラ
● 研磨紙
● クリーニングクロス

まずは、研磨紙やクリーニングクロスなどを使い、表面の汚れやゴミを取り除きます。

シーリング剤を破損部分に付けて、ヘラなどで表面を平滑にしましょう。

シーリング剤に記載された指示通りに乾燥させれば、完成です。

雨樋が外れかけている場合

外れかけた雨樋を修理する方法_1.準備:新しいブラケットの取り付け位置を決定。2.取付:ブラケットを固定するための穴を開けてネジで雨樋を固定。3.確認:雨樋がしっかりと支えられていることを確認、必要であれば追加のブラケットで補強。
用意するもの

● 雨樋ブラケット(雨樋を壁や屋根に固定するための金具のこと)
● ネジ
● ドリル、またはドライバー

ドリルを使用して、新しいブラケット(金具)を取り付けて固定します。

強度が足りない場合は、追加でブラケットを取り付けて補強しましょう。

雨樋が大きく破損している場合

大きく破損した雨樋を修理する手順、1.準備:破損した雨樋セクションを取り外し新しいセクションを必要な長さに切断。2.接続:新しいセクションを接続用のパーツで固定。3.固定:シーリング剤・ネジでしっかり密封。4.確認:雨樋に水を流して漏れが無いか確認。
用意するもの

● 新しい雨樋セクション(部分用で区切られた雨樋のこと)
● ハンドソー(必要に応じて)
● 接続用のパーツ
● シーリング剤
● ネジ
● ドリル

破損した雨樋を取り外して、新しい雨樋セクションを取り付けます。

接続用のパーツで固定して、接続部分をシーリング剤とネジでさらに固定しましょう。

このとき、雨水が漏れないようにしっかりと密封してください。

最後に、修理した雨樋に水を流して、水漏れが起きないかを確認するといいでしょう。

いずれの場合も補修が不十分だと、外壁などの構造部の劣化につながる恐れもあるため、破損の程度が大きければ、プロの業者に依頼するほうが確実です。

業者に依頼したい修理

高所の作業が必要な場合

雨樋修理をする業者

前述の通り、高所の作業が必要になる場合は、DIYではなく業者に依頼するようにしましょう。

ご自身で足場をレンタルしたり購入することも可能ですが、コストが高くつく場合があります。

また、高所作業には慣れが必要で、安全性を考慮するとプロに依頼した方が安心です。

広範囲にわたる修理・交換の場合

屋根の上での作業

経年劣化による破損や不具合の場合は、部分的な修理ではなく、雨樋全体の交換などを検討する必要があります。

広い範囲の修理・交換は、時間と労力がかかる上に、必要な材料の量も多くなります。

専門業者であれば、材料を大量に安価で仕入れることが可能なため、DIYではなく業者に依頼したほうが費用も安く抑えられるでしょう。

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業者に依頼する場合の費用相場

業者に依頼する場合の費用相場

雨樋を一部修理する場合と全体を交換する場合では、かかる費用が大きく異なります。

工事内容別の費用相場の表で見ていきましょう。

雨樋の交換・修理(1m) 3~5千円前後
雨樋の継ぎ手の補修(1ヶ所) 5千~2万円
雨樋の清掃 1~3万円
雨樋の全交換(全体) 15~60万円

たいていのリフォーム会社では、雨樋本体交換は1m単位、修理は1ヶ所単位で工事費を計算しています。

ただし、雨樋は基本的に屋根の近くにあるので、足場設置費がプラスでかかることも多いです。
足場設置が必要な場合は、「足場の組立て等作業主任者」を雇わなくてはいけないため、人件費もそれなりにかかることは覚悟しておきましょう。

>> 足場の費用・単価はどれくらい?

雨樋修理の費用を抑える方法

雨樋の修理・交換の費用を抑える方法は主に3つです。

破損や劣化を発見したら早めに修理をする

錆びて劣化した雨樋

雨樋の破損や劣化を放置すると、建物の寿命を縮めてしまいます。

雨漏りはしていなくても、雨樋の劣化を発見したら、早めにリフォームを実施しましょう。

状態がどんどん悪化してしまうと、他の箇所にも影響しやすくなる上、改修費用も膨大になってしまいます。

早期に修理をしたり、業者に相談したりすれば、費用を抑えることにつながるでしょう。

>> 雨漏りの代表的な調査と補修方法は?

専門業者に依頼をする

点検をする二人の業者

雨樋の修理・交換を業者に依頼する場合、屋根業者に相談をする方も多いでしょう。

しかし、屋根業者は屋根の葺き替え工事や塗装が本業であるため、雨樋の修理はメインの仕事ではありません。
対応してもらえても、リフォーム費用が高額になってしまうことがあります。

雨樋修理だけの依頼なら、「雨樋修理専門店」や「屋根修理業者」に施工してもらうと、リフォーム費用が安価になります。
主としている業務内容が雨樋の修理であるため、知識や経験が豊富です。

また、交換用の雨樋や支持金具のストックを常備しているため、スケジュールを合わせやすく、部材調達のためにお金がかかることもほとんどないでしょう。

優良な企業であれば、具体的な修理パターンを複数提案し、依頼者の希望をヒアリングしてくれるはずです。
複数の修理業者に見積もり依頼をし、打ち合わせしてみて一番要望に合わせてくれる会社を選ぶことが理想的です。

【監修コメント】
雨樋には様々な種類があり「丸型(半円)」、「角型」などで、丸型が比較的費用が安いと言えます。また、落ち葉やゴミの飛来の頻度が高いケースでは雨樋修理に加え、雨樋(横樋)に落ち葉除けのネットを合わせて取り付けてもらうことをおすすめです。

火災保険を使用する

火災保険の申込書

「火災保険」に加入されている方であれば、風や雪・雹(ひょう)による被害と認められた場合、保険金で雨樋修理ができることがあります。

>> 火災保険を活用できるリフォームとは?修理対象・注意点・トラブル対策

火災保険の補償範囲の一つに、「風災、雹(ひょう)災、雪災」が含まれているので、保険会社のパンフレットやホームページをチェックしてみましょう。

例えば、台風や落雪によって雨樋が傾いた、支持金具が外れてしまった、という場合、火災保険の対象になるケースが多いです。
足場の設置費についても、修理費用(被害金額)として扱われます。

突風や木枯らし、春一番などによる被害でも火災保険を活用できることがあるので、経年劣化と諦めず、補償対象になるかどうか確認してみると良いでしょう。

ただし、保険会社に直接問い合わせてしまうと、最初の電話の時点で「保険申請を行った」ことにされてしまうので注意が必要です。
一度否決されてしまうと、再申請を受け付けてもらうことはできません。

火災保険を活用して雨樋修理・交換を行いたい方は、「火災保険の申請代行サービス」にも対応してくれる、雨樋修理専門店もしくは屋根修理業者に相談してみると良いでしょう。

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雨樋が壊れる原因とその対策

雨樋が壊れる原因6つ、ゴミが詰まっている・経年劣化・風や雪による被害・正常な傾斜になっていない・支持器具が外れている・継ぎ手に隙間がある

雨樋に欠陥が見つかるときの主な原因は、大きく分けて6つあります。

ゴミが詰まっている

葉やゴミが詰まった雨樋

雨樋で詰まりが起きやすいのは、屋根からの雨水を集めるための「集水器」と、雨水を下方向に流す「竪樋」です。

縦に円筒状になっているため、ゴミが入りやすくなってしまいます。

近くに樹木がある場合、9割方は落ち葉が詰まりの原因です。
鳥の巣や、風で飛んできたビニール袋が入り込んでいることもあります。

手が届く範囲のゴミ・落ち葉を取り除き、雨樋にバケツで水を流し入れてスムーズに流れるようならOKです。

ゴミを取ってみても解決しなければ、専門の業者に依頼しましょう。

【監修コメント】
落ち葉やビニール袋以外でも、長年蓄積したホコリが溜まり「泥状」に固まった土とゴミの混合物が雨樋を詰まらせてしまうことも!
普段気にしない雨樋だからこそ点検しておけば台風の時でも安心です。

経年劣化

劣化した雨樋

雨樋の耐用年数は20年、長くても25年位です。
それ以上経っていると、外れたり穴が空いたりして雨漏りを引き起こしてしまいます。

経年劣化した雨樋は、新しいものに交換するしかありません。
自力で何とかしようとせず、早めにリフォーム会社に交換工事を頼みましょう。

風や雪による被害

雪が積もった屋根と雨樋

突風や積雪による、雨樋の破損や不具合は、1階よりも2階の方が起こりやすいです。
悪化してしまう前に、業者に交換をお願いしましょう。

もし火災保険に加入していれば、風や雪による住宅被害は保険の対象になりやすいです。

親切な修理業者であれば、スタッフの方から「火災保険に加入されていますか?」と聞いてきてくれるので、相談してみることをお勧めします。

正常な傾斜になっていない

黒い雨樋

雨樋は、実は水平ではなく、集水器に向かって排水しやすいように傾斜がつけられているものです。
この傾斜が逆向きになっていたりずれていたりすると、雨水がきちんと流れず、あふれてしまいます。

雨樋の傾斜が正常でないときはたいてい、支持金具がゆがんでいます。
支持金具は、文字通り金属なので、力を加えれば自分で直せることもあります。

ただし、力加減を誤ると金具が壊れてしまうので、自信がない方はプロに任せて交換してもらうのが一番無難です。

支持金具が外れている

支持金具の修理

雨樋を支えるはずの支持金具自体が外れている、または抜けてしまっているという場合、雨樋にかなりの負担がかかっています。

金具の取り付け工事だけではなく、雨樋全体を交換することになるケースが多いです。

自分で修理をするのは難しいため、業者に見てもらうようにしましょう。

継ぎ手に隙間がある

隙間ができた雨樋

雨樋の継ぎ手にすきま・外れがあるときは、接着不良か経年劣化が考えられます。

20~25年も使っていない(=まだ経年劣化はしていない)雨樋で、継ぎ手が1、2箇所外れている程度であれば、「雨どい接着剤」で応急処置をすることは可能です。

当然のことながら、接着剤を使う前に、必ず雨樋と継ぎ手をよく拭き掃除しておかないと密着しないのでご注意ください。

ただし、接着剤による補修は、一時的な処置でしかありません。
状態が悪くなければ、工事費用は5千円程度で済みます。
早い段階で業者に相談しておくのが得策と言えます。

補修が必要な、雨樋の穴や割れなどの破損が複数箇所にわたる場合には注意が必要です。
全体の強度が落ちていることも考えられるので、雨樋全体の交換を考えると良いでしょう。

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まとめ

暴風雨などをきっかけに初めて不調に気づいたりすることも多い、雨樋。
溜まった落ち葉の間にホコリや水が蓄積して、腐食していくこともあります。

雨樋のゴミは長時間放っておかず、定期的にメンテナンスすることを心がけましょう。

集水器から水が溢れてしまうと不安に思うかもしれませんが、しっかり施工してもらえば20年は持つ丈夫な設備です。
なるべく時間をかけて、丁寧に対応してくれる修理業者にリフォームしてもらうようにしてくださいね。

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【この記事のまとめ&ポイント!】

雨樋が壊れる主な原因や、その対策は?
「ゴミが多くある」「経年劣化」「風や雪などによる被害」といったことが原因である場合が多いです。
症状ごとの対策や対応方法については、こちらで詳しく解説しています。
雨樋の修理・補修や交換にかかる費用はいくら?
1~60万円が相場です。
「部分的な修理」「全体交換」など施工内容ごとの料金の目安については、こちらの価格表を参考にしてください。
雨樋の修理の際に、火災保険を利用することは可能?
風・雪・雹(ひょう)による被害と認められた場合などには、火災保険を雨樋の修理費に充てられる可能性があります(詳細は、こちら)。
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