ジンカリウム鋼板屋根材のメリット・デメリット!主なメーカーや価格・リフォーム事例を解説

更新日:2024年12月06日

ジンカリウム(石粒付き)屋根のリフォーム事例

軽量で丈夫な「ジンカリウム鋼板」は、葺き替えにもカバー工法(重ね葺き)にも適した、リフォームの際にも優秀な屋根材です。ただ混乱しやすいのは「自然(天然)石粒付き鋼板」「ストーンチップ鋼板」や、ガルバリウム鋼板とどう違うのか、といった点ではないでしょうか。調べている内に混乱してしまったという方は、まず「ジンカリウム鋼板屋根」の具体的な特徴や、メリット・デメリットについて理解を深めてみましょう。リフォーム価格・事例や代表的なメーカーもご紹介するので、参考にしてくださいね。

ジンカリウム屋根とは?ガルバリウム・石粒付き鋼板との違い

ジンカリウム鋼板屋根材のメリット・デメリット!主なメーカーや価格・リフォーム事例を解説

「ジンカリウム」と「ガルバリウム」は、実はどちらもアルミニウム(55%)・溶融亜鉛(43.4〜43.5%)・シリコン(1.5〜1.6%)で構成された、ほとんど同じ素材です。

一般的には、国産か輸入品かによって呼び名を使い分けている傾向があるのですが、その正式な名称は商標登録している会社によって異なります。

【ガルバリウム鋼板®】 日本の「新日鉄住金」社の登録商標
【Galvalume®=(ガルバリウム)】 アメリカの「BIEC International」社の登録商標
【ZINCALUME®=(ジンカリウム) 】 オーストラリアの「BlueScope」社の登録商標

つまりは、同様の素材の屋根であっても、名前(呼び方)が変わってしまうというわけですね。

さらに、日本の住宅業界において混乱しやすいのは、基材となるガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板の表面に、石粒をコーティングした屋根のことを「ジンカリウム鋼板」と言うこともあれば、「ストーンチップ鋼板」「石粒付き鋼板」「自然石粒付き鋼板」「自然石粒付き化粧鋼板」と呼ぶケースもあるという点です。

そしてこの石粒付き鋼板は、通常の(石粒付きではない)ガルバリウム鋼板などと比べると、耐久力に優れるという大きな特徴があります。

>> ガルバリウム鋼板が人気な理由|費用・耐用年数・ほかの屋根材と比較

ジンカリウム(自然石粒付き)鋼板屋根のメリット

ここからは「自然石粒付き鋼板の屋根=ジンカリウム鋼板屋根」として扱い、そのメリット・デメリットについて詳しくご紹介していきましょう。
特に、メリットには魅力的な点がいろいろありますよ。

ジンカリウム(自然石粒付き)鋼板屋根のメリット

耐用年数30〜50年、メーカー保証30年と高耐久

石粒でコーティングしたジンカリウム鋼板屋根は、傷が付きにくく、紫外線やサビにも強いのが特徴です。 平均的な耐用年数は30年以上で、長い物では50年持つとも言われます。
また、メーカーが30年間の保証を付けている製品も多くあります。

塗装(塗り替え)のメンテナンスは不要

コーティングの石粒は、瓦と同じように釉薬を焼き付けることによって着色されています。
高温で焼かれてガラス質に変化した表面は、ほとんど色あせることがありません。
そのため、ジンカリウム鋼板屋根は塗装を行う必要がないのが一般的です。

断熱効果がある

断熱効果がある

通常のガルバリウム屋根が「熱を伝えやすい」というデメリットを持つことに対し、
ジンカリウム屋根の場合は、表面の石粒が熱の伝わりを防ぐため、断熱性に優れます。

また、施工の際には屋根材と下地などの間に隙間が生まれ、この空気層が断熱材の代わりとなって室内に暑さ・寒さが伝わるのを軽減する効果も期待できます。

軽量のため耐震性に優れている

ジンカリウム屋根は、スレート(コロニアル・カラーベスト)よりも軽量のため、建物にかかる負荷が少なく、耐震性に優れています。
重い瓦屋根からの葺き替えや、スレート屋根などのカバー工法(重ね葺き)リフォームにもおすすめです。

ちなみに、各屋根材の重さの違いは以下の通りです。

屋根材 重量(1㎡あたり)
日本瓦/セメント瓦 42〜50kg/㎡
スレート/カラーベスト/コロニアル 18〜20kg/㎡
ジンカリウム(石粒付き) 7kg/㎡

防音性が高く、雨音などに強い

防音性が高く、雨音などに強い

屋根の表面に施された石粒が音を吸収するため、防音性にも優れています。
一般的なガルバリウム鋼板のように雨音が室内に響くことは、ほとんどありません。

防火性がある

金属や石など、不燃性の素材で製造されるジンカリウム鋼板は、防火性が高いことも大きな特徴の一つです。 万が一の火災の際には、炎の広がりを抑制する力があります。

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ジンカリウム(自然石粒付き)鋼板屋根のデメリット・欠点

メリットの多いジンカリウム鋼板にも、やはりいくつかのデメリットはあります。
リフォームで採用する際は、その点も把握しておきましょう。

表面の石粒が剥がれ落ちる

特に施工中は、コーティングされた石粒がぽろぽろと剥がれ落ちることがあります。
雨樋の中などに溜まることもあるので注意が必要ですが、施工後は徐々に落ち着いてくる傾向があります。 そうとは言え「樋の掃除が手間」と感じることもあるかもしれません。

「断熱材一体型のガルバリウム」よりも断熱性が劣る

「断熱材一体型のガルバリウム」よりも断熱性が劣る

断熱材と一体になったガルバリウム鋼板と比べると、ジンカリウム鋼板のほうが断熱性には劣ります。
(ジンカリウム鋼板の場合は石粒が断熱性を発揮するため、現段階では断熱材入りの製品は存在していません。)

ただし、石粒付きの屋根で断熱性をより確保したい場合には、断熱材を一緒に施工してもらうことも可能です。

値段がやや高額

国産の製品がまだ少なく、海外製を輸入する場合は価格がやや割高になります。
また、施工できる業者が限られているため、他の屋根材に比べてリフォーム費用がかさむこともあります。

ジンカリウム屋根にリフォームする価格・値段

ジンカリウム鋼板屋根にリフォームする費用は、屋根の形状や面積などによっても異なりますが、目安としては下記の通りです。

施工方法 総額 平米単価
カバー工法 75〜105万円 8,000〜14,600円/㎡
葺き替え 85〜200万円 8,500〜22,000円/㎡

なお、足場代や諸経費などが別途かかる可能性があるため、具体的な総額については、見積もりの際に確認するようにしてくださいね。

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ジンカリウム(石粒付き)屋根の取り扱いメーカー/アイテム3選

続いては、ジンカリウム屋根を取り扱っている代表的なメーカーをご紹介しましょう。
性能はもちろん、カラーやデザインなどのお好みで選ぶのも、おすすめですよ。

ディートレーディング 『ディーズルーフィング』

ジンカリウム(石粒付き)屋根の取り扱いメーカー/アイテム3選

アメリカ・カリフォルニアで生まれた『ディーズルーフィング』は、ディートレーディング社が輸入・販売を行うジンカリウム屋根です。 耐震性が高く、海外でも暴風や火災などに耐え得る屋根材として評価されています。

外壁としても使用できるシンプルなデザインの「ディプロマットスター」、凹凸のあるデザインが特徴的な「エコグラーニ」、S字型の瓦風にデザインされた「ローマン」、洋風瓦のような形状の「クラシックタイル」など、個性豊かなシリーズが顔をそろえます。
上品なカラー展開も魅力で、絶妙な配合の自然石粒が独特な風合いを醸し出します。

リクシル 『T・ルーフ』(自然石粒付きガルバリウム鋼板)

ジンカリウム(石粒付き)屋根の取り扱いメーカー/アイテム3選

リクシルが扱う『T・ルーフ』は、ガルバリウム鋼板に天然石を吹き付けた屋根材です。
重厚感がありつつ軽量で、耐久性にも優れます。

デザインは瓦風の「クラシック」、ユニークな凹凸が存在感を醸し出す「ヴェルウッド」や「モダン」の3種類。 和風から洋風まで、幅広いデザインの住宅に馴染みます。

伊藤忠建材 『スカイメタルルーフ』

伊藤忠建材が輸入発売を手がけるストーンチップ鋼板屋根材『スカイメタルルーフ』。
石粒はイタリア北部の山から採取した玄武岩を使用し、深みのあるカラーや質感を表現しています。

天然スレートのような風合いが上品な「スレート」や、ナチュラルな木目調にデザインされた「ウッド」、どんな建物にも調和するシンプルさが魅力の「フラット」と、それぞれ特徴の異なるシリーズがそろっています。

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ジンカリウム(石粒付き)屋根のリフォーム事例

それでは最後に、当サービス『リショップナビ』の加盟業者が、ジンカリウム(石粒付き)鋼板を用いてリフォームした事例をご紹介しましょう。
劣化が進んでいても、リフォームで耐久性の高い屋根へと生まれ変わりますよ。

自然石付きの『ディーズルーフィング エコグラーニ』に葺き替え

築年数 23年
工事期間 5日
防水機能がなくなってしまった屋根を『ディーズルーフィング エコグラーニ』へと葺き替えました。
天窓が割れていたため、葺き替えを機に窓はなくし、棟換気システムを完備。
屋根裏にこもる熱や湿気を排出できるように施工し、結露防止対策を強化しました。

葺き替え工事で『ディーズルーフィング ローマン』に

築年数 19年
工事期間 10日
築19年のモニエル瓦に割れ・欠け・塗膜切れなどが見られていたお宅です。
瓦が重く耐震性に不安があるため、軽量で耐久性の高い『ディーズルーフィング ローマン』に葺き替えました。
南欧風のおしゃれな雰囲気に仕上がっています。

ジンカリウム鋼板屋根材に葺き替え

築年数 18年
工事期間 8日
こちらの屋根は雨漏りを放置していたため、野地板(屋根の下地材)や棟板金にまで腐食が進んでしまっていました。
そこで、野地板を張り替えた上で、ジンカリウム鋼板屋根へと葺き替えました。
下地材にもこだわり、耐久性のあるルーフィング(防水シート)や、腐食に強い樹脂性の笠木を使用しています。

屋根材を塗装不要の『T・ルーフ』にリフォーム

築年数 20年
工事期間 15日
以前の塗装から10年経ち、屋根と外壁の再塗装を検討していましたが『T・ルーフ』に葺き替えることで塗装のメンテナンスが不要になりました。
一方、外壁は現状に近い色に再塗装することに。
雰囲気は変わらないまま、きれいな状態に生まれ変わりました。

アスベスト含有屋根を軽量な『T・ルーフ』に葺き替え

築年数 30年
工事期間 10日
アスベストを含有している屋根を、安全性と軽量化のため葺き替えることに。
新しい屋根材には、軽量でメンテナンスフリーの『T・ルーフ』を採用しました。
天然石の風合いがヨーロピアン調の外観にマッチした仕上がりになりました。施工費用は170万円です。

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【この記事のまとめ&ポイント!】

ジンカリウム(自然石粒付き)鋼板屋根のメリット・デメリットは?
メリットは「塗装のメンテナンスが基本的に必要ないこと」「軽量のため耐震性に優れていること」などです。
一方で「施工中、コーティングされた石粒が剥がれ落ちることがある」「値段がやや高い」といったデメリットがあります。
ジンカリウム屋根にリフォームする際の価格の目安は?
屋根の面積や形状などにより異なりますが、カバー工法の場合は約75〜105万円、葺き替えの場合は約85〜200万円が目安です。
足場代などが別途発生する可能性があるため、見積もりの際に確認しておきましょう。
ジンカリウム(石粒付き)屋根を取り扱っているメーカーや、主な製品について知りたい。
ディートレーディング社の『ディーズルーフィング』など、代表的なメーカーや製品について、こちらでご紹介しています。

金属屋根のデメリットをカバーし、見た目の良さや耐久性にも優れる「ジンカリウム屋根」。

「ぜひジンカリウム屋根にリフォームしたい」という方はもちろんのこと、「やっぱりデメリットが不安」「費用がかかりそうで心配」「国産のガルバリウムなどのほうがよいかも?」といった不安な点がある場合にも、まずはリフォーム業者に相談してみるとよいでしょう。

プロのアドバイスを聞きながら、じっくり検討するのが一番ですよ。

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