ガルバリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板とは、1972年にアメリカで開発された金属素材です。
スタイリッシュでモダンな見た目から近年人気が高まっていますが、実は昔からある素材です。
「ガルバ」「ガルバニウム」「ガリバリウム」などと呼ばれることもあります。
アルミと亜鉛で鉄を守ることにより生まれた、耐久性に優れた鋼板です。
それまで普及していた金属屋根素材のトタンは亜鉛メッキ鋼板でしたが、トタンにアルミを加えて強くしたのがガルバリウム鋼板です。
ガルバリウム鋼板屋根材のメリット
耐久性・耐熱性・耐震性など、ガルバリウム鋼板素材のメリットをご紹介します。
耐久性に優れている
住宅の中でも、屋根や外壁は常に風雨にさらされるので、耐久性に優れていることは非常に重要な条件です。
ガルバリウム鋼板は、亜鉛鉄板の犠牲防食機能(亜鉛が犠牲となって腐食することにより鉄の腐食が防止されること)と、アルミの長期耐久性を併せ持っているため、従来のトタン屋根に比べ3~6倍の耐久性を誇ります。
加工が容易な鋼材なので、場所を選ばず住宅に使われています。
主に住宅、店舗、工場などの屋根や外壁(サイディング)に力を発揮しています。
積雪の多い地方でも大雪に耐えることが可能なので、安心して雪の季節を過ごすことができます。
また、酸性雪や酸性雨、海岸地域などでも優れた耐久性を発揮します。
ただし、時間が経つと錆びてしまうため、定期的なメンテナンスは必要です。
耐熱性が高い
ガルバリウム鋼板は、鋼板の上に「亜鉛43%・アルミ55%・シリコン1.6%」の合金層があり、熱に強いアルミが多く含まれるため、従来の亜鉛鉄板よりも耐熱性に優れています。
耐震性に優れている
ガルバリウム鋼板は、1〜3mm程度と非常に薄い素材であり、重さも瓦の10分の1ほどと、とても軽量です。
屋根の重さは、地震の際の家の耐震性に影響を及ぼすのですが、ガルバリウム鋼板は家屋の躯体への負担を軽減し、瓦などに比べ地震の揺れに強いです。
そのため、重ね葺きや外壁の重ね張りなど、全体の重量が増えるような工事に向いています。
加工しやすい
ガルバリウム鋼板はメッキ層が柔らかいため、複雑な折り曲げが可能です。
これにより、様々な形状の屋根に対応できます。
最近では、表面にポリエステル樹脂やフッ素樹脂を焼き付けた、紫外線に強い製品なども開発されています。
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ガルバリウム鋼板屋根材のデメリット
メリットがたくさんある一方で、断熱性や防音性に劣るという短所もあります。
施工後に気が付いて後悔することのないように、事前に知っておきましょう。
断熱性が低い
瓦やスレートの屋根材には、それ自体に断熱性能があるのですが、ガルバリウム鋼板は金属なので、素材自体に断熱性能はありません。
そのため、屋根材の下や屋根裏に断熱材を施工することが一般的です。
その場合、断熱工事費用がかかるので注意しましょう。
アルカリ性に弱い
耐久力のあるガルバリウム鋼板ですが、アルカリ性との相性は良くないので、施工する環境には注意が必要です。
ガルバリウム鋼板に、枯れ葉や木くず、木材などが長い間付着していると、変色・変質することがあります。
これは、木材に含まれている「木酢液」という酢酸が原因です。
自宅や隣家の庭などに背の高い植物がある場合、こまめに手入れしなくてはいけません。
勾配がないデザインには不向き
また、雨などでガルバリウム鋼板の上に水溜まりができてしまった場合、浸水してしまう恐れがあります。
従って勾配がない屋根や、陸屋根(平屋根)には向きません。
ガルバリウム鋼板の屋根を導入したいときは、水が溜まりやすい形状にすることは避けましょう。
ガルバリウム鋼板屋根にして後悔する3つのケース
ガルバリウム鋼板の屋根にして後悔する3つのケースは以下の通りです。
● 施工方法が不十分で雨漏りが起こった
● 業者選びに失敗して10年以内に再工事をした
● メンテナンスを実施せず劣化してしまった
ガルバリウム鋼板屋根で後悔しないために、以下の内容を確認しておきましょう。
施工方法が不十分で雨漏りが起こった
ガルバリウム鋼板屋根の設置工事の施工不良から、雨漏りが起こってしまう可能性があります。
施工不良の原因として、ガルバリウム鋼板屋根の需要が増えたことで、専門業者以外の業者が参入してきたことが挙げられます。
ガルバリウム鋼板の施工工事は、高い専門性が必要です。
専門業者でないと、適切な施工手順を守れていなかったり、使うべき材料を省いて施工費を下げたりしている可能性があります。
業者選びに失敗して10年以内に再工事をした
業者選びに失敗すると5年ほどで雨漏りが起きてしまうなど、再施工が必要になるケースが少なくありません。
再施工とならないように、以下の3つポイントを業者へ質問してください。
● ガルバリウム鋼板屋根の施工実績があるか
● 「捨て板」という部材を使用しているか
● 屋根材メーカーの工事規程を遵守しているか
メーカー規定を守らずに設置工事をした結果、施工不良となっているケースもあります。
また、施工費用が極端に低い業者は避けましょう。
メンテナンスを実施せず劣化してしまった
ガルバリウム鋼板屋根は10~15年に1回のメンテナンスをおすすめします。
ガルバリウム鋼板屋根が劣化する原因の大半は、塗装が剥げてしまうことや飛来物による「もらい錆」です。
メンテナンスを実施しないと経年劣化が進み、本来の耐用年数を迎えられない可能性もあります。
10〜15年に1回は業者にメンテナンスを依頼しましょう。
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ガルバリウム鋼板と他の屋根材を比較
屋根材にはガルバリウム鋼板の他にも、「ジンカリウム鋼板」「スレート」「セメント瓦」があります。
それぞれの特徴をご紹介しますので、屋根材を決める際の参考にしてください。
名称 | 耐用年数 | 価格(葺き替え・1㎡あたり) | メンテナンス |
---|---|---|---|
ガルバリウム鋼板 | 30~40年 | 6,500〜8,000円 | 10~15年 |
ジンカリウム鋼板 (石粒付き鋼板) |
30~50年 | 8,500〜22,000円 | 不要 |
スレート | 10〜35年 | 5,000~7,000円 | 10年 |
セメント瓦 | 20~40年 | 5,000~10,000円 | 10~20年 |
名称 | 耐用年数 | 価格(葺き替え・1㎡あたり) | メンテナンス |
---|---|---|---|
ガルバリウム鋼板 | 30~40年 | 6,500〜8,000円 | 10~15年 |
ジンカリウム鋼板 (石粒付き鋼板) |
30~50年 | 8,500〜22,000円 | ほぼ不要 |
スレート | 10〜35年 | 5,000~7,000円 | 10年 |
セメント瓦 | 20~40年 | 5,000~10,000円 | 10~20年 |
リショップナビに加盟しているリフォーム会社への調査によると、ガルバリウム鋼板は耐久性に優れており価格も安いので、屋根リフォームの中では使用比率90%と圧倒的人気を誇っています。
ジンカリウム鋼板(石粒付き鋼板)
ジンカリウム鋼板は、金属の屋根材の表面に石粒コーティングを施しています。
元から石粒のコーティングがされているため、塗装のメンテナンスが必要ありません。
石粒のコーティングには断熱効果があり、雪が落ちにくいなどの特徴があります。
ジンカリウム鋼板の詳しい解説は以下の記事で解説しています。
スレート
スレートは粘板岩を薄い形状に加工した建築材です。
現在は「化粧スレート」というセメントに繊維素材を混ぜたスレートが主流です。
化粧スレートは色やデザインが豊富で、外壁の色とも合わせやすいため、希望通りの雰囲気の屋根を実現しやすいでしょう。
また、重量も軽いため耐震性にも優れています。
しかし、割れやすい、コケやカビなどが発生しやすい、耐久性・防水性が低いなどのメリットがあります。
メンテナンス期間は10年と考えておきましょう。
セメント瓦
セメント瓦は、セメントと川砂を混ぜ合わせて作られた2〜3cm程度の厚みがある瓦です。
他の屋根材と比べて重量があり、気温の変化に強く、耐火性があるのが特徴です。
スレートと同様に色やデザインが豊富です。
しかし、厚みがあることで耐震性には劣ります。
表面を塗装しているため、定期的に塗装し直す必要がある点にも注意してください。
ガルバリウム鋼板屋根の葺き方の種類・勾配の目安
ガルバリウム鋼板屋根の葺き方(乗せ方)は、「横葺き」「縦葺き」「瓦調葺き」の3種類が主流です。
上の写真は、「瓦調葺き」です。
最も普及率が高いのは「横葺き」タイプです。
最低2~2.5寸以上で施工できるメーカー品が多く見られます。
0.5寸以上の勾配の屋根なら、トタン屋根のような形状の「縦葺き」タイプがおすすめです。
メーカーによっては、0.2寸~対応している商品もあります。
このようにガルバリウム鋼板の屋根は、緩い勾配から急勾配まで対応可能ですが、先ほどもお話しした通り、勾配は緩すぎないほうが無難です。
できれば地元の天候にも詳しい屋根業者と相談しながら、建物に最も合った葺き方・製品を選択するとよいでしょう。
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ガルバリウム鋼板屋根の色の選び方
ガルバリウム鋼板の屋根には、白・黒・ブラウン・グリーン・ブルー・レンガ・シルバー・グレー・オレンジ・赤など、様々なカラーがあります。
「ガルバリウム鋼板は熱伝導率が高いため、遮熱対策したい場合は、黒など濃い色は避けたほうがよい」という意見を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、基本的には断熱材も一緒に施工するので、色選びの際に暑さを気にしすぎる必要はないでしょう。
外壁とのカラーバランスを重視して、納得できる好みのカラーを選びましょう。
ガルバリウム鋼板屋根で葺き替え・重ね葺きする費用と施工例
【ガルバリウム鋼板で葺き替えリフォームをする費用】
日本瓦からガルバリウム鋼板に葺き替えする費用は、約5〜9万円/坪です。
スレートからガルバリウム鋼板に葺き替えをする場合は、約3〜6万円/坪が相場です。
(※上記金額には、足場設置費用や諸経費・既存屋根の解体撤去費用も含まれています。)
【ガルバリウム鋼板で重ね葺きリフォームをする費用】
スレート(カラーベスト・コロニアル)屋根などの上に重ね葺き(カバー工法)をする場合は、約2.5〜3万円/坪の費用がかかります。
(※上記金額は、足場設置費用や諸経費も含まれています。)
ガルバリウム鋼板屋根の葺き替え・重ね葺きリフォーム事例
参考までに、リショップナビでご紹介しているリフォーム会社が、実際にガルバリウム鋼板材の屋根に葺き替え・重ね葺きの施工をした例も掲載しておきます。
事例1
瓦を降ろしガルバリウム鋼板の屋根材へ葺き替え
事例2
アスベスト対策のためにガルバリウム鋼板を重ね葺き
事例3
耐久性の向上を図りガルバリウム鋼板の屋根材に葺き替え
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塗装は必要?ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス・施工方法
ガルバリウム鋼板の屋根を、ご家庭でメンテナンスする方法、およびリフォームする場合の具体的な方法は、以下の通りです。
家庭でできるメンテナンスは水かけ
専門業者に依頼することなく、ご自身でもできるメンテナンス方法は、水をかけることです。
3ヶ月〜1年に1回くらいの頻度でOKです。
泥はねや汚れを落とすことが目的なので、高圧洗浄である必要はありません。
【経年劣化は避けられない】
ガルバリウム鋼板は、金属の中ではサビにくい素材ではありますが、絶対に錆びないというわけではありません。
自転車やスコップなど固い物を鋼板にぶつけて傷つけてしまうと、そこから赤サビが発生することもあり、他の錆びている金属とのふれあいなどで、「もらいサビ」という現象が起きてしまうこともあります。
また、海辺や高温多湿な環境下では、白サビがついてしまうこともあります。
耐用年数が長いのが特徴ですが、やはり経年劣化は避けられません。
サビや色あせ・色落ち、屋根材の浮きなどが確認されるようになったら、塗り替えや葺き替えを検討しましょう。
ガルバリウム鋼板屋根の塗装時期・価格相場
ガルバリウム鋼板の耐用年数は30~40年とされていますが、海沿いの建物の屋根の場合、潮の影響で20年も持たない可能性があります。
また、海の近くではない場所であっても、定期的に塗装しておいたほうが長持ちします。
塗料の耐久性にもよりますが、10~20年、できれば15年に一度は塗装リフォームを行いましょう。
>> 屋根塗装の耐用年数は?塗り替え時期のサインや長持ちさせるコツ
なお人気の塗料では、シリコン塗装なら約1,600~2,500/㎡、フッ素塗装なら約3,000~4,500/㎡で施工できます。
この他、養生代・足場代・諸経費もかかる場合があるので、総費用はリフォーム会社に確認しておきましょう。
>> 外壁・屋根用塗料9種類の特徴・価格の比較まとめ
>> 水性塗料と油性塗料はどちらがおすすめ?
>> 屋根塗装は意味ない?必要ないと言われる理由と不必要なスレート屋根とは?
20年経過したら"葺き替え"か"重ね葺き(カバー工法)"も検討を
なお、塗装のメンテナンスにも限界があります。
最後に塗装をしてから20年ほど経過してしまったら、重ね葺き、もしくは葺き替えを検討しましょう。
ルーフィング(防水シート)の寿命も20年程度であるため、20~30年経った屋根は下地も劣化してきます。
今後も長く住み続ける予定の建物であれば、重ね葺きではなく、葺き替えてしまうほうが効率的です。
また、すでに重ね葺きしたことがある屋根の場合も、再び重ね葺きすることは難しいため、葺き替え工事が必要になります。
できれば10年に一度くらいの頻度でガルバリウム屋根に詳しいリフォーム会社に点検してもらい、塗装・葺き替え・重ね葺き、いずれの工法がよいか、予算に合わせて提案してもらうことをおすすめします。
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ガルバリウム鋼板屋根の施工は、業者選びに注意!
ガルバリウム鋼板は、先ほどメリット・デメリットのお話でご紹介した特性があるため、本当に詳しい業者に施工してもらわないと失敗に繋がる可能性があります。
特に以下の点には注意してください。
悪徳な営業に用心を
基本的に耐久性があるガルバリウム鋼板ではありますが、「メンテナンス不要」と大げさな表現をしてくる業者が多いようです。
前述の通り、環境次第ではサビが付いてしまったり腐ったりすることもあります。
トタン屋根よりずっと耐性があるというだけで、メンテナンスしなくてよいということではありません。
「この屋根材なら、一生メンテナンスフリーです」などという会社があったら、警戒しましょう。
電食の知識がある業者に依頼する
ガルバリウム鋼板は、ステンレスなど異なる種類の金属(異種金属)と接触すると、電食(異種金属接触腐食)という現象が起こることがあります。
雨水などに溶けた水溶性物質になると生じやすい腐食現象で、例えば屋根の上にステンレス釘などが残っているような場合、長期間気付かずにいると、電食が発生してしまうかもしれません。
電食の知識があるスタッフならしっかり対策をしてくれますが、ずさんな業者やガルバリウム鋼板のリフォーム経験が浅い会社に施工を依頼するのは危険です。
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【この記事のまとめ&ポイント!】
ガルバリウム鋼板とはどういった素材ですか? |
---|
主に、従来使われていた亜鉛メッキ鋼板(トタン)に、アルミを加えた物のことを指します。 |
ガルバリウム鋼板を使って、屋根をリフォームする際の費用はいくらくらいですか? |
ガルバリウム鋼板で屋根を「葺き替える場合」や「重ね葺きする場合」の費用については、こちらで解説しています。 |
ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス方法を教えてください。 |
ご家庭では3カ月~1年に1回くらいの頻度で、水をかけてメンテナンスするのがよいでしょう(詳しくは、こちら)。 |
軽くて加工しやすいガルバリウム鋼板。
屋根材だけではなく外壁にも使用すると、モダンでスタイリッシュな家ができそうです。
ガルバリウム鋼板屋根のリフォームを検討する際には、必ず施工経験の豊富な業者を選んでくださいね。
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ご希望にあった会社をご紹介!
お住まいの地域に近く・ご希望のリフォーム箇所に対応が可能という基準を元に、厳選した会社をご紹介。可能な限り、ご要望にお応えできるように対応致します。
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しつこい営業電話はありません!
紹介する会社は、最大で5社まで。また、連絡を希望する時間帯をお伝え頂ければ、しつこい営業電話をすることはありません。
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見積もり後のフォローも致します
ご紹介後にご不明点や依頼を断りたい会社がある場合も、お気軽にご連絡ください。弊社から各会社へのご連絡も可能となっております。