瓦屋根リフォームの時期・タイミングは20年
瓦屋根は20年毎を目安に葺き替え・葺き直しを行うと、家全体を長持ちさせることに繋がります。
屋根瓦の素材によって耐用年数は異なりますが、屋根の「ルーフィング(防水シート)」は20年程度しか持ちません。
そのためどれほど丈夫な瓦であっても、20年位に一度のメンテナンスは必要です。
屋根瓦の耐用年数と、屋根全体の耐用年数はイコールではないため、注意しましょう。
もちろん「葺き替えや防水のためのリフォームを行うことなく、30年以上持った」というご家庭もたくさんありますが、万一、知らぬ間に下地まで劣化してしまうと、建物自体にも負担がかかってしまいます。
できればこまめに点検・メンテナンスを行い、必要に応じて業者に補修・葺き替えをしてもらうよう心がけましょう。
【屋根瓦別】リフォーム価格(平米単価)・耐用年数
日本の住宅で主流な屋根瓦の耐用年数や、葺き替えリフォームする際の価格は以下の通りです。
ちなみに一般的な戸建ての屋根面積は、80~120㎡位です。
瓦の種類 | 施工価格(㎡) | 耐用年数 |
---|---|---|
釉薬瓦(陶器瓦) | 5,500~16,000円/㎡ | 50~60年 |
いぶし瓦 | 8,000~13,000円/㎡ | 30~60年 |
素焼き瓦 | 5,000~9,000円/㎡ | 40~50年 |
セメント瓦・コンクリート瓦 | 5,000~10,000円/㎡ | 20~40年 (※10~20年に一度、塗装が必要) |
なお高級な瓦を採用すると、1㎡あたりの費用が2~5万円近くなることもあります。
さらにリフォームする前の屋根材や、屋根の劣化具合によっても費用が変動します。
屋根のリフォームでは足場費用もかかるのが基本
屋根のリフォーム時には、足場の設置費も必要になるのでご注意ください。
>> 屋根リフォームや外壁塗装で必須!「足場」の単価・価格はどの位?
この他にも、既存屋根の撤去費や下地補修費、防水シート(ルーフィング)代がかかります。
古いセメント瓦を処分する場合には、アスベストの撤去費も発生するケースがあります。
必ず施工業者から提示される見積書の内訳を確認し、瓦本体の価格だけではなく、どの工事内容にいくらかかっているのかチェックしておきましょう。
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以下からは、それぞれの屋根瓦の特徴について、具体的にご説明します。
粘土瓦の特徴・価格
「粘土瓦」は、日本で最もポピュラーな瓦と言っても良いでしょう。
粘土質の土を成形し、高温で焼成します。
古くから使われており、日本の風土に適していることも実証済みの素材です。
耐久性・遮音性にも優れており、雨音が気になりません。
粘土瓦の一番のデメリットは、その重量です。
他の屋根材に比べて重いことから、建物全体にかかる負荷が大きくなるため、耐震性には劣ります。
なお粘土瓦には「釉薬瓦(ゆうやくがわら)」「無釉薬瓦(むゆうやくがわら)」の2タイプがあります。
釉薬瓦(陶器瓦)
「釉薬瓦(陶器瓦)」は、粘土を成形後、ガラス質の釉薬(うわぐすり/ゆうやく)を塗布して焼成した瓦のことで、色やツヤに変化をつけることができます。
厳密に言うと、釉薬を塗っていない陶器製の瓦も存在しますが、釉薬瓦の呼称として「陶器瓦」という言葉が使われることが多いです。
耐水性に優れ、色あせもしにくい釉薬瓦は、存在感のある美しさを長く楽しむことができるでしょう。
耐用年数は50~60年、半永久的とも言われており、基本的にメンテナンスを必要としません。
しかし漆喰部分やルーフィング(防水シート)は傷むことがあるので、定期的な点検をおすすめします。
釉薬瓦(陶器瓦)
釉薬瓦を使って葺き替える際の価格は、1㎡あたり5,500~16,000円です。
例えばリフォームする屋根面積が100㎡の場合、費用は55~160万円程度かかります。
無釉薬瓦(いぶし瓦・素焼き瓦など)
一方「無釉薬瓦(無釉瓦)」は、釉薬を塗らずに焼成する瓦のことです。
古くから残る城や寺社でも多く見られるため、耐久力が高いことがわかります。
いぶし瓦・素焼き瓦・錬込瓦・窯変瓦 、といった種類がありますが、多く採用されているのは「いぶし瓦」と「素焼き瓦」です。
「いぶし瓦」は焼成後、釜の中でいぶすことによって、表面に炭素膜を作り、味のある黒~銀の色味になるのが特徴的です。
中でも有名なのが、写真の『淡路瓦』です。
耐用年数は30~60年ですが、経年劣化によって炭素膜が剥がれると、色や耐水性も落ちてくるので、その際は補修が必要です。
「素焼き瓦」は、粘土を焼いた時の色がそのまま活かされるので、自然な風合いを堪能できます。
酸化炎焼成による赤色のため「赤瓦」と呼ばれることもあります。
洋風建築で人気のスペイン瓦やテラコッタ瓦も、素焼き瓦の一種です。
素焼き瓦の耐用年数は、40~50年位です。
【無釉薬瓦のリフォーム費用相場】
いぶし瓦で施工する際の価格は、1㎡あたり8,000~13,000円。
素焼き瓦を使って施工する場合の価格は、1㎡につき5,000~9,000円位です。
屋根面積100㎡の場合のリフォーム費用は、約50~130万円と計算できます。
セメント瓦・コンクリート瓦(モニエル瓦)の特徴・価格
「セメント瓦」「コンクリート瓦」は、セメント・水・砂を主原料としています。
一般的には塗装で色付けをしますが、セメントに顔料を混ぜて色をつけているタイプの商品もあります。
粘土瓦は瓦の角が丸くなめらかですが、セメント瓦やコンクリート瓦の場合は角がギザギザの形をしています。
色やデザインが豊富であり、粘土瓦よりも寸法の狂いが少ないため、施工が容易です。
セメント瓦・コンクリート瓦の耐用年数は20~40年ですが、10~20年位を目安に塗装する必要があります。
>> 外壁・屋根用塗料9種類の特徴・価格の比較まとめ
>> 水性塗料と油性塗料の違い・メリット・デメリット
重さがあるので地震に弱く、また粘土瓦と比べて耐久性が低いという欠点があり、現在ではあまり製造されなくなってきました。
このため、部分的に交換したくても在庫がない場合が多く、別の屋根材に葺き替えをする方が増えつつあります。
セメント瓦とモ二エル瓦の違い
一時期日本で流行した瓦の一つである「モニエル瓦(コンクリート瓦)」は「乾式コンクリート瓦」「乾式洋瓦」とも呼ばれます。
表面に「着色スラリー」というセメントの着色剤が厚めに施されており、防水性に優れています。
一般的なセメント瓦と、モニエル瓦とでは、適した塗装方法が異なるため、業者にメンテナンスを依頼する際には、注意が必要です。
「セメント瓦かモニエル瓦(コンクリート瓦)か」の見分け方は、瓦の小口(=瓦の切断面・厚みが分かる部分)で判断できます。
小口の面が平らであればセメント瓦、デコボコになっていたらモニエル瓦です。
塗装リフォームの際に判断が難しい場合には、セメント瓦とモニエル瓦、いずれも施工できる業者に任せましょう。
【セメント瓦・コンクリート瓦のリフォーム費用相場】
セメント瓦・コンクリート瓦で葺き替える場合の施工価格は、1㎡あたり5,000~10,000円です。
屋根面積100㎡をリフォームする時の費用は、50~100万円程度となります。
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屋根瓦の形状の種類・価格
屋根瓦の主な形には、以下のような種類があります。
参考までに、形状ごとの価格の違いも比較しておきましょう。
瓦の形 | 施工価格(㎡) |
---|---|
J形(和瓦・和形瓦) | 9,000~12,500円/㎡ |
F形(平板瓦) | 7,000~16,000円/㎡ |
S形(スパニッシュ瓦) | 5,000~13,000円/㎡ |
なお、どの屋根瓦を使うか、屋根全体の形が切妻(きりづま)屋根か寄棟(よせむね)屋根か、屋根の勾配がどの位か、などによっても費用が変わります。
最終的に必要となるコストについては、リフォーム会社に確認するようにしてください。
以下に、各形の違いについてご紹介します。
J形(和瓦・和形瓦)
「J形」の"J"は、"Japanese(=日本式)"を意味しており、日本で古くからある、波打ったような形状をしています。
「日本瓦」「和瓦」「和形瓦」とも呼ばれており、特に無釉薬瓦(陶器瓦)に多いタイプです。
湾曲の部分が通気性を確保し、また空気の層を作ることによって外気温を伝わりにくくしてくれます。
湿気が多く寒暖差の激しい日本では、とても合理的な形状です。
【J形(和瓦・和形瓦)のリフォーム費用相場】
J形(和瓦)の屋根瓦で施工する際にかかる価格は、1㎡あたり9,000~12,500円です。
屋根面積100㎡でリフォームする場合の費用は、90~125万円になります。
F形(平板瓦)
【F形(平板瓦)のリフォーム費用相場】
「F型」のFは、"flat(=平らな)"の頭文字。
その名の通り、凹凸のないすっきりとしたデザインは、現代の洋風の住宅にもよく似合います。
ちなみに写真は、F形のいぶし瓦です。
【F形(平板瓦)のリフォーム費用相場】
F形(平板瓦)の施工価格は、1㎡あたり7,000~16,000円です。
屋根面積100㎡のリフォーム費用は、70~160万円必要になります。
S形(スパニッシュ瓦)
大きく波打っているため、陰影が美しい瓦です。
素焼き瓦・セメント瓦などで洋風のデザインに仕上げたい時に用いられることが多いです。
J形と同じく、通気性と断熱性に優れています。
【S形(スパニッシュ瓦)のリフォーム費用相場】
S形(洋瓦)の施工価格は、1㎡あたり5,000~13,000円です。
屋根面積100㎡をリフォームする時の費用は、50~130万円ほどかかります。
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瓦屋根はカバー工法(重ね葺き)には向かないので注意
屋根材を変更・交換するリフォームには、大きく分けると「葺き替え」「葺き直し」「カバー工法(重ね葺き)」という3種類の工法があります。
「葺き替え」は、瓦から下地(野地板)まで、すべて新しいものに交換する方法です。
「葺き直し」は、ルーフィング(防水シート)や漆喰などの部材は新しくしますが、既存の屋根瓦は再利用します。
そして「カバー工法(重ね葺き)」は、既存の屋根の上に、新しい屋根材を重ねる工法です。
既存の屋根材や下地を撤去しないため、工期が短く、葺き替え・葺き直し工事よりも低コストのため人気がありますが、原則として瓦屋根をリフォームしたい時には不向きです。
また瓦自体が経年劣化しているのであれば「葺き直し」ではなく、思い切って「葺き替え」を行ったほうが無難でしょう。
費用重視で屋根のリフォームをしたい場合には、ガルバリウム鋼板やスレートなど、瓦以外の屋根材へ交換する方法も検討すべきかもしれません。
まずはリフォーム会社とじっくり相談してみましょう。
>> 屋根の"葺き替え"のメリット・デメリット・費用
>> 屋根の"カバー工法(重ね葺き)"のメリット・デメリット・費用
瓦屋根リフォームの工期は1~4週間が目安
リフォームの際には、費用だけではなく、工事期間も気になるところですよね。
施工範囲や屋根の劣化具合によって前後しますが、一般的には瓦屋根の葺き替えリフォームの工期は1~4週間かかることが多いです。
ただし、屋根や外壁といった外装リフォームは、雨天の時には工事が難しくなることもあります。
万が一、急いで雑な工事をされてしまうと家全体の耐久性にも影響が出てしまうため、工事のスケジュールには余裕を持った上で、丁寧な管理・施工ができるリフォーム会社に任せるようにしましょう。
このように、瓦には様々な素材のものがあります。
デザイン・耐久性・耐震性、どれも重要なポイントですね。
屋根材は、簡単に取り替えられるものではないため、それぞれのメリット・デメリットをよく理解することが重要です。
リフォームする際には、瓦屋根の施工に慣れている業者に依頼しましょう。
会社によって、得意な屋根材や工法が異なるため、できれば複数の屋根リフォーム会社に見積もりを提出してもらい、提案内容を比較してみることをおすすめします。
【この記事のまとめ&ポイント!】
瓦屋根のリフォーム時期の目安は、何年くらいでしょうか? |
---|
瓦屋根は20年毎を目安に葺き替え・葺き直しを実施することで、住宅を全体的に長持ちさせることに繋がります。詳しくは、こちら。 |
多種ある屋根瓦のそれぞれの特徴を教えてください。 |
例えば粘土瓦の「釉薬瓦(陶器瓦)」には、「耐水性に優れている」といった特徴があります。詳しくは、こちら。 |
屋根瓦の形状の種類や、形状ごとの価格(リフォーム費用)を知りたいです。 |
屋根瓦の形には、主に「J形(和瓦・和形瓦)」「F形(平板瓦)」などの種類があります。 リフォームする際の施工費用は、例えば「J形」は約9,000~13,000円/㎡かかる傾向があります。 詳しくは、こちら。 |
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