「家の傾き」は補助金の対象?認定基準と傾きを放置する5つの危険性

更新日:2024年03月06日

「家の傾き」は補助金の対象?認定基準と傾きを放置する5つの危険性

地震や台風による自然災害によって「家が傾いてしまうかもしれない」と、心配している方も多いのではないでしょうか。
災害で家の傾きが発生した場合は、国や地方自治体が行っている支援制度により補助金が受けられます。
家の傾きを放っておくと、倒壊の危険性や健康への悪影響があるため、速やかなリフォームが重要です。
本記事では、家の傾きに関する補助金の概要や認定基準、補助金以外で受けられる補償も解説していますので、ぜひリフォーム時の参考にしてください。

家の傾きによる補助金は災害時に受けられる

家の傾きによる補助金は災害時に受けられる

地震や台風、大雨などの自然災害によって「家の傾き」が発生した場合、国や地方自治体による補助金が受けられます。

自然災害による住宅の被害の程度(家の傾きを含む)は、次の通り4種類に分類されます。

被害の程度 被害の状態
全壊 居住するための基本的な機能が無くなった状態、または、補修をしても元の居住が困難な状態。
大規模半壊 大規模な補修(構造の耐久性に関わる部分の補修など)を行わなければ、元の居住が困難な状態。
半壊 居住するための基本的な機能が一部無くなった状態で、補修すれば元の居住ができる程度の状態。
準半壊 半壊に至らない程度の損傷を受けた状態。

住宅被害に対する補助金を受ける際は、被害の程度を証明する「罹災(りさい)証明書」が必要です。
罹災証明書は、お住まいの市町村に申請を行い、調査員によって被害状況を確認したあとに交付されます。

「東日本大震災」での補助金の事例

実際に補助金が交付された「東日本大震災」の事例をご紹介します。

東日本大震災は、国が定めている「被災者生活再建支援制度」の自然災害に指定されており、復興に向けた住宅再建の補助金対象です。

住宅被害の程度によって、次の通り補助金(基礎支援金)が支給されています。

被害の程度 全壊 解体 長期避難 大規模半壊
支給額 100万円 100万円 100万円 50万円

損壊した住宅を再建する際には、再建方法に応じた加算支援金が受け取れます。

住宅再建方法 建設・購入 補修 賃貸(公営以外)
支給額 200万円 100万円 50万円

また、岩手県滝沢市では、上記の「被災者生活再建支援制度」の受給者に対して、補助金を追加で支給しています。
※「滝沢市被災者住宅再建支援事業」の新規受付は2022年度に終了しました。

世帯種類 複数世帯 単数世帯
支給額 100万円 75万円

自治体によっては別の補助金が受けられるケースもあるため、被害を受けた際はお住まいの行政機関に確認しましょう。

「熊本地震」での補助金の事例

熊本地震も「被災者生活再建支援制度」の対象となったため、東日本大震災と同様に「基礎支援金」と「加算支援金」の補助金を支給しています。

また、熊本県では「熊本型すまいの再建支援」の一つとして、住宅の新築・補修により金融機関から融資を受けた場合に、利子分の助成が受けられる支援策を行いました。
※「自宅再建利子助成事業」は特定の地域の方を除いて2023年3月31日に申請受付を終了しました。

支援策 補助金額
自宅再建利子助成事業 借入額・利率・返済期間に応じて算出
※借入額は850万円を限度として算出

家の傾きで受けられる補償【補助金以外】

家の傾きで受けられる補償【補助金以外】

地震などで家の傾きが発生・判明した場合は、補助金以外にも次の方法を利用することで、リフォーム費用の自己負担を軽減できます。

リフォームの自己負担を軽減する方法

それぞれの方法について、次の章で一つずつ解説します。

地震保険

地震や噴火、それらで発生した津波が原因により住宅に損害を受けた場合、地震保険による保険金が受け取れます。

住宅の損害は、土台や柱、壁などの主要構造部が対象であり、家の傾きも含まれます。

地震保険で受け取れる保険金は、次の通り損害の程度に応じて算出された金額です。

損害の程度 保険金
全損 地震保険金額の100%(時価額が限度)
大半損 地震保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損 地震保険金額の30%(時価額の30%が限度)
一部損 地震保険金額の5%(時価額の5%が限度)

※保険始期が平成28年以前の場合は、大半損と小半損を「半損」として扱い、保険金額の50%が支払われます。

地震保険は、火災保険とセットで加入する必要があり、保険金額が火災保険の30〜50%の契約金額となるため、加入時に確認しておきましょう。

火災保険

火災保険は、地震以外の自然災害による住宅の被害が補償対象で、家の傾きが発生した場合でも保険金が受け取れます。

対象となる自然災害とその具体例は、次の通りです。

災害の種類 災害の具体例
風災 台風、突風、竜巻、暴風
ひょう災 ひょう(大粒の氷の塊)
雪災 豪雪、なだれ
水災 洪水、高潮、土砂崩れ

地震による火災や住宅被害については、火災保険の補償対象外になるため、補償を受けたい場合は地震保険への加入が必要です。

また、経年劣化による住宅の破損・損傷も補償の対象外になります。

>> 火災保険が対象のリフォーム|注意点やトラブル対策も解説

契約不適合責任(瑕疵)

住宅の購入後に「家の傾き」が発覚・発生した場合には、契約不適合責任(瑕疵)により施工業者に対して修理の要求ができます。

瑕疵(かし)とは、住宅の機能・品質に対する不具合が発生し、契約通りの状態を確保できていない状態のことです。

新築住宅の場合は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、10年間の瑕疵担保期間が義務付けられています。

主な内容は次の通りです。

瑕疵の対象部分 新築住宅の基本的な構造部分
(基礎、柱、床、屋根 など)
瑕疵の請求ができる内容
  • ● 修補(瑕疵による修理)の請求
  • ● 損害賠償の請求
  • ● 契約の解除(修理が不可能な場合のみ)

なお、工事依頼時に「瑕疵保険」に加入している施工業者を選定することで、倒産・廃業した際でも損害分の保険金が受け取れて安心です。

>> リフォームの瑕疵保険とは?|保険料や対象工事を解説

家の傾きの認定基準

家の傾きの認定基準

家の傾きによる補助金や保険金を受け取る際は、特定の認定基準を満たしている必要があります。

それぞれのケースの認定基準について、次の章で解説します。

災害による補助金を受ける場合

災害によって住宅被害を受けた場合の認定基準は、内閣府により決められています。

地震による被害の中で、家の傾きに関する認定基準は次の通りです。

傾斜 損害割合 損害の程度
1/20以上 50%以上 全壊
1/60以上、1/20未満 15%以上
※各部位の損傷を含めて判定
全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊
1/60未満 ※各部位の損傷を含めて判定 全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、一部損壊

「1/20」の傾斜とは、20cmの垂直高さに対して、1cmの水平方向のずれを表します。
分母が小さいほど傾きが大きくなります。

また、液状化などの地盤被害による認定基準は次の通りであり、地震の場合とは異なります。

傾斜 損害割合 損害の程度
1/20以上 50%以上 全壊
1/60以上、1/20未満
※不同沈下による
40%以上50%未満 大規模半壊
1/100以上、1/60未満
※不同沈下による
20%以上30%未満 半壊

災害による補助金を受ける場合は、損害の程度を証明する「罹災証明書」の取得が必要です。

地震保険の補償を受ける場合

地震保険における損害の程度は、保険会社が定める「地震保険損害認定基準」に基づいて決められており、それぞれの程度に応じた保険金が受け取れます。

損害の判定は、加入している保険会社の鑑定人によって行われ、認定基準は国による補助金制度と異なります。

契約不適合責任(瑕疵)の場合

家の傾きによる瑕疵について、国土交通省によって次の通り基準が決められています。

傾き(勾配) 1mごとの傾き(長さ) 瑕疵の確率
3/1,000未満 0.3cm未満 低い
3/1,000以上、6/1,000未満 0.3cm以上、0.6cm未満 一定程度ある
6/1,000以上 0.6cm以上 高い

出典:「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(国土交通省)を加工して作成

瑕疵担保責任は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に明記されており、住宅の機能・品質確保に向けた重要な柱の一つとなっています。

家の傾きを放置するデメリットや危険性

家の傾きを放置するデメリットや危険性

家の傾きを放置してしまうと、次のようなデメリットや危険性が考えられます。

このように日常生活への影響も大きいことから、家の傾きが発生した際は早急なリフォームの検討が重要です。

次の項目では、家の傾きを放置するデメリットや危険性を解説していきます。

申請期間を過ぎて補助金が受けられなくなる

災害によって発生した家の傾きを放置してしまうと、再建時に受けられる補助金の申請期間を過ぎて受給できなくなります。

被災者生活再建支援制度の場合は、次のような申請期間が設けられています。

種類 申請期間
基礎支援金 災害発生日から13ヶ月以内
加算支援金 災害発生日から37ヶ月以内

家の傾きが発生した際は、早期に補助金申請をして再建費用の負担を軽減させ、安心した生活が送れるようにリフォームをしましょう。

地震によって倒壊する恐れがある

家が傾いた状態を放置すると、地震などの振動によって傾きがさらに進行し、倒壊してしまう危険性があります。

倒壊によって、ご自身や家族の身に危険を及ぼすことに加え、住宅からの避難や住まいの変更が必要になります。

家の傾きは、土台や柱などの家を支えている構造部分の問題が考えられるため、まずはプロによる調査を行い、早急にリフォームをしましょう。

「家の傾きを直す費用がどのくらいかわからない」という方は、リショップナビの一括見積もりサービスを利用して、リフォーム費用の相談にお役立てください。

健康に悪影響を及ぼす恐れがある

家が傾いた状態は水平が保たれていないため、そのまま生活を続けると平衡感覚を失い「めまい」や「頭痛」の原因になる恐れがあります。

傾斜角度によっては、吐き気や食欲不振、睡眠障害を引き起こし、日常生活や健康へ悪影響を及ぼすことも考えられます。

床や階段に傾斜がある場合は、家財の転落や歩行時の転倒でケガをしてしまう恐れもあるため、早期にリフォームをして健全な生活環境を維持することが大切です。

外壁の亀裂や建具の不具合が発生する

家の傾き具合によっては、外壁に亀裂やひび割れが生じて、破損したり雨水が浸水したりする恐れがあります。

また、柱や梁(はり)への影響も考えられることから、ドアや窓などの建具に不具合が発生して、開閉が困難になることもあります。

外壁の亀裂や建具の不具合によって、住宅の気密性が損なわれてしまいます。
その結果、冷暖房の効果が低下して快適な日常生活が送りづらくなるでしょう。

早期に家の傾きを直すことで、住宅の損傷や劣化の進行を予防し、生活に必要な機能を維持できます。

売却時の価格が低くなってしまう

家が傾いた住宅は「瑕疵物件」となり、売却時の価格が低くなってしまいます。

瑕疵物件は、購入後に日常生活に支障がないように家の傾きを直す必要があることから、物件価格が低くなる傾向です。

なお、家が傾いたまま売却をする際は、買主に対して欠陥内容の告知が必要です。

告知をせず売却後に欠陥が発覚してしまうと、契約不適合責任として損害賠償を請求されることもあるため、売却時は注意しましょう。

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家の傾きを直す方法は?費用はどのくらい?

家の傾きを直す方法は?費用はどのくらい?

家の傾きを直すための主な方法と費用の目安は、次の通りです。

方法 内容 費用の目安
土台上げ工法 ジャッキを用いて、建物の基礎コンクリートと土台部分に隙間を作り、無収縮モルタルで埋めて家の傾きを直す 100〜400万円
硬質ウレタン注入工法 ベタ基礎の下に小さな穴を開け、硬質ウレタンを注入して、膨張力で基礎を押し上げて家の傾きを直す 200〜600万円
グラウト注入工法 ベタ基礎の下にグラウト材を注入して、薬液によって地面を隆起させ、家の傾きを直す 200〜600万円
耐圧版工法 基礎の下を掘削し、耐圧版を設けてジャッキで家を持ち上げ、無収縮モルタルで埋めて家の傾きを直す 200〜700万円
鋼管圧入工法 基礎の下を掘削し、ジャッキと家の重みを利用して鋼管杭を打ち込み、その杭で家を支えて傾きを直す 300〜1,000万円

>> 家の傾きを直すリフォーム方法と費用|原因や調査費用も解説

家の傾きを直すには専門的な知識や技術が必要なため、リショップナビの一括見積もりサービスを利用して、ご自宅に適した方法を相談してみましょう。

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補助金や保険を有効活用して家の傾きをリフォームしよう

補助金や保険を有効活用して家の傾きをリフォームしよう

今回の記事では、家の傾きで受けられる補助金や補償、その認定基準について解説しました。

地震や液状化の災害によって家が傾いた場合、被害の認定により国などの補助金制度が利用できます。

また、地震保険や火災保険に加入しておくことで、再建時のリフォーム費用負担をより軽減できるため、補助金との併用がおすすめです。

家の傾きによって、倒壊の危険性や健康への悪影響も考えられるため、プロによる調査を行って、早期にリフォームを検討しましょう。

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