基礎ひび割れの主な原因6つと建物への影響

住宅の基礎のひび割れには、さまざまな原因が考えられます。
これらのひび割れは、発生原因によって形状や位置が異なり、軽微なものから、建物の構造安全性に関わる深刻なものまであるため、原因を正しく把握することが大切です。
1. 乾燥収縮
コンクリートの乾燥収縮によるひび割れは、コンクリートの水分蒸発が主な原因です。
大気が乾燥しているほど蒸発速度が上がり、内部の収縮ひずみが増大します。
この収縮が鉄筋や隣接部材に拘束されると、引張応力が発生し、コンクリートの引張強度を超えるとひび割れが生じます。
放置すると、ひび割れから雨水が浸入し、鉄筋の腐食や白華現象(※)などを引き起こすリスクがあります。
(※白華現象:セメントに含まれる水酸化カルシウムが結晶化したもので、白い斑点や粉末状のものがコンクリート表面に現れること。)
特に冬季の乾燥期や風通しのよい環境では、表面保護材の使用が有効です。
2. 温度変化による熱膨張・収縮
コンクリートは、温度変化によって膨張・収縮を繰り返す性質を持っています。
内部応力が生まれるメカニズム
コンクリート打設時の急激な温度上昇後、外気温との差が生じると表面部に引張応力が集中します。
この応力がコンクリートの引張強度を超えると、ひび割れが発生します。
次のようなポイントが挙げられます。
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3. 地盤沈下・不同沈下
地盤沈下や不同沈下は、地盤の強度が均一でない場合に発生します。
建物の重さによって地盤が部分的に沈むと、基礎にかかる荷重が偏り、特定の部分にひび割れが生じることがあります。
不同沈下によるひび割れは、基礎の四隅や窓・ドア周辺に現れやすいが特徴で、次のような影響があります。
影響 | リスク |
---|---|
建物全体が傾く | ドアの開閉が困難になる |
構造体の歪みが進行 | 修復費用が高額になる |
早期に専門家による診断を受け、適切な補修工事を行うことが重要です。
4. 施工不良
施工不良によるひび割れは、基礎工事の段階で生じた不備が根本的な原因となるケースです。
コンクリート打設時の水とセメントの比率が不適切な場合、強度不足を引き起こし、表面に細かいひび割れが発生します。
基礎工事の締固め不足や養生期間の短縮も、ひび割れを引き起こす重大な要因です。
地盤を十分に締め固めないままコンクリートを流し込むと、不同沈下が起きやすくなり、斜め方向にひび割れが発生しやすくなります。
養生期間を短縮すると表面の乾燥が早まり、深さ5mm以上のクラックが生じるリスクが高まります。
施工不良の例
不良事例 | 事象 |
---|---|
鉄筋の間隔が設計基準より広すぎる | 荷重分散の機能が低下 |
配筋の位置がずれる | コンクリートの耐荷重能力が低下 |
基礎の厚みが不足 | 不同沈下時にひび割れが発生する確率が上がる |
これらの施工不良は、竣工時点では目立たないものの、5~10年ほど経過してから表面化することがあります。
5. 地震による蓄積ダメージ
地震による基礎のひび割れは、一度の揺れだけでなく、繰り返しの震動が蓄積されてダメージとなる点が特徴です。
揺れが繰り返され基礎強度が低くなった状態を放置すると、耐震性が低下し大地震時に建物全体が傾倒するリスクが生じます。
6. 経年劣化と中性化
コンクリート基礎の経年劣化は、長期的な中性化現象によって進行します。
空気中の二酸化炭素がコンクリート内部に浸透すると、鉄筋を保護する機能が失われます。
中性化が引き起こす鉄筋腐食のメカニズム
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特に築30年を超える建物では、鉄筋の腐食による断面欠損が、基礎全体の荷重を支える能力を低下させる可能性がやや高くなります。
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基礎ひび割れの危険信号と対策
基礎のひび割れは、見過ごしがちな小さな症状から始まることが多いですが、放置すると深刻な問題へと発展するリスクが生じます。
構造耐力低下が招く建物寿命への影響
基礎のひび割れが構造耐力に与える影響は、建物の寿命を左右する重要な要素です。
コンクリート基礎内部の鉄筋は、0.3mmを超えるひび割れが生じると雨水が浸入しやすくなり、鉄筋の腐食のリスクが高くなります。
腐食した鉄筋は膨張してコンクリートを内側から破壊し、荷重を支える能力が徐々に低下します。
特に縦方向に走るひび割れは、地震や地盤沈下の影響で拡大しやすく、建物の耐久性を著しく低下させる要因となります。
主なリスク要因
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適切な補修工事を早期に実施すれば、耐用年数をある程度まで回復させることが可能です。
しかし、放置すると補強にかかるコストが膨らみ、資産価値が下落する可能性もあります。
定期的な点検を行い、0.3mmを超えるひび割れを早期に補修することが、建物の寿命を延ばすために不可欠です。
雨水侵入による鉄筋腐食と劣化加速の仕組み
基礎のひび割れから雨水が侵入すると、鉄筋コンクリート内部で深刻な劣化が進みます。
コンクリートのアルカリ性環境で保護されていた鉄筋が、雨水に含まれる酸素と反応して酸化鉄を生成する化学反応が起こるためです。
鉄筋の膨張がひび割れを拡大
腐食が進んだ鉄筋は、体積が膨張し、周囲のコンクリートを内側から押し広げます。
この圧力で新たなひび割れが発生し、さらに多くの雨水が侵入するという悪循環が生まれます。
コンクリートの中性化が進むと、鉄筋の防食機能が低下します。
定期的な点検と早期の補修が、建物の寿命を延ばすための重要なポイントです。
ひび割れ放置が招く不同沈下の連鎖反応
基礎のひび割れを放置すると、雨水が侵入して地盤の弱い部分から不同沈下が誘発されるという連鎖反応が始まります。
最初はわずかな傾きでも、ひび割れた部分から雨水が浸入して地盤を軟弱化させ、沈下の差が拡大していくのです。
不同沈下が引き起こす2次被害
建物が傾斜すると、特定の部分に荷重が集中して新たなひび割れが発生します。
この悪循環が続くと、次のような問題が生じます。
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特に鉄筋コンクリート造の基礎では、ひび割れ幅が0.3mmを超えると内部の鉄筋が腐食し始め、耐震性能が低下することが指摘されています。
修復が遅れるほど補強工事の範囲が広がり、初期費用の倍のコストがかかるケースも考えられます。
基礎のひび割れを早期に発見し、安全な住環境を
基礎のひび割れは、建物の安全性に関わる重要な問題です。
この記事では、ひび割れの種類から原因、危険度の判断方法まで詳しく解説してきました。
深刻なひび割れは、早期に発見し、対応することが大切です。
もし不安な場合は、専門家による調査を依頼し、適切な補修方法を選択しましょう。
定期的な点検と適切なメンテナンスで、安心して暮らせる住まいを維持していきましょう。
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