身長別のキッチンの最適な高さは？標準高さから変更する費用と注意点

キッチンの標準の高さは「85cm」といわれています。
キッチンの高さとは、作業台となる天板・ワークトップの高さのことです。

アパートやマンションで備え付けられているキッチンも、高さ85㎝が一般的です。
システムキッチンが主流になる前のステンレス流し台は基本的な高さが80㎝でした。 日本人の平均身長が高くなり、キッチンの高さの主流も高くなっていきました。

近年流通しているキッチンの高さは、

が多くなっています。

メーカーによっては2.5㎝刻みのサイズを展開していることもあり、自分に最適な高さを選べますよ。

キッチンの高さは85㎝が基準ですが「85㎝を選ぶ人が多いから」という理由で選んではいけません。
キッチンの高さが合わないと、料理がしにくかったり、肩こりや腰痛の原因になる場合があります。

そこで本章ではキッチンの適切な高さの決め方を紹介します。

キッチンの高さ決めでお困りの方は、ぜひ以下の内容を参考にしてください。

>> 60代が使いやすいキッチンとは？老後に役立つリフォームのポイントを解説

システムキッチンの高さを調整する際に、基準となるのは身長です。
身長に対して位置が低すぎるキッチンでは、水回りで前かがみでの作業が増え、腰痛になることもあります。

逆に身長に対して位置が高すぎるキッチンだと、調理台での作業時、包丁に力が入らず、肩こりやケガにつながる恐れもあります。

まずは自分の身長に合ったキッチンの高さを知ることが大切です。 使いやすいキッチンの高さは、次の数式で求めることができます。

キッチンの高さは、日本工業規格(JIS)により、80cm・85cm・90cm・95cmと5cm刻みに定められています。この規格に合わせると、身長ごとの適切なキッチンの高さは次の通りです。

また、キッチンには「調理台(天板、カウンター)」「シンク(洗い場)」「コンロ」のパーツがあります。
ここでいうキッチンの高さとは、床から調理台までの高さを表します。部分ごとに使いやすい高さが異なりますので、それぞれの位置を考える必要があります。

キッチンの高さを決めるときは身長だけではなく「肘の位置」にも気をつけましょう。
同じ身長でも腕の長さによって異なるので、身長の計算式だけでは低く感じる可能性があります。

調理をしたり、洗い物をしたりするときは肘を起点にして作業するため、肘の高さも重要です。
天板の高さが高めだと食材を切るとき、包丁に力が入りにくくなります。

キッチンの高さは、肘から10㎝〜15㎝程度下を目安に高さを決めると良いでしょう。
ただし上記の方法はあくまで目安なので、身長と肘の高さを参考にしつつ、実際の高さを見て決めるのがおすすめです。

ここまでキッチンの高さの決め方を紹介してきたので、次にキッチンの高さを決めるときの注意点を紹介します。

キッチンの高さを決めるときの注意点には、下記3つが挙げられます。

上記の注意点について以下より詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

キッチンを選ぶ際にはショールームや展示会などで、実際の商品を見て決める方が多いと思います。
ショールームや展示会でキッチンの高さを確認するときは、普段使っているスリッパを持参しましょう。

スリッパの種類によっては厚さが数㎝程度あるので、スリッパを履いている時と履いていない時ではキッチンの高さの感じ方が異なります。

そのため、普段キッチンを利用する時にスリッパを履いている方は、ショールームや展示会にはスリッパを持参しましょう。
キッチンにマットを敷いている方はマットの厚みも考慮して高さを決めるようにしてみてください。

キッチンの高さを決める際は、天板以外のコンロやシンクの高さも確認 しましょう。
例えばガスコンロを利用する場合、IHコンロと比較して数㎝高くなるため、天板を高くし過ぎてしまうと、コンロの高さも高くなります。深さのある鍋を使うと中が見にくくなったり、フライパンが振りにくくなってしまうので、注意が必要です。

またシンクでの使い勝手も重要です。「洗い物をしていると肘までぬれてしまう」という方もいますよね。
食器を洗っている手元が肘より高い位置にあると水が伝わりやすくなるので、洗い物でよく衣服をぬらしてしまう方はシンクの縁部分が高すぎる可能性があります。

またシンクの深さも大切で深すぎると腰が痛くなったり、浅すぎると水が跳ねやすくなったりするので、天板の高さを決めるときにシンクの深さも見直すのがおすすめです。

キッチンは調理器具や食器が多くなりがちなので、収納スペースの確保も大切です。
キッチンの上部はデッドスペースになるので、吊り戸棚を設置したいと考える方もいますよね。

キッチンの上部に吊り戸棚を設置する場合は、キッチンの天板との距離を確認しましょう。
キッチンの高さが高いと棚との距離が狭くなり、作業しにくくなる可能性があります。

ただ、狭くならないように戸棚を高くし過ぎると、届かなくなってしまったり、収納物が見えなくなったりと使い勝手が悪くなってしまいます。
吊り戸棚は立った状態で視界に入る高さを目安にするのがおすすめです。

キッチンの高さを最適にするメリットは下記3つです。

上記のメリットについて以下より詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

キッチンの高さを合わせることで、料理が快適になります。
キッチンの高さが高すぎると、包丁に力を入れにくかったり、フライパンが振りにくかったりします。

無理な体制で包丁を使っていると、怪我をしてしまう恐れがあるので、自分にあった高さのキッチンを利用するのが良いでしょう。

反対にキッチンが低すぎると、洗い物をする時に水はねしがやすくなります。
高さが低ければ低いほど水はねしやすくなり、衣服が濡れてしまうので、低すぎるキッチンもおすすめできません。

キッチンの高さが自分にあっていないと、肩こりや腰痛の原因になることもあります。
キッチンは毎日使うもので、前かがみで作業することが多いため、自分に合わない高さだと、肩こりや腰痛になりやすくなります。

毎日使うキッチンだからこそ最適な高さを選び、体への負担を減らしましょう。

キッチンの天板より低いシンクは高さが低ければ、低いほど水はねがしやすくなります。
洗い物をする時は前かがみで作業するため、低い位置での水はねは衣服が濡れやすくなります。

怪我や肩こりなどの身体的影響は少ないですが、洗い物のたびに衣服が濡れるのはストレスに感じるかもしれません。

キッチンの高さを調整するリフォームでは、キッチン自体の高さを調整する工事に加えて、シンクのみの取り換え工事や、コンロ周りだけのリフォームが考えられます。

工事内容を検討するためには、自身のキッチンでの作業内容や不満点を洗い出し、改善したい部分に優先順位をつけることが大切です。

ここで、それぞれのリフォーム方法について、後述します。

キッチンの位置を全体的に高くする方法としては「現在のシステムキッチンの高さのみを変える方法」と「新しいシステムキッチンにフルリフォームする方法」の2パターンがあります。

それぞれの費用相場と工期の目安を確認しておきましょう。

既存のシステムキッチンをいったん取り外し、造作で台を作ってかさ上げをする工事です。
新しいシステムキッチンにリフォームするのに比べて、費用を抑えることが可能です。

キッチン自体は既存のものを使用するので、工事も短期間にとどめることができます。
工事費用をできるだけ安価に、そしてすぐキッチンを使いたいという方におすすめです。

かさ上げをする場合は、水道管や排水管、ガス管の延長が伴うこともあるので、配管の延長には別途工事費が必要です。また、かさ上げ素材が既存のシステムキッチンと異なり、見映えが悪くなることも考えられるため、かさ上げに使用する素材や塗料については、工事前にリフォーム業者と相談しておきましょう。

現在のキッチンと同じ位置に新しいキッチンを設置する方法です。

キッチンの高さに加えて、キッチン自体の老朽化にも悩んでおり、新しいシステムキッチンにリフォームしたいと考えている方におすすめの工事になります。

ここで紹介している費用は、キッチンの位置や型を変えない場合の費用です。
現在の壁付けキッチンをアイランドタイプにするなど、場所を変えたり型を変えたりする場合の費用は高額になることもあります。

キッチンメーカーや使用する素材によっても費用は大きく変動しますのでリフォーム前にしっかり確認をしましょう。

>> 位置や型を変えるキッチン・台所リフォームの費用相場はこちら

シンク(洗い場)の高さは、当然ながら調理台よりも低い位置です。
シンクの平均的な深さは約17～20cm。
水回りの高さに不満がある場合は、シンクのみの取り換え工事を検討してみるのもいいでしょう。

キッチンのシンク取り換え工事費用は次の通りです。

シンクでの作業中、腰が痛くて悩んでいる方は、深さが浅いシンクにリフォームすることで作業がしやすくなります。
キッチン全体のリフォームよりは工事費用も期間も格段に抑えられるので、「シンクだけでも使いやすくしたい」という方におすすめの工事です。

しかし、浅すぎるシンクにも注意が必要です。
洗い物の最中に水は跳ねが気になったり、大きな食器や鍋が洗いにくくなり、逆に作業がしづらくなることもあります。

シンクを交換する際は、身長だけで考えず、シンクの前に立って底に指が届くくらいを目安にリフォームしましょう。

ただ、なかにはシンクのみの取り換え工事ができないキッチンもあります。
シンクとカウンターが一枚の天板で作られているシステムキッチンや、シンクと下収納部分が一体型のキッチン(セクショナルキッチン)は、シンクだけのリフォームはできませんので、工事前にキッチンの構造を確認しておきましょう。

>> キッチンのシンク交換のポイントと注意点を詳しく見る

ガスコンロの場合、調理台に高さを合わせてしまうと、コンロの五徳分だけ位置が高くなります。
コンロの位置が高いまま調理を続けていると、鍋を持つ腕や肘、手首に負担がかかり、腕の疲れや肩こりにも原因にもなります。

コンロが高くて作業がしづらいという方は、コンロ周りのリフォーム がおすすめです。

コンロ周りのリフォームの1つに、ガスコンロをIHヒーターへリフォームが挙げられます。
IHヒーターへ変えることで五徳分の高さがなくなるため、 鍋振りや鍋の移動もスムーズになるなど作業がしやすくなります。

また、IHヒーターのメーカーにもよりますが、シンクのみのリフォームと同じく、キッチン全体を工事するよりも費用と期間も抑えられます。

ガスコンロからIHヒーターにリフォームする際に注意すべきは「電源」です。
IHヒーターには200Vの電源が必要ですが、多くの家庭には、200Vの電源はありません。ガスコンロからIHヒーターに取り換えるだけでなく、電源設置工事が必要です。

特にマンションの場合、マンション全体の電気供給量はあらかじめ決められています。
そのため、IHヒーターが設置できないこともありますので、管理組合への事前相談は必須になりますので、きちんと確認しましょう。

>> IHヒーターとガスコンロのメリット・デメリットを詳しく見る

キッチンの高さ調整は、調理台やシンク・コンロの位置だけ確認すればいいというものでもありません。

例えば二世帯住宅のように、キッチンで作業する人が複数人いる環境では、メインで使う人の使いやすい位置に高さを合わせましょう。同居人がどうしても作業がしづらいという場合には、キッチンマットやスリッパ、踏み台を使って、その都度合わせてもらう方が効率的です。

吊り戸棚(ウォールキャビネット)がある場合は、キッチンを高くすると逆に作業がしづらくなることもあります。リフォームの前に、調理台やコンロ・シンクと戸棚の位置関係をチェックしておきましょう。吊り戸棚や食器棚にも不便があれば、キッチンの高さ調整と合わせてリフォームができないか、業者に相談してみるのも有効です。

レンジフードと火元の距離も、建築基準法や消防法で定められています。
専門の業者に任せておけば安心ですが、念のために、キッチンの高さ調整によってコンロの火元とレンジフードの距離が近くなりすぎないか確認をしておきましょう。

キッチンの高さ変更リフォームは、そう頻繁に行うことはできません。
例えば位置が高めのシステムキッチンを選んだ後、高さを低くするのは困難です。リフォーム後に後悔しないためにも、実際に使用しているスリッパを持参しシュミレーションするなど、ショールームで家の環境を再現し、念入りに確認しておきましょう。

>> 吊り戸棚(ウォールキャビネット)の使いやすい高さ・奥行きはこちら

キッチンの高さを規格サイズより低くしたい場合は、台輪をカットすることで高さを低くできます。
台輪はキャビネットの下に10㎝ほどの台座の部分で、掃除機などの衝撃が本体に伝わるのを防ぐ役割があります。

この台輪をカットすることでキッチンを規格サイズより低くできますが、下記の2点に注意が必要です。

● 扉がこすれてしまう可能性がある
● 保証対象外の可能性がある

台輪をカットし過ぎてしまうと、キャビネットの扉が床についてしまい、扉の開け閉めで、床に傷がついてしまう恐れがあります。
掃除機のヘッドが直接キッチン本体にぶつかってしまうので、キッチン自体も傷がつくことがあります。

当サイト「リショップナビ」でリフォームしたキッチンの事例を参考に、作業しやすい理想のキッチンをイメージしてみましょう。

工事費用	137万円
住宅の種類	一戸建て
築年数	築25年
施工期間	7日

調理台(天板)を身長に合わせて低めに調整しました。あわせてガスコンロからIHクッキングヒーターにリフォーム。位置を低くして、利用しやすいキッチンになりました。

キッチンの高さは、キッチン全体、シンクやコンロ周りのリフォームによって調整が可能です。

まずは現在のキッチンに対する不満点を洗い出し、優先順位をつけて、キッチンのどの部分をどこまでリフォームしたいか明確にしておきましょう。

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キッチンは作業時間が長いスペースなので、少しでも高さが合わないと作業効率も落ちて家事が楽しくなくなってしまいます。また、キッチンの高さが合わないと、作業効率が落ちるだけでなく、怪我や肩こり・腰痛につながる恐れもあります。

キッチンの高さを決めるときは天板の高さだけでなく、コンロやシンクの高さも確認するのがおすすめです。シンク・コンロの標準的な高さやキッチンの高さを決める計算式を参考に、自分にあった快適なキッチン環境を作りましょう。

【この記事のまとめ＆ポイント！】

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