解体工事の期間の目安は?工事の流れと工期短縮3つのポイントを解説

更新日:2024年03月27日

解体工事の期間の目安は?

住宅の建て替えを検討しているなかで「解体工事はどのくらいの期間かかるのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
解体後に家を建て直す場合や土地を売る場合は、解体の工事が遅れると困りますよね。
本記事では、解体工事にかかる目安の期間と、工事が終わるまでのスケジュールについて詳しく解説しています。
解体工事の期間を短縮させるポイントについても紹介していますので、スムーズな工事が進められるように知識を深めておきましょう。

解体工事にかかる目安の期間はどのくらい?

解体工事の期間は建物の構造や面積、解体方法によって異なります。

一般的な木造家屋であれば、3〜10日程度で解体は完了しますが、鉄骨や鉄筋コンクリートの住宅になると、より長い日数がかかります。

解体にかかる日数の目安について、建物の種類別に以下の表にまとめてみました。

建物の種類 延べ床面積 解体日数の目安
木造家屋 30坪程度 3〜10日
鉄骨家屋 25坪程度 10〜20日
鉄筋コンクリート造 25坪程度 14〜45日
鉄骨鉄筋コンクリート造 50〜100坪程度 30〜80日

工事前には、解体業者の選定や工事の打ち合わせが必要なため、全体にかかる期間は木造家屋であれば2ヶ月程度と認識しておきましょう。

解体工事の期間は、季節や天候によっても左右され、予期せぬ問題が発生した場合には工期が延びる恐れもあります。

また、解体工事をする業者の能力や施工人数などにも影響されるため、信頼できる解体業者を選ぶことも重要です。

解体業者に依頼して工事が終わるまでのスケジュール

解体業者を選定し依頼してから、工事が終わるまでのスケジュールを解説します。

1. 解体業者を選ぶ
2. 現地調査と事前準備
3. 近隣住民への挨拶
4. 外構の解体・養生
5. 屋根や内装材の撤去
6. 建物本体の解体
7. 基礎の撤去と整地

各工程のポイントを把握することで、解体業者とのスムーズなコミュニケーションや適切な工事の進捗管理が可能です。

以下より一つずつ解説していきます。

1: 解体業者を選ぶ

解体する業者を選定・契約する手順は、以下の通りです。

1. 解体業者を選定
2. 工事の見積もり依頼
3. 見積もり結果を検討
4. 工事の契約

解体工事をスムーズに進める上で、信頼性や実績のある解体業者を選ぶことが重要です。

そのため見積もりは1社だけではなく、2〜3社に依頼して担当者の対応や提供されるサービス、工事費用などの比較をしましょう。

見積書の内訳の見方など詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
>> 解体工事の見積書はここをチェック|内訳や解体費用の紹介

また、解体業者の技術力や安全対策も選ぶときのポイントです。

契約前に「建設業許可」を得ているかや「解体工事業登録」を行っているか、必ず確認しておきましょう。

解体業者の探し方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
>> 家の解体業者の探し方|失敗しないためのポイント9つ

2: 現地調査と事前準備

現地調査では、建物の構造や状態、近隣住宅など周囲の状況を正確に把握しましょう。

解体工事に使用する重機や、周辺住民への安全対策を調査・検討することで、工事のスケジュールを正確に決められます。

また解体工事をする前には、ライフラインの停止手続きが必要です。

● 電気
● ガス
● 水道
● 電話
● インターネット

電気の場合は、電気メーターの撤去が必要なため、停止を希望する日の1〜2週間前には手続きをしておきましょう。

解体工事をスムーズに進める上で、解体業者とコミュニケーションを取り合い、事前に工事に関する疑問を解決しておくことも大切です。

3: 近隣住民への挨拶

解体工事のスケジュールが決まったら、近隣住民への挨拶をしましょう。

挨拶の際に伝えておくべき内容は、以下の通りです。

● 工事の内容や流れ
● 工事にかかる期間
● 工事をする時間帯や曜日
● 解体業者名と連絡先

解体工事の期間中は騒音や振動、粉じんといった日常生活にはない影響が出るため、丁寧な対応で説明しましょう。

挨拶をするタイミングは工事をする当日ではなく、工事に着手する1〜2週間前にしておくことが理想です。

口頭での説明に加えて書面で工事内容や期間などを伝え、粗品を持参して挨拶することで良好な関係を築けるでしょう。

4: 外構の解体・養生

解体工事に着手したら、まずは住宅周りのブロック塀や門、柵などの外構を解体します。

建物本体を解体する前に外構を撤去しないと、大型の重機やトラックの立ち入りができません。

解体する外構のすぐ近くに隣の住宅のブロック塀があったり、電柱や街灯といった構造物が立っていたりする場合があります。

工事中に重機をぶつけて損傷させないように、防護カバーで保護しておくことが重要です。

また、建物本体の周りには高所作業をするための足場を設置して、がれきや粉じんが飛散しないように養生シートを取り付けます。

5: 屋根や内装材の撤去

建物の解体で最初に行うのは、屋根部分や窓ガラスなど内装材の撤去です。

基本的に解体工事は、高いところから低いところへ進めていくため、屋根から解体を開始します。

屋根の解体作業は高所での作業になるため、作業員は足場や安全帯を使用して墜落防止に努めながら慎重に作業をします。

万が一、転落による災害が発生すると工事を中断することになり、工事期間が長引いてしまう恐れもあるため注意が必要です。

また、解体した廃材は法律で「産業廃棄物」に該当し、20種類に分類されています。

解体工事で排出される代表的な産業廃棄物は、以下の通りです。

● 廃プラスチック類
● ゴムくず
● 金属くず
● ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
● がれき類
● 木くず

参考:九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会|産業廃棄物の適正処理について

屋根と内装材は手作業で解体し、廃棄物の分別をしながら慎重に行うため、時間がかかる工程の一つです。

6: 建物本体の解体

屋根や内装材の撤去が完了したら、むき出しになった梁や柱を撤去する建物本体の解体工程です。

解体方法は大型の重機を使って解体し、木造家屋であれば3〜5日程度で解体が完了します。

鉄骨や鉄筋コンクリートなど構造が頑丈な建物の場合は、カッターやブレーカーといった特殊工具を使うため、より解体日数がかかります。

重機を使った大規模な解体であるため、粉じんや騒音が最も出やすい工程です。

近隣住民が生活している時間帯や、休日の作業を避けるといった配慮をしましょう。

建物本体の解体は慎重かつ確実な作業が求められるため、解体業者は作業員の安全確保と周囲への配慮に注意しながら作業を行います。

7: 基礎の撤去と整地

解体における最後の工程が、建物の基礎部分の撤去と敷地の整地です。

建物にはコンクリートで固められた土台となる基礎があり、新しく住宅を建て替えるときは古い基礎を撤去して新たに作り直します。

建て替えの方法によっては基礎部分を残すこともあるため、計画段階で解体業者と打ち合わせをしておきましょう。

基礎の撤去後は、重機を使って掘り起こしてデコボコになった地面を平坦にならすように整地します。

また、敷地の周辺には撤去した不用物が排出されているため、近隣住民の迷惑にならないように集積・分別し、ゴミが残らないように清掃しましょう。

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解体工事の期間が延びてしまう3つの原因

解体中に予期せぬトラブルや、悪天候によって工事の期間が延びてしまう場合もあります。

工期が延びる主な原因は、以下の3つです。

● 悪天候や自然災害による工程の遅延
● 地中埋設物が見つかり工事がストップ
● 「工事音がうるさい」と近隣トラブルになる

以下より詳しく解説していきます。

悪天候や自然災害による工程の遅延

解体工事の期間が延びる一因は、以下のような悪天候や自然災害によるものです。

● 豪雨による冠水
● 台風や暴風
● 豪雪による積雪

大雨のような環境下では、地盤が緩んで重機を乗り入れられない上、足場が安定せず作業員の安全が確保できません。

小雨であれば問題ありませんが、大雨や台風など悪天候が続くと予想されるときは、あらかじめ作業を中止することも大切です。

また、11〜2月の雪が降る季節に工事をする際は、積雪によって除雪作業が必要になることも考慮しておきましょう。

地中埋設物が見つかり工事がストップ

解体の掘削中に大きな岩やコンクリートの塊などの地中埋設物が見つかると、工事が一時的にストップし工事の期間が延びてしまいます。

埋設物を撤去するためには大型重機の手配や、水道管やガス管など関係機関との協力といった、予定にはない工程が加わるため注意が必要です。

地中埋設物があるかを事前に把握できれば、工事期間や工事費用に盛り込めることから、敷地の図面や記録が残されているかを確認しておきましょう。

「工事音がうるさい」と近隣トラブルになる

解体中は、重機で建物を壊す工事音が周囲に響きわたるため、騒音となって近隣住民とのトラブルに発展する恐れがあります。

日常生活に支障をきたすほどの大きな騒音がすると、不快に感じてクレームの原因になるため細心の注意が必要です。

建設工事の騒音に関することは「騒音規制法」によって決められており、1日あたりの作業時間や作業してもよい日などが定められています。
参考:環境省|騒音規制法(4ページ)

工事前には近隣住民への挨拶を行い、定期的なコミュニケーションを保ちながら、工事の進捗状況や予定の変更などを共有することも大切です。

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解体工事の期間を短縮させる3つのポイント

解体工事をスムーズに行うためには、解体業者や近隣住民とのコミュニケーションを図ることが大切です。

工事期間を短縮させるポイントは、以下の3つが挙げられます。

● 業者と密に連絡を取り工程を確認する
● 屋内の不用品は事前に処分しておく
● 近隣への配慮を示し良好な関係を築く

以下より詳しく解説していきます。

業者と密に連絡を取り工程を確認する

解体工事の期間を短縮するポイントの一つが、解体業者とこまめに連絡を取り合うことです。

その理由は、コミュニケーションを取って相談できる関係性を築くことで、工事の進捗を定期的に共有でき工程に遅れがないか確認できるからです。

たとえば、予期せぬトラブルが発生した場合でも、関係箇所と調整をして迅速に問題を解消し、工程の遅れを最小限に抑えてくれます。

万が一、工程が遅れてしまうと追加請求といった不利益を被ることもあります。

解体業者とのコミュニケーションを途切らせることなく、工事の進捗状況を把握し続けることで、工事期間の短縮につながるでしょう。

屋内の不用品は事前に処分しておく

解体工事をスムーズに進めるためには、屋内の不用品をあらかじめ処分しておくことが重要です。

不用品の処分には、以下のような方法があります。

● 不用品を解体して普通ゴミで出す
● 自治体の回収を利用する
● 廃品回収業者に依頼する

廃品回収業者は、市区町村の許可を受けた業者であるか事前に確認してから依頼をするようにしましょう。
参考:環境省|無許可の回収業者を利用しないこと

近隣への配慮を示し良好な関係を築く

解体工事をトラブルなく進めるためには、近隣への挨拶や丁寧な対応でコミュニケーションを取ることが重要です。

近隣への挨拶は、以下のようなタイミングで行いましょう。

● 工事を始める前
● 工事期間に変更があったとき
● 工事が終わったとき

工事前の挨拶では、重機の解体による騒音がすることや、工事にかかる期間の目安を伝えておくことで、近隣の方も安心して生活ができます。

無事に工事が終わった際には「長い期間にわたりご迷惑をおかけしました」とお礼の言葉を伝えることが大切です。

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解体に関するよくある質問

解体に関するよくある質問をまとめました。

● 解体から新築までの期間は?
● 家の解体費用の目安は?
● 解体中にトラブルが起きた場合はどうする?

以下より一つずつ解説していきます。

解体から新築までの期間は?

一般的な木造家屋の解体から新築までの期間は、以下の表の通りです。

工事の工程 期間の目安
新築の計画・業者の選定 約2〜3ヶ月
工事の契約・ローン申し込み 約2〜4ヶ月
仮住まい引っ越し・解体工事 約1〜2ヶ月
新築工事・引っ越し 約4〜6ヶ月
合計(解体〜新築まで) 約9ヶ月〜1年3ヶ月

住宅を建て替える場合は「工事の予算はいくらぐらいか」「どのような住宅の配置にするのか」といったさまざまな検討事項があります。

住宅の大きさや構造、周囲の環境によっても工事の期間が変動するため、施工業者と詳細に打ち合わせをして全体のスケジュールを把握しましょう。

家の解体費用の目安は?

一般的な住宅の解体費用の目安は、以下の表の通りです。

住宅の構造 解体費用の目安(30坪あたり)
木造 90〜150万円
鉄骨造 120〜180万円
鉄筋コンクリート造 180〜240万円

住宅の構造によって、手作業や重機による解体など工法が異なるため、人件費や重機のリース代といった見込まれる工事費用もさまざまです。

工事をする前には必ず複数の業者から見積もりを取り、価格面だけで契約するのではなく、信頼性や施工の品質も考慮しましょう。

解体費用について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

>> 家の解体費用の相場は?出費を抑える方法や注意点
>> 空き家の解体費用はいくら?補助金の利用条件も徹底解説
>> ブロック塀の解体撤去・補強・補修リフォームの費用!地震対策は大丈夫?

解体中にトラブルが起きた場合はどうする?

解体中にトラブルが起きた場合の相談先は、以下のような機関があります。

消費者センター
法テラス
● 弁護士

弁護士への相談に抵抗がある場合は、消費者センターや法テラスに問い合わせてみましょう。

法的な措置が必要な場合は、消費者センターから弁護士を紹介してくれる場合もあります。

解体工事のトラブルについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
>> 解体工事で起こりやすいトラブルとは?トラブルを未然に防ぐ方法

解体にかかる期間を知りスムーズに工事を進めよう

今回の記事では、解体工事の期間の目安や工事の流れ、工期短縮のポイントについて解説しました。

もう一度、解体工事にかかる目安の日数を表にまとめます。

建物の種類 延べ床面積 解体日数の目安
木造家屋 30坪程度 3〜10日
鉄骨家屋 25坪程度 10〜20日
鉄筋コンクリート造 25坪程度 14〜45日
鉄骨鉄筋コンクリート造 50〜100坪程度 30〜80日

解体工事の期間を短縮するためのポイントは、計画段階で細かなスケジュールを作成することや、解体業者との密な連絡やコミュニケーションを取ることです。

解体に関する知識を深めておくことで、解体後の新築工事に向けてスムーズな工程管理ができます。
住宅の建て替えを検討している方は、理想のプランを立てるために本記事を参考にしてみてください。

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