耐震リノベーションの費用相場・業者の探し方・施工事例!中古住宅をこれから買う場合の注意点は?

更新日:2023年12月26日

耐震リノベーションの費用相場・業者の探し方・施工事例!中古住宅をこれから買う場合の注意点は?

本記事では【一戸建て住宅(一軒家)の耐震補強・リノベーションの費用相場や施工例、業者の選び方】【耐震リノベーションの費用を安く抑えるコツ】【耐震診断の費用】【住宅の耐震基準】について、解説します。また「これから中古一戸建てを購入して、リノベーションして住みたい」という方のために【耐震性のある中古住宅を購入する際のポイント】もご紹介しています。地震に強い家づくりをされる際の、参考にしてくださいね。

この記事の目次

一戸建て住宅の耐震補強・リノベーション費用相場

最初に、一戸建て住宅で耐震補強のリノベーション工事を行う際の目安金額について、ご紹介します。

一戸建て住宅の耐震補強・リノベーション費用相場

耐震補強工事にかかる費用の目安・平均価格帯

まず耐震補強工事を行う場合には、125〜300万円以上の費用がかかる傾向があります。
施工の規模や方法にもよるため一概には言えませんが、平均価格帯は125〜200万円ほどです。

比較的築年数が浅いなどの理由で「金物による接合部などの補強」程度の工事で済むこともあります。
この場合は、40万円くらいの予算を想定しておくと無難でしょう。

>> 耐震補強・リフォーム工事の費用相場

築古の木造住宅などの場合は「基礎からの補強」や「シロアリの駆除・予防」などの費用も発生する可能性があります。
施工業者に現地調査してもらった上で、最終的にかかるコストについて確認しておくとよいでしょう。

耐震補強を含むリノベーションの費用

築年数が経過した一戸建てなどでは、耐震補強と同時にお住まい全体をリノベーションしたい方もいらっしゃるでしょう。
間取りを見直したい場合には、建物の骨組みだけを残してスケルトン状態にし、大規模なリフォームやフルリノベーションを行う方も増えています。

このように「耐震補強と一緒に、水回りなどもリノベーションする」「スケルトンリフォームの際に、耐震補強も同時に実施する」というときには、工事費の総額は350〜2,000万円になる例が多く見られます。

>> リノベーションの費用・施工例
>> スケルトンリフォームの費用・施工例
>> フルリノベーションの費用・施工例

耐震補強・リノベーション工事の主な内容

主な耐震対策の工事の方法には、以下のようなものがあります。

筋交いの設置
柱と柱の間や、壁に「筋交い(ブレース)」を設置し、壁面を補強する方法です。
1ヶ所につき5~20万円くらいと、比較的安い費用で施工できる傾向があります。
耐力壁を入れる
壁が少ない建物は、地震の揺れに耐えられず倒壊する危険性があるため「構造用合板」などの耐力壁(面材)をバランスよく設置する方法も効果的です。
金物などで、接合部を補強
「(土台と柱、柱と梁などの)接合部」を、耐震金物を使ってしっかりと固定します。
古い建物で、元々の強度が不足している際や、経年劣化で弱くなっている場合などに用いる方法で、建物の倒壊を防ぎやすくなります。
基礎部分や土台を補強
建物の土台・基礎部分が弱い場合には「鉄筋を入れる」「金物で補強する」「ひび割れた箇所を補修する」といった作業を行います。
中でも、建築基準法が古い頃に建てられた住宅は基礎が弱い可能性が高く、鉄筋を入れる工事が必要となるかもしれません。
外壁のひび割れ補修
外壁部分にひび割れが発生している場合は「表面に塗装されている塗膜(塗料)の劣化」もしくは「構造・外壁材自体にトラブルがある」といった原因が考えられます。
劣化状態に合わせて「外壁塗装」や「シーリング材の充填」などの工法で修復作業が必要です。
(※外壁のひび割れを放置してしまうと、雨漏りや腐食の原因になってしまうため、耐震性に関わらず早めに対処しましょう。)

>> 一戸建ての外壁を補修・修理する方法と費用
屋根の軽量化
瓦屋根など重さのある屋根材を、ガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材に葺き替える方法です。
建物にかかる負担を減らすことで、地震の際の揺れが小さくなり、倒壊のリスクを軽減する効果も期待できます。

>> 屋根の葺き替え費用・事例
減築
2階建て以上の一戸建てで、上階の一部もしくは全体を「減築」するご予定であれば、耐震性能が向上する可能性があります。
建物全体が軽くなることにより、1階部分にかかっている(=上階の重さを支えている)負担が減り、地震時の揺れが小さくなるなどのメリットが出てくるでしょう。

>> 減築リフォームの費用・事例

どの工法を組み合わせるかは、耐震補強の知識がある施工業者と相談しながら決めていくと確実でしょう。

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1981(昭和56)年以前の建物=旧耐震基準の可能性があるため注意

「新耐震基準」が適用され始めたのは、1981年6月1日です。

そのため、1981年5月31日以前に建築確認が行われた住宅は「旧耐震基準」で建てられている可能性があります。
必要となる補強工事が多くなると、その分の費用も高くなってしまいますが、安全を確保するためにも「新耐震基準」に合うよう施工してもらうのが望ましいでしょう。

ただし厳密に言うと「1981年5月31日以前の建物=旧耐震基準で建てられた」とは限りません。
旧耐震基準だった当時でも、設計方法や工務店などによっては、基準以上の頑丈な住宅を建築しているケースもあります。

逆に「1981年6月1日以降に建築確認が行われた住宅であれば、強度が高い」とも言い切れないため、注意が必要です。
残念ながら「技術不足で、新耐震基準通りに施工できていない」「新築当時は基準に合っていたが、後から増築した」などの理由で、耐震性に不安がある場合も考えられます。

また詳細は後ほど解説しますが、現行の基準が適用されたのは2000年6月1日からです(「2000年基準」と呼ばれています)。
とりわけ木造住宅の建築は、2000年以降に大幅な見直しがされています。

>> 築40年戸建ての耐震補強費用は?

耐震リノベーションの前に「耐震診断」を行うと安心

耐震リノベーションの前に耐震診断

上述した通り「旧耐震基準か新耐震基準か」という目安はあるものの、お住まいの耐震性をこれだけで判断するのは難しいのが現状です。

築年数に関わらず、ご不安な場合は、まずは耐震診断を実施することを推奨します。
耐震工事に詳しいプロから「耐震リフォーム・リノベーションは必要か」「どんな工事が適切か」などをアドバイスしてもらいましょう。

耐震診断の費用相場

耐震診断の際に必要な費用は、地域や住宅の種類などによって変動しますが、木造住宅なら10〜40万円(高くなる場合は〜50万円)くらいが目安です。

ただ、後ほどお話ししますが「耐震診断」を実施する場合には、補助金(助成金)を利用しやすいです。
特に旧耐震基準の可能性がある住宅は補助対象となりやすいため、耐震診断や補助金制度の利用を前向きに検討するとよいでしょう。

耐震診断・補強工事について
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耐震リノベーションの費用を安く抑えるコツは?

「安全な家にするために、耐震リノベーションはしたいけど、費用面が心配……」という方は、多くいらっしゃるかもしれませんね。
そこで、耐震工事費用を安く抑えるためのコツについても、チェックしておきましょう。

耐震リノベーションの費用を安く抑えるコツ

施工業者に予算を伝え、優先順位が高い箇所から工事を行う

まずは打ち合わせや現地調査のタイミングなどで、施工業者に「予算内でリノベーションしたい」「できるだけ安く抑えたい」といった要望を、早めに伝えておきましょう。

もちろん安全性を確保するためには妥協できない工事もあるはずですが、親身になってくれるスタッフであれば、優先的に補強すべき箇所を考え、提案してくれるでしょう。
例えば「まとめて工事するのではなく、時期をずらして徐々に補強・リフォームしていく」など、柔軟にプランニングしてもらえるかもしれませんよ。

「耐震診断・補強」が対象となる補助金(助成金)制度の活用

前述したように、耐震診断や耐震補強工事では、補助(助成)制度を活用しやすいです。

特に1981年以前の建物(中でも木造住宅)を補助対象としている自治体が多いです。
耐震診断を無料化しているケースもたくさん見られます。

>> どんなリノベーション(リフォーム)が補助金対象?

お住まいの地域の窓口に問い合わせるのが最も確実ですが、施工業者によっては補助金の知識があり、申請の仕方などについてサポートしてくれる場合がありますよ。
工事の見積もりの際などに「補助金や助成金を利用できそうか」を質問してみるとよいでしょう。

「耐震改修」を行うと減税制度を使える場合も

2022年7月現在、耐震改修を行った後に申請することで「所得税」や「固定資産税」が減額される、以下のような制度があります。

所得税の特例措置(耐震改修に係る所得税額の特別控除)
対象のリフォーム・リノベーション工事を行った場合に、所得税から一定の割合を控除(減税)される制度です。
確定申告時に、管轄の税務署へ申請する必要があります。

<耐震改修の場合の適用条件>
■(1981年5月31日以前の)「旧耐震基準」で建築された住宅を、(1981年6月1日以降の)「新耐震基準」に適合させるために工事を行った場合が対象
■(適用を受ける方が、)主として居住用に供する住宅であることも条件

<耐震改修の控除(減税)額>
「住宅耐震改修に係る耐震工事の標準的な費用の額(上限250万円)」の10%を、所得税から控除

※ 「耐震改修工事に係る標準的な工事費用相当額」は、実際にかかった費用ではなく、国土交通省によって定められた金額です。住宅の種類や工事内容によって異なります。

<適用期間>
〜2023年12月31日
固定資産税の減額
耐震改修工事を実施した翌年度分の固定資産税が1/2に減額される制度です。
工事が完了した日から3ヶ月以内に、市区町村の管轄窓口(固定資産税課など)へ申請すると適用されます。

<適用条件>
■1982年1月1日以前から所在する住宅を、(1981年6月1日以降の)「新耐震基準」に適合させるために工事を行った場合が対象
■耐震改修の工事費が50万円(税込)を超えることも条件

<適用期間>
〜2024年3月31日

>> どんなリノベーション(リフォーム)が減税制度の対象?

耐震リノベーションの施工業者の選び方

耐震リノベーション業者の選び方

なお耐震リノベーション工事の依頼先を探す際には、複数の会社に見積もりを依頼し、提出されたプランを比較するのが望ましいと言えます。

ここまでご紹介したように「親身になって相談にのってくれるスタッフ」や「補助金制度に詳しい業者」に出会うことで、ご希望に近いリノベーションを実現できる可能性が高くなるはずです。

また「家が古いので、耐震リノベーションか、建て替えか、どちらかにするか悩んでいる」という場合も、複数社からの提案内容を比べた上で判断するとよいでしょう。

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耐震補強リノベーションの施工事例

ここで、当サービス『リショップナビ』に加盟する施工業者が、耐震補強を伴うリノベーション工事を手がけた例を見てみましょう。

LDK拡張などの工事と一緒に、耐震・断熱化

築年数 42年
リフォーム費用 280万円
工事期間 20日
施工地域 埼玉県
家全体のリノベーションを機に、耐震工事を行いました。
ほかの壁とのバランスを考慮しながら壁を補強し、耐力壁や断熱材を施工。
またダイニングキッチンが狭かったため、間取りを変えて広いLDK空間を実現しました。

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耐震診断に基づき、耐力壁や金物で補強

築年数 56年
リフォーム費用 980万円
工事期間 150日
施工地域 愛知県
築56年のお住まいの耐震性がご心配になり、耐震診断を受けたところ「倒壊してしまう可能性が高い」という結果が出たため、耐震補強をメインに、シロアリ駆除や、水回り・LDKのリノベーション工事も実施しました。
「これで安心して暮らせる」と喜んでいただけました。
耐震工事にかかった費用は、約200万円です。

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>> 愛知県名古屋市のおすすめリフォーム会社をご紹介

旧耐震基準の木造住宅を減築&補強

築年数 35年
リフォーム費用 1,100万円
工事期間 42日
施工地域 愛媛県
「旧耐震基準の建物だったため、耐震性能を考慮しながらリノベーションしてほしい」というご依頼でした。
診断結果に基づき、金物や耐震ボードを使って、新耐震基準に合うよう補強。
水回りなども全体的に改装し、駐車スペース確保のために減築工事も行っています。

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スケルトンリフォーム&屋根の軽量化

築年数 39年(木造)
リフォーム費用 1,300万円
工事期間 90日
施工地域 京都府
「祖父母が暮らしてきた家を、子に引き継いでいきたいため、建て替えかリノベーションを考えている」というご相談を受け、スケルトンリフォームを行い、お住まいの状況に合わせて補強することをご提案。
屋根材も、日本瓦から軽量瓦へと変更しました。
せっかくの機会でしたので、LDKをカフェ風の空間にするなど、デザイン性にもこだわりました。

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5世代を超えた築200年の住宅にて大規模工事

築年数 200年
リフォーム費用 2,000万円
工事期間 120日
施工地域 山口県
伝統的な住宅で、ご家族が代々受け継いできたため快適に暮らせるようにと、リノベーションのご依頼をいただきました。
耐震対策のため柱などを追加し、窓や壁・床などの断熱化や、オール電化工事も実施しています。

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そもそも住宅の「耐震基準」とは?

ここからは「耐震基準(建築物の耐震基準)」について、具体的に理解を深めていきましょう。

耐震基準は「建物の耐震性能(=最低限度の耐震能力を持っていること)を表すための“基準”」で、建築基準法および建築基準法施行令にて設けられています。
建物の建築を許可するための基準として、利用されます。

【耐震基準の変遷】旧耐震基準と新耐震基準

「耐震基準」は、大規模地震災害の発生をきっかけとして、以下のように改正が繰り返されています。
最も重要な節目となったのが「1981年の改定」「2000年の改定」です。

1950年 「建築基準法」が制定
1968年 十勝沖地震 (M7.5)
1971年 建築基準法 改定 (RC造の構造基準強化)
1978年 宮城沖地震 (M7.5)
    ※RC建築物の倒壊などが発生。耐震基準の大きな不備が発覚
1981年 建築基準法 改正 (抜本的に見直され「新耐震基準」が誕生)
1995年 兵庫県南部地震 (M7.3)
1995年 「耐震改修促進法」の制定
2000年 建築基準法 改正 (木造の耐震基準強化)
2001年 「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」の制定。
     ※「耐震等級」の誕生
2011年 東北地方太平洋沖地震 (M9.0)
2013年 耐震改修促進法 改正 (一般住宅の耐震診断の努力義務化)

【旧耐震基準(1981年以前)の特徴】

1981年改定以前の耐震基準を「旧耐震基準」、改定以降の基準を「新耐震基準」と呼んでおり、双方には大きな差があります。

旧耐震基準の木造住宅は、新耐震基準を満たした木造住宅と比較すると、約1/2程度の強度(耐震性能)に該当すると言われています。

旧耐震基準の目標は「震度5の地震揺れにて、建物が倒壊しないこと」であったため、震度6強・震度7といった地震の揺れに見舞われた場合、倒壊してしまう危険性が高いと言えるでしょう。
実際、近年の“震度6弱以上”の地震活動によって、旧耐震基準の木造住宅が倒壊に至ってしまった例が目立ちます。

旧耐震基準の木造住宅の特徴 (例)
(震度5を前提とした強度設計のため)全体的に「耐力壁量」が不足
「耐力壁の配置バランス」が悪い(地震に対する脆弱性がある)
柱・土台・梁(特に「土台と柱」)の接合強度が低い
基礎の強度不足(基礎に鉄筋が入っていない/無筋)

【新耐震基準(1981~1999年)の特徴】

1978年宮城沖地震による被害を教訓として、1981年に抜本的な「耐震基準の見直し」が行われました。

旧耐震基準では「“震度5の揺れ”に対して、建物(木造住宅など)が倒壊しないこと」を目的(指標)とした耐震性能でしたが、 新耐震基準では「“震度7の揺れ”に対して、建物倒壊が生じないこと」を目的とした耐震性能設計へと変更されたのです。

1981年の新耐震基準の主な特徴は、木造住宅の「耐力壁に関する機能性」の見直しが成されたこと。
具体的には、耐力壁の種類の増加(強度が高い耐力壁の追加)や、耐力壁の必要量・強度倍率の見直しが行われました。

【新耐震基準(2000年以降)の特徴】

近年、最も大規模な地震災害と位置付けられるのが、1995年に発生した「兵庫県南部地震」による地震災害(阪神・淡路大震災)です。

※地震規模としては、2011年の東北地方太平洋沖地震(M9)が大きいですが、被害の大半が「津波」によるものであることから「甚大な津波災害」と位置付けられます。

阪神・淡路大震災をきっかけに、それまで焦点が当てられていた「耐力壁の強化」だけでは不十分だったことが明らかになったのです。
そこで、さらなる耐震基準の見直しが図られ、2000年に建築基準法が改定され、耐震基準に以下の要素が付加されました。

基礎の強度を高めるために「基礎構造」に関する規定を追加
「土台・柱・梁」の接合部の強度を高めるための仕様規定が明確化
耐力壁に関して「配置バランス計算」を追加

ちなみに現在の耐震基準は、この「2000年の改定」に基づく内容となっています。

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リノベーション前提で、耐震性のある中古住宅を購入する際のポイント

ここまでは「耐震リノベーションを行う際のポイント」や「耐震基準」について解説しましたが、本記事をご覧の方の中には「中古の一戸建てを購入し、好みの空間にリノベーションして住みたい」という方も、いらっしゃると思います。
このような場合は、できれば十分な耐震性が確保されている物件を選んで購入したいですよね。

>> 中古マンションのリノベーションでよくある後悔と対策

そこでここからは「安心・安全な中古住宅を見極めるための要点」について、ご説明していきます。

リノベーション前提で、耐震性のある中古住宅を購入するポイント

「構造計算」が行われている中古住宅こそが安心・安全

“住宅構造・住宅性能”という視点において、本当の意味で安心・安全な家とは「構造計算(許容応力度計算)に基づいて設計された住宅」であると言えるでしょう。
例えば、以下のような住宅が該当します。

鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅
鉄骨造(S造)の住宅
耐震等級3の木造住宅

(※ここでの「安全な住宅」とは、地震に対しての安全性を指します)

ただし、これらの仕様の住宅は、まだ少ないのが現状です。
そこで、一戸建てにおいて多数を占める木造住宅で安全性を求めるのであれば「耐震等級2以上」が現実的な指標となるでしょう。

【「耐震等級」とは?】

前項でお話しした「耐震基準」とは別に「耐震等級」というものがあります。

「耐震基準」の定義
これまで解説してきた「耐震基準」は「建築基準法」という法規の中で定められている建物性能基準です。

その目的は「人命を守ること」(=地震などによって住宅の損壊が生じたとしても、倒壊することなく人命を守れる建物にすること)と定義されています。
「耐震等級」の定義
2000年に耐震基準が改定された翌年、2001年に「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」が施行されました。
この品確法の中で規定されたのが「耐震等級」です。

「耐震等級」は、いわば建物の性能指標です。
「人命を守ること」だけではなく「建物(住宅)を守ること」(=大規模地震に見舞われたときに、人命を確保でき、住宅の損壊を極力小さくする)も目的としています。
「耐震基準」と「耐震等級」の違い・注意点
「耐震基準(建築基準法)」と「耐震等級(品確法)」は、それぞれ異なる法律の中で定められているため、本来は単純に優劣をつけることはできないものです。
ただ、現実的な建物性能を比較すると「“耐震基準のみを満たしている住宅”よりも、“耐震等級も満たしている住宅”のほうが耐震性能が高い可能性がある」ため「耐震基準 ≦ 耐震等級」という関係性があると言えるでしょう。

「耐震基準」に関しては、実際に基準が満たされている住宅なのかどうかを、一般の方が判断するのは難しいものとなっています。
一方「耐震等級」は、(耐震等級が付与されている住宅かどうかを)“見極めるための指標”とすることができます。

ただし「耐震基準=“義務”規定」であるのに対して「耐震等級=“任意”規定」です。
(※法規的には「耐震基準」は必ず満たさなければいけませんが「耐震等級」は満たさなくてもOKとされています。)
そのため、耐震等級が導入されていない住宅が多数存在しているのが実情ではあります。

【「耐震等級」の種類と概要】

耐震等級には、以下のように3つのステージが設定されています。

耐震等級1
建築基準法で定められている「耐震基準」の最低限の耐震性能を備えています。
(耐震基準を満たしている住宅=耐震等級1の指定を得られることになります。)

震度5程度の地震では、ほぼ損傷しないとされています。
ただし震度6〜7相当の地震の際には、一度は倒壊しないで済むものの、大規模な修繕や建て直しが必要になる可能性があります。
耐震等級2 (耐震性能=「耐震等級1」の1.25倍)
震度6〜7の地震に耐えられ、建物の一部が損壊しても、部分修繕を施す程度で済む可能性が高いです。
病院・学校や、災害時に避難場所として利用される体育館などは、耐震等級2以上が必ず求められることになっています。

国土交通省などが推奨している「長期優良住宅」に認定されるのは、耐震等級2以上の住宅です。
耐震等級3 (耐震性能=「耐震等級1」の1.5倍)
震度6〜7の地震に耐えられる上、建物の一部にダメージを受けても軽微な補修を行えば、その後も生活できるとされています。

「許容応力度計算」という、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)などに用いられる構造計算手法で設計されており、防災の重要な拠点となる警察署・消防署などは、耐震等級3で建設されることが多いです。

耐震性がある物件で、自然災害のリスクが低い環境が理想的

自然災害のリスクが低い環境で、耐震性がある中古一戸建て住宅を選ぶ

ところで、各種自然災害に対する住宅の安全性と言えば「住宅の耐震性能」がクローズアップされがちですが、本質的には「土地環境リスクを回避すること」が、耐震性能よりも重要な要素と言えます。

自然災害を引き起こす自然現象は「地震」だけではありません。
多種多様な自然現象が存在し、災害を招く要素となっています。

災害の要因となる、自然現象の例
津波・高潮、台風・暴風・竜巻・ダウンバースト、豪雪・吹雪・冷害、塩害、酷暑、土砂崩れ・地滑り、洪水・豪雨、火山活動(噴火、土石流など)

「耐震性」は、あくまでも住宅の安全性を担保するための一つの要素に過ぎず、一番大切なのは「自然災害リスクの少ない土地(環境)」を選ぶことです。

悲しいことに、2016年の熊本地震災害では「新耐震基準」で建てられた木造住宅の数%が倒壊してしまった例があり、その一番の要因は「断層上に住宅が建てられていたこと」と考えられています。
地表面に断層が表れて(地盤に段差が発生して)しまうと、その上に建てられている住宅は(耐震性に優れている建物であっても)、大きな被害に遭ってしまうのです。

これから中古の一戸建て住宅を探す際には「安全な土地環境(自然災害リスクの少ない土地)を選ぶこと」を第一に重視するのが望ましいと言えるでしょう。

ホームインスペクション(住宅診断)も活用を

中古一戸建ての購入時には、ホームインスペクション(住宅診断)を活用

中古住宅を購入・検討する際には、専門家(建築士)による「ホームインスペクション(住宅診断)」で、建物全体の性能を(耐震性も含めて)確認するのもおすすめです。
購入前の中古住宅はもちろんのこと、現在お住まいの建物を調査・診断してもらうことも可能です。

新築当時は耐震性を有した住宅であったとしても、経年劣化や台風・地震などの影響により、耐震性能は低下していきます。
つまり、現在お住まいの建物も、購入を検討している中古住宅も、ほとんどは耐震性能の劣化が生じていると考えられます。

そのため、購入をご検討中の中古住宅で「住宅診断が行われたか」を確認することも、安心・安全な住宅を見極めるための大切な指標になるでしょう。

住宅診断を実施済みの物件であれば、その結果をチェックすることが重要です。
もしも未実施であれば、きちんと住宅診断を行うことで、耐震性や、これから必要となる工事について知ることができます。

>> リノベーション向き物件の探し方とポイント!

耐震性能以外の工事もリノベーション業者と相談しよう

耐震以外の工事もリノベーション業者と相談しよう

最後に、住宅のリノベーションをご検討中の方々にお伝えしたいことを記しておきます。
それは「どんな工事プランなら、予算内で理想の住まいにリノベーションできるか」を、施工業者とじっくり相談しながら決めていただきたい、ということです。

耐震補強を実施するか、また耐震対策以外の施工をするかどうかに関わらず「快適に生活するためには、どんな家にするとよいのか」をイメージしてみましょう。

なお当サービス『リショップナビ』では、さまざまな工事に対応できるリノベーション会社を多数ご紹介しています。
すでに物件をお持ちの方も、これから中古住宅を購入予定の方も、優良な施工会社をお探しの際には『リショップナビ』の活用もぜひご検討ください。

ご家族の皆さんが安心して暮らしていける、素敵なお住まいを手に入れてくださいね!

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