介護保険の住宅改修でできることは?申請方法やリフォーム事例をご紹介

更新日:2025年11月11日

介護保険を活用して住宅改修をしよう

要介護や要支援認定を受けている方が住宅をリフォームする場合、介護保険の住宅改修費の一部を支援してもらえます。
対象工事には、手すりやスロープの設置などがありますが「どのように申請したらいいの?」とお困りの方もいるでしょう。
本記事では、介護保険の住宅改修の利用条件、対象工事、支給額を解説。申請方法もお話していますので、介護保険を活用して自宅のリフォームをしたいと考えている方は、ぜひご覧ください。

※出典:「介護保険における住宅改修」(厚生労働省)
上記を加工して作成。

介護保険の住宅改修とは

介護保険の住宅改修とは、要介護認定を受けた方が保険を利用し住み慣れたご自宅で安全かつ自立した生活を送れるよう、住宅の一部を改修する制度のことです。

主な目的
  • 要介護者本人の自立を促す
    自分でできる動作を増やし、生活の質を向上させる。
  • 介護者の負担を軽減する
    介助のしやすさなどを考慮し、家族などの介護者の身体的・精神的な負担を減らす。
  • 生活領域を拡大する
    より広い範囲で安全に移動できるようにする。

この制度を利用するには、事前に申請する必要があるため、利用を検討されている方は「介護保険の住宅改修の流れ・申請方法」をご覧ください。

利用対象者

介護保険の住宅改修費支給は、次の2つの条件を満たす方が対象です。

● 要支援もしくは要介護の認定を受けている
● 自宅で生活している

要支援や要介護に認定されていても、介護施設で暮らしていたり、入院していたりなど、一時的であっても自宅以外の場所に住んでる場合には適用されません。

ただし、現在介護施設や病院にいても、今後自宅に戻ることが決まっていれば、対象になる場合もあります。

支給限度額

要支援・要介護の区分にかかわらず、支給限度額は「20万円」です。

ただし、自己負担額が「改修費用の1〜3割」に定められており、その割合は利用者の年齢や所得によって異なります。

たとえば20万円のリフォームを行なった場合、支給額は次の表のようになります。

自己負担割合 支給額
1割 18万円
2割 16万円
3割 14万円

介護保険の住宅改修費支給は、原則1人1回ですが、上限を超えない範囲であれば数回に分けて利用可能です。

また、要介護区分が3段階以上あがったり、引っ越しをしたりした場合は、再度20万円まで利用できます。

支給方法

支給方法には2通りあり、違いは次の通りです。

項目 償還払い 受領委任払い
支払い方法 被保険者が施工事業者に工事費を全額支払い、その後支給額が振り込まれる 被保険者が施工事業者に利用者負担分を支払い、その後市区町村から残りの金額が施工事業者に支払われる
支給のタイミング 施工後、被保険者の口座に振り込まれる 市区町村から施工事業者に直接支払われる
契約の必要性 特に契約は不要 施工事業者は市区町村と受領委任契約を締結する必要がある
支払先 被保険者が施工事業者に支払い、後に市区町村が被保険者に支給 被保険者が施工事業者に一部支払い、市区町村が施工事業者に残りを支払う
申請方法 被保険者が申請する 専用申請書を提出する必要がある

これらの違いを踏まえ、受け取りやすい支払い方法を選びましょう。

介護保険の住宅改修対象でできること

介護保険の住宅改修対象になる工事
介護保険の住宅改修対象工事
  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 引き戸の交換
  • 床や通路の素材変更(滑り防止や移動の円滑化のため)
  • 洋式便器への取替え
  • 住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

各工事内容を詳しく解説します。

手すりの取り付け

廊下や階段、トイレ、浴室、玄関などでの転倒予防や移動・移乗のための手すりの取り付けは、介護保険の住宅改修対象です。

手すりの形状は、二段式・縦付け・横付けなどの指定がなく、使用者の状態に合わせて選べます。

動線の手すりであれば、屋外に設置した場合も対象内ですが、取り付け工事が不要な手すりの場合は住宅改修の対象外です。

>> トイレに介護用の手すりを取り付ける費用は?
>> お風呂をバリアフリーにするポイントを解説!

段差の解消

転倒防止や車椅子の移動をスムーズにすることを目的とした床や通路の段差解消にあたる住宅改修は、次の工事が対象です。

● 玄関から廊下や各部屋の出入口の段差をなくす工事
● 敷居を低くする工事
● スロープを設置する工事
● 浴室の床のかさ上げする工事

昇降機やリフト、段差解消機などの設置工事は、自治体によって基準が異なるため、利用する前に確認しましょう。

>> 玄関前にスロープ設置!ポーチのリフォーム費用相場

引き戸の交換

引き戸やアコーディオンカーテンへと取り替える工事も介護保険の対象です。

開き戸から引き戸やアコーディオンカーテンへ取り替えることで、移動や開閉時の負担を減らせます。

扉全体を取り替える以外にも、ドアノブの変更や戸車の設置も対象です。

また扉位置の変更より費用が抑えられる場合に限り、引き戸の新設でも認められます。

>> 引戸についても解説!玄関ドアリフォームの費用は?

洋式便器への取り替え

和式トイレを洋式トイレに取り替えることも住宅改修の対象です。

取り替え以外にも、便器の位置や向きの変更も該当します。

ただし次の工事は対象外となるため、注意しましょう。

● 洋式便器を暖房便座や洗浄機能付き便座に変更する場合
● 水洗式便器または簡易水洗式便器に変更する場合
● 腰掛便座を設置する場合

>> トイレリフォーム/交換の工事費用相場
>> 介護保険以外で使えるトイレリフォームの助成金制度の例

床や通路の素材変更

滑り防止や移動をスムーズにすることを目的とする、床や通路の素材変更も介護保険の対象になります。

具体的に対象となる変更は次の通りです。

● 畳からフローリングやクッションフロアなどの床材への変更
● 階段の滑り止めの設置
● カーペットの取り付けや滑り止め加工
● 浴室の床材の変更
● 屋外通路面を滑りにくい素材へ変更

>> クッションフロアの特徴・張り替えリフォームの費用相場
>> マンションの床張り替え費用を種類別に解説!補助金や事例も紹介

工事に付帯して必要になる改修

紹介した5つの工事に付帯して必要になる工事の費用も支給対象です。

たとえば、手すりの取り付け部分の壁材の補強や、浴室の床のかさ上げで必要になる給排水設備の工事などが該当します。

ほかにも扉を設置するための壁や柱を補強する工事や、便器の取り換えで発生する床材の張り替えや給排水設備の工事なども対象です。

介護保険の住宅改修の対象外になるケース

介護保険の住宅改修の対象外になるケースには、次のようなケースがあります。

● 動力を使った器具の設置
● 福祉用具の設置

対象にならないのは段差の解消を目的としない、福祉用具として別に給付制度があるためです。

対象外の場合、工事費用は全額自己負担になります。
しっかりと調べて住宅改修を検討しましょう。

ただし、福祉用具には貸与の制度があるため、必要な場合は福祉用具の保険制度を活用するのがおすすめです。

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介護保険の住宅改修の流れ・申請方法

介護保険の住宅改修の流れ・申請方法

介護保険の住宅改修の申請は以下の流れで進みます。

  • 1. ケアマネージャーと相談
  • 2. 住宅改修業者と打ち合わせ
  • 3. 必要書類を揃えて事前申請
  • 4. 申請内容に基づいた施工
  • 5. 工事完了後市区町村に事後申請

各手順について詳しく解説するため、介護保険の利用を検討している方はぜひご覧ください。

1. ケアマネージャーと相談

まずはケアマネージャーと相談しながら、改修場所や内容を検討しましょう。

ケアマネージャーが必要な工事はどのような内容なのかを、詳しく教えてくれます。

改修場所や内容の決定後、ケアマネージャーが「住宅改修が必要な理由書」を作成します。

理由書は事前申請で必要なため、忘れないようにしましょう。

2. 住宅改修業者と打ち合わせ

業者と工事内容について打ち合わせをします。

介護を目的とした改修であることや、ケアマネージャーと相談した内容を伝えながら、適切な改修プランを作成してもらいましょう。

改修工事のプランを作成後、見積書を作ってもらいます。

見積書は自治体に提出するため、介護保険利用者宛で作成してもらいましょう。

3. 事前申請

住宅改修の見積もりまでできたら、事前申請を行います。

事前申請時に提出する書類は、自治体によって異なる場合があるため、しっかりと確認しましょう。

基本的に必要になる書類は次の通りです。

● 支給申請書
● 住宅改修が必要な理由書
● 工事費見積もり書
● 完成予定の状態がわかるもの

自治体によっては、工事前の改修箇所の写真や図面が必要な場合もあるため、申請する前に必ず自治体の担当部署で確認しましょう。

4. 申請内容に基づいた施工

審査に通過後、申請内容にしたがって施工されます。

審査通過前の状態で施工してしまうと、介護保険の住宅改修の対象から外されてしまう恐れもあるためご注意ください。

審査に時間がかかる場合もあるため、完成の希望時期がある際は、できるだけ早めに申請の準備をし書類を提出しましょう。

5. 工事完了後市区町村に事後申請事後申請

工事完了後、支給申請を行います。

事後申請では、費用発生の事実がわかる書類などを提出し、申請が通ると介護保険から住宅改修費が支給されます。

事後申請で、必要になる主な書類は次の通りです。

● 住宅改修に関する領収書
● 工事費内訳書
● 住宅改修の完成後の状態を確認できる書類
● 住宅の所有者の承諾書

住宅改修の完成後の状態を確認できる書類には、改修箇所ごとに改修前後の写真を撮影日がわかる状態で提出しましょう。

自治体によって上記以外の書類等が必要な場合もあるため、事前に確認してください。

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介護保険を活用したリフォーム事例3選

ここで次に、当サイト『リショップナビ』でご紹介している施工業者が、実際に介護保険を活用したリフォームした施工事例を3つご紹介します。
工事内容とあわせて工事費用も掲載していますので、参考にしてみてください。

事例1:補助金活用で費用負担を軽減した手すり設置

工事費用 約25万円

【リフォームのポイント】
①介護保険を利用したことにより、18万円の補助金が適用されています。
実質的な費用負担を大幅に抑えながら必要な改修を実現しました。
②手すり設置に際して、下地にベニヤを入れてしっかりと補強が行われています。
利用者が体重をかけてもびくともしない高い強度と安全性が確保されており、安心して使用可能です。

>>事例の詳細はこちら

事例2:2階も安全に!介護保険対応の階段昇降機

工事費用 約100万円

【リフォームのポイント】
①階段の上り下りが困難な方のために、高額になりがちな階段昇降機の設置において介護保険補助金制度が適用されています。
②住居内で最も転倒や転落の危険性が高い階段に昇降機を設置することで、二階建て以上の住宅における移動の不安を一気に解消し、要介護者の生活の質向上に大きく貢献しています。

>>事例の詳細はこちら

事例3:手すりを10か所&新設トイレを設置

工事費用 約100万円

【リフォームのポイント】
①松阪市役所への補助金申請を行い、新設トイレだけでなく、廊下、キッチン、浴室にも合計10箇所の手すりを設置しました。
介護保険を最大限に活用し、生活の主要な動線全体で転倒予防と立ち座りの負担軽減を図っています。
②お母様の足腰が弱り介護が必要になったことを受け、屋外の汲み取りトイレから、屋内の物置スペースを利用した水洗トイレへの新設を行いました。
移動の負担と危険性を大幅に減らし、衛生的な環境を確保しました。

>>事例の詳細はこちら

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介護保険の住宅改修に詳しい業者に相談しよう

要介護や要支援認定を受けている方が暮らす住宅をリフォームする際、介護保険を利用することで自己負担金を減らせます。

介護保険の住宅改修には事前の申請が必要なので、施工前に自治体での手続きを忘れずに行いましょう。
介護保険に詳しい業者であれば、手続きのサポートもしてくれるので安心です。

『リショップナビ』では、介護保険の住宅改修に詳しいリフォーム会社の一括見積もりを無料で依頼できます。
まずは、信頼できる業者に相談して、必要なリフォームをしっかりとサポートしてもらいましょう。

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