マンションの床を変更する「張り替え」と「重ね張り」の違い

マンションの床を変更する方法は、大きく分けて「張り替え」と「重ね張り」の2種類です。
それぞれの特徴や違いをご紹介します。
張り替え
床の張り替えとは、既存の床材を撤去し、新しい床材を張る工法です。
張り替えには、次のようなメリットがあります。
● 下地の状態を確認できる
● 床の高さを調整できる
● 機能性の高い床材に変更できる
既存の床材を下地ごと張り替えるため、張り替え前に下地の現状を確認できます。
下地は腐食やきしみが起きる場合がありますが、張り替えによって下地のトラブルを解消できるのがメリットです。
下地から張り替えることで既存の床材との高さの差を調整行うため、床の段差を解消し、高齢の方やお子さんがいる住宅でも安全に配慮することができます。
また、床材の中には、防音や抗菌など機能性の高いものもあるため、張り替えによって高機能な床材に変更できます。
一方で、既存の床材を撤去・廃棄する費用がかかる点がデメリットになります。
重ね張りに比べると費用が高くなりやすいため、見積もりを確認した上で不要なコストを賢く削りましょう。
重ね張り
重ね張りとは、既存の床材の上から新しい床材を重ねて張る工法です。
重ね張りでは、次のようなメリットを期待できます。
● 床材の撤去・廃棄費用が発生しない
● 工数が少なく工期が比較的短い
● 床材が二重になり強度や防音性が上がる
既存の床材を撤去する必要がないため、撤去・廃棄コストがかかりません。
作業工程が少なくなるため、比較的早く工事が完了するのもメリットです。
また、床材が二重になった分、耐久性や防音性など性能の向上を期待できます。
ただし、次のようなデメリットにも注意しなければいけません。
● 厚みが生まれ段差ができやすい
● DIYできるが仕上がりに差が出やすい
● 直床工法の建物では対応できない
重ね張りした部分が既存の床材よりも高くなり段差となるため、つまずいたり、ドアの開け閉めが不便になることもあるので注意をしましょう。
また、DIYでも張り替えられますが、仕上がりに差が出やすいため、段差や隙間などに気を付けて作業しなければなりません。
マンションの構造は二重床工法と直床工法に分けられ、直床工法の場合、重ね張りは不可能です。
「床スラブ」と呼ばれる部屋の底面に直接床材を貼る構造であり、床に直接仕上げ剤を使わなくてはいけない重ね張りはできません。
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【パターン別】マンションの床張り替えの費用相場

マンションの床を張り替える際は、利用する床材によって費用相場が変わります。
ここでは6パターンの費用相場について解説します。
● フローリングに張り替える
● 床暖房対応の床材に張り替える
● クッションフロアに張り替える
● フロアタイルに張り替える
● カーペットに張り替える
● 畳に張り替える
フローリングに張り替える
既存のフローリングを別のフローリング材に張り替える場合は、工法のほかに床材の種類によって費用が異なります。
床材は、主に複合フローリングと無垢フローリングの2種類です。
複合フローリングは合板に板材を組み合わせたり、木材に化粧板やシートを張り付けたりして作られています。
無垢フローリングは天然の木100%です。
一般的に複合フローリングの方が無垢フローリングより安価になります。
マンションの床をフローリングに張り替える際の費用相場は、次の表を参考にしてください。
張り替え | 重ね張り | |
---|---|---|
複合フローリング(6畳) | 5~16万円 | 10~12万円 |
無垢フローリング(6畳) | 12~18万円 | 11~14万円 |
床暖房対応の床材に張り替える
床暖房対応の床材に張り替える際は、床暖房の種類で費用に差が出ます。
主な種類は電気式と温水式です。
電熱線などに電気を流して床を暖める電気式に比べて、温水式の方が初期費用は高くなります。
温水を循環させて室内を暖める温水パイプや熱源機を設置する必要があるためです。
電気式は、床暖房を設置したい部分だけでも施工できるため、範囲によっては費用を抑えられます。
温水式は初期費用は高いものの、光熱費などランニングコストは電気式よりも低い傾向です。
マンションの床の張り替えで床暖房を設置する際の費用相場は、次の通りです。
張り替え | 重ね張り | |
---|---|---|
電気式(6畳) | 30~55万円 | 37万円前後 |
温水式(6畳) | 33~65万円 | 44万円前後 |
床暖房リフォームの費用や注意点は下記の記事でも解説しているので、併せてご確認ください。
クッションフロアに張り替える
クッションフロアとは、ビニール素材を使用した床材で、防水性やクッション性に優れています。
デザインのバリエーションが多く、見た目を意識した張り替えに便利です。
マンションの床をクッションフロアに張り替える費用相場は、次の表をご覧ください。
工法 | 費用相場 |
---|---|
張り替え(6畳) | 3~11万円 |
重ね張り(6畳) | 4~6万円 |
クッションフロアは防水性の高さから、トイレや洗面所など比較的狭い場所でも使用されるため、費用相場に幅があります。
水回りの工事では、設備の取り外しや移動が伴う場合があるため、リフォーム費用のトータルコストに注意しましょう。
フロアタイルに張り替える
フロアタイルは、塩ビ素材の床材です。
木目や石目などデザインのバリエーションが多く、高級感を演出できます。
似た特徴を持つクッションフロアとの違いは、継ぎ目のお手入れが必要な点です。
マンションの床をフロアタイルに張り替える費用の相場は、次の表をご覧ください。
工法 | 費用相場 |
---|---|
張り替え(6畳) | 5~10万円 |
重ね張り(6畳) | 5~6万円 |
フロアタイルの中でも、コルクタイルについて下記の記事で詳しく解説しています。
コルクタイルへの変更を検討している方は、ぜひ併せてご覧ください。
カーペットに張り替える
カーペットは来客用の部屋などに使われることが多く、高級感を出しやすい床材です。
耐久性には劣りますが、雰囲気を重視したい方に向いています。
マンションの床をカーペットへ張り替える費用相場は、次の表の通りです。
工法 | 費用相場 |
---|---|
張り替え(6畳) | 5~12万円 |
重ね張り(6畳) | 4~7万円 |
畳に張り替える
マンションの床を畳に張り替える際は、新調または表替えのいずれかで工事を行います。
新調とは古い畳をまるごと新しい畳に入れ替え、別の床材から畳に変更する際にも用いられる方法です。
表替えは表面のい草部分を交換する方法であるため、既存の畳を修繕する目的で使われます。
マンションの床を畳に張り替える際の費用相場は、次の通りです。
工法 | 費用相場 |
---|---|
新調(6畳) | 7~20万円 |
表替え(6畳) | 3~12万円 |
畳の張り替え費用や交換時期は、下記の記事でも詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
マンションの床張り替え費用を安く抑えるポイント

マンションの床張り替え費用を安く抑えるためには、次のポイントが重要です。
● 重ね張りで対応する
● コストの低い床材を選ぶ
● 複数の業者で相見積もりを取る
● 補助金を活用する
施工方法や業者などを正しく選び、張り替え費用の節約を実現しましょう。
重ね張りで対応する
マンションの床を張り替える工法は主に張り替えと重ね張りで、コストを抑えやすいのは重ね張りです。
既存の床材を撤去・廃棄するコストがかからないため、張り替えよりも安価な傾向です。
ただし、重ね張りは段差ができやすい、下地を確認できないといったデメリットがあります。
施工業者に一度相談し、重ね張りで対応できるかを確認するのがおすすめです。
コストの低い床材を選ぶ
床を張り替える費用の中には、新しく張る床材の材料費が含まれます。
床材の種類やグレードによって金額が異なるため、費用を抑えたい場合はコストの低い床材を選びましょう。
例えば、フローリングの場合は、複合フローリングの方が無垢フローリングよりも金額が低い傾向があります。
畳の場合はグレードが細かく設定されているため、質にこだわらないならグレードを下げて選ぶと費用が割安です。
ただ、コストだけで選ぶと、見た目や機能性に不満を感じる場合があります。
希望するデザインや機能を備えつつ、予算内で収められるバランスの取れた床材を選ぶのがおすすめです。
複数の業者で相見積もりを取る
マンションの床張り替え費用は、施工業者それぞれで決められるため、依頼する業者によって異なります。
初めから1社に決めてしまうと、費用の比較ができず、同じ工事内容でも他の業者よりも費用が高くなるかもしれません。
業者選びで後悔しないためには、複数の業者での相見積もりが重要です。
複数社からの見積もりの比較し、相場を把握したうえで、予算に合った業者を選ぶと良いでしょう。
補助金を活用する
マンションの床を張り替える目的や内容によっては、補助金を受け取れる場合があります。
条件が合えば数万円から数十万円の補助を受けられることもあるので、積極的に活用しましょう。
マンションの床張り替えに対応した主な補助金をまとめたので、要件や補助金額などを参考にしてください。
【介護保険】
要件 | 要介護の方などが自宅に手すりを取付けるなどの住宅改修を行うこと |
---|---|
対象の床リフォーム | ● 段差の解消 ● 滑りの防止、移動の円滑化などのための床・通路面の材料の変更工事 |
支給限度額 | 20万円 |
補助率 | 住宅改修費の9割相当 |
申請書類 | ● 支給申請書 ● 住宅改修が必要な理由書 ● 工事費見積もり書 ● 住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの ● 住宅改修に要した費用に係る領収書 ● 工事費内訳書 ● 住宅改修の完成後の状態を確認できる書類 ● 住宅の所有者の承諾書 |
【こどもエコすまい支援事業】
要件 | ● こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする方 ● リフォームする住宅の所有者などである |
---|---|
対象の床リフォーム | 【必須工事】 ● 外壁、屋根、天井または床の断熱改修 【任意工事】 ● 衝撃緩和畳の設置などのバリアフリー改修 上記の必須リフォーム工事と任意リフォーム工事をあわせて、補助金額が合計5万円以上が補助対象。 |
補助額 | 【床の断熱改修工事】 ● 34,000~69,000円/戸(省エネ基準レベル) ● 46,000~92,000円/戸(ZEHレベル) 【衝撃緩和畳の設置工事】 ● 衝撃緩和畳の設置 18,000円/戸 |
申請書類 | ● 納品証明書 ● 施工証明書 ● 工事写真 ● 性能証明書(衝撃緩和畳の設置のみ) |
マンションの床を張り替える際のチェックポイント

マンションの床を張り替える際のポイントは、次の3つです。
● 管理規約に記載された遮音等級を確認する
● 近隣の方への挨拶で理解を得る
● マンションの構造をチェックする
事前の確認や近所への説明を欠かさず行い、マンションの床の張り替えを進めましょう。
管理規約に記載された遮音等級を確認する
マンションでは1階を除いて階下に部屋があるため、管理規約には床材の遮音等級が記載されていることがほとんどです。
遮音等級とは階下に伝わる音の程度を示すもので、マンションでは基準を満たした防音性のある床材を選ぶ必要があります。
管理規約を確認した上で、使用しても問題がない床材を選びましょう。
近隣の方への挨拶で理解を得る
マンションの床を張り替える際、施工業者の出入りで騒がしくなったり、作業音が響く場合があります。
周囲に説明がないとトラブルが起こりやすいため、事前に近隣住民の方への挨拶によって理解を得ましょう。
工事する日時を伝え、人の出入りが多くなることや騒音が出るかもしれないことを話しておくことで、トラブルが起きにくくなります。
マンションの構造をチェックする
マンションの構造によっては選択できない工事方法があるため、事前に構造をチェックします。
マンションの構造は、二重床工法と直床工法の2種類です。
二重床工法とは床下に15cm程度の空間がある構造で、部屋の底面である床スラブの上に下地とフローリングが敷かれています。
直床工法は床下の空間がなく、床スラブに直接床材を張って仕上げた構造です。
重ね張りは既存の床材に仕上げ剤を使用するため、床スラブに直接床材が張られた直床工法では選択できません。
二重床工法の場合は、床スラブに直接手を加えられないため、張り替えと重ね張り両方に対応しています。
マンションの構造は、管理人への確認や建築図面でわかる場合もあります。
しかし、専門家の判断が必要な場合もあるので施工業者に相談するのが安心です。
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マンションの床張り替えリフォーム事例

当サービス『リショップナビ』の加盟会社が施工した、マンションの床張り替えリフォームの事例を3つご紹介します。
張り替えの目的や床材などに注目し、自宅の床の張り替えリフォームの参考にしてください。
事例1:遮音性能に優れたフロア材に張り替え

住宅の種類 | マンション・アパート |
---|---|
築年数 | 30年 |
施工日数 | 2日間 |
リフォーム費用概算 | 約30万円 |
マンションで敷いていたカーペットの汚れが目立ってきたタイミングで、フローリングに張り替えた事例です。
階下に音が響きにくい遮音等級の床材を使用し、騒音に配慮しています。
フローリングはカーペットに比べて掃除がしやすく、部屋をきれいに保ちやすいのもメリットです。
事例2:カーペットからフローリングに張り替え

住宅の種類 | マンション・アパート |
---|---|
築年数 | 19年 |
施工日数 | 27日間 ※他のリフォーム箇所含む。 |
リフォーム費用概算 | 約290万円 ※他のリフォーム箇所の費用含む。 |
廊下の床もフローリングに張り替え、明るく開放感のある廊下に仕上げた事例です。
カーペットだった床をフローリングに変更し、空間に高級感を演出しました。
床の張り替えに加えて、和室を洋室に変更し、アクリルを使用した間仕切りでシーンに合わせて空間を分けたことで、明るさを保っています。
>> この事例の詳細を見る事例3:ほこりがたまりにくいフローリングに張り替え

住宅の種類 | マンション・アパート |
---|---|
築年数 | 18年 |
施工日数 | 21日間 |
リフォーム費用概算 | - |
ほこりがたまりやすいカーペットからフローリングに張り替えた事例です。
フローリングはほこりがたまりにくいため、お子さんのアレルギー軽減を目指して張り替えを実施しました。
また、フローリングの張り替えに合わせて床暖房を設置したのも特徴です。
冬場の寒さ対策を実施したい場合には、床暖房設置も検討してみましょう。
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マンションの床張り替えを検討してみよう

マンションの床を張り替える方法は、張り替えと重ね張りの2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
また、新しく張る床材によって費用が変わります。
コストはもちろん、見た目や機能もチェックし、予算や要望に合った床材を選ぶことが大切です。
マンションで床を張り替える際には、管理規約を遵守することや近隣住民の理解を得ることも欠かせません。
床材別の張り替え費用相場や事例なども参考にして、マンションの床張り替えを検討してみてくださいね。
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