汲み取り式トイレはどんなトイレ?
汲み取り式トイレとは、水洗機能を持たず、排泄物を便槽に溜めておき、一定期間ごとに汲み取る方式のトイレです。
「ぼっとん便所」とも呼ばれ、1960年代頃までは日本で広く使用されていました。
現在では水洗トイレの普及により数は減っていますが、築年数の古い住宅や一部の地域では今も使われています。
汲み取り式トイレの仕組み
汲み取り式トイレは、水を使って排泄物を流す水洗トイレとは異なり、以下のような構造で成り立っています。
便器の下に設置され、排泄物を直接溜めておくタンクです。
便槽内に溜まった臭いを外部に排出するための設備で、悪臭の発生を抑えます。
仕組み自体は非常にシンプルですが、排泄物を自力で処理することはできないため、専門業者による「汲み取り(収集)」が欠かせません。
バキュームカーでの定期的な汲み取りによって、衛生状態を保つことが大切です。
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汲み取り式トイレのメリットとデメリット
現在では水洗トイレが主流ですが、昔ながらの汲み取り式トイレにも独自のメリットがあります。
ただし、利便性や衛生面での注意点も多く、導入や継続使用を検討する際にはメリットとデメリットの両方を理解しておきましょう。
汲み取り式トイレのメリット

汲み取り式トイレの最大のメリットは、災害時でも使用できる点です。
電気や水を使わない構造のため、停電や断水時にも問題なく利用できます。
非常時におけるトイレ問題を解決できる手段として注目されています。
また、ランニングコストが抑えやすいのも利点です。
使用頻度が少ない場合は、定期的な汲み取り以外に電気代や水道代がかからないので、比較的経済的に運用できます。
設置場所や環境によっては、水道インフラの整備が難しい地域でも対応可能です。
汲み取り式トイレのデメリット

一方で、汲み取り式トイレにはいくつかのデメリットもあります。
まず挙げられるのが臭いの問題です。
便槽に溜まった排泄物から臭いが発生しやすく、換気や消臭設備が不十分だと室内にも臭いが漏れる可能性があります。
ファンや臭突の設置によってある程度軽減は可能ですが、完全な解消は難しいケースもあります。
また、害虫の発生リスクも見逃せません。
便槽は虫にとって好ましい環境であるため、トイレ内にハエやゴキブリが発生することがあります。
フタ付きの便槽でも、完全に防げるわけではありません。
さらに、定期的な汲み取り作業が必要で、その都度業者への依頼と費用が発生します。
水洗トイレのようにそのまま使い続けられるわけではないため、手間に感じる方もいるでしょう。
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汲み取り式トイレを水洗トイレにリフォームする5つの効果

排水によって衛生面を維持しやすい
水洗トイレは、排泄物を水で流して処理する仕組みのため、臭いや汚物の処理に関する衛生面の心配が少ないのが大きな特徴です。
便槽タンクがなく、排水は直接下水道や浄化槽につながっているため、排泄物がトイレ内に溜まることがありません。
そのため、トイレに臭いがこもったり、排泄物の汚れが残ったりする可能性も低く、常に清潔な状態を保ちやすいのが利点です。
さらに、災害時にも水洗トイレは衛生面で優れています。
例えば、汲み取り式トイレでは、便槽タンクが破損すると排泄物が漏れ出し、周囲に臭いや感染症のリスクを及ぼすおそれがあります。
一方、水洗トイレは排泄物を溜める構造ではないため、こうしたリスクが軽減され、災害時にも周囲への悪影響を抑えることができます。
害虫が発生しにくくなる
水洗トイレには、ハエやゴキブリなどの害虫にとって最適な環境になりやすい便槽タンクはありません。
排泄物は溜まらずに排水処理されるため、害虫が生息しやすい条件が整いにくく、害虫が湧きにくいです。
害虫は衛生面を悪化させたり、生活上のストレスになったりするため、水洗トイレへのリフォームによって害虫の発生を軽減できるでしょう。
高齢の方やお子さんも使いやすい
便器のすぐ下に便槽タンクがある直下型の汲み取り式トイレは、便槽にお子さんが落下するおそれがありますが、水洗トイレでは落下の心配はありません。
下水や浄化槽への入口は最低限の大きさで、お子さんが落ちる空間はなく、安全に使用可能です。
また、汲み取り式トイレはしゃがんで用を足す和式タイプが多いため、高齢の方にとっては体勢が辛い場合があります。
水洗トイレは座って用を足す洋式タイプが基本であるため、足腰に不安がある方でも無理なく使用できる点もメリットでしょう。
暖房や温水洗浄便座などの機能を追加できる
汲み取り式トイレは仕組みがシンプルなためトイレそのものに機能性はないのに対し、水洗トイレは機能的な商品が多くあります。
たとえば、暖房付きの便座を取り付ければ、座る時に冷たさを感じにくくなります。
また、温水洗浄便座を搭載した水洗トイレが多いので、排泄後にしっかり洗浄でき衛生面を保ちやすくなります。
汲み取り式トイレで冬場の寒さを感じていたり、衛生面が気になっていたりする場合は、暖房や温水洗浄便座付きの水洗トイレがよいでしょう。
節水効果を期待できる
水洗トイレの中には節水機能を備えたモデルも増えているため、トイレの節水効果を期待できます。
汲み取り式トイレの汲み取りコストと、水洗トイレ使用時の水道代を比べた時に、水洗トイレの方が費用が安くなることもあるでしょう。
汲み取り式トイレから水洗トイレにリフォームする費用

ここでは、工事後に導入する水洗トイレの種類別に、汲み取り式トイレのリフォーム費用をご紹介します。
下水道直結型の水洗トイレ
下水道直結型の水洗トイレは、排水処理した排泄物が直接下水道に流れるトイレです。
便槽タンクを必要としないため、臭いや害虫に悩まされることが少なく、衛生的なトイレになります。
汲み取り式トイレから下水道直結型の水洗トイレにリフォームする際の費用相場は、総額50~100万円です。
既存の汲み取り式トイレの撤去や水洗トイレの設置に下水道工事が伴うため、簡易水洗トイレに比べると費用が高額な傾向があります。
簡易水洗トイレ
簡易水洗トイレは、汲み取り式トイレと仕組みは同じですが、便器を洗浄するための水が流れるトイレです。
下水道が整備されていない地域でも水洗トイレに似た使用感でつくられ、現在も利用されています。
汲み取り式トイレよりも衛生的ですが、同じくバキュームカーでの処理が必要な点に注意です。
簡易水洗トイレにリフォームする費用相場は、総額30~60万円が目安になります。
ほかの水洗トイレリフォームよりも安価なため、使い勝手や汲み取りの手間などを考慮した上で検討してみましょう。
浄化槽設置型の水洗トイレ
下水道が整備されていない場所では、地下に浄化槽を設置して水洗トイレに対応する方法があります。
浄化槽設置は大規模な工事になるため、費用相場は総額100~200万円と水洗トイレの中ではコストが高額です。
自治体によっては浄化槽設置に対して補助金を利用できるため、補助金の活用も視野に入れて、リフォームを検討してみるとよいでしょう。
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォーム費用を抑える3つのポイント

汲み取り式トイレから水洗トイレへリフォームする際、なるべく費用を抑えるためには、次の3つのポイントを押さえましょう。
各ポイントを参考に、予算内で理想のトイレリフォームを実現しましょう。
便座や機能などのグレードを最低限にする
水洗トイレは商品によって便座や機能などに違いがあり、グレードが高いほど費用が高額になりやすいです。
高機能なトイレでも必要にない機能が多いとコストパフォーマンスが下がるため、必要最低限のスペックに抑えるとリフォーム費用を抑えやすくなります。
「暖房便座は必ず付けたい」「温水洗浄便座は外せない」など、希望に合わせて予算内でリフォームを実施しましょう。
内装や備品などにこだわらない
トイレのリフォームでは、トイレ本体の交換にあわせて内装や備品にも手を加えるリフォームが大半です。
トイレ自体の費用を抑えても、内装や備品にこだわると、想定以上の費用がかかります。
なるべく費用を抑えるためには、内装や備品のリフォームを最低限にしたり、床材や壁材のグレードを下げたりするのが効果的です。
>> 内装込みのトイレリフォームの費用相場と事例!
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複数の業者で見積もりを比較する
同じリフォーム内容でも、リフォームを実施する業者によって費用が異なります。
1社だけの見積もりでは金額が高いのか低いのかわからないため、複数の業者に見積もりを依頼し、慎重に比較・検討しましょう。
項目を一つひとつ確認しながら、希望に合ったリフォームを低価格で依頼できる業者を選ぶのがポイントです。
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汲み取り式トイレのリフォームに利用できる補助金
全国で利用できる補助金の例のひとつに、要介護の方のための改修をする場合に利用できる「介護保険による住宅改修」が挙げられます。
洋式便器などへの便器の取替えのほか、手すりの取り付けや段差の解消などバリアフリーを目的としたリフォームが補助対象です。
※出典:「介護保険における住宅改修動向調査」(厚生労働省)を加工して作成。
また、自治体でも独自の補助金制度を実施している場合があります。
例えば、北海道の新得町では「水洗トイレ改造補助制度」を実施し、汲み取り式トイレを水洗トイレに変更する費用の一部を補助しています。
制度の内容や有無は自治体によって異なるため、お住まいの地域に補助金制度があるか確認しましょう。
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汲み取り式トイレを水洗トイレにリフォームしよう
汲み取り式トイレは災害時に使えたり、使用頻度によってはコストを抑えたりできるのはメリットですが、衛生面や管理の手間など気になる点がデメリットです。
臭いや害虫、汲み取りの費用・手間が気になる場合は、水洗トイレへのリフォームを検討しましょう。
複数の業者への見積もりや補助金の活用などを考慮しつつ、汲み取り式トイレから水洗トイレへの交換・リフォームを進めていくとよいでしょう。
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