モニエル瓦とは?特徴とセメント瓦との違い
モニエル瓦について、その特徴と寿命、よく間違えられるセメント瓦との違いについて解説します。
モニエル瓦の特徴と寿命
モニエル瓦は「セメント系屋根材」の一種で、外資企業の「モニエル社」が製造・販売していた瓦です。
色のバリエーションが豊富で、日本瓦にはないデザイン性の高さで人気を博しました。
もともとはヨーロッパ発祥の瓦で、日本では1970~1980年代にかけて広く普及しましたが、2010年に生産が終了しています。
耐用年数は20~30年ほどであり、一般的な本瓦(陶器瓦や粘土瓦)との大きな違いは「メンテナンスが必要」という点です。
セメント瓦との違い
セメント瓦とモニエル瓦の特徴や見分け方について解説します。
主成分はどちらもセメント
モニエル瓦とセメント瓦の主成分はどちらもセメントであるため、モニエル瓦を「セメント瓦」と呼ぶ方も多いです。
モニエル瓦には、セメントに砂利が混ぜられており「乾式コンクリート瓦」と呼ばれることもあります。
モニエル瓦とセメント瓦の見分け方
モニエル瓦とセメント瓦は、一見すると区別がつかないほど見た目が似ています。
先述の通りモニエル瓦には「砂利」が混ざっているため、セメント瓦に比べると断面がザラザラして凹凸があります。
一方、セメント瓦の断面はフラットです。
さらにモニエル瓦には、裏面にモニエル社の「M」のロゴが刻印されています。
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モニエル瓦が劣化したときの4つの状態
モニエル瓦が劣化したときの4つの状態を解説します。
①色があせてくる
紫外線や雨風、雪などの天候による影響で屋根材の色があせてきます。
色があせてくるのは劣化の初期状態であり、美観が悪くなるのはもちろん、経年によってどんどん劣化が進み、やがてメンテナンスが必要になります。
②カビやコケが生える
カビやコケが生えてしまった屋根材は、屋根材表面の塗膜が剥がれて防水性が切れてしまっている証拠です。
カビやコケを放っておくと、モニエル瓦自体がもろくなってしまい、耐久性が落ちてひび割れの原因になります。
③ひび割れや瓦のズレ、欠けが生じる
経年劣化や台風などの悪天の際、飛来物によって屋根材が破損してしまうことがあります。
放置しておくと雨漏りの原因になり、欠落してしまう恐れもあるため早急な対応が求められます。
④雨漏りする
瓦の割れなどの劣化により、屋根材の間から雨水が侵入し雨漏りしてしまうこともあります。
瓦が割れただけでは、すぐに雨漏りすることはありません。
ただし、屋根材の下に敷かれているルーフィング(防水材)が劣化していると、たちまち建物の内部まで浸水してしまう恐れがあります。
ルーフィングの耐用年数は、アスファルトルーフィングで10~20年、改質アスファルトルーフィングなら20~30年です。
ルーフィングの交換の際は、瓦ごと取り外す必要があるため、屋根の葺き替えをおすすめします。
モニエル瓦の2つのメンテナンス方法や推奨時期、注意点
モニエル瓦は定期的にメンテナンスを行う必要があります。
ここでは2つのメンテナンス方法を解説します。
①塗装
モニエル瓦のメンテナンス塗装の推奨時期や注意点をご紹介します。
塗装の推奨時期
モニエル瓦はセメント瓦とは違い、10~15年に一度の目安で定期的な塗装メンテナンスが必要です。
それ以上の年数が経つと塗膜が完全に剥がれてしまい、塗装をしても剥がれやすくなるなど、費用対効果が薄くなってしまいます。
また、モニエル瓦は劣化しやすい屋根材であるため、2回目の再塗装は行っていない施工会社もあります。
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塗装の注意点
モニエル瓦を塗装する際は「スラリー層を完全に除去してから塗装すること」と、「モニエル瓦の知識が豊富な施工会社を選ぶこと」が重要です。
スラリー層とは、モニエル瓦の表層にあるコンクリートを保護するための層のことをいいます。
モニエル瓦の塗装では、屋根材にしっかりと塗料を付着させるために「スラリー層の完全除去」がポイントとなります。
スラリー層の除去作業を怠って塗装してしまうと、施工不良の原因になる恐れがあります。
モニエル瓦の知識がない施工会社だと、普通のセメント瓦と間違えるなどして、スラリー層の除去などの下処理が不十分なまま塗装してしまう恐れがあるのです。
知識や実績のない施工会社は、塗装よりも葺き替えをするべき築年数であるにもかかわらず、塗装を勧めてくることもあります。
メンテナンスの際は施工事例などを確認し、モニエル瓦の知識や経験が豊富で、瓦の状態にあった方法を提示してくれる信頼できる会社に依頼することがとても大切です。
②葺き替え
モニエル瓦の葺き替えの推奨時期や注意点をご紹介します。
葺き替えの推奨時期
モニエル瓦はすでに生産が終了しているため、葺き替えの際はモニエル瓦以外の屋根材を使用することになります。
モニエル瓦の耐用年数は20~30年といわれていますが、メンテナンスは10~15年で行うのが望ましいです。
最初はメンテナンス塗装で対応し、その後は瓦の状態を見ながら葺き替えを行うのがベストでしょう。
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葺き替えの注意点
モニエル瓦にひび割れや欠けがあるときは、放置せずになるべく早く対応しましょう。
放置してしまうと、前述の通り、雨漏りのリスクが高まります。
屋根のメンテナンスでは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を上乗せする「カバー工法」が人気ですが、モニエル瓦の場合はできません。
その理由は、屋根全体の重量が増して、家屋の耐震性を著しく低下させてしまう危険があるためです。
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築15年以上のモニエル瓦は葺き替えがベストな3つの理由
モニエル瓦のメンテナンスには「塗装」と「葺き替え」がある旨をお伝えしましたが、築15年以上経ったモニエル瓦に限っては「葺き替え」一択です。
主な理由は次の3つです。
- 割れてしまったら部分差し替えができないから
- 劣化がひどく塗装できない可能性が高いから
- ルーフィング(防水材)が劣化している恐れがあるから
それぞれの理由を解説します。
①割れてしまったら部分差し替えができないから
前述の通り、モニエル瓦は2010年に生産が終了してしまい、同じ瓦での復旧ができません。
築15年以上まったくメンテナンスをしてこなかったモニエル瓦は大変もろくなっており、屋根の点検や塗装工事で人が上に乗った際に割れてしまうリスクがあります。
モニエル瓦の塗装工事では、高圧洗浄によってスラリー層を除去する工程がありますが、その際に割れてしまうこともあるでしょう。
生産終了しているモニエル瓦は差し替えによる部分補修ができないため、1枚でも割れてしまった場合、結局は屋根全体を葺き替えることになってしまいます。
さまざまなリスクを踏まえると、築15年以上経ったモニエル瓦は最初から葺き替えを前提に工事を進めた方が安心です。
②劣化がひどく塗装できない可能性が高いから
モニエル瓦は、本瓦(陶器瓦や粘土瓦)に比べて耐久性が低く、適切なメンテナンスをしないと劣化しやすい屋根材です。
築15年を超えており、これまで一度もメンテナンスをしていないモニエル瓦は、高確率でひび割れや欠けといった劣化が出ていると考えられます。
瓦そのものの劣化が激しいと、塗装によるメンテナンスはできません。
また、カビやコケの繁殖で耐久性が落ちてしまったモニエル瓦は、塗装をしても耐久性が戻ることはないため、葺き替えが推奨されます。
③ルーフィング(防水材)が劣化している恐れがあるから
築15年以上経ったモニエル瓦は、仮に塗装工事を行えたとしても、ルーフィング(防水材)の劣化によって後々不具合が生じる恐れがあります。
せっかくお金をかけてメンテナンスをしても、数年後に再び屋根工事をすることになりかねません。
築15年以上経っている場合は、塗装よりも葺き替えを行い、ルーフィングごと替えた方が安心です。
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モニエル瓦のメンテナンス施工事例2選
当サービス『リショップナビ』の加盟店が実際に施工した、モニエル瓦のリフォーム事例を「塗装」と「葺き替え」に分けてご紹介します。
事例1:モニエル瓦を塗装で綺麗な赤色に復元
住宅の種類 | 一戸建て |
---|---|
築年数 | 23年 |
施工日数 | 5日間 |
リフォーム費用 | 約80万円 |
塗装前には高圧洗浄でしっかりとスラリー層を除去し、綺麗な赤色が蘇りました。
>> この事例の詳細を見る
事例2:モニエル瓦を軽量屋根材に葺き替え
住宅の種類 | 一戸建て |
---|---|
築年数 | 20年 |
施工日数 | 7日間 |
リフォーム費用 | 約133万円 |
既存の屋根材であるモニエル瓦は重量が約5トンもありましたが、軽量屋根材に葺き替えたことで約0.8トンまで減量できました。
>> この事例の詳細を見る
モニエル瓦は築10年で塗装、築15年以上は葺き替えがおすすめ
定期的なメンテナンスを必要とするモニエル瓦は、築年数によって選ぶべきメンテナンス方法が変わります。
築10~15年ほどであれば塗装を、築15年以上経っているモニエル瓦は葺き替えがおすすめです。
2010年前後に新築された家でも、2024年現在では築14年が経過しているため注意が必要です。
家を建ててから現在まで、一度も塗装などのメンテナンスをしていなかった場合、今後は軽量屋根材などへの葺き替えを検討しましょう。
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