セメント瓦は塗装が必要?
自宅の屋根がセメント瓦で、塗装のメンテナンスが必要か気になっている方もいるでしょう。
セメント瓦は基本的に塗装が必要で、施工が必要なタイミングは状況により異なります。
本章では、セメント瓦の塗装が必要な理由やタイミングを解説します。
セメント瓦に塗装が必要な理由
セメント瓦に塗装が必要な理由は、年月の経過で塗装が剥がれてしまうためです。
セメント瓦はセメントと砂を主な原料としており、そのままでは防水性がないために塗装が施されています。
年月が経つと塗装が剥がれ、劣化が進んでしまうため、定期的に塗装によるメンテナンスをしなければなりません。
塗装が剥がれたまま放置していると、雨水を吸収してさらに劣化が進んでしまいます。
塗装によって瓦を保護し、耐久性を高める必要があります。
塗装メンテナンスが必要になるタイミング
セメント瓦は、塗装が剥がれやすくなる時期にメンテナンスが必要です。
本章では、塗装が必要になるタイミングをみていきましょう。
築後約10年が理想
セメント瓦の塗装を行う理想のタイミングは、築後10年が一般的な目安です。
セメント瓦に施された塗装の効果が持続するのは、約10〜15年程度であるためです。
そのため、遅くとも15年が経過したら塗装を検討したほうがよいでしょう。
塗装メンテナンスは、セメント瓦の寿命を延ばすためにも大切です。
セメント瓦は防水性がないため、塗装をしなければ劣化が早まります。
しかし、塗装し直すことにより、瓦の耐久性を高め、長持ちさせることが可能となります。
セメント瓦そのものの耐用年数は30〜40年程度なので、定期的に塗装をすればさらに寿命を伸ばすこともできるでしょう。
劣化症状が出たら早めに対応する
築後10年以内でも、セメント瓦に劣化症状がみられたら早めの対処が必要です。
環境によってはセメント瓦の塗装が早期に剥がれ落ち、劣化が進む場合があります。
塗装が剥がれて塗膜が薄くなれば、瓦に雨水が染み込んでくるでしょう。
その結果、セメントの成分であるカルシウムが溶け出し、強度が落ちてもろくなってしまいます。
もろくなった瓦は割れやすく、危険な状態です。
そのため、古くなった屋根材を撤去し、新しい屋根材を張る「葺き替え」をしなければならなくなるかもしれません。
そのような事態にならないためにも、迅速な対応が大切です。
セメント瓦を含む洋瓦のメンテナンスについては、次の記事も参考にしてください。
セメント瓦の見分け方
自宅の屋根がセメント瓦なのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
実は同じ瓦の屋根には粘土瓦と呼ばれる塗装の必要がない瓦があります。
本章では、そんな粘土瓦と塗装が必要なセメント瓦の見分け方をご紹介しますね。
セメント瓦と粘土瓦は下記の通り、それらの表面の違いで見分けられます。
【セメント瓦の特徴】 |
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●断面や角が角ばっている セメント瓦は角ばっていることが大きな特徴で、デザイン性が高い瓦も多くみられます。 |
【粘土瓦の特徴】 |
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●角が丸みを帯びている 粘土瓦とは粘土をこねて成型し、窯で焼いたものです。 釉薬(うわぐすり)をかけて焼いた「釉薬瓦」や、焼いてからいぶした「いぶし瓦」、そのまま焼いた「素焼き瓦」があります。 釉薬瓦:表面がつるつるしていて鮮やかな色をしている |
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セメント瓦を塗装しないと起こる劣化症状
セメント瓦を塗装しないと、色あせやひび割れなど、様々な劣化症状が現れます。
本章では、セメント瓦を塗装しないことによって起きる劣化症状について詳しく解説します。
色あせ・変色
セメント瓦は日常的に紫外線や風雨にさらされているため、いずれ表面の塗膜が劣化し、色あせや変色が起こります。
色あせや変色が発生している瓦は水分の影響を受けやすい状態になっています。
そのまま放置していると、カビ・コケの繁殖やひび割れの原因になります。
色あせや変色は劣化の初期症状であり、屋根を遠くからみたときに色あせているようにみえたら、点検が必要です。
カビ・コケの発生
塗膜が劣化した状態を放置していると、防水効果が切れて雨水を吸水しやすくなり、カビやコケが発生する原因になります。
瓦の表面に茶色いブツブツがみえるときは、カビやコケが発生しているとみてよいでしょう。
カビやコケが瓦の内部に侵入すると、セメント自体が劣化し、ひび割れを招きます。
カビやコケをみつけたら、早めの対処が必要です。
ひび割れ
塗膜が劣化して防水効果がなくなると、セメントが水分を吸収して膨張します。
それが乾燥すると収縮し、ひび割れが起こる原因になります。
膨張と収縮を繰り返してひび割れが発生すると、最終的には欠損が起こるリスクがあるでしょう。
割れた破片が庭やベランダに落ちる場合もあり、非常に危険です。
早急に業者へ連絡する必要があるでしょう。
塗装ではなく葺き替えが必要な場合
色あせや変色などの初期の段階であれば、塗装によるメンテナンスを行います。
しかし、それ以上に進んで劣化が激しい場合や、施工から20~30年程度経過して瓦自体に寿命がきている場合、「葺き替え」が必要といえるでしょう。
本章では、塗装ではなく葺き替えが必要な場合について解説します。
劣化が激しい場合
セメント瓦の劣化が激しく、割れや欠けがある場合、塗装ではなく葺き替えが必要です。
劣化したセメント瓦はもろくなっており、台風や地震などの自然災害で損害が発生するおそれがあります。
葺き替えは塗装よりもコストがかかりますが、今後も長く住み続けるのであれば、費用が高くても葺き替えですべて新しくしたほうが安心です。
20〜30年程度経過している場合
施工から20~30年程度経過していれば、葺き替え工事を検討してもよい時期です。
瓦の耐用年数が過ぎる時期であり、瓦の下の防水紙も同じく寿命がきています。
ただし、葺き替えをする際は、同じセメント瓦にするのは難しいと考えたほうがよいでしょう。
セメント瓦は価格が安く、古くから多くの住宅の屋根で使われていました。
しかし、メンテナンスに手間がかかり耐用年数も短いことから、現在は製造元が減少しています。
今後も、新築やリフォームでセメント瓦を使用するケースは少なくなっていくでしょう。
近年は、軽量で耐久性の高いガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板がよく使われています。
葺き替えを検討する際は、業者とも相談しながらセメント瓦に代わる素材を考えましょう。
セメント瓦は塗装のタイミングを考えよう
セメント瓦は築後10年程度で塗装が必要であり、それより早くても色あせや変色が起こったら塗装を検討したほうがよいでしょう。
色あせや変色は塗装が必要な時期のサインであり、そのまま放置しているとセメント瓦の劣化が進行し、寿命を短くしてしまいます。
劣化がひどい場合は塗装ではなく、葺き替えを検討しましょう。
葺き替える場合は、セメント瓦ではなく軽量で耐久性に優れた金属屋根を用いるのが一般的です。
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