砂壁や土壁とは
砂壁は、糊液で色砂を練って上塗りして仕上げた壁のことで、和室・床の間の内壁に取り入られていることがほとんどです。
色砂には、天然砂や砕石、また、これらを着色あるいは焼成したものを用いることが多く、ほかにも貝殻粉や金属粉、色ガラス粉などが使用されることもあります。
糊材には、フノリなどの海藻の煮沸液や、デンプン糊が伝統的に採用されてきましたが、最近では合成樹脂を代用することも多いです。
一方で土壁とは、土で仕上げられた壁のことです。仕上げだけではなく壁自体が土で作られている場合もあります。
砂壁の場合はモルタルや石膏ボード、土で作った壁などの表面に仕上げるだけのため、壁自体を砂で作ることはありません。
砂壁のメリット
和風建築で長年愛用されてきた砂壁は、高温多湿な日本の気候に合った調湿性の高さが魅力です。
湿度が高いときには吸湿を、湿度が低いときは放湿をするため、部屋の中の湿度が一定に保たれます。
夏や冬も過ごしやすい上に、カビ・ダニの発生を抑えることができます。
シックハウス対策になる
近年、化学物質の多用化や、住宅の高断熱化・高気密化により、シックハウス症候群という病気の問題が増えています。
砂壁は、このシックハウスの原因となる有害物質(アンモニア、ホルムアルデヒドなど)を吸収するため、アレルギー対策としての効力があります。
防火性が高い
砂壁の主原料は、土・砂といった無機質の不燃性物質です。
燃えにくい素材の塗り壁である砂壁は、防火性・耐火性に優れています。
\リフォームしたい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
砂壁のデメリット
砂、粉が落ちるため掃除が手間
硬いものをぶつけてしまったときや、劣化してきたときには、壁面が削れることにより、砂が落ちます。
また、カーテンも砂が付着して汚れやすいので、掃除や洗濯の手間がかかります。
一度砂がはがれてしまうと、見た目も悪くなってしまいますね。
工事期間が長い場合がある
砂壁を塗るときや解体する際には、それなりの技術と手間を要します。
最近の住宅で一般的な、壁紙から壁紙へ貼り替えるリフォームのときには基本的に1日で施工できるのに対し、砂壁をリフォームする場合は、2~4日程度の工事期間が発生します。
リフォーム費用が高額になりやすい
砂壁の工事には高度な技術が求められ、工期・手間がかかるため、砂壁補修に慣れた左官屋に施工を依頼することになります。
元が壁紙クロスの家のリフォームに比べると、人件費や手間賃などが必要になるため、施工費用が高額になるケースが多いです。
砂壁のリフォーム・補修のタイミング
砂壁にカビがついている場合や、壁に触れてもいないのに表面の砂や粉が落ちるようになったら、補修をしなくてはいけない時期と判断しましょう。
砂・粉は、口の中に万一入ってしまっても有害ではありませんが、砂壁の調湿性が低下しているため、カビが増殖したりダニの住みかになってしまったりする可能性があります。
砂壁のDIYはかなり難しいので、なるべく施工実績があるリフォーム会社に任せるようにしましょう。
\施工業者を探したい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
砂壁をリフォーム・メンテナンスする方法と工期・費用
砂壁を改修するためには、以下のようなリフォーム方法があります。
なお、既存の砂壁の状態が悪いときや、塗り替え・貼り替えに使用する資材のグレードが高い場合など、工事内容によっては高額になっていくので注意してください。
砂壁を塗り直す場合
砂壁を維持したい場合には、似た材料で塗り直すのが一番です。
6畳の和室をリフォームする場合の費用は、床の間がある部屋なら6万5千~10万円以下、床の間がない和室であれば5万5千~7万5千円位です。
工事期間は、壁の劣化状態にもよりますが、2~4日程度と考えておくと良いでしょう。
漆喰・珪藻土に塗り替える場合
調湿性をより向上させたいときや、コストをかけてでもイメージチェンジしたいときには、漆喰・珪藻土の壁に塗り替える方法がおすすめです。
漆喰や珪藻土は、塗り方によって模様を付けられるというメリットもあります。
床の間がある和室6畳に施工する場合の費用は約7~13万円です。
床の間のない和室をリフォームするときは数千~数万円安く済むでしょう。
漆喰・珪藻土に塗り替える場合も、工期は2~4日位とみておきましょう。
砂壁の一部に腰壁(腰板)を設置する場合
「砂壁の風合いも残したいけど、家具を置いている部分の砂が落ちやすい……」という場合には、壁の下半分を腰壁にしてしまう方法がおすすめです。
6畳の和室で腰壁リフォームを行う場合の費用は、約15~18万円です。
使用する羽目板の素材によって、費用が変動します。
工期は、下地や腰壁周辺の補修がどの程度必要になるかで異なりますが、1~4日位です。
砂壁の上から壁紙を貼る場合
和室自体を洋室にリフォームしたいときや、内装の雰囲気を大きく変化させたいときには、砂壁の上から壁紙クロスを貼るのが最適です。
デザインのバリエーションが豊富で、防汚性や防音性がある高機能な壁紙もたくさんあります。
自分で壁紙を貼ろうとする方も多いようですが、下地処理が大変で、決して簡単な作業ではありません。
ベニヤ板や水性シーラーなどで固めてから、パテ処理やサンドペーパーなどで表面を平らにし、初めて壁紙クロスを貼れる状態になります。
繰り返しになりますが、砂壁の凹凸を解消する作業はDIY素人には至難の業であるため、リフォーム業者に依頼するのが無難でしょう。
ちなみに普及品の壁紙クロスを貼る場合、リフォーム費用は6畳で10~15万円前後です。
1、2日で施工可能なことが多いため、短期間でリフォームしたいときにもピッタリの方法です。
>> 和室の壁紙クロスの選び方&おしゃれな実例
>> 砂壁・土壁の上に壁紙クロスを貼る方法を詳しく解説(外部サイトに遷移します。)
ペンキで塗装する場合
砂が落ちるのが好きではないという方には、ペンキで塗装してしまう方法も人気があります。
ジョリパットや砂壁専用塗料を使うのが主流で、6畳の和室をリフォームする際、費用は10万円以下で済むこともあります。
コストは安いですが、調湿性や和風建築の風合いなどといった砂壁のメリットが失われてしまいます。
リフォームにかかる期間は、2~4日程度です。
砂壁のリフォームをする際の業者の選び方
砂壁をリフォームする業者を選ぶ際には注意点があります。
知らずに依頼すると砂壁の劣化が早くなるおそれがあるため必ずチェックしておきましょう。
工事は、砂壁の施工実績が豊富な業者に依頼してください。
砂壁の施工は難易度が高いため、実績が少ない業者だと知識や経験不足によって施工不良を起こしてすぐに劣化するおそれがあります。
また、業者は相見積もりで選びましょう。
相見積もりとは工事の見積もりを同じ前提条件で複数の会社に出してもらうことです。
工事内容や価格を比較できるためご自宅に適した業者を選ぶ参考になります。
\施工業者を探したい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
砂壁をDIYでリフォームするための道具と手順
ちなみに、砂壁をDIYでリフォームすることは可能ではあります。
ただし、施工難易度が高く、失敗すると再リフォームが必要となるため業者に依頼する以上に費用がかかるおそれがあります。
そういったリスクを許容できるという方のために、以下ではDIYに必要な道具と施工する手順をご紹介します。
DIYに必要な道具
砂壁をDIYする場合、どのような素材を使うかで3種類の方法に分かれます。
● 砂壁・漆喰・珪藻土でリフォーム
● 塗装でリフォーム
● 壁紙でリフォーム
どの工事方法でも、既存の砂壁の砂を落とすための道具は必要です。また、各材料も欠かせないでしょう。
共通して必要な道具の具体例には以下があります。
● 養生道具(テープ、マスキング、マスカーなど)
● 砂を落とすブラシ
● 下塗り材(シーラー)
● 下塗り用のハケ
● 材料を入れる容器
では、それぞれの工事方法もチェックしてみましょう。
DIYする手順
施工する場所の周辺が汚れないよう、養生道具で周囲を保護します。
次に、砂壁の砂をブラシで落としていきましょう。
砂を落としたら、下塗り材を塗装して乾燥させます。
ここからは施工方法によって手順が変わるため、それぞれの工事の流れを解説します。
【塗装】
塗装の場合は、中塗り・上塗りの2回塗りが必要です。
砂壁に使える仕上げ用塗料で端の部分をハケで塗装し、その後にローラーを使って広い面を塗ります。
上記の方法で行った1回目の塗装が乾燥したら同じ手順で2回目も塗ります。
砂壁の塗装は以上で完了です。
【砂壁・漆喰・珪藻土】
漆喰と砂壁・珪藻土の施工の場合は基本的に同様の手順です。
下塗り後は漆喰または砂壁をコテで壁に平らに塗りつけます。必要に応じて2回塗りすることもあります。
模様をつけたい場合は2回目の塗りつけをするか、1回目の塗りつけの際に乾く前に模様作りまでしてしまいます。
模様付けする場合は1回の塗りつけでは厚みが足りないため、2回施工することをおすすめします。
【壁紙】
壁紙の場合はのりを付けた後に隙間や歪みができないように壁に貼っていきます。
壁紙を貼った後は「なでバケ」と呼ばれる道具で壁紙と砂壁の間にある空気を外に出していきます。
最後に壁紙の端を建具に合わせてカットすれば完成です。
砂壁や土壁をリフォームした事例もチェック!
和室に合う壁紙を貼って和風のイメージを崩さないようにリフォームした事例です。
砂壁から壁紙に変更する場合でも、似たような色を使えば雰囲気を壊さずにリフォームできるでしょう。
ボロボロの砂壁をクロスに張り替えた事例
リフォーム費用 | 9万円 |
---|---|
施工日数 | 1日 |
住宅の種類 | 一戸建て |
築年数 | - |
砂壁の劣化やくすみにより、汚なく見えてしまっていたので、既存の壁の上にベニヤを張ってからクロスで仕上げました。
>> この事例の詳細を見る
土壁にボードを重ねて壁紙を貼った事例
リフォーム費用 | 41万円 |
---|---|
施工日数 | 4日 |
住宅の種類 | 一戸建て |
築年数 | 30年 |
DIYでは難しいですが、こちらの事例のようにボードを貼ることで下地が砂壁や土壁だったとしても模様が一切出ることなく新しい壁紙にできます。
>> この事例の詳細を見る
土壁からクロスへリフォームした事例
リフォーム費用 | 50万円 |
---|---|
施工日数 | 7日 |
住宅の種類 | 一戸建て |
築年数 | 40年 |
模様が目立ちやすい白の壁紙でも、土壁の跡はほとんど見当たりません。
漆喰でも似たような色となるため、素材にこだわりがなく白い壁にだけしたい場合は壁紙のほうが安く済む分、メリットが大きいです。
>> この事例の詳細を見る
砂壁からクロスへリフォームした事例
リフォーム費用 | 20〜50万円 |
---|---|
施工日数 | 3日 |
住宅の種類 | 一戸建て |
築年数 | 35年 |
砂壁から壁紙に変更する場合でも、似たような色を使えば雰囲気を壊さずにリフォームできるでしょう。
>> この事例の詳細を見る
ひと昔前までは、主流の内壁だった砂壁。
砂壁の自然なデザインを味わいたいか、まったく異なる雰囲気の部屋にしたいかを基準に、ご自宅の和室に合ったリフォームを選びましょう。
快適で過ごしやすい部屋を作れると良いですね!
\リフォームしたい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
【この記事のまとめ&ポイント!】
砂壁のメリット・デメリットとは? |
---|
「調湿効果に優れている」「シックハウス対策になる」「防火性が高い」といったメリットがあります。 一方「砂や粉が落ちるため、掃除が手間であること」や「工事をする場合、期間が長くなりやすいこと」「壁紙クロスと比べると、リフォーム費用が高額になりやすい」といったデメリットがあります。 |
砂壁を補修・リフォームすべきタイミングとは? |
「砂壁にカビがついている場合」や「壁に触れてもいないのに、表面の砂や粉が落ちるようになった場合」は、補修時期と判断しましょう(詳しくは、こちら)。 |
砂壁をリフォーム・メンテナンスする際の、主な方法や、工期・費用の目安は? |
工事の仕方としては「砂壁を塗り直す」「漆喰・珪藻土に塗り替える」「砂壁の一部に腰壁(腰板)を設置する」「砂壁の上から壁紙を貼る」「ペンキで塗装する」などの方法があります。 工法ごとの特徴や費用・工事期間についての詳細は、こちらで解説しています。 |
\リフォームしたい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
こちらの記事もおすすめ♪
>> 代表的な壁紙クロスの特徴
>> 障子の張り替えがしたい!方法やかかる費用はどのぐらい?
リショップナビは3つの安心を提供しています!
-
ご希望にあった会社をご紹介!
お住まいの地域に近く・ご希望のリフォーム箇所に対応が可能という基準を元に、厳選した会社をご紹介。可能な限り、ご要望にお応えできるように対応致します。
-
しつこい営業電話はありません!
紹介する会社は、最大で5社まで。また、連絡を希望する時間帯をお伝え頂ければ、しつこい営業電話をすることはありません。
-
見積もり後のフォローも致します
ご紹介後にご不明点や依頼を断りたい会社がある場合も、お気軽にご連絡ください。弊社から各会社へのご連絡も可能となっております。