外断熱リフォームとは?工法の違いや費用相場・補助金などをご紹介

更新日:2023年12月26日

断熱材が積まれている作業現場

外断熱リフォームとは、室内温度を快適に保つために壁の外側に断熱材を設置する工事のことです。冬場に部屋が寒い場合や、夏場の日差しで室内が暑くなってしまうお悩みがある方には、断熱リフォームがおすすめです。
本記事では外断熱リフォームの工法の違いや費用相場、使える補助金についても解説します。

外断熱リフォームとは?

断熱材が積まれている作業現場

外断熱(そとだんねつ)リフォームとは、主にコンクリートやRC構造の建物に用いられる断熱工事のことです。(※RC構造とはコンクリートに鉄筋を埋め込んだもので、より強度の高い素材のこと。)

断熱工事の代表的な工法として、「外断熱工法」「外張り断熱工法」「充填断熱工法」の3つが挙げられます。

断熱工事の名称 対象となる建物の造り 施工する面 工事の概要
外断熱工法 コンクリート・RC 外側 建物の外側を断熱材で包み込む工法
外張り断熱工法 木造・鉄骨 外側
充填断熱工法 木造・鉄骨 内側 柱のあいだに断熱材(グラスウールやロックウールなど)を入れる工法
※外断熱工法と外張り断熱工法は、分けずに同じ意味として使われることもあります。

今回は外断熱リフォームを中心に、それぞれの違いや詳しい工法を解説します。

>> 寒い家は断熱リフォームで解決できる!場所別断熱リフォームの費用相場

外断熱リフォームの効果

外断熱リフォームの主な効果は、次の2点です。

● 外気の侵入を防げる
● 家全体の劣化を防げる

断熱工事を行うと外気の侵入を防げるようになるため、夏の熱い外気が部屋に入りにくくなります。 気密性が高くなることで、冬でも室内の暖かい空気が外に逃げにくくなり部屋の温度をキープしやすくなるでしょう。

外断熱リフォームを行い室内外の温度差をできるだけなくすことで、家屋全体の劣化を防ぐ効果もあります。

外断熱と内断熱の違い

外断熱と内断熱の違いを表にまとめました。

種類 工事の方法 メリット デメリット
外断熱工法 壁の外側に断熱材を設置する 内断熱工法に比べて気密性が高くなる 内断熱工法に比べて費用が高い
内断熱工法 壁のなか(内側)に断熱材を設置する 外断熱工法に比べると施工が簡単で工事費を抑えられる 断熱材にすき間ができると気密性が下がる

家屋の状態や立地などによって、適切な断熱工事の方法は異なります。 それぞれの工事内容をよく業者と確認し、相談しながら自宅に合うあう工法を判断することがおすすめです。

外断熱と外張り断熱の違い

外断熱と外張り断熱の違いは次の通りです。

種類 対象となる建物の造り 工事の方法
外断熱 コンクリート・RC コンクリートの外側に断熱材を張りつける工法
外張り断熱 木造・鉄骨 建物の柱の外側に断熱材(発泡スチロール)を設置する工法

外断熱は主にコンクリート・RC向けの施工となるため、木造への工事と区別して「RC外断熱」と呼ばれる場合もあります。ただし、双方をあわせて「外断熱」と呼ぶこともあり、明確には区分されていないケースも見られます。

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外断熱工法の2つの種類

家の外壁を塗装している作業員の男性

外断熱工事の作業方法には「湿式工法(しっしきこうほう)」と「乾式工法(かんしきこうほう)」の2つがあります。それぞれの特徴を後述していきます。

湿式工法

湿式工法は「湿式密着工法」とも呼ばれ、グラスファイバーメッシュの上に樹脂モルタルを重ねる工法です。仕上げには左官材を使用するため、手作業で行うコテ塗りの自然なテクスチャーを表現できます。

湿式工法の概要とメリット・デメリットは次の通りです。

主な使用材料 設置方法 価格帯 メリット デメリット
● グラスファイバーメッシュ
● 樹脂モルタル
● 左官材
接着剤 乾式工法より安い ● コテ塗りならではのさまざまな模様が選択できる
● 工事の際に騒音が出にくい
● 素材が軽量
● 7~15年ほどでメンテナンスが必要(乾式に比べると劣化が早いことがある)

乾式工法

湿式工法は「乾式通気層工法」とも呼ばれ、断熱材の上にアンカー・ボルトを打って支持金物を設置する工法です。仕上げは好きな外装材(乾式タイル・アルミパネル・ガルバリウム鋼板など)を選べるため、デザインにこだわりたい方に向いています。

乾式工法の概要とメリット・デメリットは以下の通りです。

主な使用材料 設置方法 価格帯 メリット デメリット
● 支持金物(金属製の金具)
● 胴縁(金属製の柱)
● 外装材
アンカー・ボルトなど 湿式工法より高い ● 外壁のデザインをリニューアルできる
● レンガ・金属製・木製など好きなテイストから選べる
● 穴を開けたりボルト打ち込んだりする際に騒音が発生する
● 湿式に比べて工期が長い

>> 主な断熱材9種類を比較!メリットやデメリット・おすすめのメーカー品は?

外断熱リフォームの費用相場

家のミニ模型と硬貨が周りに積まれているテーブル

外断熱リフォーム時の価格帯は、1㎡あたり8千〜3万円が目安となっています。仮に約30坪(99㎡)の一戸建ての場合、118㎡ほどが外壁の面積です。
これに外断熱リフォームの費用相場をかけると、約94~350万円の金額が算出できます。

ただし建物の構造や築年数、使用する材料によって価格は大きく異なるため注意が必要です。複数の会社に見積りを依頼し、正確な金額を出してもらうことをおすすめします。
一方で内断熱リフォームの費用相場は1㎡あたり約4千~3万円で、外断熱の場合とあまり変わりません。

>> 外断熱以外の断熱リフォームの費用相場は?種類や工期など紹介

外断熱リフォームに使える補助金

背景が緑の白文字の数式が浮かぶ男性の手のひら

外断熱リフォームをする際、条件に適合すれば国や自治体の補助金を使えます。2023年度募集中の補助金の種類と金額は次の通りです。

※「こどもエコすまい支援事業」は予算上限に達したため、2023年9月28日をもって交付申請(予約を含む)の受付を終了しました。詳しくは公式ホームページをご確認ください。

補助金の名称 管轄 補助金額
国の補助制度 既存住宅における断熱リフォーム支援事業 環境省 ● 高性能建材
(断熱材・窓など)の製品とそれに関わる工事費用として、補助対象経費の1/3以内を補助

● 戸建住宅1戸当たり120万円が上限
こどもエコすまい支援事業 国土交通省 ● 住宅の断熱性能向上工事費用として1戸あたり上限30万円を補助

※子育て世帯と若者夫婦世帯は上限45万円に増額
自治体ごとの補助制度
※例として2つの自治体の制度を紹介します
かつしかエコ助成金 東京都葛飾区 ● 断熱改修工事費用の経費のうち1/4を補助

● 高反射率塗装工事の経費の1/4、または施工面積㎡×1,000円(助成単価)のいずれか小さい額を補助

※断熱に関する助成金の総額として20万円が上限
三条市すまい快適断熱リフォーム補助金 新潟県三条市 ● 断熱材設置工事費用の1/10の金額を補助

※上限は10万円

各自治体の補助金については、県や市区町村のホームページに記載されています。いずれの補助制度も申し込み期間や予算の上限があるため、情報を細部まで確認しておくことが重要です。

>> どんなリフォーム・リノベーションが補助金対象?
>> こどもエコすまい支援事業の後継事業を解説!

外断熱リフォームのメリット

「Merit」no

外断熱リフォームの3つのメリットを紹介します。

● 断熱効果が高くなる
● カビや結露の発生を軽減できる
● 防音対策になる

断熱効果が高くなる

外側を断熱材でしっかり覆うことで、気密性が高くなります。外が暑いときでも室内には熱気が伝わりにくく、冬場は暖かい部屋の空気が逃げにくくなることがメリットです。

冷暖房の使用頻度が減る可能性もあり、光熱費の削減にもつながるでしょう。エアコンの稼働を減らすことは、地球温暖化防止にも役立ちます。

カビや結露の発生を軽減できる

室内外の温度差を減少させることで、結露の発生を防ぐ効果が期待できます。
結露が少なければカビも発生しにくくなるので、家のお手入れがラクになります。

>> 結露の原因・対策とは?

防音対策になる

外断熱リフォームの効果のひとつとして、防音性が高くなる点もメリットです。外断熱では、外壁の外側に追加の素材(断熱材・外装材・塗料など)を重ねていきます。
壁が厚くなることで、音を遮断できます。

>> 防音工事の方法&リフォーム費用相場を解説!

外断熱リフォームのデメリット

「Demerit」と書かれた黒いミニ黒板と青空

外断熱リフォームの3つのデメリットを紹介します。

● 工事費用が高い
● 耐震性能に影響を及ぼすことがある
● 元のデザインと変わる

工事費用が高い

外断熱リフォームは大がかりな工事なため、費用も高額であることを把握しておきましょう。外断熱リフォームの費用相場で試算した通り、少なくとも100万円近い予算が必要なケースが多くなります。

どのような工事であっても、断熱の効果が永久に持続するわけではないため、定期的なメンテナンスは必要です。どのくらいの期間で次のメンテナンスが必要なのか、長期的なスケジュールも確認しておきましょう。

耐震性能に影響を及ぼすことがある

外壁が厚くなると家屋全体の重量も増えるため、耐震性能に影響を及ぼす恐れがあります。 家屋は、全体が重くなるほど倒壊の危険が高まるため、できるだけ軽い状態が望ましいのです。
使用する素材によっても重量が異なるので、心配な方はできるだけ軽い製品を選ぶと良いでしょう。

元のデザインと変わる

外断熱リフォームは、住宅のデザインにこだわっている方には最適ではないかもしれません。 既存の外壁に新しい断熱材や他の資材をかぶせて張っていくと、元のデザインイメージが崩れる恐れがあるためです。
また、外壁に厚みがでるので、近隣住宅と非常に距離が近い場合は圧迫感を与えてしまうこともあります。

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外断熱リフォームに関するよくある質問

断熱材が敷き詰められている現場の天井

外断熱リフォームに関するよくある質問と回答をまとめました。外断熱リフォームの工事をする際には、施工方法(外側・内側)のほかに、塗布する素材や色、張りつける製品を選ぶことが大切です。

いずれも専門性の高い内容になるため専門業者の説明をよく聞き不明な点は遠慮なく質問しましょう。

断熱リフォームの素材「ガルバリウム鋼板」の特徴は?

ガルバリウム鋼板とは、鋼(はがね)を薄い板状に加工した金属の素材です。ガルバリウム鋼板は軽量で扱いやすく、耐震性に優れています。
金属は水を弾く素材なので、凍結しにくく防食性や耐久性も高くなっています。

一方で、サビが発生する恐れがあることが金属製素材のデメリットです。軽くて長持ちする素材をお探しの方には最適な素材といえます。

>> 外壁をガルバリウム鋼板にする価格・メリットとデメリット

断熱リフォームの素材「アルミ」の特徴は?

断熱リフォームに使われる素材のなかで、断熱材の表面にアルミメッキを施したものを「アルミサイディング」と呼びます。 アルミサイディングのメリットは、軽くてサビにくい点です。

防音性にも優れている素材のため、外からの騒音を軽減させたい方に向いています。デメリットとしては、表面が傷つきやすい点や製品のバリエーションが少ないことがあげられます。耐用年数は15~30年が目安となっており、定期的なメンテナンスが必要です。

>> 金属系サイディング外壁材のリフォーム価格・施工例・おすすめメーカー

断熱リフォームの失敗例とは?

断熱リフォームを行っても「失敗した」と感じる方もいます。主な失敗例には次のようなものがあります。

● 断熱材を入れたのに効果が感じられない(部屋が暑い・寒い)
● 窓の結露が改善されない

リフォームが失敗にならないように、適切な施工を行ってくれる業者を選ぶことが非常に重要です。要望や住宅に合う工法を提示してくれる、経験値の高い工事業者を選びましょう。

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外断熱リフォームで光熱費を節約しよう

住宅のミニ模型を手のひらでもつ男性の手

外断熱リフォームを行うと、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境を整えられるようになります。 エアコンの稼働を減らすことで、光熱費の削減や地球温暖化防止にも役立ちます。

断熱の工法や素材は種類が多いので、業者と相談しながら自宅に最適なものを決めることがおすすめです。 どのような工事が適切か迷ったら、外断熱リフォームが得意な専門家に相談してみましょう。

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