家が寒い原因は何か?
家の中が冷える、暖房が効きにくいといった問題は、住宅の気密性や断熱性の低さが原因で起こります。
気密性能は、室内がどれだけ密閉されているかによって変わりますので、隙間が多いと気密性が下がってしまい、隙間風が多くなります。
外の冷たい空気が入ってしまうので、家の中をどんなに温めても温度が下がってしまいます。
断熱性能は、断熱材の使用や施工によって変化します。
断熱材の状態や施工方法が適切な状態でないと、断熱性が失われて屋内の熱を外に逃がしてしまうのです。
そのため、この2つの性能を高めて「高気密」、「高断熱」の住宅にすることで、空調や暖房設備が効きやすく、冬は暖かい・夏は涼しい家を実現できます。
家が寒いとヒートショックの危険性も
家の中が冷えていると寒くて快適ではないというだけでなく、ヒートショックを引き起こす危険性もあります。
ヒートショックは、急激な温度の変化により、血圧が急に変わり、失神・不整脈・脳梗塞などを引き起こす現象です。
この現象は、寒暖差のある室内の各所で起こりますが、脱衣所から風呂場へ行く際には特に注意が必要です。
寒い脱衣所や風呂場で服を脱ぐと、急激に身体が冷えて血圧が上がり、湯船の中で温まると再び血圧が下がります。
急な血圧の上昇が、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす要因の1つとされており、また、入浴後に血圧が急に低下することで、失神につながり、転倒や入浴中に溺れてしまう事故が起きることになります。
消費者庁の発表では、浴槽での溺死者数は、10年間で約7割増加し、2015年には4,804人となっています。
さらに、過去には病死等と判断されたものも含めた入浴中の急死者数は、約19,000人と推計されたこともあります。
特に、高齢者や生活習慣病の方のリスクが高く、65歳以上の溺死者は全体の92%を占めているため、当てはまる方は特に注意してください。
「出典:消費者庁ウェブサイト」
これを受けて消費者庁では、入浴前には脱衣所や浴室を十分に温めるように推奨しています。
ヒートショックを未然に防ぐためにも、急激な温度変化が起こらないような住まいづくりが必要です。
\得意な施工会社を探したい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
【場所別】寒さ対策リフォームの費用相場・工期
高気密・高断熱で快適な住宅にするには、気密性・断熱性を下げている箇所をリフォームする必要があります。
ここでは、リフォーム箇所ごとの工事の内容や費用相場、工期についてご紹介します。
壁・屋根の断熱リフォーム費用と工期
一般的に住宅の屋根からは5%、換気扇や外壁からは15%ほどの空気が出入りしているとされています。
壁や屋根の気密性や断熱性が低いと、住宅全体の冷えや暖房の効きの悪さにつながります。
特に古い家では、断熱材が不足していることも多いため、専門家にチェックをしてもらうと良いでしょう。
壁や屋根を断熱リフォームする際は、内側に断熱材を入れる方法と、外側から施工する方法があります。
内側の場合は、家の中から骨組みの間に断熱材を敷き詰めていきます。
外側から施工する場合は、壁に断熱効果のある塗料を塗るか、外から骨組みの間に断熱材を貼っていきます。
施工方法によって費用は変動しますが、壁・屋根の断熱化リフォームを一戸建ての壁全体に施した場合は、300〜500万円ほどかかることもあります。
広さによって総額は異なるため、以下の㎡単価を参考にしてください。
リフォーム内容 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
壁・屋根の断熱リフォーム | 4千~3万円/㎡ | 2週間~1カ月 | 天井の断熱リフォーム | 4〜8千円/㎡ | 2〜4日 |
また、天井側からの冷気を感じているようでしたら、天井裏の断熱リフォームも有効な手段です。
敷き込み方法と吹き込み方法がありますが、どちらの場合も施工にかかる期間は1週間未満と短いので、ぜひ業者に相談してみてください。
なお、天井裏にスペースがなく、天井を外す必要がある場合には、リフォーム費用が20万円ほど高くなることがあります。
床下の断熱リフォーム費用と工期
住宅の床下からは約7%の隙間風があるとされています。
温かい空気は上に、冷たい空気は下に行く性質がありますので、それが床を冷やす一因にもなります。
さらに、きちんと断熱がされていないと、床下からの冷たい空気によって、暖房をつけても足元だけが冷える「床冷え」が起きます。
床冷えの対策としては、床下の断熱リフォームが有効です。
床下の断熱リフォームでは、床を張り替えずに行う方法と、張り替えて行う方法があります。
床の張り替えを行わなければ、床下から断熱材を入れるだけなので、比較的簡単な工事で済みます。
リフォーム内容 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
床下断熱リフォーム | 4千〜8千円/㎡ | 1〜2日 |
フローリングなどの床材が劣化している際には、あわせて床材の張り替えをしたほうが良いですが、その場合は、3〜6日ほどの期間を見ておきましょう。
なお、フローリングの張り替えも検討するなら、あわせて床暖房の設置も検討してもいいかもしれません。
>> 寒さ対策で床暖房もつけたい!費用相場はどれくらい?
>> 床下断熱リフォームの費用や補助金は?
窓サッシの交換・内窓リフォーム費用と工期
住宅の中でも、開口部である窓は、家の気密性・断熱性を大きく下げる原因となっています。
冬場には約50〜60%もの空気が窓から出入りしているため、内窓の設置や窓サッシの性能を上げる対策がおすすめです。
リフォームをする際は、内窓を設置して二重窓にするか、樹脂サッシへの交換やガラスをペアガラスに変更するという方法があります。
>> 海外では当たり前!?樹脂サッシのメリット・デメリットは?
工事も窓自体を交換するものから、現在の窓の上からサッシを被せるカバー工法があり、どの方法を選択するか、採用する窓のグレードはどうするかによって、費用や工期も変わります。
リフォーム内容 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
内窓取り付け | 8〜15万円/箇所 | 30分〜2時間 |
樹脂サッシへの交換(サッシのみ) | 5万円前後 | 1日 |
ペアガラスへの交換 | 5〜15万円 | 1〜2時間 |
窓の断熱性を改善することによって、結露の発生も解決するので、窓まわりの結露でお悩みの方にはおすすめのリフォーム方法です。
風呂・浴室の寒さ対策リフォーム費用と工期
先に述べた通り、脱衣所・浴室は温度差が大きく、さらに裸になるため、ヒートショックが起きやすい場所です。
そのため、なるべく症状が起きないような環境にする必要があります。
具体的には、脱衣所・浴室への暖房の設置や、在来工法からユニットバスへのリフォームなどがあります。
脱衣所を温めるには、市販の暖房器具や壁掛けのできる暖房の設置といった方法があり、かかる費用は数千円〜8万円程度です。
また、浴室乾燥暖房機を設置することで、浴室内を暖かくすることができます。
機器には、電気式やガス式のもの、設置方法も壁掛けや埋め込みタイプがありますが、手軽に設置でき、費用も安いのは、電気式の壁掛け型です。
在来工法に多いタイル張りの浴室は、床がひんやりと冷たく感じてしまいます。
対策としては、ユニットバスへの交換や、床にシートや樹脂の床材を張る方法があります。
ユニットバスに交換する場合は、クッション性があり、乾きやすく冷たくないタイプの床材が多いので、そういったものを選ぶと良いでしょう。
なお、浴室に窓がある家は、前述したような窓断熱リフォームをすることで、冷気が入ってくるのを防ぐことができます。
それぞれ、かかる費用と期間を紹介します。
リフォーム内容 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
在来工法からユニットバスへのリフォーム | 100〜150万円 | 1週間前後 |
浴室暖房機設置 | 10〜40万円 | 2時間〜1日 |
窓の断熱化 | 5〜15万円 | 30分〜1日 |
脱衣所への暖房設置 | 数千〜8万円前後 | 2時間〜1日 |
シート・タイル・樹脂など床材施工 | 4〜14万円 | 1日 |
>> 浴室の窓から冷たい風が!リフォームで対策できます!
>> ほっカラリ床のメリット・デメリットを口コミとともに紹介!
トイレの寒さ対策リフォーム費用と工期
断熱対策を行っていないトイレは寒いですし、一部ではありますが、肌を露出するのでヒートショックを起こしやすい場所です。
トイレの寒さ対策は、脱衣所や浴室と同様に、市販の暖房設置や、窓があれば窓の断熱化、また暖房便座への変更があげられます。
便座だけの交換であれば、費用も時間もかからないので、おすすめです。
リフォーム内容 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
暖房便座への交換 | 5〜10万円 | 1〜2時間 |
なお、トイレ内にコンセントがない場合には、別途設置工事費がかかるため、1〜3万円追加費用があると考えておきましょう。
玄関ドア交換リフォームの費用と工期
窓同様、玄関も開口部なので、寒さ対策が必要な場所です。
玄関の隙間風対策や、ドアを断熱性の高いものに交換するリフォームが効果的です。
玄関ドアを交換する際には、既存のドア枠の上から新たなドア枠をかぶせる「カバー工法」で設置が可能なので、ほとんどの場合1日で工事が終わります。
ただ、ドアのサイズや形が特殊な場合は、カバー工法では対応できないため、高額になる可能性もあります。
カバー工法でのリフォームが可能かどうか、自宅の玄関を見てもらい、業者にアドバイスをしてもらうと良いでしょう。
リフォーム内容 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
玄関ドア交換(カバー工法) | 20〜45万円 | 1日 |
\得意な施工会社を探したい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
断熱リフォームでは補助金・減税が活用できることも
断熱(省エネ)リフォームは、自治体によっては、補助金を設けていることもあります。
国から出される補助金としては、「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)」や「次世代省エネ建材支援事業(次世代建材)」制度があります。
また、条件を満たせば、長期優良住宅化リフォームの補助金を活用することも可能です。
「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)」では、断熱材や断熱用の窓、断熱ガラスリフォームなどを対象に、一戸建てでは120万円/戸を上限とし、対象経費の3分の1以内の額が補助されます。
「次世代省エネ建材支援事業(次世代建材)」では、断熱パネル等の設置や、それとあわせた断熱材の施工、断熱タイプの玄関ドア・窓・ガラスを用いたリフォーム、エコカラットなどの調湿建材を使用するリフォームを対象に、一戸建てでは200万円/戸を上限とし、対象経費の2分の1以内の額が補助されます。
ご紹介した上記2つの補助金制度は、2018年度分は終了しているものの、都道府県や市区町村ごとの補助金もあるため、地元のリフォーム補助金に詳しい業者と相談してみましょう。
>>【最新版】窓のリフォームで使える補助金!
>> 補助金の活用でお得に寒さ対策ができる!
>> 省エネリフォームの補助金について詳しく知りたい!
また、条件を満たす断熱(省エネ)リフォームを実施した場合に、所得税の控除や固定資産税の減額を受けることができます。
所得税の控除について、「投資型減税」では、250万円を上限(断熱リフォームのみ実施する場合)とし、特定の省エネ改修費の10%が、居住開始した年の所得税から控除されます。
「ローン型減税」は、借入したリフォームローンがある場合に利用できるもので、250万円を上限とし、特定の断熱リフォーム工事費用(もしくは年末ローン残高)×2%が、5年間控除されます。
なお、それぞれ、他のリフォームとの組み合わせで上限額や控除額が変動します。
固定資産税については、翌年度の固定資産税(120㎡相当分までに限定)が1/3減額されます。
なお、所得税の控除と固定資産税の減額を併用することもできます。
これらを上手に活用すれば、よりお得に自分の住まいを快適な住宅にすることができるので、ぜひ活用したいですね。
ここまで紹介したように、家の寒さをリフォームで解決する方法は数多くあります。
そのため、せっかくリフォームしても、あまり効果がなかったとならないように、家のどこがどのように寒いのか、しっかり調査して、適切な提案をしてくれる業者に依頼することが重要です。
大規模な断熱リフォームをする際には、補助金や減税についての相談ができる業者や、断熱施工が得意な業者など、実績があるかどうかも確認しましょう。
\得意な施工会社を探したい!/
リフォーム会社紹介を依頼 ▶
【この記事のまとめ&ポイント!】
家が寒い原因は? |
---|
住宅の「気密性や断熱性の低さ」が原因です。 「高気密」「高断熱」の住宅にすると、冬は暖かく夏は涼しい空間を実現できます(詳しくは、こちら)。 |
寒さ対策のためのリフォームをする際、費用や工期はどの程度かかる? |
壁・屋根・床下・窓・浴室・トイレ・玄関ドアなど、施工箇所別のリフォーム費用や工事期間の目安について、こちらで解説しています。 |
寒さ対策のリフォームを実施する場合、補助金や減税制度を利用することは可能? |
断熱性を高める=省エネ対策になるリフォーム工事を行うと、補助金や減税(所得税の控除、固定資産税の減額など)の対象となる場合があります(詳細は、こちら)。 |
\得意な施工会社を探したい!/
リフォーム会社一括見積もり依頼 ▶
リショップナビは3つの安心を提供しています!
-
ご希望にあった会社をご紹介!
お住まいの地域に近く・ご希望のリフォーム箇所に対応が可能という基準を元に、厳選した会社をご紹介。可能な限り、ご要望にお応えできるように対応致します。
-
しつこい営業電話はありません!
紹介する会社は、最大で5社まで。また、連絡を希望する時間帯をお伝え頂ければ、しつこい営業電話をすることはありません。
-
見積もり後のフォローも致します
ご紹介後にご不明点や依頼を断りたい会社がある場合も、お気軽にご連絡ください。弊社から各会社へのご連絡も可能となっております。