【2024年版】建築確認申請が必要なリフォーム&かかる費用!4号特例は廃止?2025年から変わる?

更新日:2024年11月08日

建築確認申請が必要なリフォーム&かかる費用!4号特例は廃止?2025年から変わる?

リフォーム・リノベーションをする際に、確認申請が必要かどうか、気になりますよね。建築確認は、お住まいを、建築基準法や条例に適合するようリフォームする上で大事なこと。
2025年4月頃からは、これまでの「4号特例」が変更され、確認申請が必要なリフォームの基準が変わる予定です。
そこで、2024年時点で「確認申請が必要なリフォームの例」と一緒に、2025年からの変更内容についてもチェックしていきましょう。

「4号特例」の廃止・縮小?2025年4月頃から何が変わる?

「4号特例」の廃止・縮小?2025年4月頃から何が変わる?

まずは2025年4月からの施行が予定されている「4号特例」の変更について、わかりやすくお話ししておきましょう。

改正前=「4号建築物」(平屋や木造2階建て)の大規模修繕などは申請が不要

2024年現在、住宅は「2・3・4号建築物」の3タイプに分けられており、それぞれの建築物で「確認申請が必要となりやすいリフォーム」の内容は、次のように限られています。

建築物の区分 住宅の例 確認申請が必要になりやすい
リフォーム工事
2号建築物 木造3階建て以上 大規模の修繕・模様替え (※1)
増築
3号建築物 鉄骨造・RC造など(木造以外)で
2階建て以上
4号建築物 (※2) 一般的な、平屋・木造2階建て 増築

「4号建築物」以外(鉄骨2階建てや木造3階建て)の住宅で「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う際には、確認申請が必要な場合があります。
一方で「4号建築物」(平屋や木造2階建て)の場合は「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う際の確認申請は不要です。

(※1)「大規模の修繕・模様替え」の定義とは

主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の1種以上について行う過半の修繕・模様替え

<対象となる工事の具体例>

など

(※2)「4号建築物」の定義とは
  • 2階建て以下、延べ面積500㎡以内、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の「木造建築物」
  • 平屋建て、延べ面積が200㎡以内の「非木造建築物」

つまり多くの一戸建て住宅は「4号建築物」であり、 現時点では「増築」以外のリフォームは確認申請が不要(建築確認における構造審査を「省略」できる)とされています。
これを「4号特例」と呼びます。

改正後=「新2号建築物」(木造2階建て)の大規模修繕なども申請が必要に

しかし法が改正されると「4号建築物」という区分はなくなり、新たに「新2号建築物」もしくは「新3号建築物」に分類し直されます。
従来の「4号特例」は縮小(廃止)され、確認申請が必要なリフォームの範囲も変わるのです。

【改正前と改正後の違い】

住宅の例 改正前(2024年現在) 改正後(2025年4月〜予定)
木造2階建て 4号建築物
● 大規模修繕で申請が不要
新2号建築物
● 大規模修繕で申請が必要
木造平屋
(延べ面積200㎡超)
4号建築物
● 大規模修繕で申請が不要
新2号建築物
● 大規模修繕で申請が必要
木造平屋
(延べ面積200㎡以内)
4号建築物
● 大規模修繕で申請が不要
新3号建築物
● 大規模修繕で申請が不要

簡単にいいますと、現在「4号建築物」(特に木造2階建て)の住宅で、上述したような大規模なリフォームを行う際に、(これまでは不要だった) 確認申請が必要になる可能性が出てくるのです。

改正後の影響=従来よりも費用や期間がかかってしまう可能性がある

これらの変更に伴い、リフォーム全体にかかる費用やスケジュール面にも影響が出ることが予想されます。

改正後の影響=従来よりも費用や期間がかかってしまう可能性がある

確認申請には手続きや審査のために日数も手数料もかかります。

確認申請の工程が入ることにより、申請が不要だった頃と比べて、手間や期間・コストがさらにかかるでしょう。

物件によっては、建物全体を現行の法律に合わせるために、予想外の工事代が発生する可能性もあります。

(ただ今回の法改正には「木造住宅の耐震性の確保」という目的があるため、確認申請によって、安全にリフォームできるというメリットが考えられるでしょう。)

また厳密にいえば、改正後には「新3号建築物」の確認申請時に提出しなくてはいけない書類(「構造・省エネ関連の図書」)が追加されます。

法が改正される前後は、リフォーム業者や自治体も新制度への対応に追われ、円滑に進まない場合もあるでしょう。

今のうちから余裕を持って、リフォームの計画を立てていきたいですね。

ここからは、(2024年時点の)現行の基準に沿って、確認申請が不要な場合と必要な場合の例を、ご紹介していきます。

【2024年】リフォームで確認申請が「不要」な場合とは

2024年現在(「4号特例」の変更前)で、原則「確認申請が不要」とされるのは、次のような場合です。

① マンションの専有部(「個人」の住戸)のリフォーム

マンションの専有部(「個人」の住戸)のリフォーム

マンションでリフォームを行う場合は、 住戸内の工事であれば、基本的に確認申請は不要と考えて問題ありません。
(マンションは「4号建築物」以外にあたる建物ですが、1戸の住戸のリフォームで「マンション全体の過半を超える修繕・模様替え」を行うことは、現実的に考えにくいためです。)

② 現在「4号建築物(木造2階建てなど)」で、リフォームを行う場合

繰り返しになりますが「4号建築物」でリフォームする際、ほとんどの場合は確認申請が不要です。

ただし延べ面積(床面積)が増えるリフォーム(増築)では、4号建築物であっても確認申請が必要になる場合があります。
(新たに部屋を追加するような場合だけではなく「吹き抜け部に床を足す」といった工事でも、延べ面積が増加するため「増築扱い」になります。)

>> 2階の増築リフォーム費用/施工事例を解説

③ 「鉄骨2階建てや木造3階建て」で、小規模なリフォームを行う場合

「4号建築物」以外の一戸建て(鉄骨2階建てや木造3階建ての)住宅でも、水回り設備の交換や、壁紙を張り替えるような小規模なリフォームであれば、確認申請は不要です。

なお階段の位置を変更したり、柱や壁を大幅に変更したりするような大規模なリフォームであれば、確認申請が必要になる可能性があります。

【2024年】一戸建てで確認申請が「必要」なリフォームの例

【2024年】一戸建てで確認申請が「必要」なリフォームの例

① 増築(部屋の増築/物置・倉庫やカーポート・ガレージの設置など)

木造2階建てのような「4号建築物」でも、鉄骨2階建てや木造3階建てのような「4号建築物」以外の建物でも、(部屋や離れなどの) 増築をする際には確認申請が必要となる場合があります。

確認申請が必要となりやすいケース
「防火・準防火地域」 面積に関わらず、増築を行う場合
「防火・準防火地域」以外 10㎡を超える増築を行う場合

一般的に、都市部の建物密集地や中心市街地に近い場所は、火災時の延焼を抑えるため「防火(もしくは準防火)地域」に指定されています。

その一環で「防火・準防火地域」では基本的に、増築時に確認申請が必要とされるのです。

「防火・準防火地域」に指定されていない区域の場合は「延べ面積が10㎡を超える増築を行う際」に、原則として確認申請が必要とされています。

>> 増築の確認申請とは?申請が必要な建物や費用を解説
>> 増改築はリフォームと違う?費用相場や補助金について

増築(部屋の増築/物置・倉庫やカーポート・ガレージの設置など)

物置・倉庫や、ガレージ(車庫)・カーポートを庭などに設置する場合も「増築」にあたるため、確認申請が必要になる可能性があります。
申請が必要かどうかの基準は、建物を増築する場合とほぼ同様です。

「防火・準防火地域」の場合は申請が原則必要、その他の地域では「延べ面積が10㎡を超える物」を設置する際には申請が必要となりやすいです。
(※ただし、土地に自立して設置する倉庫や物置で、小規模な物[奥行きが1m以内もしくは高さが1.4m以下などの一定条件を満たす場合]であれば、確認申請は不要です。)

>> ガレージ・カーポートリフォームの費用・施工例
>> ビルトインガレージを増設するリフォームの費用や注意点

② 屋根の葺き替え・カバー工法(「4号」以外)

屋根の葺き替え・カバー工法(「4号」以外)

鉄骨2階建てや木造3階建てなどの「4号建築物」以外の住宅」の屋根で「葺き替え(屋根材を一新する工事)」や「カバー工法(既存の屋根の上に、新しい屋根材を被せる工事)」を行う場合は、確認申請が必要になる場合があります。

判断の仕方としては 「屋根を構成する、全ての材を改修する工事(かつ、その改修箇所の見付面積が過半)」に該当する場合は、確認申請が必要になるでしょう。

<確認申請が「不要」となりやすいケース>

【葺き替え】

  • 屋根材(例:瓦やスレート材)のみを交換する場合
  • 屋根材と、その下の「防水シート」を新しくする場合

【カバー工法】

  • 構造部を新たに作らない場合
<確認申請が「必要」となりやすいケース>

【葺き替え】

● 下地まで取り替える場合
● 主要構造部に含まれる野地板などの半分以上を交換する場合


【カバー工法】

● 工事後に荷重(建物に作用する力・重さ)が増加し「構造計算」が必要になる場合

一方「屋根塗装」など(下地まで修繕しない工事)の場合は、確認申請は不要と判断できます。

>> 屋根リフォームの費用相場

③ 外壁の全体改修(「4号」以外)

外壁の全体改修(「4号」以外)

「4号建築物」以外の建物で、外壁の全体を改修する際は、確認申請が必要になる場合があります。

<確認申請が「不要」となりやすいケース>
  • 外装材のみを交換する場合
  • (外壁の)内側から断熱リフォームなどを行う場合
  • カバー工法(既存の外壁材の上に、新しい外装材を被せる工事)の場合
<確認申請が「必要」となりやすいケース>

● (外装材のみのリフォームであっても、結果的に)外壁の全てを改修する工事になる場合

屋根と同様に、外壁を塗り替えるリフォームであれば、確認申請は不要です。

>> 外壁リフォームの費用相場

④ リノベーション・スケルトンリフォーム(「4号」以外)

「4号建築物」以外の住宅で、家全体の間取りを変更するようなリノベーションやスケルトンリフォームを行う場合は、確認申請が必要になる可能性があるでしょう。

(壁、柱、床、はり、屋根、階段の1種以上について行う過半の修繕・模様替えに該当する場合が対象です。)

>> スケルトンリフォームの費用・施工例

「既存不適格建築物」を大規模にリフォームしたい際は注意

「既存不適格建築物」を大規模にリフォームしたい際は注意

建築基準法は何度も改正され、規制が強化されています。

そのため、家を建てた頃は基準に適合していても、法律が変わり規制が強化されることで、最新の基準を満たせなくなる場合があります。

現在の法律を満たしている建物と区別するために、建築時点では法律を守っていたが今の法律には適合しない建物を「既存不適格建築物」と呼んでいます。

この「既存不適格建築物」で確認申請が必要と判断されるほどの大規模なリフォームを行う場合には、建物全てを現行法に適合させる必要があるため、注意が必要です。

特に築年数がある程度経過している建物では、構造強度が弱い場合が多く、現行法に適合する強度まで補強を行わなくてはいけません。

思いがけず、大規模な追加工事が必要になる場合があるということを、念頭に置いておくとよいでしょう。

申請書類は「建築士」に代行してもらうのが一般的

申請書類は「建築士」に代行してもらうのが一般的

確認申請の申請者は「建築主」の方ですが、実際の書類作成や手続きはリフォームを依頼した先の「建築士」に代理で行ってもらうのが一般的です。

工事の依頼先を探す際には 「建築士が在籍するリフォーム会社」「建築士事務所」を選択肢としておくとスムーズでしょう。

リフォームで確認申請を行う際に必要となる書類・費用

リフォームで確認申請を行う際に必要となる書類・費用

確認申請を「代行」してもらう場合の費用

建築確認の書類作成は、先述の通り「建築士」に代行してもらうパターンが多いです。
代行手数料は、業者により異なりますが、15〜30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

確認申請の手続きにかかる費用

確認申請の手続きにおいても、手数料がかかります。
自治体や民間の審査機関によって異なりますが、目安としては次の表の通りです。
(中間検査は、リフォームの内容や自治体により、不要になる場合があります。)

内容 〜30㎡以内 30㎡超え〜100㎡以内
確認申請 0.5〜1.2万円 0.9〜3.2万円
中間検査
(受ける場合)
0.9〜1.5万円 1.1〜2.2万円
完了検査
(中間検査
なしの場合)
0.9〜1.6万円 1.1〜2.4万円
完了検査
(中間検査
ありの場合)
1〜1.5万円 1〜2.3万円

確認申請で必要な書類・期間の目安

確認申請の書類は「自治体(市役所の建築指導課など)」もしくは「民間の審査機関」に提出します。

(民間の審査機関に提出されることが多いですが、必要書類である「検査済証」などがない場合には、市役所で手続きする機会があるでしょう。)

【リフォームの確認申請で必要になる書類】
  • 確認申請書(建物の面積や工事概要を記載する書類)
  • 図面(付近見取り図、配置図、平面図、立面図、断面図、求積図)
  • 各種計算書(シックハウス計算、採光計算など)
  • 既存建物の確認申請書類・検査済証
  • 構造計算書(「4号建築物」以外の住宅の場合)
  • 建築計画概要書

地域によって異なりますが、基本的にはこれらの書類を提出することで、1週間程度で確認済証が発行され、その後、着工できます。

(※ただし「防火地域・準防火地域」は消防署からの審査も必要なため、さらに1週間程度かかることが多いです。
また独自の条例を定めている自治体では、確認申請とは別の手続きで時間を要する場合があります。)

どんなリフォームでも、まずはプロと相談を

どんなリフォームでも、まずはプロと相談を

リフォームやリノベーションを実施する際には、確認申請が必要かどうかに関わらず、知識や経験のあるプロと相談し、大事なポイントを一緒にチェックしてもらうことが大切です。

特に確認申請が必要な場合には、地元の法律や基準を把握しているスタッフに出会えると、より安心ですね。

手続きに関することだけではなく「希望のリフォームに適した提案ができるか」といった視点も大事にしながら、相性の合う施工業者を選ぶとよいでしょう。

ちなみに当サービス『リショップナビ』では、リフォーム会社を多数ご紹介しています。
確認申請に対応できる業者も加盟しているので、よろしければ気軽にご活用ください。

プランや仕上がりにも納得できる、素敵なリフォームを実現してくださいね!

【この記事のまとめ&ポイント!】

住宅のリフォームの際に、建築確認申請は必要?
「4号建築物」以外(鉄骨2階建て・木造3階建てなど)で、大規模な工事を行う際には確認申請が必要になるケースがあります。

「4号建築物」(木造2階建てなど)の場合、2024年現在は、確認申請が不要であることが多いです。

ただし2025年4月頃から法改正されると、大規模な工事の際には申請が必要となる可能性が出てきます。

なお建物の種類に関わらず、増築工事は申請が必要な場合があります。
一戸建てのリフォームで、建築確認申請が必要になるのは、どのような場合?
「4号建築物」以外の建物で、外壁全体の工事やスケルトンリフォームなどを行う際には、確認申請が必要になる可能性があります(詳しくは、こちら)。
マンションのリフォームでは、建築確認申請は必要?
1戸の住戸内(専有部)でのリフォームの際には、基本的に確認申請は不要です(詳しくは、こちら)。
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