【2024年版】建築確認申請が必要なリフォーム&かかる費用!4号特例は廃止?2025年から変わる?

更新日:2024年09月12日

建築確認申請が必要なリフォーム&かかる費用!4号特例は廃止?2025年から変わる?

リフォーム・リノベーションをする際に、確認申請が必要かどうか、気になりますよね。建築確認は、お住まいを、建築基準法や条例に適合するようリフォームする上で大事なこと。
2025年4月頃からは、これまでの「4号特例」が変更され、確認申請が必要なリフォームの基準が変わる予定です。
そこで、2024年時点で「確認申請が必要なリフォームの例」と一緒に、2025年からの変更内容についてもチェックしていきましょう。

「4号特例」の廃止・縮小?2025年4月頃から何が変わる?

「4号特例」の廃止・縮小?2025年4月頃から何が変わる?

確認申請が必要なリフォームについて解説する前に、まずは2025年4月からの施行が予定されている『「4号特例」の変更』について、わかりやすくお話ししておきましょう。

改正前=「4号建築物」(平屋や木造2階建て)の大規模修繕などは申請が不要

2024年現在、住宅は「2・3・4号建築物」の3タイプに分けられており、それぞれの建築物で「確認申請が必要となりやすいリフォーム」の内容は、次のように限られています。

建築物の区分 住宅の例 確認申請が必要になりやすい
リフォーム工事
2号建築物 木造3階建て以上 大規模の修繕・模様替え (※1)
増築
3号建築物 鉄骨造・RC造など(木造以外)で
2階建て以上
4号建築物 (※2) 一般的な、平屋・木造2階建て 増築

「4号建築物」以外(鉄骨2階建てや木造3階建て)の住宅で「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う際には、確認申請が必要な場合があります。
一方で「4号建築物」(平屋や木造2階建て)の場合は「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う際の確認申請は不要です。

(※1)「大規模の修繕・模様替え」の定義とは

主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の1種以上について行う過半の修繕・模様替え

<対象となる工事の具体例>

など

(※2)「4号建築物」の定義とは
  • 2階建て以下、延べ面積500㎡以内、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の「木造建築物」
  • 平屋建て、延べ面積が200㎡以内の「非木造建築物」

つまり多くの一戸建て住宅は「4号建築物」であり、 現時点では「増築」以外のリフォームは確認申請が不要(建築確認における構造審査を「省略」できる)とされています。
これを「4号特例」と呼びます。

改正後=「新2号建築物」(木造2階建て)の大規模修繕なども申請が必要に

しかし法が改正されると「4号建築物」という区分はなくなり、新たに「新2号建築物」もしくは「新3号建築物」に分類し直されます。
従来の「4号特例」は縮小(廃止)され、確認申請が必要なリフォームの範囲も変わるのです。

【改正前と改正後の違い】

住宅の例 改正前(2024年現在) 改正後(2025年4月〜予定)
木造2階建て 4号建築物
● 大規模修繕で申請が不要
新2号建築物
● 大規模修繕で申請が必要
木造平屋
(延べ面積200㎡超)
4号建築物
● 大規模修繕で申請が不要
新2号建築物
● 大規模修繕で申請が必要
木造平屋
(延べ面積200㎡以内)
4号建築物
● 大規模修繕で申請が不要
新3号建築物
● 大規模修繕で申請が不要

簡単に言いますと、現在「4号建築物」(特に木造2階建て)の住宅で、上述したような大規模なリフォームを行う際に、(これまでは不要だった) 確認申請が必要になる可能性が出てくるのです。

改正後の影響=従来よりも費用や期間がかかってしまう可能性がある

これらの変更に伴い、リフォーム全体にかかる費用やスケジュール面にも影響が出てくることが予想されます。

改正後の影響=従来よりも費用や期間がかかってしまう可能性がある

確認申請には、手続きや審査のために日数も手数料もかかります。

確認申請の工程が入ることにより、申請が不要だった頃と比べて、手間や期間・コストがさらにかかることが想定されるでしょう。

物件によっては、建物全体を現行の法律に合わせるために、予想外の工事代が発生する可能性もあります。

(ただ今回の法改正には「木造住宅の耐震性の確保」という目的があるため、確認申請によって、安全にリフォームできるというメリットが考えられるでしょう。)

また厳密に言えば、改正後には「新3号建築物」の確認申請時に提出しなくてはいけない書類(「構造・省エネ関連の図書」)が追加されます。

法が改正される前後は、リフォーム業者や自治体も新制度への対応に追われ、円滑に進まない場合もあるでしょう。

今のうちから余裕を持って、リフォームの計画を立てていきたいですね。

ここからは、(2024年時点の)現行の基準に沿って、確認申請が不要な場合と必要な場合の例を、ご紹介していきます。

【2024年】リフォームで確認申請が「不要」な場合とは

2024年現在(「4号特例」の変更前)で、原則「確認申請が不要」とされるのは、次のような場合です。

① マンションの専有部(「個人」の住戸)のリフォーム

マンションの専有部(「個人」の住戸)のリフォーム

マンションでリフォームを行う場合は、 住戸内の工事であれば、基本的に確認申請は不要と考えて問題ありません。
(マンションは「4号建築物」以外にあたる建物ですが、1戸の住戸のリフォームで「マンション全体の過半を超える修繕・模様替え」を行うことは、現実的に考えにくいためです。)

② 現在「4号建築物(木造2階建てなど)」で、リフォームを行う場合

繰り返しになりますが「4号建築物」でリフォームする際は、 ほとんどの場合、確認申請は不要と言えます。

ただし 延べ面積(床面積)が増えるリフォーム(増築)では、4号建築物であっても確認申請が必要になる場合があります。
(新たに部屋を追加するような場合だけではなく「吹き抜け部に床を足す」といった工事でも、延べ面積が増加するため「増築扱い」になります。)

③ 「鉄骨2階建てや木造3階建て」で、小規模なリフォームを行う場合

「4号建築物」以外の一戸建て(鉄骨2階建てや木造3階建ての)住宅でも、水回り設備の交換や、壁紙を張り替えるような 小規模なリフォームであれば、確認申請は不要です。

なお階段の位置を変更したり、柱や壁を大幅に変更したりするような 大規模なリフォームであれば、確認申請が必要になる可能性があります。

【2024年】一戸建てで確認申請が「必要」なリフォームの例

【2024年】一戸建てで確認申請が「必要」なリフォームの例

① 増築(部屋の増築/物置・倉庫やカーポート・ガレージの設置など)

木造2階建てのような「4号建築物」であっても、鉄骨2階建てや木造3階建てのような「4号建築物」以外の建物であっても、(部屋や離れなどの) 増築をする際には確認申請が必要となる場合があります。

確認申請が必要となりやすいケース
「防火・準防火地域」 面積に関わらず、増築を行う場合
「防火・準防火地域」以外 10㎡を超える増築を行う場合

一般的に、都市部の建物密集地や中心市街地に近い場所は、火災時の延焼を抑えるため「防火(もしくは準防火)地域」に指定されています。

その一環で 「防火・準防火地域」では基本的に、増築時に確認申請が必要とされるのです。

「防火・準防火地域」に指定されていない区域の場合は「延べ面積が10㎡を超える増築を行う際」に、原則として確認申請が必要とされています。

>> 増築の確認申請とは?申請が必要な建物や費用を解説
>> 増改築はリフォームと違う?費用相場や補助金についても解説

増築(部屋の増築/物置・倉庫やカーポート・ガレージの設置など)

物置・倉庫や、ガレージ(車庫)・カーポートを庭などに設置する場合も「増築」にあたるため、確認申請が必要になる可能性があります。
申請が必要かどうかの基準は、建物を増築する場合とほぼ同様です。

「防火・準防火地域」の場合は申請が原則必要、その他の地域では「延べ面積が10㎡を超える物」を設置する際には申請が必要となりやすいです。
(※ただし、土地に自立して設置する倉庫や物置で、小規模な物[奥行きが1m以内もしくは高さが1.4m以下などの一定条件を満たす場合]であれば、確認申請は不要です。)

>> ガレージ・カーポートリフォームの費用・施工例
>> ビルトインガレージを増設するリフォームの費用や注意点

② 屋根の葺き替え・カバー工法(「4号」以外)

屋根の葺き替え・カバー工法(「4号」以外)

鉄骨2階建てや木造3階建てなどの「4号建築物」以外の住宅」の屋根で「葺き替え(屋根材を一新する工事)」や「カバー工法(既存の屋根の上に、新しい屋根材を被せる工事)」を行う場合は、確認申請が必要になる場合があります。

判断の仕方としては 「屋根を構成する、すべての材を改修する工事(かつ、その改修箇所の見付面積が過半)」に該当する場合は、確認申請が必要になるでしょう。

<確認申請が「不要」となりやすいケース>

【葺き替え】

  • 屋根材(例:瓦やスレート材)のみを交換する場合
  • 屋根材と、その下の「防水シート」を新しくする場合

【カバー工法】

  • 構造部を新たに造らない場合
<確認申請が「必要」となりやすいケース>

【葺き替え】

● 下地まで取り替える場合
● 主要構造部に含まれる野地板などの半分以上を交換する場合

【カバー工法】

● 工事後に荷重(建物に作用する力・重さ)が増加し「構造計算」が必要になる場合

一方「屋根塗装」など(下地まで修繕しない工事)の場合は、確認申請は不要と判断できます。

>> 屋根リフォームの費用相場

③ 外壁の全体改修(「4号」以外)

外壁の全体改修(「4号」以外)

「4号建築物」以外の建物で、外壁の全体を改修する際は、確認申請が必要になる場合があります。

<確認申請が「不要」となりやすいケース>
  • 外装材のみを交換する場合
  • (外壁の)内側から断熱リフォームなどを行う場合
  • カバー工法(既存の外壁材の上に、新しい外装材を被せる工事)の場合
<確認申請が「必要」となりやすいケース>

● (外装材のみのリフォームであっても、結果的に)外壁のすべてを改修する工事になる場合

屋根と同様に、外壁を塗り替えるリフォームであれば、確認申請は不要です。

>> 外壁リフォームの費用相場

④ リノベーション・スケルトンリフォーム(「4号」以外)

「4号建築物」以外の住宅で、家全体の間取りを変更するようなリノベーションやスケルトンリフォームを行う場合は、確認申請が必要になる可能性があるでしょう。

(壁、柱、床、はり、屋根、階段の1種以上について行う過半の修繕・模様替えに該当する場合が対象です。)

>> スケルトンリフォームの費用・施工例

「既存不適格建築物」を大規模にリフォームしたい際は注意

「既存不適格建築物」を大規模にリフォームしたい際は注意

建築基準法は何度も改正され、規制が強化されています。

そのため、家を建てた頃は基準に適合していても、法律が変わり規制が強化されることで、最新の基準を満たせなくなる場合があります。

現在の法律を満たしている建物と区別するために、建築時点では法律を守っていたが今の法律には適合しない建物を「既存不適格建築物」と呼んでいます。

この「既存不適格建築物」で確認申請が必要と判断されるほどの 大規模なリフォームを行う場合には、建物すべてを現行法に適合させる必要があるため、注意が必要です。

特に築年数がある程度経過している建物では、構造強度が弱い場合が多く、現行法に適合する強度まで補強を行わなくてはいけません。

思いがけず、大規模な追加工事が必要になる場合があるということを、念頭に置いておくとよいでしょう。

申請書類は「建築士」に代行してもらうのが一般的

申請書類は「建築士」に代行してもらうのが一般的

確認申請の申請者は「建築主」の方ですが、実際の書類作成や手続きはリフォームを依頼した先の「建築士」に代理で行ってもらうのが一般的です。

工事の依頼先を探す際には 「建築士が在籍するリフォーム会社」や「建築士事務所」を選択肢としておくとスムーズでしょう。

リフォームで確認申請を行う際に必要となる書類・費用

リフォームで確認申請を行う際に必要となる書類・費用

確認申請を「代行」してもらう場合の費用

建築確認の書類作成は、先述の通り「建築士」に代行してもらうパターンが多いです。

代行手数料は、業者により異なりますが、15〜30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

確認申請の手続きにかかる費用

確認申請の手続きにおいても、手数料がかかります。
自治体や民間の審査機関によって異なりますが、目安としては次の表の通りです。
(中間検査は、リフォームの内容や自治体により、不要になる場合があります。)

内容 ~30㎡以内 30㎡超え~100㎡以内
確認申請 0.5~1.2万円 0.9~3.2万円
中間検査
(受ける場合)
0.9~1.5万円 1.1~2.2万円
完了検査
(中間検査
なしの場合)
0.9~1.6万円 1.1~2.4万円
完了検査
(中間検査
ありの場合)
1~1.5万円 1~2.3万円

確認申請で必要な書類・期間の目安

確認申請の書類は「自治体(市役所の建築指導課など)」もしくは「民間の審査機関」に提出します。

(民間の審査機関に提出されることが多いですが、必要書類である「検査済証」などがない場合には、市役所で手続きする機会があるでしょう。)

【リフォームの確認申請で必要になる書類】
  • 確認申請書(建物の面積や工事概要を記載する書類)
  • 図面(付近見取り図、配置図、平面図、立面図、断面図、求積図)
  • 各種計算書(シックハウス計算、採光計算など)
  • 既存建物の確認申請書類・検査済証
  • 構造計算書(「4号建築物」以外の住宅の場合)
  • 建築計画概要書

地域によって異なりますが、基本的にはこれらの書類を提出することで、1週間程度で確認済証が発行され、その後、着工できます。

(※ただし「防火地域・準防火地域」は消防署からの審査も必要なため、さらに1週間程度かかることが多いです。
また独自の条例を定めている自治体では、確認申請とは別の手続きで時間を要する場合があります。)

どんなリフォームでも、まずはプロと相談を

どんなリフォームでも、まずはプロと相談を

リフォームやリノベーションを実施する際には、確認申請が必要かどうかに関わらず、知識や経験のあるプロと相談し、大事なポイントを一緒にチェックしてもらうことが大切です。

特に確認申請が必要な場合には、地元の法律や基準を把握しているスタッフに出会えると、より安心ですね。

手続きに関することだけではなく「希望のリフォームに適した提案ができるか」といった視点も大事にしながら、相性の合う施工業者を選ぶとよいでしょう。

ちなみに当サービス『リショップナビ』では、リフォーム会社を多数ご紹介しています。
確認申請に対応できる業者も加盟しているので、よろしければ気軽にご活用ください。

プランや仕上がりにも納得できる、素敵なリフォームを実現してくださいね!

【この記事のまとめ&ポイント!】
住宅のリフォームの際に、建築確認申請は必要?

「4号建築物」以外(鉄骨2階建て・木造3階建てなど)で、大規模な工事を行う際には確認申請が必要になる可能性があります。

「4号建築物」(木造2階建てなど)の場合、2024年現在は、確認申請が不要であるケースが多いです。
ただし2025年4月頃から法改正されると、大規模な工事の際には申請が必要となる可能性が出てきます。

なお建物の種類に関わらず、増築工事は、申請が必要な場合があります。

一戸建てのリフォームで、建築確認申請が必要になるのは、どのような場合?
「4号建築物」以外の建物で、外壁全体の工事やスケルトンリフォームなどを行う際には、確認申請が必要になる可能性があります(詳細は、こちら)。
マンションのリフォームでは、建築確認申請は必要?
1戸の住戸内(専有部)でのリフォームの際には、基本的に確認申請は不要です。
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