建築確認申請が必要なリフォーム工事とは?対象となる場合とかかる費用を一級建築士が解説

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建築確認申請が必要なリフォーム工事とは?対象となる場合とかかる費用を一級建築士が解説

更新日:2023年04月25日

建築確認申請が必要なリフォーム工事とは?対象となる場合とかかる費用を一級建築士が解説

建物をリフォームする際に確認申請が必要な工事があるのをご存知でしょうか?確認申請とは、予定する工事が建築基準法や消防法・市の条例に適合するかを工事前に公的な機関に審査してもらう制度です。確認申請が義務づけられることで、火災時や地震時でも人命を守れる強い建物が作られることが担保されています。新築時にはすべての建物が確認申請を行う必要がありますが、リフォームの場合は、確認申請が不要なリフォームと、必要なリフォームがあるので注意しましょう。そこで、確認申請が必要なリフォーム工事の具体例を取り上げて紹介します。

この記事の執筆者:一級建築士
一級建築士資格保有、大手設計事務所勤務を経て、現在は大手建設会社勤務。

リフォームには届出が必要?

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最初に、どんなリフォームに確認申請が必要かについて、全体像をみていきたいと思います。

確認申請が必要になるか否かは建築基準法で明確に定められています。

「木造2階建て」でリフォームを行う場合

「4号建築物」と呼ばれる小規模な建築物であれば、「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う際の確認申請は不要です。

なお、「4号建築物」とは以下の通りです。

2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の「木造建築物」
平屋建て、延べ面積が200㎡以下の「非木造建築物」

つまり、一般的な木造2階建ての住宅であれば、リフォームを行う場合の確認申請は不要となります。

「鉄骨2階建てや木造3階建て」でリフォームを行う場合

「4号建築物」以外の住宅(鉄骨2階建てや木造3階建ての住宅)では、小規模なリフォームであれば確認申請が不要ですが、「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う場合には確認申請が必要です。

ここでの「大規模の修繕・模様替え」とは、「主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕・模様替え」と定義されます。

壁紙を張り替えるような小規模なリフォームであれば確認申請は不要ですが、階段の位置を変更したり、柱や壁を大幅に変更したりするような大規模なリフォームであれば確認申請が必要になります。

「増築」を行う場合

木造2階建てのような「4号建築物」であっても、鉄骨2階建てや木造3階建てのような「4号建築物」以外の建物であっても、「増築」は基本的に確認申請が必要です。

ただし、土地と増築する規模によって確認申請が不要になる場合があります。
それは、準防火・防火地域以外の土地で10㎡以下の増築を行う場合です。

土地には準防火・防火地域が定められています。一般的に都市部の建物密集地は火災による延焼を抑えるため防火地域に指定され、延焼を防止する措置が義務づけられているのです。

その一環で準防火・防火地域では増築時に常に確認申請が必要とされています。

一方で準防火・防火地域に指定されていない地域では10㎡を超える場合のみに確認申請が必要とされています。

確認申請が必要なリフォームまとめ

ここまでをまとめると、リフォームを行う場合は、一般的な木造2階建ての住宅であれば確認申請は不要で、木造3階建てや鉄骨2階建ての住宅では、大規模な工事を行う場合にのみ確認申請が必要となります。

また、増築を行う場合は、準防火・防火地域内であれば面積に関わらず確認申請が必要になりますが、準防火・防火地域外の住宅であれば10㎡を超える場合にのみ確認申請が必要となります。

戸建リフォームで建築確認申請が必要な工事とは

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ここからは、どういったリフォームで確認申請が必要なのか、個別具体的に触れていきたいと思います。

屋根材の葺き替え

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屋根材の葺き替えを、鉄骨2階建てや木造3階建て等の「4号建築物ではない建物」で行う場合は、確認申請が必要になる場合があります。

屋根材の半分以上を葺き替えるリフォームは「大規模の修繕・模様替え」の定義に当てはまるため確認申請が必要となるのです。

屋根材は家を火災から守る上で重要な役割を担っていますし、屋根材の重量如何で建物にかかる荷重が変わってくるので慎重にリフォームを行う必要があると言えます。
そのため、法律的にも確認申請が義務づけられています。

外壁の補修

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外壁は主要構造部ですから、鉄骨2階建てや木造3階建て等の「4号建築物ではない建物」で外壁の過半を補修する場合には確認申請が必要です。

ここでいう外壁の補修とは、外壁に貼ってある外装材を張り替えるような工事を指します。
例えば、吹き付けの外壁をサイディングに張り替える場合です。一方で、ただ単に塗装を塗り替えるリフォームであれば、確認申請は不要です。

床面積が増えるリフォーム(増築)

床面積の増えるリフォームには確認申請が必要です。(準防火・防火地域外の住宅であれば10㎡を超える場合にのみ必要)

新たに、建物を建てる場合は分かりやすいですが、吹き抜け部に床を足すことも、床面積の増加に繋がるので増築にあたり確認申請が必要になるので注意が必要です。

カーポート・物置の設置

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増築は室内の床面積が必要になるものに限定されていません。

例えば、ホームセンターで物置を買ってきて庭に設置する場合は増築にあたります。
居住空間ではないため増築しているという認識が薄いですが、物置は雨風がしのげるので「屋内的用途あり」と判断されます。そのため、 準防火・防火地域内に建つ住宅で物置を設置すると、必ず確認申請が必要になります。
また、準防火・防火地域外の住宅であれば10㎡を超える物置を設置する場合に確認申請が必要になるので注意が必要です。

また、カーポートの設置も物置と同様に雨風がしのげるので「屋内的用途あり」という判断が下され確認申請が必要になります。

>> カーポートリフォームの費用・施工例

スケルトンリフォーム

建物が古くなると部分的なリフォームだけでなく、大規模なスケルトンリフォームやリノベーションを行う人も多くいます。

ここでも、「4号建築物」(一般的な木造2階建ての住宅)では確認申請が不要です。柱や壁の位置を大幅に変更しても特に何も申請を行う必要はありません。

一方で、「4号建築物」以外の住宅(鉄骨2階建てや木造3階建ての住宅)では「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う場合は、確認申請が必要になります。

問題は、行うリフォームが「大規模の修繕・模様替え」に該当するかどうかです。

もう一度「大規模の修繕・模様替え」の定義を確認すると、「主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕・模様替え」を行う場合に確認申請が必要になります。
ですから、3階建ての木造住宅を2階建てにしたり、壁の位置を大幅に変更したりしても、その割合が半分以下であれば確認申請は不要です。

かなり大掛かりなリフォームであっても確認申請は不要と言えます。

>> スケルトンリフォームの費用・施工例

リノベーションで注意が必要な既存不適格建築物とは

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大規模なリフォームを行う場合に注意が必要なことが一点あるので紹介したいと思います。

建築基準法は何度も改正され、規制が強化されています。
そのため、家を建てた頃は基準に適合していても、法律が変わり規制が強化されることで、最新の基準を満たせなくなる場合があります。
法律が改正される度に、最新の法律に適合しないといけないのであれば、何度も改修が必要になり、建築主は困ってしまいます。

そこで、建築時点の法律さえ満たしていれば、法律が改正されても、それに合わせて改修する必要はないとされています。
ただし、現在の法律を満たしている建物と区別するために、建築時点では法律を守っていたが今の法律には適合しない建物を「既存不適格建築物」と呼んでいます。

注意が必要なのは、「既存不適格建築物」のリフォームを行う場合は、確認申請が必要と判断されるほどの大規模なリフォームを行う場合、建物すべてを現行法に適合させる必要があるということです。

例えば木造3階建ての住宅の屋根を全て葺き替える場合には確認申請が必要ですが、その時に建物すべてを現行法に適合させる必要があります。

古い建物であれば、構造強度が弱い場合が多いので、現行法に適合した強度まで補強を行う必要があります。

このように古い建物をリフォームする際には、思いがけず大規模なリフォームが必要になることがあるので注意が必要です。

マンションリフォームで建築確認申請が必要な工事とは?

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マンションでリフォームを行う場合は、住戸内の工事であれば基本的に確認申請は不要です。

マンションは「4号建築物」以外にあたるので、「大規模の修繕・模様替え(リフォーム)」を行う場合は、確認申請が必要になります。
しかし「大規模の修繕・模様替え」とは、「主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕・模様替え」ですから、かなり大掛かりなリフォームが必要となります。

1戸の住戸でマンション全体の「過半」を超えるようなリフォームを行うことが現実的に考えづらいので、基本的にマンションのリフォームには確認申請が不要だと考えて問題ありません。

リフォームの際に必要な確認申請の手順や必要書類、申請費用とは?

リフォームする際の確認申請での手順や必要書類についてみていきたいと思います。

基本的には、リフォームを依頼した先の建築士に確認申請を代理で行ってもらうことが通常ですが、内容は把握しておく必要があります。

なぜなら、確認申請の申請者はあくまで建築主であって、建築士はその業務を代理で行っているだけだからです。

ですから、建築士に確認申請を依頼する場合も、内容はしっかりと理解しておきましょう。

確認申請の手順と必要書類

確認申請は市役所に提出するか民間の審査機関に提出するかを選択しなければいけません。

昔は市役所でしか確認申請の業務は行っていませんでしたが、今は民間の審査機関にも業務を行う権限が与えられています。
そのため、どちらに提出しても構わないのですが、今現在ほとんどの申請が民間の審査機関に提出されているので、基本的には民間の審査機関に確認申請を提出するものだと思っていただいて構いません。

ただし、リフォームの確認申請は、既存建物の確認申請書類や検査済証が必要になり、それらが無い場合は市役所への手続きが多くなるので、その流れで市役所に確認申請を提出する場合もあります。

確認申請書を市役所に提出するにしても、民間の審査機関に提出するにしても、必要となる書類は一緒で以下の通りです。

確認申請書(建物の面積や工事概要を記載する書類)
図面(付近見取り図、配置図、平面図、立面図、断面図、求積図)
各種計算書(シックハウス計算、採光計算等)
既存建物の確認申請書類・検査済証
構造計算書(「4号建築物」以外の住宅の場合 ※鉄骨2階建てや木造3階建ての住宅の場合が該当)
建築計画概要書

基本的に、これらの書類を市役所か民間の審査機関に提出することで、1週間程度で確認済証を発行してもらうことができ、その後着工することができます。

ただし、計画地が、防火地域・準防火地域の場合は確認申請時に消防署の審査も受けないといけないので、1週間程度は確認申請の期間が延びることが多いです。
さらに、各自治体によって、独自の条例を定めている場合は、確認申請とは別に何らかの申請を行う必要があり、更に時間が必要となるので注意が必要です。

確認申請の手続きにかかる費用

確認申請には費用がかかります。各自治体や民間の審査機関ごとに差があるので、画一的な金額ではないのですが、一般的な木造2階建ての住宅で確認申請を行う場合の費用の目安は以下の通りです。

内容 費用相場
確認申請 3万円
中間検査 2万円
完了検査 2万円

中間検査は、リフォームの内容や自治体によって不要になる場合もあるのでリフォームの内容ごとに個別に確認が必要です。

リフォームを行う場合の注意事項

ここまで、確認申請が必要になるリフォームについて紹介してきましたが、ここで1つ注意点があります。

それは、確認申請が必要無いリフォームであっても、法律は破っていけないということです。

4号建築物で確認申請が不要であっても、それはあくまで、確認申請の手続きが簡略化されているだけであって、法律を守らなくてもよくなったということではないのです。

リフォームする際は、各自で法律に適合しているかを判断する必要があります。
軽微な法令違反であれば見逃されることもありますが、明らかに法律に違反している場合は行政から指導が入ることもあるので注意が必要です。

リフォームをする際は専門家に、「法律に適合しているかどうか?」についてしっかりと確認することが大切です。

リフォームは金額が高いですから誰もが失敗したくないと思っています。
ですから、法律をしっかりと理解し、確認申請が必要なものは確実に申請を行うことが重要になります。

法律をしっかりと守って、気持ちのいいリフォームを行いましょう。

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【この記事のまとめ&ポイント!】

住宅のリフォームの際には、建築確認申請の届出は必要?
「4号建築物(木造2階建てなど)」の場合は、確認申請は不要であるケースが多いです。
「4号建築物以外(鉄骨2階建て・木造3階建てなど)」の場合は、大規模な工事の際には確認申請が必要になる可能性があります。

増築工事の場合は、建物の種類に関わらず申請が必要な場合があります。
詳しくは、こちら
一戸建てのリフォームで、建築確認申請が必要になるのは、どのような場合?
4号建築物以外の建物で、屋根の葺き替え工事やスケルトンリフォームなどを行う際には、建築確認申請が必要になる可能性があります(詳細については、こちら)。
マンションのリフォームで、建築確認申請が必要になるのは、どのような場合?
1戸の住戸内でのリフォームの際には、基本的に建築確認申請は不要です(詳しくは、こちら)。

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