整理収納アドバイザー直伝「リビング」整理収納のコツ！Before/Afterの事例もご紹介

前回の記事『整理収納アドバイザーに聞いた「キッチン」整理収納術！』では、キッチンでありがちな収納NG例のBefore→Afterの解説や、キッチンの整理収納で大切なことについて、ご紹介しました。
今回は「リビング」における整理収納のポイントをまとめたので、ご覧ください！

Q：「リビング」の整理収納について、どんな悩みを持つお客様が多い印象ですか？

「収納スペースを、どう使っていいのか分からない」というご相談を、よく受けます。特に、リビングに併設している収納やテレビボード、キッチンのカウンターの裏側などを、上手に活用できていない。

こういった方々は共通して、モノの住所(＝モノをしまう定位置)が決まっていないケースが多い印象ですね。

リビングには、文房具や書類、アルバム、お薬、日用品のストックなど、いろいろなモノがありますよね。
小さいお子さんがいらっしゃる場合は、お絵かきグッズ・絵本・おもちゃを置いていることも多いです。

また「どうしていいのか分からないモノ」が置かれているパターンもたくさん見られます。洗面所・キッチン・寝室などには何を置くべきか判断しやすいけど、どの部屋に置くか決められていないモノは、リビングに集まってしまう。

自分のモノだけではなく「家族全員のモノが集まる」ので、必要なモノ・不要なモノを区別しにくいことも、とりあえずリビング内に収納してしまう要因になっていると思います。

(写真や、お子さんの制作物など)思い出の品を飾っている場合に「飾るモノ」と「収納するモノ」を一緒にしている方も、大変多いです。

本来は別次元のはずですから「飾りは、飾る」「収納したいモノは、収納する」と、分けて考えましょう。飾るモノの場所をきちんと作ってあげると、埋もれず目立たせることができます。

Q：リビングの整理収納で一番大切なポイントは何ですか。

誰か1人のための収納ではなく「家族全員が、どこに何があるか把握できる、わかりやすい収納スペースを作ること」が一番理想だと思います。

個人のモノばかりが置かれている状態は、あまり良くないと考えています。
お子さんの玩具を置きたい時期などはあると思うのですが、あちこちに玩具がある状況にしてしまうのではなく、リビングの中で「玩具を置く場所」を決めておくといいです。

「寛ぐ空間」「遊ぶ空間」「食べる空間」といった感じで、ゾーンを分けてあげることが大事ですね。

ここからは、リビングでよく見られる整理収納NG例を解説します。Before→Afterの実例写真を参考にしながら「どのように解決するといいか」をチェックしてみましょう。

【Before】

【After】

こちらのリビングには収納スペースがなく、雑多にモノが置かれている状態でした。

お客様が「テレビボードを買い替えたい」と仰ったので、新調したテレビボードに全てのモノを収納できるように工夫しました。

【Before】

【After】

こちらは、棚を買ったけど使いこなせていなかった例です。

「お母さんのモノは、ここ」「お父さんのモノは、ここ」と、それぞれの住所(置き場所)を決めて、本当に必要なモノ・この場所に置くべきモノだけを厳選してもらいました。その上で、収納ボックスを追加し、サイズ感が合わなかった収納箱は買い換えました。

「置き場があるから」「スペースがあるから」と詰め込むのではなく、モノを出し入れするための余白を作ってあげましょう。

また「このバッグは、リビングではなく玄関に置いておくほうが便利なのでは？」と、配置場所を見直すことも大切です。

【Before】

【After】

この方は、収納グッズを先に買ってしまうタイプの方で、引き出しやファイルボックスなど、たくさんの収納アイテムをお持ちでした。一見するとキレイなのですが、自分に合った方法で整理収納できていなかったんです。書類をきちんと整理せず、ただ一番上の棚に溜めている状態でした。

そこで「ここから上は、お母さんのモノ」「一番下は、お子さんが出し入れしやすいように」とゾーニングし、家族で使いやすいようにモノの住所を決め直しました。一番上の書類は手持ちの紙袋に収納し、後日ファイルボックスの購入をおすすめしました。

【Before】

【After】

こちらもパッと見たところは悪くなさそうですが、やはりモノの住所が明確に決まっておらず、とりあえずキャビネットに収納しているだけの状態でした。

そこで「機器類」「お父さんのバッグ」「思い出の箱」など、グループ分けをして収納場所を決め直しました。
「中身が見えるようにしたいモノ(書類など)」は「縦型の収納(ファイルボックスなど)」に入れると管理しやすいです。

【Before】

【After】

こちらもリビングでよく見るNG例なので、一緒にご紹介します。
電源コードがグチャッとしていて、丸見えの状態。

このようなコード類をまとめてキレイに見えなくするだけでも、リビングの印象がだいぶ変わりますよ。

Q：当サービス『リショップナビ』のお客様には「リフォームのタイミングで、リビングの整理収納を見直したい」という方が多くいらっしゃいます。リビングのリフォームをする際に、考慮すべき整理収納計画について教えてください。

どの場所をリフォームをする場合でも共通することですが「動作・動線に合った設計にする」のが大切です。
「持っている量」「置きたい量」「動線」を全て掛け合わせて考えたいので、モノの適正量を考慮して把握することも肝心。「何を、どのくらい持っているから、それらをどこに置くか」を考えて、最短距離で行ける場所に収納スペースを作っていきましょう。

リビングでは「何をするか(食べる・勉強する・身支度をする・ゲームをする、など)」そして「何を使うか(食事のグッズ・学用品・パソコン・タブレット・ゲームなど)」を書き出すといいですね。
テレビの周りには「何個のゲーム機を配置する」「この辺に置きたいDVDが何枚あるから、どれくらいのサイズの収納が必要」といった具合に、どこに何を設置すると便利になるかを判断できます。

バッグをたくさん持っていて「リビングに1個だけ置きたい。それ以外のバッグはクローゼットに収納できればOK」という場合は、リビング内にバッグ1個を置けるスペースを作ればいい。
逆に「子どものモノは全部リビングに置きたい」という場合は、リビングにたくさんの収納スペースが必要になるけど、クローゼットは小さくても大丈夫かもしれない。

リフォームの際には、今のお住まいで「使いやすいと感じることは、そのまま残す」「ストレスだと感じることは書き出して、改善案を考える」のも大事。
「あ、これは何かストレスだな」と気付いた瞬間に「じゃあ、これって、どこにあったらいいんだろう？」と考えて、モノの住所などを決めていくといいと思います。

例えば帰宅したとき、玄関では何を持っていて、どこに何を置くのか？リビングに来たときには、何を持っているのか？
郵便物を開封しないままダイニングテーブルに放置してしまう習性がある方は、玄関周りにもハサミとゴミ箱を置くといいでしょう。玄関で開封し、必要な中身だけをリビングに持ってくる習慣が身に付くはずです。

Q：リビングをキレイに保ち続けるためには、具体的にどんなことをするといいでしょうか？

「リラックスできる空間にする」ことを目指し、整理収納していくのがいいと思っています。

そのためには、リビングが使用頻度の低いモノで占領されないように気を付けましょう。お子さんが大きくなったのに、小さいころに遊んでいたおもちゃなどが置きっぱなしだったり、しまいそびれた季節家電(ストーブなど)が、出しっぱなしになっていたり。いつか売ろうと思っている不要なモノがリビングの片隅にあったり……。そういった状態になることは、避けたいですね。

Q：リビングがきちんと整理収納されていると、どんなメリットがありますか。

リビングは家族全員が使う場所・集う場所。ですから「家族に長い時間過ごして欲しい」「ゲストを呼びたい」と思っている方だったら、リビングを整えることで「居たくなる空間」にできると考えます。

そして、自然と家族が集まるようになったり、夫婦の喧嘩や小言がなくなったり、家族が仲良く暮らせるということに繋がっていくと思うんですよね。

上手に整理収納することは、温かい家庭を守っていく上でも重要なことが伝わってきましたね。
能登屋さんには他のテーマでもいろんな収納術について伺っています。

次回は「浴室・洗面」の整理収納術について取材します！
お風呂場や洗面所の整理収納の失敗例＆成功例や、リフォームする前に確認しておきたいポイントなどについて、詳しくお話しいただきます。