「【フラット35】リノベ」の条件とは?対象リフォームの費用目安・利用時の流れや注意点もご紹介

更新日:2024年07月03日

【フラット35】リノベの条件

「【フラット35】リノベ」は、中古住宅を購入してリフォーム・リノベーションする際に活用しやすい制度の一つ。今回は「【フラット35】リノベ」のサービス概要や利用条件、対象となるリフォーム工事の種類や費用相場を、解説します。また「【フラット35】リノベ」以外のローンを利用したい(リフォーム資金のみを借り入れたい)場合の対策などもご紹介するので、あわせてチェックしてみてください。

この記事の目次

(※本記事は、2022年7月時点の情報を掲載しています。)

「【フラット35】リノベ」とは?

【フラット35】リノベとは?

「【フラット35】リノベ」は、中古住宅を購入し、あわせて「一定要件を満たすリフォーム(リノベーション)工事」を実施すると、 住宅ローンの【フラット35】の借り入れ金利を当初5年間(もしくは10年間)、引き下げられる制度です。

利用者区分は以下の2タイプがありますが、本記事では「①のリフォーム一体タイプ」を中心に解説していきます。

① 中古住宅を購入した後に、自らリフォーム(リノベーション)工事を行う場合に利用できる「リフォーム一体タイプ」
② リフォームを実施した中古住宅を、住宅事業者が購入する場合に利用可能な「買取再販タイプ」

(※中古物件を購入する場合が対象のため、すでにお住まいの物件をリフォーム・リノベーションする場合は対象外です。)

金利の引き下げメニューは、以下の2種類があり、2023年3月31日までの申し込み受付分に適用されます。

金利Aプラン 当初10年間、
金利を年0.5%引き下げ
金利Bプラン 当初5年間、
金利を年0.5%引き下げ

なお後ほど詳しくお話ししますが「一定要件を満たすリフォーム」は、主として、

●省エネ化(断熱対策など)を目的としたリフォーム
●耐震補強
●バリアフリーリフォーム

などが該当します。

「【フラット35】リノベ」は、一戸建てでもマンションでも使える?

【フラット35】リノベ」は、一戸建てもマンションも対象としています。
ただし、以下のような条件に当てはまる必要があります。

●一戸建ての場合=床面積70㎡以上
●マンションの場合=床面積30㎡以上
●技術基準(住宅金融支援機構が定めたもの)に適合していること

(※その他、諸条件あり)

そもそも「【フラット35】」とは?「【フラット35】リノベ」との違い

住宅金融支援機構の「【フラット35】」は、申し込みご本人もしくはご親族の方が居住するための新築・中古住宅を購入する際などに利用可能な、 全期間「固定金利」の住宅ローンです。 全国で300以上もの金融機関が扱っています。

そして「【フラット35】リノベ」は、諸条件に当てはまる場合に、この【フラット35】の借り入れ金利を一定期間引き下げられる制度というわけです。

類似サービスの「【フラット35】(リフォーム一体型)」は2020年に終了

ちなみに、似たような名称の「【フラット35】(リフォーム一体型)」というサービスがありましたが、こちらは2020年12月末に受付を終了しています。
利用を検討されていた方は、ご注意ください。

「【フラット35】リノベ」は、リフォーム資金のみでも対象になる?

【フラット35】リノベは、リフォーム資金のみも対象?

「リフォーム・リノベーション工事の資金のみを借り入れたい」という方もいらっしゃると思いますが、この場合「【フラット35】リノベ」を利用することは、残念ながらできません。
(※「【フラット35】」のシリーズで、リフォーム資金の借り入れを対象としている商品は、現在ありません。)

リノベーション(リフォーム)費用のみを借り入れたい場合はどうする?

もしも工事資金のためだけにローンを使いたい場合は、やはり「【フラット35】」や「【フラット35】リノベ」の活用は難しいため、別のローンを探して検討する必要があります。

>> リフォームローンの選び方!金利相場・おすすめは?
>>「金利0(無金利)」のリフォームローンのおすすめ&メリット・デメリット
>> リフォームローンの審査はゆるい・厳しい?

なお当サービス『リショップナビ』は、さまざまなリフォーム・リノベーション工事に対応できる施工会社が加盟しています。
業者によっては 「提携しているローンのご紹介」や「専属ファイナンシャルプランナーによる資金計画のご相談」などのサポートも行っていますよ。

もし工事の依頼先が決まっていない場合は、まずは施工業者を探し、ローンについても相談してみてはいかがでしょうか。
ご相談も見積もり作成も無料ですので、ご興味のある方は、お気軽にご活用くださいね。

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「【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)」の条件は?

【フラット35】リノベの条件

ここからは「【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)」を利用できる条件について確認していきましょう。

申し込み可能な方

  • 申し込み時のご年齢が「満70歳未満」の方
    (同サービスの「親子リレー返済」を利用できる場合は、満70歳以上の方も可)
  • 国籍が日本の方/特別永住者の方/永住許可を受けている方
  • すべての借り入れ(【フラット35】だけではなく、自動車ローン、クレジットカードの分割払いなども含む)に関して、総返済負担率(=年収に占める「年間合計返済額」の割合)が、以下の表の基準を満たす方
年収 基準
400万円未満の場合 30%以下
400万円以上の場合 35%以下

(※その他、諸条件あり)

住宅の条件=【フラット35】の技術要件などに適合する必要がある

「【フラット35】リノベ」および住宅ローンの「【フラット35】」を利用できるのは、 住宅金融支援機構が定める「技術基準」(※1)に適合する住宅です。

(※1) 技術基準につきましては、住宅金融支援機構の【フラット35】公式サイトをご参照ください。

ある程度、築年数が経過している住宅でも利用可能ですが、建築確認日が1981年5月31日以前などの場合は、同機構が定めている「耐震評価基準」にも適合している必要があります。

「省エネ化」など一定要件を満たすリフォーム(リノベーション)を行った場合が対象

【フラット35】リノベは 「要件を満たすリフォーム」を実施し、なおかつ「住宅の維持保全に係る措置」がとられている場合に利用可能です。

「金利Aプラン」と「金利Bプラン」とでは、リフォーム工事の費用・内容といった要件が異なります。

種類/要件 金利Aプラン 金利Bプラン
工事費の要件 300万円以上 200万円以上
住宅の要件
(工事内容)
以下の
<Aプランの場合>参照
以下の
<Bプランの場合>参照
維持保全 以下の<金利Aプラン/金利Bプラン共通>参照
待遇 金利を年0.5%引き下げ
(当初10年間)
金利を年0.5%引き下げ
(当初5年間)

※上表の「住宅の要件」に係る施工内容を含むリフォーム(リノベーション)工事全体の費用が、上表の「工事費の要件」の金額を上回っている場合に、対象となります。

<金利Aプランの場合の要件>

■リフォーム工事後に、以下の内のいずれかの基準に適合していることが条件
(※選択した基準に関係する工事を実施した場合が対象)

省エネ性
指定の「一次エネルギー消費量等級」レベル以上に該当する
耐震性
指定の「耐震等級」レベル以上に該当する
バリアフリー性
指定の「高齢者等配慮対策等級」レベル以上に該当する
耐久性・可変性
「長期優良住宅」に認定される

(※各要件に、細かい規定あり)

<金利Bプランの場合の要件>

■以下の内のいずれかのリフォーム工事を実施した場合が対象

省エネリフォーム
●断熱材の施工
●開口部(窓ガラス・窓サッシなど)の交換
●内窓の設置
●高効率給湯器(エコキュートなど)の設置、他
耐震リフォーム
●筋交いやパネルの設置
●屋根の軽量化、他
バリアフリーリフォーム
●手すりの設置
●床の段差解消
●開き戸を、折れ戸 or 引き戸などに交換
●通路などの拡幅、他
耐久性・可変性の向上
●床材の交換
●天井・内壁の壁紙などの交換
●外壁・屋根の塗装
●間取り変更、他

<金利Aプラン/金利Bプラン共通の要件>

■以下の内のいずれかの措置(中古住宅の維持保全に係る措置)をとっていることが条件

「インスペクション(住宅診断)」実施
専門家に、住宅の性能や劣化状況などの現況検査を実施してもらう
「瑕疵(かし)保険」付保など
「既存住宅売買瑕疵保険」もしくは「リフォーム瑕疵保険」の契約を締結する
「住宅履歴情報」保存
(買主が)リフォーム工事に関する図面や写真などを、保存場所・保存形式を明確にした上で保存する
「維持保全計画」作成
長期にわたって、リフォーム工事後の住宅を良好な状態で使うための措置などを定めた「維持保全計画(計画期間=30年以上)」を作成する

(※いずれの措置であっても、適合証明検査機関による「適合証明検査」を受け、証明書を発行してもらう必要あり)

「【フラット35】リノベ」対象のリフォーム工事費用の目安

【フラット35】リノベ対象のリフォーム工事費用

ところで、工事にかかる費用の目処がつかないと「【フラット35】リノベ」の条件に該当するか、ご不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで「【フラット35】リノベ」の対象となる、主なリフォーム工事の費用相場を以下に掲載するので、参考にしてくださいね。

省エネリフォームの費用相場

【フラット35】リノベ対象の省エネリフォーム費用

断熱対策のリフォームでは「壁などに断熱材を施工する」「既存の窓に、内窓を追加して二重窓にする」といった方法が主流です。

「既存の窓ガラスを、断熱仕様のペアガラスに交換する」「既存の窓(アルミサッシなど)を、樹脂サッシに変更する」などの工事を行うのも効果的です。

光熱費の節約に繋がる「高効率給湯器」の設置も、省エネ性を上げる工事として人気があります。

施工内容 リフォーム費用
断熱材の施工 壁に施工 :0.4~3万円/㎡
天井に施工:0.4~0.8万円/㎡
床下に施工:0.4~0.8万円/㎡
窓ガラスをペアガラスに交換 5~15万円/箇所
窓を樹脂サッシに変更 サッシ枠のみ :5万円前後/箇所
周囲の壁も施工:25~60万円/箇所
内窓の設置 8~15万円/箇所
高効率給湯器の設置 25~73.5万円/台

>> 断熱リフォームの種類・費用
>> 窓の断熱リフォームの方法・費用

耐震リフォームの費用相場

【フラット35】リノベ対象の耐震リフォーム費用

耐震性を上げるためには「柱と柱の間などに筋交いを取り付ける」「耐震パネルを壁に施工する」などの工事を行います。
また一戸建てで屋根材が瓦など重量のある物の場合は「軽量な屋根材に葺き替える」ことで、建物にかかる負担を軽減できます。

施工内容 リフォーム費用
筋交いの施工 5~20万円/箇所
耐震パネルの設置 25~65万円
屋根の軽量化 80~150万円

>> 耐震リフォームの費用相場

バリアフリーリフォームの費用相場

【フラット35】リノベ対象のバリアフリーリフォーム費用

バリアフリー対策でメインとなる工事内容は「手すりの設置」や「床の段差解消」ですが、水回り・玄関・廊下など施工場所によって価格がやや異なります。
「開き戸タイプのドアを、折れ戸もしくは引き戸に交換する」リフォームも、車椅子を利用する方がいらっしゃる際などに便利です。

施工内容 リフォーム費用
手すりの設置 1〜18万円
床の段差解消 1〜18万円
通路などの拡幅 40〜100万円
扉の変更 水回りの扉(トイレなど):3〜30万円
玄関ドア(一戸建て) :20〜60万円

>> バリアフリーリフォームの費用相場

耐久性・可変性の向上リフォームの費用相場

【フラット35】リノベ対象の耐久性向上リフォーム費用

「劣化した設備や部材を補修・交換する」「世帯構成の変更に合わせて、間取りを変更する」といった工事であれば、住宅の性能向上に資するリフォームとして「【フラット35】リノベの」対象になる可能性があるでしょう。

(※「金利Aプラン」の場合は、耐久性・可変性を向上させるリフォーム完了後に、長期優良住宅の基準を満たしている必要があります。)

施工内容 リフォーム費用
フローリングの張り替え 6畳の場合:9~18万円
8畳の場合:10~20万円
天井・壁のクロス交換 800~1,500円/㎡
間取り変更 間仕切り壁の設置・撤去:7〜25万円/箇所

>>【床材別】床のリフォーム費用相場
>> 壁紙リフォームの費用・注意点

一戸建て住宅で、外壁・屋根のメンテナンスとして塗装を行う際なども対象となる場合があります。

施工内容 リフォーム費用
外壁塗装 60〜180万円(約30坪の場合)
屋根塗装 15〜80万円(約30坪の場合)

>> 外壁塗装・リフォームの費用相場
>> 屋根塗装・リフォームの費用相場

以上のリフォーム内容や金額は、あくまでも目安です。
実際に必要となる工事や料金につきましては、施工業者からの見積書などでご確認くださいね。

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「【フラット35】リノベ」の金利・借り入れ可能な期間

住宅ローンの【フラット35】は、上述した通り「全期間固定金利」で、申し込み時ではなく「資金受け取り時」の金利が適用されます。

借り入れ金利は「取り扱い金融機関」や「借り入れ期間(20年以下 or 21年以上)」「融資率(9割以下 or 9割超え)」「加入する団信(=団体信用生命保険)の種類」「団信に加入しているか否か」などの要素によって異なるため、一概には言えません。

この【フラット35】の借り入れ金利から、

  • 金利Aプランであれば、当初10年間
  • 金利Bプランであれば、当初5年間

それぞれ金利を年0.5%引き下げられるということになります。

「【フラット35】リノベ」を利用する際の流れ

【フラット35】リノベ」利用時の、一般的な手続きの流れの例は、以下の通りです。

■青文字=お客様(ローンを利用される方)の手続き
■黒文字=事業者の手続き

① ローン【フラット35】借り入れの申し込み

   ▼

(金融機関による)審査結果の連絡

   ▼

(住宅事業者による)「技術適合状況」の事前確認
【フラット35】リノベ用の書類の交付・提出
※すでに住宅金融支援機構の「技術基準」適合と確認されている物件の場合などには、この「事前確認」は省略できます。

   ▼

② 中古住宅購入費用の決済
※必要な場合は、つなぎ融資を実行

   ▼

(施工業者による)リフォーム工事

   ▼

(適合証明検査機関による)「適合証明検査」
 ⇒「【フラット35】リノベ」などの技術基準に適合しているか確認
適合証明書の交付・提出

   ▼

③【フラット35】借り入れの契約・融資実行
リフォーム工事費用の決済
※つなぎ融資を利用した場合は、返済

   ▼

④ 入居

「【フラット35】リノベ」の取り扱い金融機関・銀行の例

「【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)」を利用したい場合は、取り扱い金融機関に申込書を提出します。
2022年7月時点では、以下の金融機関や銀行が対応しています。

  • アルヒ株式会社(旧SBIモーゲージ)
  • イオン銀行
  • みずほ銀行など

(※三菱UFJ銀行・楽天銀行といった一部の大手銀行は未対応です。
また「【フラット35】」は扱っていても「【フラット35】リノベ」は扱っていない機関も一部あるため、ご注意ください。)

「【フラット35】リノベ」は予算に達する頃に終了してしまうため注意!

【フラット35】リノベは予算に達する頃に終了

「【フラット35】リノベ」のサービスには、予算金額があります。
予算に達する見込みとなった際には、受付を終了してしまうため、お気をつけください。
(受付終了日の約3週間前までに、住宅金融支援機構の【フラット35】公式サイトに情報が掲載されます。)

「【フラット35】リノベ」の利用を検討される方は、お早めに計画を進めましょう。

【フラット35】リノベ以外のローンを利用したい場合は?

最後に、今回ご紹介した内容をご覧になり「【フラット35】リノベの利用は難しそう……でも住宅ローンの金利は安くしたい」「そもそもローンの審査に通るか、リフォーム工事ができるか不安」などと思われた方に向けて、対策をお話ししておきます。

例えば、金利を安くしたい場合には 「金利の安いローン」に借り換えてしまうのが得策です。

「住宅ローンとは別に、リフォームローンも借り入れたい」というときには、追加融資を利用するのではなく 「低金利の、リフォーム一体型ローン」に借り換えるのもおすすめです。
リフォーム一体型ローンは、住宅購入資金とリフォーム工事資金をまとめて借り入れできるため、返済計画を管理しやすいという利点もあります。

【フラット35】リノベ以外のローンを利用したい場合

なお「利用可能なローンの探し方が分からない」「リフォーム資金の借り入れで、審査を通過できるか」といったような悩みがあれば、リフォーム業者に一度相談してみることを推奨します。

先ほどもお伝えした通り、施工業者がローンの手続きなどをサポートしてくれることもあるためです。
また親身になってくれる会社であれば「ローンの審査が終わるまで、工事の契約を待つ」「審査が通りそうな予算の範囲で、施工プランを考える」などの柔軟な対応をしてくれるかもしれませんよ。

「リフォーム工事やリフォームローンについて、プロに質問してみたい」という方は、施工会社を探すことから始めましょう。
もちろん、ローン以外のことでリフォーム会社と相談したいときにも、当サービス『リショップナビ』が業者探しのお手伝いをいたします。

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